11/02/04 00:01:52
原子核は陽子と中性子の固まりで、これらの個数でその性質が決まります。鉄や金など、
自然界には安定な原子核が約300個ほど存在していますが、理論的には約10,000個の原子核が存在するとされています。
そのほとんどは放射性同位元素(RI)と呼ばれる不安定な原子核です。
「私たちの周りの元素は、どのように創られて、存在しているのか」という謎を解くカギは、
鉄より重い質量数(質量数A>70)の特異な幅広のピーク構造で、太陽系が誕生する以前に
重元素合成過程(r過程)が起きた痕跡だと考えられています。
このr過程の検証は、世界最高性能を持つ理研の「大強度重イオン加速器施設RIビームファクトリー (RIBF)」
だけで実現することができます。
仁科加速器研究センターの櫻井RI物理研究室らは、RIBFでクリプトンからテクニチウムまでのRIを発生させ、
38個もの中性子過剰なRIの寿命測定に成功し、そのうち18個は世界初のデータでした。
具体的には、345MeVまで加速した238U(ウラン)ビームを9Be(ベリリウム)に照射して、
さまざまな中性子過剰なRIを作り出し、独自に開発した高性能な寿命測定装置を用いて、
精度良く寿命を測定しました。
わずか8時間という測定時間で、世界の過去20年間のデータ量に匹敵するデータを取得し、
質量数が110近傍の中性子過剰なRIが、驚くべきことに2~3倍も速く崩壊することが分かりました。
この測定結果は、超新星爆発時のr過程の経路上のRIに初めて実験的に踏み込んだ成果で、
これまで謎となっていた理論予想での「重元素生成量の不足問題」へ解決の糸口を見いだしたことになります。
▽図
太陽系の元素存在度および標準的な原子核理論を取り入れた
超新星爆発におけるr過程の元素合成分布(理論計算)
URLリンク(www.riken.go.jp)
▽記事引用元 理化学研究所プレスリリース(平成23年2月1日)
URLリンク(www.riken.go.jp)