新人職人がSSを書いてみる 20ページ目at SHAR
新人職人がSSを書いてみる 20ページ目 - 暇つぶし2ch253:別人だけど真似してみた。
10/03/16 20:03:54
傷付いたシライ隊の下に来た、宇宙からの援軍は? 少女シリーズファン必見、急転直下のさばそう2!
PHASE-10 備えあれば、憂いなし。  >>131-137
PHASE-11 本物の翼、本物の力。  >>184-189
PHASE-12 コンディションレッド、発令。【前編】 >>200-205
PHASE-12 コンディションレッド、発令。【後編】  >>215-220

「 In the World, after she left 」 ~彼女の去った世界で~
戦いは始まってしまった。命の華が散る戦場に、カガリがそのねがいを叫ぶ。
第17話 「発令 -ねがい-」(前編) >>100-110

☆特別読み切り
アロウズに至るビリーの苦悩を、二十四番氏が描く!
プレアロウズ(ビリー編)>>123-128 >>193-198

「懐かしいな」モニターに姿を表したカトー。戦火の近いクサナギⅣで、かつての教え子と師が言葉の火花を散らす。
機動戦史ガンダムSEED 44話 >>170-182




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途中で力尽きた。編集長はマジで凄かったんだなあ。

254:通常の名無しさんの3倍
10/03/17 22:22:27
大したことはして無いっす
俺よりも煽りがいけてると思うよ。マジで

255:通常の名無しさんの3倍
10/03/20 19:15:07
新編集長乙!
その調子で頼むぜ!

256:弐国 ◆J4fCKPSWq.
10/03/28 00:40:32
空(あま)駆ける少女達 ~少女は砂漠を走る! II~

PHASE-13 激突、亡霊対廃棄物。

 本来は白いはずのファルシオン。今は何色に見えているんだろう。
「VPS強度最大、逆噴射全開! 対ショック!!」
 力。が見えた気がした。勿論ゼロコンマうん秒の世界、CG補正なんて間に合う訳もなく
コーディネーターとはいえ生物学的には人間としてのカテゴリには間違い無く属している訳で。
 ならば見える訳もないのだけれども。その時のあたしにはわき上がってくる力が見えたし、
それを追いかけてくる砂の嵐、更に遅れて黒い煙が迫ってくるのも見えた。

 先ずはその“力”にMA形態のまま頭から突っ込む。機体を線画で示したコンディション画面は
いきなり全面的に黄色くなって一瞬の後8割方オレンジになる。但し故障を示す赤のマークは
殆ど出ない。エアブレーキや細かい部品は取れたかも知れないが、機体の損壊は免れた。
 スピードメーターの表示は音速ギリギリにまで落ちる。コントロールが何とか効くように
なった所で機首を起こしてお腹から衝撃を受ける。マニュアルの大気圏突入時と同じ姿勢。
一気に減速してスピード表示がMからKm/hに変わる。後もう少し……。良しっ、いける!

 変形を始めた後でディスプレイに変形可能の文字が出る。変形完了の表示が出る前には
既にシールドを前に構えて砂嵐の中に突入していた。
 ビームを無力化しミサイルさえ弾くビームと実体のコンバインシールド。そのビームの
フィールドが揺らぎ実体部分の縁が砂に削られ形が変わっていく。スピードは更に落ちた。
 次の瞬間にはもう爆煙の中に包まれて、砂の他にも何かの破片が機体を殴りつけていく。

「とまれぇ! 高起動ウイング展開、ハイマットモードに移行! スラスター出力最大!!」
 叫ぶと同時に機体の天地を入れ替え頭を上にして背中のたたまれた鋼鉄の羽を開く。
名前こそセイバーだがきっと外から見た姿は史上最強MSフリーダム。だけどVPSはウイング
基部までしか実装されていない。その先に装備されたドラグーンなど何をか言わんや。
でもとにかく、今は本体を壊さずに降りること。そのためには高起動ウイングは必要だ。

 まだスピードが、落ち切らない。予定より多少オーバーしている。……が、しかし。
今、降りなければ、敵に立て直す時間を与えてしまう。一気呵成でたたけなきゃ意味がない。
「更に対ショック! ―良い子でぇっ、降りなさぁいっ!!」
 全てのバーニアを全開のまま必死でブースターの残骸を避ける。ズーン。かつて経験した
ことのないすさまじいショックがコクピットを襲う。全ての血が足に下がって視界が暗い。
 ファルシオンは片腕、片膝を付いてクレーターの真ん中に居た。……動く、かな?

