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東日本大震災の直後から、各地の温泉の様子が変だ。
湯が突然増えたり、出なくなったり。四国では泉質が変わったところもある。
専門家は「地震で大きな地殻変動が起きて温泉にも影響が出た」と話している。
岐阜県飛騨市神岡町の割石(わりいし)温泉。震度2を観測した3月11日の地震直後、
数秒湯が止まり、その後、毎分45リットルだった湧出(ゆうしゅつ)量が60リットルに増えた。
大震災前の2月27日に震度4を観測した時も、同28リットルから45リットルに増えた。
温度も約38度から4度近く上がった。温泉の担当者は「熱くなったので燃料代を節約できるが、
被災者を思うと喜べない」。
割石温泉を1998年から調査している岐阜大学総合情報メディアセンターの田阪茂樹教授
(放射線物理学)によると、この温泉は飛越(ひえつ)地震(1858年)を引き起こした
跡津川断層上にあり、地震のたびにこうした現象が繰り返されるという。
能登半島地震(2007年)の直後も湧出量が倍増し、温度も上昇した。
田阪教授は「地殻変動の影響で温泉が流れ込みやすくなったのでは。
温泉の変化の大きさで地震の大きさも分かる」と話す。
一方、突然、湯が出なくなった温泉もある。
年間約9万人が訪れる山形県大江町の柳川温泉では、同300リットルの湯が出なくなり、
3月下旬から日帰り入浴を休止した。町によると、震度4を観測した3月11日に自噴が止まり、
ポンプで吸い上げると黒ずんだ湯が出てきた。4月上旬、深さ700メートルの井戸に機械を
下ろすと、地下291メートルで障害物にぶつかった。「井戸自体がずれたのかもしれない。
貴重な観光地なので掘削したいが、費用が高い」と困惑する。
震度4だった新潟県弥彦村では観音寺温泉の源泉が突然枯れ、老舗旅館が3月末に閉館に追い込まれた。
香川県まんのう町の山あいにある美霞洞(みかど)温泉は、震災から約1週間後に白濁が濃くなった。
ぬめりも強くなり、硫黄が増えたという。阪神大震災(95年)後も同じ現象が起きたという。
大震災の震源とは約800キロ離れているが、同温泉支配人の石村英二さん(59)は
「巨大地震で地殻変動があったのではないか」と話す。
地下水の変化を調べている産業技術総合研究所(茨城県つくば市)によると、東海や
近畿などに約50カ所ある観測点の多くで地下水位が下がった。数メートル変化した地点もある。
担当者は「地下水は地震の揺れと地殻変動によって変化する。
水位が大幅に下がれば温泉が出なくなることも考えられる」と話している。
全国の約1500団体が加盟する日本温泉協会(東京)には大震災後、こうした湯量の急な増減や
濁りなどの報告が寄せられた。協会は今後、温泉地での影響について全国調査する方針だ。
震災後、湧き出る湯量が倍増した割石温泉=4月22日、岐阜県飛騨市神岡町割石
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震災で温泉に異変が出た地域
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▽記事引用元 : 朝日新聞 2011年5月5日23時0分
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