11/12/05 07:03:38.06
薬剤耐性菌の懸念払拭へ 細菌の新たな“弱点”
細菌の新たな“弱点”を東京大学の横山茂之教授らと理化学研究所の共同研究チームが
突き止めた。大型放射光施設「SPring-8」を使った研究成果で、薬剤耐性菌をうまない
抗菌薬の開発につながると、国内外の専門家が注目している。
URLリンク(www.nikkei.com)
結晶の状態にして調べたRNAポリメラーゼとGfh1の複合体の顕微鏡写真(理化学研究所提供)
横山教授らは細菌が栄養不足や寒暖など環境が悪化すると増殖をやめて休眠することに着目。
休眠中の細菌から、増殖するためにたんぱく質を作る過程で働く「RNA(リボ核酸)ポリメラーゼ」と
呼ぶ大型の酵素を採取。これを、結晶の状態にしてSPring―8で立体構造を調べた。
一般にRNAポリメラーゼはDNA(デオキシリボ核酸)にくっつき、次々と材料を取り込んでたんぱく
質のもとを作る。ところが休眠状態の細菌のRNAポリメラーゼでは、材料の取り込み口にカニの
ハサミのような形をした小さな分子がしっかりと突き刺さっていた。これでは材料が取り込めず、たん
ぱく質のもとが作れないという。
この小分子は「Gfh1」と呼び、すべての細菌が持っている。緊急事態にたんぱく質の製造をストップ
する働きを果たすことはすでに分かっていたが、詳しいメカニズムは謎だった。
URLリンク(www.nikkei.com)
共同研究チームの成果に内外の専門家が注目するのは、耐性菌が現れない抗菌薬の開発に
役立つ可能性があるからだ。抗菌薬は細菌が起こす感染症の治療に使われる。ただこれまでの抗菌
薬は分子レベルで細菌にくっつきたんぱく質の合成を抑えるなどしていたため、細菌の遺伝子が1つ
変わるだけで薬が効かない薬剤耐性菌になってしまう問題があった。
URLリンク(www.nikkei.com)
たんぱく質を作る酵素(RNAポリメラーゼ)とGfh1の複合体の立体構造(理化学研究所提供)
Gfh1が細菌の増殖をストップさせる仕組みについて、横山教授は「Gfh1の構造そのものがRNA
ポリメラーゼをしっかり固定している。もともと細菌には不可欠の仕組みで、遺伝子が少しくらい変わっ
てもこの構造は変わらない」と説明。Gfh1が細菌の新たな“弱点”になるとみている。
Gfh1は細菌の緊急事態にしか作られないが、似た構造の物質を投与すればいつでも細菌の
増殖を抑える抗菌薬として活用できる。理化学研究所は、早期実用化を目指して新たな抗菌
薬の開発を進めている。(科学技術部 長倉克枝)
日本経済新聞 2010/12/20 7:00
URLリンク(www.nikkei.com)
細菌の遺伝子発現を阻害する新たな仕組みを発見- とがった転写因子がRNAポリメラーゼに突き刺さって停止させる -
東京大学理学部プレスリリース 2010/12/2
URLリンク(www.s.u-tokyo.ac.jp)
関連ニュース
【医療】多剤耐性菌の「耐性」ナゾ解明 阪大、治療薬開発へ一歩
スレリンク(scienceplus板:-100番)
【微生物】家畜への抗生物質投与、耐性菌出現の要因に 米学会
スレリンク(scienceplus板:-100番)
【畜産/米国】家畜への抗生物質投与、耐性菌出現の要因に--抗菌剤・化学療法学術会議
スレリンク(bizplus板:-100番)
【健康/医学】多剤耐性菌死者、欧米で年8万人=WHO統計
スレリンク(scienceplus板:-100番)
【耐性菌】渡り鳥がばらまいている可能性 カモメの排泄物から検出/ポルトガルの研究グループ
スレリンク(scienceplus板:-100番)
【生化学】DNAポリメラーゼの構造解析 DNAの損傷部分を回避して複製を進める仕組みを解明
スレリンク(scienceplus板:-100番)