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牛ふん+微生物=燃料電池 宮崎大で研究
2011年06月16日
「ジオバクター」と呼ばれる微生物がいる。有機物を食べて分解した副産物の電子を体外に放出し、
「発電」する能力がある。その電子を集めて、電池を作れないか―。
宮崎大で、そんな「微生物燃料電池」の実用化を目指した研究が進められている。
微生物が食べる有機物(燃料)は畜産県らしく、牛ふん。
廃棄物処理と発電を両立した未来のエネルギーの柱が目標だ。
研究しているのは、宮崎大IR推進機構の井上謙吾・特任助教(32)。
2007年、微生物燃料電池の先駆者、
米国・マサチューセッツ州立大のデレク・ラブリー教授の研究室に留学中に、研究を始めた。
ジオバクターは1987年に、ラブリー教授が、ポトマック川の底の泥の中から見つけ出した。
体長はおよそ2マイクロメートル(1マイクロメートルは1ミリの1000分の1)。
空気中の酸素を嫌い、地中や海底、沼底など、酸素のほとんどない環境で生息する。
ジオバクターは、枯れ葉や生物の死骸などに由来する有機物を取り込んで分解したあと、
副産物として生じた電子を、周囲の鉄に渡すことで体外に捨てる能力がある。
この能力を利用したのが微生物燃料電池だ。
密閉して酸素を絶った容器中でジオバクターを培養。
この中に、電子を受け取る電極を差し込むことで、容器が電池として機能するようになるという。
論文上の世界最高出力は、1立方メートルの容器で2キロワット。
08年には気象観測用ブイの電源として、米海軍が実用化したという。
井上さんは宮崎大への赴任にあたり、牛ふんを燃料に選んだ。
畜産廃棄物を燃料にした研究例は少なく、畜産が盛んな宮崎県では入手コストもかからないからだ。
昨夏は口蹄疫(こうていえき)のため牛ふんに移動制限がかかり、調達できなかったが、
現在は農学部付属の牧場から無償提供を受けている。
昨年末ごろから実験を開始し、牛ふんでの発電に成功。
出力も1立方メートルあたり2ワットまで上がってきた。
培養条件を調整し、最も効率的に発電できる設定を探っている。
東京電力福島第一原発の事故で、再生可能なエネルギー源の一つとして
改めて注目を集めている生物由来のバイオマス資源。
穀物や畜産廃棄物からエタノールやガスを生産する従来の手法と異なり、
井上さんが挑戦している微生物燃料電池は燃料の精製や回収が不要で、
その分エネルギーのロスが少ないのが利点だという。
井上さんは「ジオバクターが発電する仕組みを解明し、
微生物燃料電池の実用化に向けた基礎研究の根っこの一つになりたい」と話している。
県畜産課によると、県内では牛から年間約230万トンの畜産廃棄物が排出される。
そのほぼすべてが堆肥(たいひ)化され、農地還元されている。(上田輔)
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▽記事引用元 asahi.com マイタウン宮崎
URLリンク(mytown.asahi.com)
井上謙吾さんと、恒温器に入った実験中の微生物燃料電池。
隣のパソコンで、出力を常時計測している
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試作中の牛ふんを使った微生物燃料電池
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