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ISS大気圏再突入はいつ、どのように
Dave Mosher
for National Geographic News
August 9, 2011
ロシア連邦宇宙局のビタリー・ダビドフ(Vitaly Davydov)副長官が、国際宇宙ステーション
(ISS)を2020年に太平洋に沈めると口を滑らせ、メディアはちょっとした騒ぎになった。
しかし、 15カ国が参加する約1500億ドルのISSプロジェクトに関する副長官の発言は早まった
ものだったとNASAは話している。
NASA、ロシア連邦宇宙局、ならびに日本、欧州、カナダの各宇宙機関は、ISSを少なくとも
2020年まで運用することで正式に合意している。だが、「話はこれで終わりではない」と
NASAの広報担当ジョシュア・バック氏は言う。「各国は2028年までミッションを延長する
ことを議論している。今のところ延長しない理由はない」。
とはいえ、いつかISSはミッションが終了し、地球への再突入を命じられる。軌道上に
放棄すればいずれ自然に落下するが、地球上の広い範囲に残骸を降らせ、おそらく地上の人間も
危険にさらされることになる。
◆制御落下
物体が軌道上にとどまるには、地球の上を一定の速度で移動している必要がある。地上320キロの
地球低軌道(LEO)にあるISSの移動速度は時速約2万8200キロである。
しかし、LEOは完全な真空ではないため、大気の外縁にある分子の薄い膜との衝突で軌道上の
物体は減速する。航空宇宙工学のエンジニアで再突入の専門家であるエアロスペース社のウィリアム・
エイラー(William Ailor)氏は、「何かを浮かべたままにしておくことはできない。押し上げてやる
必要がある」と話す。
ISSは重量が約42トン、広さはサッカーのコートと同じくらいある。軌道における大気の抗力の
影響を打ち消すために、ISSのモジュールまたはドッキングした宇宙船の推進剤を燃焼させて、
定期的に高度を上げてやらなければならない。
推進剤の燃焼をやめれば、ISSはいずれ軌道から落下する。とはいえ、推進剤が無くなるに任せる
というのは現実的ではない。ISSは大気圏への再突入で完全に燃え尽きはしないので、計画的に
落下させないと残骸の塊が地上に落ちる時刻も場所も分からない。
◆“宇宙船の墓場”
地上の安全を確保するには、適切な時に推進剤の強力な燃焼で減速させて軌道から外すのが
いちばんだ。ISS以前に宇宙最大の人工物だった宇宙ステーション「ミール」を、ロシア連邦宇宙局は
この方法で処分している。2001年3月、軌道を周回していた145トンのミールを減速し、文明世界から
遠い南太平洋の「宇宙船の墓場」に落下させた。
(>>2以降に続く)
▽記事引用元 ナショナルジオグラフィック ニュース
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)
▽画像 国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングしているスペースシャトル「エンデバー」(5月23日撮影)。
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)
Photograph courtesy NASA
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