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ご飯・パンを抜くのが人類本来の食事法
私たちが毎日食べている米飯やパン。これらの「主食」を控えれば、肥満や糖尿病などさまざまな生活
習慣病が予防・改善できます。江部康二医師が理事長をつとめる京都・高雄病院での10年以上の
経験をもとに、糖質制限食の効果をご紹介します。この第2回では、「変わった食事」と思われがちな
糖質制限食が、じつは「人類の健康食」であることをご説明します。
江部康二(えべ・こうじ)医師、高雄病院理事長。1950年生まれ。京都大学医学部卒業。高雄病院
での臨床活動の中から肥満・メタボリックシンドローム・糖尿病克服などに画期的な効果がある「糖質
制限食」の体系を確立。ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を発信中。
食前・食後血糖値の変化からみる人類の食生活
約700万年間の人類の歴史のうち、穀物を主食としたのは、農耕が始まってからの約1万年間にすぎ
ません。それまではすべての人類が糖質制限食を実践していました。これは私たちの食生活を考えるう
えで非常に大事なことなので、少し掘り下げて考えてみましょう。
人類の食生活は「農耕が始まる前」「農耕以後」「精製炭水化物以後」の3つに分けることができます。
この3つの変化がきわめて重要な意味を持っているので、それ以外のことはすべて枝葉末節と言い切って
もよいくらいです。その重要な意味というのは、血糖値の変化です。
血糖値を切り口にして人類の食生活を考えてみると、鮮明な変化が見えてきます。
人類の歴史のうち農耕が始まる前の約700万年間は、食生活の中心は狩猟や採集でした。米や小
麦などの穀物は手に入らなかったので、誰もが糖質制限食を実践していたといえます。
このような糖質の少ない食生活なら、血糖値の上下動はほとんどありません。例えば、空腹時血糖値
が100mg/dl(ミリグラム・パー・デシリットル)程度とすると、食後血糖値はせいぜい110~120くらいで、
上昇の幅は10~20程度の少なさです。これならインスリンの追加分泌はほとんど必要ありません。
次に、農耕が始まったのが約1万年前です。人類は狩猟民から農耕民になったとき、単位面積あたりで
養える人口が50~60倍にも増えました。しかし、収穫した穀物を食べると血糖値が急上昇します。
空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は140くらいで、上昇の幅は40もあります。穀物を食べる
たびに血糖値が上昇してインスリンが大量に追加分泌されますから、農耕以後の1万年間は、すい臓の
β細胞はそれ以前に比べて毎日10倍以上も働き続けなくてはならなくなったのです。
さらに、18世紀に欧米で小麦の精製技術が発明されます。白いパンの登場です。日本では江戸中
期に白米を食べる習慣が定着していきます。すなわち、ここ200~300年間、世界で精製された炭水
化物が摂取されるようになりました。
現代では、少なくとも文明国の主食は白いパンか白米です。精製炭水化物は未精製のものに比べて、
さらに血糖値を上昇させます。空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は160~170くらいで、上昇
の幅は60~70もあります。
こうなると、インスリンはさらに大量に追加分泌されます。頻回・大量分泌が長期におよび、すい臓の
β細胞が疲れきってしまえば糖尿病にもなります。インスリンの分泌能力が高い人は、さらに出し続けて
肥満になります。
健康を維持するには、恒常性を保つことが重要です。人類の食前・食後血糖値の恒常性は約700万
年間保たれていましたが、農耕開始後の約1万年間は上昇幅が2倍になり、精製炭水化物を摂るように
なった約200年間は3倍になり、インスリンを大量に分泌せざるをえなくなりました。
農耕が始まる前の人類は何を食べていたのか?
「主食をやめると健康になる」 第2回 ご飯・パンを抜くのが人類本来の食事法
ダイヤモンド・オンライン 2011.11.17
URLリンク(diamond.jp)
>>2辺りに続く