11/07/11 00:06:53.21
高輝度光科学研究センター(JASRI)などの研究グループは、希土類金属水素化物が水素濃度によって取りうる
結晶構造の一般則を、大型放射光施設「SPring-8」の高輝度X線を用いて確立したことを明らかにした。
同成果は、JASRIの松岡岳洋 協力研究員(現:大阪大学 特任助教)、平尾直久 研究員、大石泰生 主幹研究員、
依田芳卓 主幹研究員、産総研の藤久裕司 主任研究員、JAEAの三井隆也 副主任研究員、増田亮 特定課題推進員、
町田晃彦 研究員、青木勝敏 特定課題推進員、瀬戸誠 客員研究員(京都大学原子炉実験所教授)、大阪大学の
清水克哉 教授らのグループの共同研究によるもので、米国物理学会速報誌「Physical Review Letters」に掲載された。
希土類金属は金属原子1個当たり最大3個の水素原子を吸収して超高濃度水素化物となるため、高性能水素貯蔵
材料の構成元素として注目されている。水素濃度が低い固溶体はα相と呼ばれ、多様な結晶構造をとり、高濃度の
二(金属原子1個当たり2個の水素原子を吸収)および三(金属原子1個当たり3個の水素原子を吸収)水素化物の
β相は共通して面心立方金属格子をとることが知られている。しかし、ユウロピウム(Eu)だけは1気圧の水素
雰囲気下で二水素化物EuH2を形成し、その結晶構造は斜方晶で、Euの価数は+2で、高温水素環境下でもその
水素吸蔵量や価数は変化せず、斜方晶のEuH2のまま安定していることから、この構造則に従わない例外とされ、
この特異性が希土類金属を用いて高性能な水素貯蔵材料を開発する際に必要な、水素濃度と結晶構造の間の
一般則の確立を妨げていた
▽図1 希土類金属水素化物の結晶構造。左がβ相(面心立方金属格子(fcc))、右がγ(六方最密金属格子(hcp))。
白色のボールは金属原子、金属格子中の赤色のボールは四面体サイトにある水素原子、青色のボールは
八面体サイトにある水素原子を表す
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1万気圧を超える高い圧力の水素は、金属格子中に入り込む能力が高くなる(化学ポテンシャルが高くなる)ほか、
金属Euに圧力を加えて圧縮すると、価数が2価から3価へと変化することが知られており、研究グループでは、
Eu水素化物を数万気圧の水素圧力中に置くと、さらに多くの水素が吸収され、三水素化物が形成されることや、
結晶構造や価数の変化を起こすことを予想。今回、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)と呼ばれる高圧装置の中に、
Eu水素化物と水素(H2)を封入して高い圧力を加え、SPring-8の高圧粉末X線回折ビームライン「BL10XU」を利用した
高圧力下その場X線回折測定により、結晶構造変化の観測を行い、核共鳴散乱ビームライン「BL09XU」でのX線を
用いたメスバウアー吸収スペクトル測定によりEuの価数変化を観測した。
▽図2 高圧装置(ダイヤモンドアンビルセル)の写真(左)と約2万気圧での高圧装置内部の試料回りの写真(右)。
キュレットはダイヤモンドの先端の大きさを表している
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本文>>2以降に続く
▽記事引用元 マイコミジャーナル(2011/07/07)
URLリンク(journal.mycom.co.jp)
▽高輝度光科学研究センタープレスリリース
URLリンク(www.spring8.or.jp)
▽Physical Review Letters
「Structural and valence changes of europium hydride induced by application of high-pressure H2」
URLリンク(prl.aps.org)