「……つぅ、班長、―バクゥ4機、当機前方に展開開始、再度編隊を組みつつあり」
 コンディション画面のMSは上の方から順に、オレンジから黄色、そしてほぼ青一色になる。
「ハイマットモード継続。機長! ドラグーンスタンバイ、―先ずは左から2番目!」
 無線、しかも自力で飛べるドラグーン。以前のガンバレルも自分で飛んだが機動性がまるで
違う。そしてビームカービン(※)は威力は同じで速射性は今までライフルの4倍。つまり……。

257:弐国 ◆J4fCKPSWq.
10/03/28 00:42:02
#13 激突、亡霊対廃棄物。

 グン。多少の違和感と共にモニターの画像が高見に上がる。ファルシオンは立ち上がると
同時に何事もなく飛び立つ。機体から放たれるビームカービンと離脱するドラグーン。
 敵がトリガーにかける指が、トリガーを絞る瞬間がわかる。そう、先読み。弾道どころか
発射タイミングまでわかる。そして、そうなら確かにリョーコちゃんの言った通り、切り払う必要
などはなかった。敵は半壊状態のMSが“たった”の4機。何処に攻撃が来るかわかる以上、
全て避ければそれですむ話だ。バクゥからの攻撃はファルシオンには掠りもしない。
 そして本体さえ守れば、後はドラグーンがある。牽制でバラまくビームカービンと確実に
致命傷を与えて行くドラグーン。動かす人間が、そもそも違う以上、敵にこちらの考えてる事
なんか、わかりようがないのだ。

 さっきの爆発の余波で作った生傷を抉られたバクゥのうち2機はあっけなく爆散、砂漠に
小さなクレーターを穿ち、砂と共に黒い雲を舞いあげる。
「ファルシオン、ゲレイロ准尉から班長代理。敵はバクゥ中破機2のみ。間違い無く排除されたい」
 狙わなかった2機は黒い煙をなびかせながら一気にレンジ外へ、西ゲート方面へ逃れていく。
『リョーコさん、か? ……あ、いや。キラービー1、了解。―総員戦闘準備、来るぞ!!
……そっちは二人とも大丈夫、なんだな!?』
「機体、パイロットとも作戦遂行に問題無し。気遣いを感謝する。そちらのレンジまで、30。以上」


 ……何処だ? 質量爆弾に巻き込まれるような間抜けじゃないはずだ。ガイアが、居ない。
「Nジャマー反応、広範囲で継続中。発生器は広範囲で設置されている模様……。
―? 班長、システムからアラート。A-34から37、およびN-26関節にダメージ、
並びにフレーム6番長手方向に4%強の歪み。7番右方向に捻れ3%。自力での変形不可」
「現状、相手はガイアのみ。ハイマットモード継続が可能であれば問題なし」
「了解。…………金属の、反応? ―そう。そう言うこと……」
 ガコン。リョーコちゃんのつぶやきと共に、いきなり二人の前にマルチロックオンのコンソール
がせり上がる。完全なワンオフの機体、と言う訳ではないが腐ってもガンダム。センサーの類は
一般の機体などは、はるかに凌駕する。そのセンサーがわずかな金属反応を拾った。
 但し金属反応があること、それ自体はおかしくない。金属片なら此処までの戦闘でさんざん
まき散らしているからだ。しかし……。
「―了解っ! ドラグーンの砲も借りるよ!」

 高度を取って360°の視界を確保。スクリーンには次々目標がポイントされて行く。
「フルバーストっ!!」
 ほんの少しだけリョーコちゃんの判断が速かったようだ。自動砲台が砂から顔を出した。
次の瞬間、ビームカービンとバインダーの先端から放たれたビームが砲台を正面から次々
打ち抜く。まだまだ出てくる自動砲台、見つけて躱して打つ。見つけて打っては躱す。
「全部正面! ―って砲台に囲まれてる……? なら、来るなら此処! MSに警戒をっ!」
 砲台だけでなく只のバズーカやライフルまで見える。ここででこうなることを、読んでいた?
「了解、MSに警戒。……オレンジ25マーク17ブラボーに感! 動いたっ!」

