11/10/19 10:32:14.51
ドゥエック氏は最初、このほめ方の違いが大きな違いを生み出すとは考えていなかった。しょせん言葉にすぎない
からだ。しかし実験の結果、5年生に与えられたほめ言葉に劇的な影響力があることがわかった。
まずは、最初の生徒たちにまた別のテストを2種類与え、生徒たち自身にどちらか好きなほうを選ばせた。ひとつは
最初のものより難しいパズルだが、やればとても勉強になると説明された。もうひとつは、最初のものと同様の簡単
なテストだ。努力をほめられた子どもたちは、90%近くが、難しいほうのパズルを選択した。一方、賢さをほめられた
子どもたちは、ほとんどが簡単なほうのテストを選んだ。ドゥエック氏によると、知性をほめられた子どもは、自分を
賢く「見せる」ことに気持ちを向けるようになり、間違いをおかすリスクをとれなくなるのだと説明している。
次に、もっと難度の高いテストが与えられた(5年生に対して8年生向けのテストが与えられた)。賢さをほめられた
生徒たちはすぐ挫折してしまったが、努力をほめられた生徒たちは、このテストに熱心に取り組んだ。そして、この
テストを受けた後で、両群の生徒たちは、成績が自分より低かった生徒と高かった生徒のうち、どちらかのテスト
用紙を見る選択肢を与えられた。
賢さをほめられた生徒たちは、ほぼ全員が、自分よりテストの出来が悪かった生徒と自分を比較することで、自
尊心を強化するほうを選んだ。これに対し、努力をほめられた生徒たちは、自分より成績のよかったテストを見る
ほうを選ぶ確率が高かった。彼らは失敗を理解し、失敗から学び、よりよい方法を編み出したいと思ったのだ。
最後に、最初のテストと同様の難易度であるテストが行われた。努力をほめられた生徒たちは、テスト結果が有
意に上昇し、平均スコアが30%伸びた。彼らは、たとえ最初は失敗しても挑戦することを望んだので、より高い
成績を得たのだ。この結果をさらに際立たせるのが、最初にランダムに「賢い」グループとされた生徒たちのスコアだ。
こちらは前回から20%近くも低下した。失敗の経験でやる気をくじかれた「賢い」生徒たちは、実際に退歩してし
まったのだ。
生徒の「賢さ」をほめることの問題は、教育というものの心理学的なリアリティを誤った形で示すことにある。それは、
「間違いから学ぶ」という最も有益な学習活動を避けさせてしまう。間違いをおかすことで生じる不愉快な反応を
経験しない限り、われわれの脳が既存のモデルを修正することはない。いつまでも同じ間違いをおかし、自信を
傷つけないために、自らを成長させる機会を逃し続けるのだ。
サミュエル・ベケットは適切にもこう言っていた。「試してみたら失敗した。それがどうしたというのだ。もう一度試せ。
もう一度失敗し、よりよく失敗するのだ」
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