10/02/27 05:54:01 9EOQt5DO
その薬は老化を止める"だけ"の効果しかなかったのだ。
何百年と健康に生き続ける体。
そしてその時は唐突に訪れる。
記憶領域の枯渇。
若く健康であるが故に、人々は常に多くを記憶する。
その圧倒的な容量を前に、遂に脳は記憶領域を失った。
時が止まった。
何かがおかしい。
誰もがその思いを抱くが、誰もがその事を覚えていない。
既に人類は生殖能力を放棄している。
死ぬことが無いからである。
かくして人類は自らの過去を永久に徘徊する"物"となった。
Fin