258:弐国 ◆J4fCKPSWq.
10/03/28 00:42:53
#13 激突、亡霊対廃棄物。

 勝手に身体が動く。次の瞬間、自分でやった事ながら凄まじい横Gで視界がブレる。
「うんにゃろぉおおっ!」
 一瞬の差。ファルシオンが身を翻した次の瞬間、コクピット直撃を狙ったビームの粒子は、
左二の腕、白いPS装甲に黒い焼け焦げを作るだけで後ろへ抜けていく。シールドを構える
暇もない。その間にも砂の中からはいろんなモノが次々に頭を出して弾を吐き出してくる。
「ちっ、反応ロスト。―センサーが過敏すぎる、ノイズが多い。砲台をしらみつぶしに!」
 返事をする暇はない。厄介なことにはこのタイミングで砲台の中にライフルを持ったMSの
上半身も含まれ始めた。無人で動いているのは間違い無いし、下半身だって無いだろうが、
センサーはMSとして認識する。自分で見て、感じた事以外は当てにならないと言う事だ。

 各砲身の温度警報も注意を促し始めるが砲撃を辞める訳には行かない。ぐるり360°を
囲まれているのだ。しかも。
「―っ!? あたるかぁああっ!」
 またしてもまるで予期しない方向から太いビームが来る。センサーを殺し、砲台への対処に
忙殺されている状況を狙い撃ってくる。そしてせっかく捕まえた反応はディンの上半身と重なり、
爆発に紛れて消える。そして目視で動きを見せてくれるほどガイアは甘くない。

「今度は左? ―じゃない、右だぁあっ!!」
 黒い煙の中から四つ足の獣が背中に巨大な剣を展開して飛びかかってくる。辛うじて躱した
瞬間。黒い機体は砂色になって煙を上げるスクラップの影にと消える。
 MSは実は近接兵器。なので大きさから言って、迷彩塗装はあまり意味がない。と言うのが
一般的な見解だとモニカさんから聞いた。だがガイアのパイロットはVPSの強度変更を、
機体色を即時に変化させる。という特異な使い方で、これ以上ないくらいに有効活用している。

 だが、機体の有効活用ならばこちらも負けていない。現にマルチロックオンとドラグーン、
そして従来のライフルを凌駕する連射性のビームカービンとストライクフリーダムを模した
高機動バインダー、その先に付いたドラグーン。元になった機体はセカンドステージ系でも
機動力を重視したセイバー。機動力と攻撃力、フルに使っていると思えるんだけど……。

「ヤバ! うしろぉお!?」
 ビームカービンを構える暇さえない。ウイングを畳んできりもみ、強引に失速させる。
 確かにビームは躱したがガイアはそこまで読んでいた。着地した瞬間、MSモードで
ビームサーベルを構えて突っ込んでくる。まさに絶妙のタイミング。無意識に展開した左腕の
コンバインシールドのフィールドが辛うじてスレ違いざまのサーベルを歪めて流す。
 慌てて左手にサーベルを持って低く身構えた時、既にガイアは四足獣モードで砲台の
残骸の影に飛び込んでいく所だった。
「ウソっ! まるで間に合わない? そんなぁ……」
「正面、新規砲台出現。―っ、グリーンセンターにガズウートの反応現出、対ビーム!」
 砲台に数では負ける。だからこちらは宙を舞い、飛び回る。しかしその行為は
ガイアにファルシオンの場所を教えているに等しい。わかっていても他に手は、無い。

259:弐国 ◆J4fCKPSWq.
10/03/28 00:43:43
#13 激突、亡霊対廃棄物。

 まぁ、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスについては、クライン派は2年たった
今でも国防委員会に対して機体の設計データはもとより、戦闘データのみの供出さえ渋っている
のだそうで、だからあくまでこの機体の装備はそれらを模したモノ。なのではあるが。
 それでも機体の性能無くして四方八方からの弾を躱し続け、銃身が焼けるまで撃ち続ける
事など勿論出来ないしこの機体のドラグーンはただのドラグーンと違って空間認識能力が必要、
それに一般のパイロットではGを無視して機体を振り回すのもやはり不可能。
 機体とパイロット。双方とも、能力いっぱいいっぱいに使い切っている自覚はある。

「くっそー! 無人砲台、どんだけ設置したのさ!?」
 間断なく放たれるビーム。ロックオン画面のポイントはいくらか減ったろうか。
「ムラサメとセットで来ると踏んだらしい。もうすぐ無くなるだろうが、気を抜いてはいけません!」
 いつものリョーコちゃんと”生体CPU”モードの彼女が混ざって、もはや誰だかわからないが
言いたい事はわかる。ムラサメとの3機編隊を予想した敵の陣をまもなく粉砕する。
 少なくとも敵の読みよりはこちらの攻撃力と機動性が勝っていると言う事らしい。

