11/08/08 00:04:52.30
高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、茨城県東海村の大強度陽子加速器施設「J-PARC」において、東日本大震災の
ため休止していた高周波加速空洞用の高性能な金属磁性体コアの製造開発試験を再開し、大型の磁性体コアの
量産に成功したことを発表した。1日1枚の大型コアの製造により、高性能磁性体を用いた高勾配加速空洞の試験に
必要な枚数が揃うこととなり、加速勾配を向上させることができるようになる。加速空洞の高勾配化はJ-PARCの
性能向上のみならず、将来の陽子・イオン加速器の小型化・費用削減に繋がるという。
J-PARC 50GeVシンクロトロンでは、これまで3秒に1回ビームを加速し、約150kWのビームをユーザーに供給してきた。
今後もさらなるビーム強度の増強が求められているが、その鍵となるのは一度に加速できる粒子の数を増やす技術と、
加速周期をより短くする技術で、J-PARCではこの2つの技術で750kWのビーム加速を目指している。
加速周期を短くするには、より高い加速電圧を必要。そのためには多くの加速システムが必要だが、設置できる
場所が限られており、必要な電圧を得るには加速システムの高勾配化が必要となっていた。
J-PARCでは高性能な金属磁性体を用いた空洞により、すでに世界最高クラスの加速勾配を実現しているが、
今回成功した高性能大型コア量産により、この加速勾配をさらに向上させることが可能となる。
加速勾配向上の鍵となるのは、磁性体のインピーダンスで、今回J-PARCで量産することができた磁性体コアは、
直径80cm、厚さ2.5cm、重量60kgの大型のドーナツ形状のものであり、従来の高性能コアの約2倍のインピーダンス
を持っているため、使用する磁性体コアの枚数を減らすことができ、加速勾配を高めることができるほか、
限られた電力でより高い高周波電圧を出力することができる。そのため、現在使われている電源や高周波増幅器を
作り直すことなく、高い加速電圧を得ることが可能になるという。
(引用ここまで 全文は引用元をご覧ください)
▽画像 高性能磁性体の写真。直径80cm、厚さ2.5cmのドーナツ形状をしており、厚さ13μmの薄いアモルファスリボンを
巻いたものを磁場中で熱処理することで、磁化容易軸の向きの揃ったナノメーターサイズの結晶粒を形成した(出所:KEK Webサイト)
URLリンク(j.mycom.jp)
▽記事引用元 マイコミジャーナル(2011/08/04)
URLリンク(journal.mycom.co.jp)
▽高エネルギー加速器研究機構(KEK)プレスリリース
URLリンク(www.kek.jp)