10/11/20 22:13:22
◇同じ距離を歩いても背が高い人は体重1kgあたりの消費エネルギーが少ない
人間が歩いたり走ったりするときに消費するエネルギーを古典力学でいう「仕事」としてとらえると、
強い追い風・向かい風や急な坂での重力など、外力の影響による違いは多少あるかもしれませんが、
基本的には消費エネルギーは「質量(体重)×移動距離」に比例するはずです。
単純に考えれば、同じ人が時速8kmで30分歩いても時速4kmで1時間歩いても移動距離は
同じなので消費エネルギーは等しく、重い荷物を持って歩けばその分消費エネルギーは増え、
身長150cmで体重50kgの人と身長170cmで体重50kgの人が同じ距離を歩けば、
体重と移動距離が同じなので消費エネルギーは等しいはず、ということになります。
しかし、実際には背が高い人と背が低い人では、背が高い人の方が体重あたりの消費エネルギーが
少ない「燃費のいい」歩き方をしていて、歩くことによる消費エネルギーを計算するには体重と移動距離
だけでなく身長もファクターとして取り入れる必要があることが明らかになりました。
詳細は以下から。
WHY BIG PEOPLE WALK MORE ECONOMICALLY THAN SMALL PEOPLE -- Knight 213 (23): i -- Journal of Experimental Biology
URLリンク(jeb.biologists.org)
なぜ背の高い人は燃費がいいのか?その秘密はストライドの大きさにあることが、南メソジスト大学の
臨床生理学と生体力学の准教授Peter Weyand博士らの研究により明らかになりました。
「脚が長いから効率がいい」と言われると当たり前のことのように思えるかもしれませんが、
歩く際の体重あたりの消費エネルギーの身長による違いを検証しその理由を解明した研究は
これが初めてです。
生物の代謝率(体重あたりの基礎代謝)は体重の3/4乗に比例するというクライバーの法則は
人間にも当てはまり、小さな子どもほどじっとしているときに1グラムの細胞、1kgの組織あたりが
使うエネルギーは大きくなっています。これには、若い個体では成長のためにエネルギーが
使われることや、大きな成体より小さな成体の方が体重に占める構造質量の割合が大きい
ことが関係していると考えられています。脂肪などの貯蔵質量はほぼメンテナンスコストが
かからないのに対し、構造質量に含まれるのは心臓や脳、消化器など機能を維持するのに
エネルギーを使う組織です。また、ほ乳類などの恒温動物では、大きな動物の方が熱容量が
大きく体重あたりの表面積が小さい(ベルクマンの法則)ため体温維持に使う体重あたりの
エネルギーが小さいとも言われています。
(>>2以降に続く)
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▽記事引用元 GIGAZINE
URLリンク(gigazine.net)