 とは言え現状追い込まれているのはこちら。敵の戦術も、MSの腕前も、あたし達の遙か上。
と言う事だ。『ザフトレッドは言い方を変えれば異常者だ』。サイトーさんの言葉が蘇る。
 力の差は明らか。こちらの行動を読んだ上で砲台を配置したのはもう間違い無い。
ならば”ノイズ”を取り除くためには自動砲台とスクラップのMS、全てを排除するしかない。
リョーコちゃんのカンも、あたしの目も、“ノイズ”に阻まれて、ガイアを見つけられない。

「もう良い、後はあたしが避けて潰す! リョーコちゃん、ガイアをお願い!」
 返事より先にマルチロックオンのモニターが収納されスーパードラグーンがウイングから
全機外れる。こうなると機動力ががっくり落ちる。ドラグーンのブースターに機動力をある程度
頼っているからだ。その辺はまがい物のまがい物たる所以だろう。
 ただビームカービンは見た事のない型式。命中精度もパワーも教科書で見たモノとは段違い。
この機体と言い、かぁさんを想う誰かさんが宇宙(そら)でがんばってくれたのだろう。
 だからこそ。―この戦い、負ける訳には絶対行かない!

「了解。ドラグーン、コントロールをこちら……。―っ! 班長、右のジン!!」
 前触れ無しに、さっきライフルを持つ右腕をもぎ取ったジンの頭が吹き飛び、ビームが迫る。
見てから、では射撃は絶対に躱しきれない。特にビームライフルの吐き出した、ほぼ光速の
ビーム粒子なら尚更。そしてファルシオンは一瞬前に機動力を自ら半分失ったばかり。
 だからウイングを一枚失っただけで済んだのはむしろラッキーの部類だ。

 ズン! ギリギリでバランスを取り、ファルシオンは三度片手、片膝を付いて着地する。
その目の前。殺到するドラグーンの群れをジグザグに機動して振り払う黒い獣の姿。 
 ちっ。リョーコちゃんの舌打ちと共にエネルギーチャージのためドラグーンが戻って来る。
『パイロットは、こないだの生意気なガキだなっ!? ヤルじゃあないか、こうでなくてはな!』
 ガイアはMSモードに変形してサーベルで帰る所のないドラグーンを両断した。

260:弐国 ◆J4fCKPSWq.
10/03/28 00:44:38
#13 激突、亡霊対廃棄物。

 ライフルが来る! と思った次の瞬間、システムがシールドの負荷増大警報を鳴らす。
『ふん、今のもあえて躱さずに受けるか。セイバーとはな。機体負けしない腕はあるようだが。
―正規型のセカンドステージ。傭兵風情が田舎部隊に本格的に囲われたか? あぁ?』
 何かの動きの前には必ず前段の動作がある。ジャンプの前には膝を縮める。
斬りかかるならばビームサーベルを抜いて展開し、突っ込んで来る気ならばシールドを
掲げるだろう。但し、それは腕が上がれば上がるほどわかりづらくなって行く。
 瞬きする間のほんの一瞬、見比べてもわからない程ごく僅かな動き。

「さすが班長、今のを……」
 エースと呼ばれる人たちはその微妙な動きを見逃さない。それが相手の動きを読む事になり、
結果としてその動きを躱した次。その一手は必ず自らが手中にする事が出来る。
 バクゥの時はそれがわかった。だから全く苦もなく軽くあしらえた。だけどコイツは。
「今のはマジでやばかったんだってば……! 躱しきれなかった。あいつ、読み切れない!」
 全く前動作がない訳ではない。ガイアは動作の前、揺らぐ。でもその揺らぎが何を意味する
のか、読みとれない。ただ、揺らぎの後にガイアは動く。そしてガイアはまたしても、揺らいだ。

