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雑種のクマ、北極のハイブリッド
National Geographic News
December 16, 2010
2006年にカナダのノースウエスト準州で、ハイイログマ(グリズリー)とホッキョク
グマのハイブリッド(交雑種)が初めて確認された。写真はその剥製。
このハイブリッドが生まれた背景には地球温暖化の影響がある。ホッキョクグマは
北極海の浮氷塊が消滅するにつれて陸地に足止めされ、ハイイログマは平均気温の
上昇に伴って生息地を北方に移動している。そのため、両種の行動範囲が重なる
可能性が高くなっているのだという。専門家によれば、ホッキョクグマの狩猟行動に
北極海の浮氷塊は欠かせないが、今世紀中には夏期の北極海から姿を消すと予測
されている。
12月16日発行の「Nature」誌に異種間のハイブリッドに関する研究論文が掲載され、
北極圏の海洋哺乳類22種で雑種が生まれた可能性が明らかになった。ホッキョクグマと
ハイイログマもその中に含まれている。
論文を発表した研究チームは、さまざまな資料や博物館の収蔵品などをくまなく調査し、
最終的に34件のハイブリッドを確認した。さらに問題の22種中14種が、世界のいずれかの
国で絶滅危惧種に指定されており、ホッキョクグマとハイイログマもアメリカのリストに
載っている。
アメリカ、アラスカ州ジュノーにある国立海洋哺乳類研究所(National Marine Mammal
Laboratory)の生物学者で、研究チームのリーダーを務めたブレンダン・ケリー氏は異種間
ハイブリッドについて、「絶滅危惧種にとって、とどめの一撃になる可能性がある」と話す。
ケリー氏によると、個体数が十分なら心配する必要はない。だが、「人間活動の影響により
野生生物の生息環境が急激に変化すると、絶滅する種が一気に増加する可能性は非常に高い」
という。
論文は、ハイブリッドは第2世代の段階に入ったと報告している。今年カナダで、ハイイロ
グマの父親とハイブリッドの母親に生まれた小グマが確認されている。
▽記事引用元 ナショナルジオグラフィック ニュース
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)
▽画像 2006年にカナダのノースウエスト準州で、ハイイログマ(グリズリー)とホッキョクグマのハイブリッド(交雑種)が初めて確認された。写真はその剥製。
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Photograph by Troy Maben, AP
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