11/07/24 00:44:11.06
理化学研究所(理研)と名古屋大学(名大)の研究グループは、X線領域での非線形光学現象を利用して、
波長206Åでその380分の1相当(0.54Å)という、超高空間分解能の顕微手法を開発した。
同成果は、理研播磨研究所放射光科学総合研究センター 石川X線干渉光学研究室の玉作賢治専任研究員、
石川哲也主任研究員らと名古屋大学大学院工学研究科西堀英治准教授の研究によるもので、
科学雑誌「Nature Physics」(オンライン版)に掲載された。
顕微鏡の歴史は古く、その発明は16世紀末まで遡る。また、肉眼では見えないものを最初に見た事例は、
ガリレオ・ガリレイが昆虫の複眼を観察したもの(1610年頃)といわれており、以来、「いかに細かいものを
見ることを実現するか」が、光学分野での重要テーマの1つとなっていた。1878年に、独イエナ大学のE.アッベが、
空間分解能は原理的に波長の約半分で決定されることを示して以来、例えばタンパク質の構造解析にX線が利用
されるように、細かいものを見るためには短い波長を使うというのが常識となった。その一方、世界中で波長
の限界に挑み、現在では可視光領域の光で波長の10分の1程度、つまり数100Åまでは見ることができるように
なっていた。
しかし、この分解能であっても、物質内で光に対してどのように電子が応答しているかを見ることは不可能
であった。つまり、赤く見える物質が、どのように電子が応答することで赤く見えるのかを、
"赤い光"(波長6,000Å)で見ることはできないこととなる。オングストローム分解能(電子レベル)で見るためには
X線を使う必要があるが、X線は赤い光ではないため、X線で得られる情報はは赤く見える電子の応答と直接の
関係はない。
研究グループでは、物質が光に対してどのように応答しているのかを、波長による空間分解能の限界を超えて
詳細に観察するため、モノに作用する調べたい波長の光の特徴と、電子レベルの情報を与える短い波長(X線)の
能力を、同時に利用することを考えた。しかし、単に光とX線を物質にあてるだけでは、それぞれが勝手に振舞う
(反射・吸収される)だけで、有用な情報を得ることはできない。そこで、X線領域での非線形光学現象の1つである、
「X線パラメトリック下方変換」を活用することで、実現を図った。
(引用ここまで 全文は引用元をご覧ください)
▽図 波長と分解能の関係。一般に、どれだけ細かいものを見られるかは、使っている波長が下限を与える。
通常、グラフの右下の領域は見ることができない。今回の研究では、"妹"光子のいる極端紫外領域で
X線である"姉"光子の特徴を利用することで、極端紫外光の波長の380分の1という超高分解能を実現した 。
URLリンク(j.mycom.jp)
▽記事引用元 マイコミジャーナル(2011/07/20)
URLリンク(journal.mycom.co.jp)
▽理化学研究所 プレスリリース
URLリンク(www.riken.go.jp)
▽Nature Physics
「Visualizing the local optical response to extreme-ultraviolet radiation with a resolution of λ/380」
URLリンク(www.nature.com)