 ライフルか、サーベルか、体当たりか……。とにかく引かない、来る!
《ちょっとだけ良い? ダラダラしちゃ駄目。動きにメリハリを。そして躱す時は最小限の動きで。
腕が良ければ良いほど精神的ダメージが大きいわ。必殺の一撃をあっさり躱された、ってね》
 サーシャさんが、シミュレーターの回線に一度だけ割り込んで来て教えてくれた事。
何が来るのか知らないけれど来るとわかれば。―最小限の動き。そして動きのメリハリ。 
 サーベルの一閃を僅かに上体を反らしただけで躱して、最大パワーで後退。距離を取る。
「―させないっ! リョーコちゃん!!」
 本来ならば地上戦に特化したガイアが相手なら空へ上がった方が良い。だからリョーコちゃん
も機動力を考えドラグーンを切り離さなかった。けれど敵はさっき四足獣モードで空の高見にも
飛びかかって来た。何を考え、どう出てくるのかまるで読めない以上、フィールドは限定した方が
良い。どうせ空戦モードに変形できるわけでもない。ならば、地上からさして離れない以上
ウイングの機動力よりドラグーンの意外性だ。ビームカービンからビームををバラまく。
『今のも躱すか!? えぇい、フラフラとぉ!! ―ちっ、またドラグーンかっ!?』

 外部回線をオープンにする。言って聞いてくれるかどうかは別問題、とにかくガイアには
味方はもう居ない。だったらこの戦闘自体、無駄だ。―ピロン。機長席からメッセージ。 
[Text : For Captain 【leader, should not teach two people to be. 】]
 敵の機動可能域を計算し続けるリョーコちゃんからのメッセージ。確かに2人がかりで
動かしているのがバレたら、そこをつかれる可能性は高い。敵は異様なほど適応力が高い。
[Text : For Captain 【sorry! The propellant is empty.】]
 シールドを全面に掲げ、ビームカービンを持った右手を少し引いて下げる。攻撃の意志はない
が応射は出来る。そう見えるはずだ。燃料切れのドラグーンはウイングに戻り砲は前に向く。
「アレクサンドロ・ハリス・ロクサン、だな? あたしに勝っても仲間はもういない。こっちは
まもなく援軍も来る。降伏しろ! あんたが此処であたしを墜とそうが、もう意味無いだろ!!」

261:弐国 ◆J4fCKPSWq.
10/03/28 00:45:58
#13 激突、亡霊対廃棄物。
 
『意味がない……? ふ、甘いな。所詮はガキか。オレが貴様を突破する意味ならあるぞ』
「なにを、負け惜しみを……!」
【Caution :Barrel heating / It is not possible to shoot it to the barrel cooling. Even the barrel-
cooling is 124 seconds. 】
 2分間撃てない上に残弾10秒分、もう要らない。ビームカービンを投げ捨てる。
『はっはぁ、見切りが良い! その腕を持ちながら、何故セブンスなんぞに肩入れする!?』
 そう言うと黒いガンダムも大型のライフルを投げ捨て、両の手にサーベルを握って抜き放つ。
「あんたが、生き残る事に! ―くっ! どんなぁ!、―うぉっとぉ、意味があるっ!」
『一般人をセントラル地区に集めたのは失敗だ。ビルごと人質に取れば更に別働隊が動く。
オレ一機で事は足りる! 雌豹に、セントラルタワーごとオレを堕とす事は出来まいっ!』
 リョーコちゃんの言った通り。敵の狙いはセブンスの壊滅ではなく掌握だったのだ。
これで絶対にファルシオンが、あたし達が此処を抜かれる訳には行かなくなった。

 勿論、無線で喋っている間もガイアは止まらない。両手のサーベルはただ振り回している
ように見えるが、全てこちらがどう避けるか計算ずく。更には緩急取り混ぜた読めない動き。
『とっとと退け! キサマと戯れている暇はない!』 
「手の内が丸見え! 何が赤だ! その程度でぇ、あたしを抜けるとぉ、思ってんのかっ!」
『貴様、誰に向かってモノを言うか! 何様のつもりだ! ガキがぁあ!』
 激すると大振りになる。と前にリョーコちゃんが言っていたのが感覚でわかる。見える、感じる。
……のだけれど、避けられない。
 だからシールドで、受ける、流す、払う、弾く。―結果。
【Warning : It is an overload in the shield base.】
 シールド基部に過負荷。モニターに出るとのと同時、シールドは2つに割れて地面に落ちる。

『もらったぁ! 失せろ、セイバーもどき!!』
 敵は多分右利き。来るなら、左だ! 左手のサーベルを見せつけながら右手のサーベルが
胴体をなぎ払いに来る。避けるのはもう無理、最低左腕は持って行かれる。それならば!
「舐めるなぁ!」
 ドラグーン分が無くとも機動性はこっちが上、ウイングを展開、フルパワーで懐に飛び込む。
羽の2,3枚はくれてやる。左手も欲しければ持って行くが良い。けれどコッチも貰うモノは貰う。
 左の肩、”素人”が復元したフレーム。それがどれだけ危険な意味を持つのかは、先日
身をもって知った。ビームサーベルならばPS素材はほぼ無視出来る。―今度こそ、獲る!

