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【蜂女 デザインの変遷 その2】
(5)は「怪異!蜂女」の放映終了後、「たのしい幼稚園 新案カード」のために描き下ろされた蜂女。
エキスプロの高橋章氏の作と考えられる。造形用ではなくあくまでイメージ画ということもあって、(4)を元に
しているもののグローブやブーツがより身体にフィットしたフェティッシュなものとなり、ボディラインも
女っぽい艶めかしさが強調されて、衣装ではなくあくまで改造人間の素肌としてのデザインとなっている。
手首と足首に、腰のサッシュの色に合わせた羽飾りのような毛が生えているが、これは赤・青・黄という
カラーリングのバランスを取るために付け加えられたものと考えられる。(本編の蜂女は触角と唇のみが赤)
《デザイン上のポイント》
・蜂女のデザイン上の最大の特徴である「胸の同心円」は石ノ森氏のアイデアだが、氏には人造人間キカイダーに
登場するビジンダー、サイボーグ009に登場するジョーの幼馴染みメリー(獣人型サイボーグ)など、乳房に
同心円模様を持つキャラクターが多い。
・なお乳房に同心円を描くのは古代から世界各地に存在する風習で、乳房が持つ呪力を強調する行為だとされる。
戦乙女ワルキューレの鎧をはじめ、乳房に同心円模様を持つ女性用鎧の造形も昔から多く知られている。
・蜂女のマスクのデザインは、仮面ライダーのマスクを元にそれを女性化したものという説が有力である。
特にライダーマンとは、顔の下半分の露出、頭頂から鼻先に向かって伸びる三角形の形など、類似点が多い。
・演者の顔の下半分を露出させる蜂女のマスクは、同じタイプのタックル、ズー、ビーロード、スネークらと
比べると、露出部分が多く、複眼がサングラス的に見えるため、マスクをかぶっているという印象が希薄である。
豊かな髪、頭蓋をそのままなぞった頭頂部と相まって、女優の顔を含めた全体で頭部を作っている印象が強い。
・女性のボディラインを強調したシンプルな全身タイツに、腰のサッシュというスタイルは、1960年代に
流行していた女スパイ、女盗賊などのスタイルを取り入れたもの。
・レオタード系の衣装は衣装=素肌というイメージが強調されるので、仮面ライダー放映初期に「改造人間」の
イメージ作りに寄与したが、女性のボディラインを強調した蜂女にはとりわけ改造人間という雰囲気が強い。
「女性の肉体」と「改造手術」を強く意識させるがゆえに、フェティッシュな妄想を抱くファンも多い。
・蜂から連想される棘や針など、尖った攻撃的な要素をボディデザインにまったく反映させていないのが最も
特筆すべきポイント。神経を逆なでする黄色と黒の警戒色の使用を最小限にとどめ、黄色の補色である青色を
ふんだんに取り入れていることと合わせて、女性らしい柔和なイメージを強調する意図が感じられる。
・なおボディを青一色に塗ったのは高橋章氏の独創。蜂の体色の黄色、触角と唇の赤と合わせて三原色のヒーロー
カラーとなっているため、蜂女は本郷ライダー以上に怪人らしさが希薄で、ヒロイン然とした雰囲気が強い。