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辛抱強さの仕組み解明 脳内で「セロトニン」分泌
2011年1月24日
欲しいものを得ようと我慢している時には脳内で「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質が多く
分泌していることを沖縄科学技術研究基盤整備機構のチームがラットの実験で突き止めた。
「辛抱強さ」を生み出す仕組みに迫る成果で、うつ病など衝動的な行動を伴う精神疾患の
原因解明や治療につながる可能性がある。
人気のレストランで行列に並ぶか、あきらめて隣の店に行くか-。
すぐに欲求が満たされない時、辛抱強く待つか、それともあきらめて別の手段を取るかは
日常的に直面する問題だ。辛抱強さは個人や年齢などによって大きく異なり、脳内のどんな
仕組みが関わっているかは謎だった。
動物実験では、脳内のセロトニンの働きを抑えると、我慢強く待てなくなり衝動的な行動を
取ることが知られていた。しかし、実際に待っている間にセロトニンがどう変化するかは
分からなかった。チームは餌を待つ間のラットの脳の神経活動を調べた。
餌場に着いてすぐ餌が得られる場合と、四秒間待たされる場合とを比べると、
待った時の方が脳内のセロトニンの分泌が多くなった。
餌場で待つ時間をどんどん長くして、餌を待てた場合と、待てずに餌場を離れた場合の
セロトニンの働きを、同じラットで比較した。どちらも待ち始めた直後では差がなかったが、
待てなかった場合はあきらめる直前に働きが半分程度に弱まっていた。
同機構の「神経計算ユニット」代表研究者を務める銅谷賢治さんは「セロトニンの役割を
さらに調べ、うつ病やそううつ病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、依存症などの原因解明に
貢献したい」と話している。
辛抱強さを生み出す仕組みを理解することで、
より人間に近いロボットの開発など工学的な応用も期待できるという。
成果は、米専門誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」電子版に掲載された。
<セロトニン> 脳神経細胞間の信号を伝える神経伝達物質の一つ。
興奮性の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの作用を抑え、
精神を安定させると考えられている。抗うつ薬の「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」
(SSRI)は、セロトニンの減少を防ぐ効果がある。
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▽記事引用元 東京新聞
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
画像:エサを待てなかった時の神経活動の変化
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
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