 パネルに頭をぶつけた直後、ベルトが引き込まれシートに押しつけられる。真っ白になる
メインモニター。CautionとWarningの文字がまとめて表示され、コンディション画面に真っ赤に
染まった線画で描かれた機体から引き出し線、注意書きが読めないほどに画面を埋め尽くす。
 激突の衝撃で二機の機体は弾き飛ばされファルシオンは三度(みたび)膝をついて止まる。
「班長、機関停止。左腕部肘より先、オートパージ。VPS出力停止、機関再起動は不能!!」
 回復した正面モニター、VPSがダウンし灰色になったガイアが動きを止め煙を上げる。
「機長、再起動は不要、白兵戦よぉいっ! アイツを、獲(と)るっ! 降りるよ、ハッチ開放!」

262:弐国 ◆J4fCKPSWq.
10/03/28 00:46:44
=予告=
 
 生身の身体どうし、最期の戦い。二対一でも向こうは手練れ。どうする!? あたし達!!
「膠着状態を打破する! 接近戦ならあたし。でしょ? 一気に距離を詰めるから援護を!」
『次回 空(あま)駆ける少女達 ~少女は砂漠を走る! II~
【FINAL-PHASE 虹の橋を、駆ける。】
 ファルシオンが無くとも、セブンスを守る! それがあたしの駆けるべき道だから……!

263:弐国 ◆J4fCKPSWq.
10/03/28 00:48:07
今回分以上です。ではまた

※カービン銃は本来、ライフルより銃身を短くして取り回しを良くした騎兵用の銃のこと。
現在は、単に全長を短めにした突撃銃(アサルトライフル)なども指し、密林などで扱いやすい
ほか市街でも運用しやすいので軍隊の他、警察の特殊部隊等も装備しています。 
 マニアでもない限り一般的にカービン銃の定義は概ねこんな感じで良いみたいです。
 カービンってなんだろう、とか思ったもので調べてみただけですけど。

264:通常の名無しさんの3倍
10/03/28 00:51:34 UwYd7DmB
乙乙、次回も楽しみにしてる。

265:弐国 ◆J4fCKPSWq.
10/03/28 00:53:09
>>252-253
2代目編集長、非常に乙です。
ムリのない程度にやってもらえると嬉しいです。

>>254
初代さん、ですか? お久しぶりです。

266:通常の名無しさんの3倍
10/03/28 01:56:33
星のカービン

267:通常の名無しさんの3倍
10/03/28 04:01:23
>>256-261
弐国氏投下乙。
安価打っといたら後で読みやすいのか。

カービンは ピストル<カービン<ライフルで長い、
位に考えておけばいいのかな。

268:通常の名無しさんの3倍
10/03/28 14:28:21
投下乙

269:SEED『†』 ◆HHRSJTtlhQ
10/04/11 21:36:07
十分したら投下します。10レスか9レス。

270:SEED『†』 ◆HHRSJTtlhQ
10/04/11 21:46:12
11/

 ―ミネルバ 甲板

 クレタ島が近づいている。穏やかな海を眺めるアーサーは、敵のいる方向に目を細めていた。

「ここからじゃ見えやしませんよ、副長」
「……シンか」
 どうです? と差し出されたコーヒーを受け取って、アーサーはシンが頬を赤く張らしているのに気がついた。

「アスランに殴られたんですよ、釈放祝いだって―。
アスランやハイネに殴られたら滅茶苦茶痛いけど、怪我も痣も残らないんですね、最近分かりましたよ」
 シンが、赤く腫れた頬を撫でた。
「娑婆の空気代としちゃあ、あんまりにも安すぎるな。僕からも釈放祝いを出そうか?」
「遠慮しておきます。怪我じゃ済みませんからね」
「お世辞を言う脳が在ったなんて驚きだ。驚きすぎて、余計な忠告もしてしまいそうだよ」
「……後にしましょう。今日の海は綺麗です」

 シンはアーサーに並んで甲板の手すりに肘をついた。視線がビームになったら、地中海が真っ二つに割れるだろう
ほどの目でクルタ島に向って海を見ている。時々唇を気にしている様子なのが気になった。

