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「東京近くに大地震?」:サイエンス誌が3論文
2011年5月25日
John Timmer
『Science』誌は先週、日本を3月に襲った東北地方太平洋沖地震[東日本大震災]のときに何が
起こったかを理解するための3つの論文とパースペクティブ論文を掲載した。
研究者たちが懸念しているのは、マグニチュード9という歴史的な数値だけではいない。この
サイズの地震が、これまではこれほどの規模の地震を引き起こすとは考えられてこなかった断層
の一部(セグメント)で起きたということが懸念されている。
「このように小さなセグメントでマグニチュード9が起こるのであれば、今まで予想されていな
かった地点でも同様の巨大地震が起こる可能性がある」と、米国地質研究所のDavid Wald氏は
語っている。海岸沿いで、プレート沈み込み帯の近くにあるような、世界の他の地域も、リスク
を再評価する必要があるだろう。
今回の地震は、日本海溝を形成する断層の一部に沿って発生した。日本海溝は、太平洋プレート
が、東日本が存在するプレート[北アメリカプレートの下に沈み込んでいるところにある。
この沈み込み帯が日本に多くの火山をもたらし、またその圧力が日本列島を押し上げることで、
日本の地形をいっそう特徴的なものにしている。多くの断層がそうであるように、 2つのプレート
がこすれあう動きは時折つかえて止まることがあり、そのひずみが解消されるときに大地震が発生
する。要するに地震とは、プレート間の相対運動から生じるひずみを解消するために起きるものだ。
([東北日本太平洋下のプレート相対速度は]年間で推定8.5センチメートルだ。)
これまでの地震記録は、このひずみが、比較的狭い範囲の断層セグメントに沿って解消されている
ことを示唆していた。大きな地震では通常、これらセグメントの1つか2つが活動して大部分のひずみ
を解消し、残りのひずみは、隣接するセグメントに移される。このプロセスが日本を地震の頻発国に
しており、大きな地震も数多く発生しているが、それでも、今回の東日本大震災のように巨大なもの
は稀だ。ほとんどの地震は断層深部の、海溝よりも日本列島に近いところで発生してきた。
3月の地震がこれほど想定外だった理由はそこにある。そしてもう1つの理由は、これまでの記録
から、この断層セグメントが他と比べて不活発に見えたことだ。おそらくは、これまではプレート
同士が固着しており、地震が少なかった分、ひずみが蓄積されていたと考えられるだろう。
URLリンク(static.arstechnica.com)
上は地震前。下は地震後
日本海溝においてプレート同士が固着していたとき、東日本を含む北アメリカプレートは、端の
部分では下に押し下げられていたが、その近くの地域は、圧力により、若干上向きの力がかかって
いた。地震によって、プレートの端は上向きに解放された。日本列島ではこの際、場所によっては
4メートルを超える水平方向の動きが発生し、逆に50センチほど低下した地域もある。
一方、海では、最大の標高低下は海岸から推定50キロメートルの地点で発生し、そこでは[東日本
が乗っている]北アメリカプレートが2メートル低くなったという。一方、日本海溝の付近では、
プレートの端が9メートルも隆起した。しかしこれらの変化は、水平方向の移動データに比べれば
小さいものだ。『Science』誌に発表された3つの論文では、海溝付近での水平移動の規模を推定
しているが、それらは空間分解能[空間または物体内で識別可能な2点間の距離]の小さい順に、
24メートル、30メートル超、そして最も大きな推定値で60メートルにもなる。この水平方向の
動きが、津波の主な原因となった。これらの動きの全体を合わせれば、解放されたエネルギーは
9 x 10の18乗ジュールとされる(TNT火薬にしておよそ2400メガトンにのぼる)。
(>>2以降に続く)
▽記事引用元 WIRED VISION
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