11/01/28 18:27:08 fvR3Oirt
大島正満博士の「鮭鱒族の稀種田沢湖の国鱒に就て」(『日本学術協会報告』16巻2号、
1941年)を図書館でコピーしてきました。
この論文の内容で、素人目で興味深かったことの一つは、戦前に滋賀県の醒井養鱒場で
クニマスの稚魚をある程度育てることに成功していたことです。以下引用。
「昭和14年2月18日以降5月2日までに雌の親魚1073尾を捕へて採卵し,発眼卵約20万粒を
滋賀県醒ヶ井養鱒場に移して孵化発生せしめたが,孵化成績は可良であつたにも拘はらず
稚魚の餌付き頗る悪るく,浮上後針の如く痩せ細りて大部分は斃死した.餌料に関し当事者
苦心研究の結果人為的に育成せるプランクトンを用ひて初めて飼育に成功し,現今残れる
600尾内外を紅鱒の稚魚と共に池中に混養しつつある.単独に飼育しては索餌せず,紅鱒と
混養することにより後者が勢よく索餌する際引込まれて国鱒も餌につくのであつて,両者の
性質は全然異なり,色彩も全く異なるので水面上より明確に両者を識別することができる.」
プランクトンなら食ったようですが、ヒメマスの稚魚と一緒でないと餌を探さないというのは
自然状態では考えられないわけで、何か問題があるのか。
しかし現代の技術なら飼育は十分可能と思います。
この600尾は大島博士が見たときはまだ小さかったように見えますが、その後どうなった
かは記述がありません。