「どうした、唇を気にして。牢屋でルナマリアにキスでもされたかい?」
「―!」

 一瞬で、火でも付いたかのように頬を赤く染めるシン。
 ―聞くんじゃなかった。
 うざったく感じたアーサーが懐から取り出した煙草に火を付けると、立ち上る紫煙の効果は抜群で、
シンは目に見えて嫌そうな顔をした。

「……なんです?」
「は?」
 立ち去るかと思いきや、険悪な目つきのまま横に居るシン。何か用が在るのかと思っていたアーサーは、
質問の不意打ちにあって目を開いた。右手に煙草、左の珈琲を一気に飲み干す。濃く熱い液体に喉が灼けた。

「だから、忠告。折角副長が振ってくれた話だから、勿体ないんで拾ってみただけです」
「タイミングの悪い拾い方だな」
 反抗的なシンから目を逸らして、煙を口に含む。シンが睨んでいた―"早死にしたいんですか?"。
 肺癌で死ねるほど生き延びていたいと思った。此処が海で良かったと思う、余計な事を話してしまっても、
潮騒が吸い込んでくれるから。



271:SEED『†』 ◆HHRSJTtlhQ
10/04/11 21:47:17
12/

「僕が何を忠告しようとしたのか、それも分からないんなら、さっさとその赤服をアカデミーに返すといい」
 アーサーは決め顔でそういった。

「俺は、やめませんよ……彼女を絶対に助けてみせる」
 眩しいほど純粋なシンの決意―そんな大切な気持ちが、泥よりも価値のない物へとおとしめられるからこそ、
ここは戦場と言うんだと、教えてあげようとして止めた。
 
「―本当は……あの娘(こ)がこんな戦場に居るはずもなかった。君がミネルバに乗っているはずもなかった」
 アーサーの意図を掴み損ねている風のシン―15才。本当なら、戦場に居るはずもない子供。
 子供を戦争にかり出した国が、かつて勝った試しはないだろう。
 我々大人がもっとしっかりしていたならば―アーサーは思う。

「こんな戦争が起こる世界でなければ、君は学校に行っていて、彼女とは何処かの町で偶然に出会って、
自分がナチュラルだとかコーディネーターに生まれたとか、生きて行くことにはどうでも良いことで
散々に悩んだだろう。君達にはその権利があった筈なんだ」
「―副長?」

 シンが去らないので、アーサーは手にした煙草をもみ消した。

「だが、僕らが君達を戦争に巻き込んだ。君はオーブに居るのを止めた。戦争が始まった。
彼女も戦場に居る―だから、これはもう、終ってしまったことなんだよ」
「まだ……まだ終ってない! 俺が―!」
「時計の針は戻せないよ。君が彼女を救うのかい?」
「そうですよ! ステラは―だんだん記憶が壊れてきて、俺の事もよく分からなくなって来てるんだ。
そんなのあんまりにもひどいじゃ無いですか!」

 本当は君達を救うことが、大人の仕事なんだ。その言葉をアーサーは飲み込んだ。
 大人が勝手に始めた戦争へ、少年達を巻き込んだのが自分たちだったからだ。

「副長達が手を伸ばしていたら、それじゃぜんぜん間に合わない、ステラが死んでしまうんです―だから、
俺が彼女を絶対に守ってみせるって、そう誓ったんですよ!」
「……」
 アーサーは無言で赤服の襟にその手を伸ばして掴み、
「君が、ステラ=ルーシェを"救いたいと思える"のなら、今、この瞬間に彼女を救おうとしては駄目だ」
 と言った。

「……彼女を見捨てろって言うんですか?」
「彼女一人を救って、連合が強化人間を生み出す非人道的なシステムを見逃すのなら、それは無意味な偽善だよ。
彼女という存在を救うなら、先ずは戦争を終らせないといけないんだ」



272:SEED『†』 ◆HHRSJTtlhQ
10/04/11 21:48:19
13/

 勿論、ザフトの勝利でね。そう付け加えるのを忘れない。
 アーサーが右手に握る赤服の襟。シンが生き延びたなら、その色は容易く白に変わる。シンが望むなら、
評議会に影響を及ぼす事も出来る。実力主義を標榜するプラントで、赤服の持つ意味はそういうものだ。

