11/01/21 03:39:32
治療が難しい血液のがん、成人T細胞白血病(ATL)に有効な新薬を、
名古屋市立大と製薬会社「協和発酵キリン」(東京都)が開発し、
今春に厚生労働省に製造、販売の承認申請をする。
国はATL対策の特命チームを設けて力を入れており、早ければ
2012年初めにも発売される見込み。
新薬の審査が厳しい日本で、がんの抗体薬が世界に先駆けて製造、
販売にこぎ着けた例は過去になく、ATLを発症した患者には、これまで
治療法が無いに等しかった。
新薬は、人間の免疫機能を応用した新タイプの薬として注目される
分子標的薬「抗CCR4抗体KW-0761」。名市大の上田龍三特任教授、
石田高司講師らのグループが03年、ATL患者のがん化した細胞の表面に
タンパク質「CCR4」が多く現れることを発見し、これをもとに開発した。
CCR4の抗体を人工的に作り、点滴で投与すると、体内の免疫機能が
増幅されて、がん化した細胞だけを破壊する。抗がん剤は正常な細胞まで
攻撃するが、分子標的薬の新薬は異常な細胞だけを狙い撃つ。承認されれば、
抗がん剤治療後に再発した患者に使えるようになる。
治験では、抗がん剤治療後に症状が再び悪化した患者26人に、新薬を
1週間ごとに計8回投与。13人が血液中のがん細胞が減り、リンパ節の
腫瘍が縮まるなどの効果があり、うち8人はがん細胞や腫瘍が消えた。
発熱や発疹などの副作用も改善できる範囲だった。上田特任教授は
「日本から世界標準となる薬を生み出すモデルケースになる」といい、
治験を担当した石田講師は「がんに対して単独でこれだけ効果がある
薬は例がない」と話している。
【ATL】 ウイルス「HTLV1」が引き起こし、主に母乳で感染する白血病の一種。
日本人に多く、国内で108万人が感染。生涯発症率は5%と低いが、発症すると
血液中で白血病細胞が増殖し免疫機能が低下したり、リンパ節に腫瘍ができたりする。
抗がん剤や骨髄移植で治療しているが限界があり、年間1000人が死亡。
菅直人首相は昨年9月、ATL対策を放置してきたことを患者団体に謝罪した。
官邸に特命チームをつくり、母乳感染を防ぐための公費による全妊婦検査などの対策を発表した。
新薬の効果のイメージ
URLリンク(www.chunichi.co.jp)
▽記事引用元 : 2011年1月20日 08時35分(中日新聞)
URLリンク(www.chunichi.co.jp)
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