11/02/13 13:16:43
高機能自閉症の成人は他人の意向を理解しにくい
高機能自閉症(high-functioning autism)の人は、
IQの高い人でも他人の意向(intention)を理解するのが困難であり、そのため他人を厳しく評価し、
人間関係の形成や維持に問題を生じる可能性のあることが新しい研究で明らかにされ、
米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Science(PNAS)」オンライン版に
1月31日掲載された。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループは、アスペルガー症候群などの高機能自閉症患者
13人(平均IQ120)および神経障害のない健常者13人を対象に、善意による行為が他人を傷つけてしまう
状況(例えば、友人のコーヒーに砂糖を入れたつもりが実は毒であった場合など)についての質問に
回答してもらった。自閉症患者は、被害原因となった人に対して比較的厳しく評価したが、
自閉症のない人はその人の善意に重きを置く傾向があったという。
他人の意向、欲求、信念を認識する能力は「心の理論(theory of mind)」と呼ばれ、一般に4~5歳で発達する。
研究共著者の1人でMIT博士研究員のLiane Young氏によると、これまでの研究で自閉症児はこの能力の
発達が遅いことが示されているという。しかし、成人の高機能自閉症患者は社会生活上の困難を相殺する手段を
身につけているため、さらに複雑で繊細な能力を評価することが難しかった。
「今回の研究ではそれを上手くやっている」と米国の非営利団体Autism Speaks のClara Lajonchere氏は述べている。
しかし、悪意をもって人を傷つける例や、悪意による行為が意図に反してよい結果をもたらす例など、
別のシナリオについては両群の回答に差はみられなかった。また、誰かが他人を傷つけた場合に
どう判断するかについては必ずしも正しい答えはなく、自閉症のない人でもその許容範囲は実に
さまざまであると、Young氏は指摘している。
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▽記事引用元 NIKKEIいきいき健康
URLリンク(health.nikkei.co.jp)
▽関連
PNAS
Impaired theory of mind for moral judgment in high-functioning autism
URLリンク(www.pnas.org)