「"やらない善よりやる偽善"だなんて詭弁をいうな。敵の命も大切だなんてほざくなよ?
君の手抜きで味方が死んだなら、僕は決して君を許さないからな」
 シンがエリートならばこそ苦言。ヴィーノが同じ事を言っていたなら、きっと捨て置いただろう。
只の整備員が何をやったところで、手の届く範囲を越えて誰かを救う事なんて出来ないからだ。

「可哀想な少女の事は割り切るんだ。そしてザフトとプラントの為に戦いなさい」
 でなければ、シン=アスカは死ぬ。理想と世界の間に生まれる矛盾に押しつぶされてしまうか、
自分と理想の間にできてしまった矛盾を世界に押しつける、怪物になりはてるだろう。

「生き抜いて、強くなって、偉くなって……それまで君がステラ=ルーシェに向けるような優しさを
持ち続けていられたなら、その時、君は本当に彼女を救うことが出来る。悲劇が起こらない世界を
作ることが出来る」
「それじゃあ……ステラが救われる事なんて無いって……そう言うことなんですか」
「……僕は、J.P.ジョーンズを撃沈しろ、なんて命令を出しはしないよ」
「だったら……」
「ファントムペインの空母を捕まえろ、とも命令できない。ただそれだけだ」

 それは不十分な答えだったのか、シンは、「失礼します」と言って甲板を去った。
 アーサーが、J.P.ジョーンズを捕獲しろ、などという危険な命令を下せるはずもない。

「死ぬなよ、シン」
 最も言うべきだった一言を、アーサーは言いそびれていた。
 煙草をもう一本、取り出そうとしたところで、全艦にコンディション・イエローの発令を告げられる。

「風が……出てきたな」
 言葉を、潮騒が飲み込んだ。



273:SEED『†』 ◆HHRSJTtlhQ
10/04/11 21:49:20
15/

 ―タケミカズチ

 ミネルバの放ったイゾルデの一撃は、タケミカズチから2kmも離れた所に着弾したが、
それでも衝撃波は、艦隊司令官トダカ准将を足下から揺らした。

「ムラサメ隊、接触します」
 報告から数秒、ディスプレイに並ぶコンディション画面が二つ、斜めに"SIGNAL LOST"の
表示が入って赤に染まる―二機損失。

『連合の同盟国オーブの勇猛、見せて頂きましょうか』
 仮面の大佐が浮かべる、酷薄な笑いを思い出した。同盟は盾、祖国は人質―出兵を余儀なくされた
オーブ艦隊の行く末は連合の捨て駒以上になり得ず、彼らは"負けるまで"帰る事はない。
 ―ならば、少しでもオーブ艦隊への被害を減らしてゆかねば。
 二機の犠牲に辛い顔をする国家代表―カガリ=ユラ=アスハの横顔をみて、トダカはそう思う。

 実際、対艦兵装を切り捨てて軽量化したムラサメは、ミネルバのMS隊相手によく耐えていた。
 最初の一合で撃破された二機は不運だが、トダカはすでにその損失を数字として処理していた。

『的確な連携を行えば、Gタイプとも渡り合うこと"は"できる』
 アビオニクスの設計も行ったあるテストパイロットは、完成したムラサメをそう評した。
『そして、ムラサメの真価はその戦闘力にある訳ではない』
 現在指名手配中であるそのパイロットは、そうも付け加えていた。

「トダカ准将、この戦闘、勝てるのかい?」
 一斉に集中する"空気読め"の視線を、装甲のごとき鉄面皮で跳ね返しつつ、呑気なユウナが聞いた。
「"ミネルバ"の主砲が本艦を捕らえるより早く、八式弾の射程に誘導できれば、我々が勝ちます」
「ユニウス7を砕いた"タンホイザー"か。先に撃たれたら?」
「……少なくとも、撃たれた後のことは考えなくとも良くなるでしょう」
 憮然と言い放ち、トダカは戦況を映す画面に集中する。

「センサーに感あり。熱紋照合……ムラサメです!」
 敵か、味方か? 艦橋に充満した疑問は即座に払拭された。全周波数に乗ってラクス=クラインの歌が
戦場に奏でられたのだ。半恐慌状態に陥った艦橋を、トダカの一喝が鎮める。
「カガリ様の前だぞ、索敵班何をしていた―報告急げ!」
 ディスプレイの映した望遠画像に、黒塗りのムラサメが現れた。

「来たか……太平洋の亡霊」
「キラ―」
 カガリが、胸の前で手を組んだ。




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