10/11/25 23:18:22
年を取るとともに近くの物が見えにくくなる老眼。ほとんどの人は読書などに老眼鏡が
欠かせなくなるが、治療法の進歩で老眼鏡がいらなくなる時代も夢ではなくなってきた。
老眼の治療法はいくつかあるが、数年前に欧米で開発され、ピンホール効果を利用した
「アキュフォーカス」という最新治療が昨年末から日本でも始まった。
▽片目だけ手術
老眼は、目の中の水晶体という弾力性のあるレンズが硬くなってピント調節が
できなくなった状態。通常は老眼鏡かコンタクトレンズで矯正するが、満足
できなければ、目の表面にある透明な角膜を削り光の屈折力を変える
レーシック手術などの方法がとられてきた
アキュフォーカスでは、真ん中に1・6ミリの小さな穴があいた直径3・8ミリ、
厚さ5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の黒いリングを手術で
角膜内に埋め込む。小さな穴を通った光はピントの合う範囲が広くなるので、
近くから遠くまでよく見えるようになる。ピント合わせ不要の携帯カメラや
レンズ付きフィルムで使われているピンホール効果を利用した。
目に入る光の量は減るため、リングは片目に入れる。
リングの材質はフッ化ポリビニリデンというプラスチックの一種で、
長年、眼内レンズの部品に使われているという。
▽暗さは感じず
フリーライターの佐藤雅美さん(52)は40歳ごろから老眼が進み、
パソコンで原稿を書いたり資料を読んだりする際に老眼鏡をかけるようになった。
仕事を通じてアキュフォーカスの存在を知り、今年7月、左目にリングを入れた。
手術後3週間は膜がかかったようにぼんやりとして、その後は物が2重に見えたが、
2カ月を過ぎるころから、はっきりと見えるようになってきた。
今では老眼鏡を使うことはなくなった。店内や電車の中などの薄暗い場所では
細かい文字が読みづらいことがあるが、それ以外は暗さを感じることはないと言う。
「10年ぶりに眼鏡がない生活で、とても楽になった」と佐藤さん。
手術を行った慶応大医学部の坪田一男教授(眼科)によると、リングは最新鋭の
レーザー装置で角膜に正確に切れ込みを入れて挿入する。
視力が安定するまで1~3カ月かかる。問題があれば後でリングを取り出すことも可能。
ただ、適応にはさまざまな条件があり、白内障のある人なら、まず白内障の
手術を受けることが必要だという。
▽普及の可能性
片目だけの治療で見え方がおかしくならないのだろうか。坪田教授は「遠くは両目で、
近くは片目で見ている。例えて言えば、利き手ではない左手ではしを使い始めたようなもの。
物は脳で見ており、慣れるために脳を訓練することが必要だ」と説明する。
佐藤さんも「今では見え方に違和感はなく、目が疲れることもない」と話す。
坪田教授は昨年12月、日本で初めてこの治療を手掛け、今年10月までに
50~72歳の計25人に実施した。うち1人だけ、見え方に不満があるとしてリングを取り外した。
坪田教授は「長期的な安全性は検証中」と慎重な姿勢を示しながら
「角膜だけの手術で、患者の負担が少ない。老眼の新しい治療法として
普及する可能性が高い」と期待感も口にする。
治療は自由診療で30万円から。坪田教授が手術顧問を務める
みなとみらいアイクリニック (横浜市)と南青山アイクリニック (東京都港区)で
受け付けている。
アキュフォーカスリングの入った目
URLリンク(www.47news.jp)
ピンホール効果ののしくみ
URLリンク(www.47news.jp)
▽記事引用元 : (共同通信 )(2010/11/24)
URLリンク(www.47news.jp)
*依頼ありました。 スレリンク(scienceplus板:291番)