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【珠海(中国広東省)浦松丈二】中国初の国産有人宇宙ステーションの実験機「天宮1号」が来年中ごろに打ち上げられる。
珠海で開催中の航空・宇宙ショーで担当者が明らかにした。
中国は20年までに長期滞在可能な宇宙ステーションを完成させ、将来は月面着陸を目指している。米露に続く有人宇宙プロジェクトを国威発揚につなげていく思惑がありそうだ。
中国初の宇宙飛行士、楊利偉(ようりい)・有人宇宙飛行弁公室副主任は珠海で報道陣に「天宮1号は総合テストの段階に入っており、来年中ごろ打ち上げられる。予定されているドッキング実験は宇宙ステーション建設の鍵になる」と説明した。
中国は03年に初の国産有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げと回収に成功。
来年中ごろに天宮1号を、同年後半に神舟8号を無人で打ち上げ、宇宙空間でドッキングさせる。
さらに12年には神舟9号(無人)、同10号(有人)を打ち上げ、ドッキング技術の完成を目指すという。
宇宙ステーションの建設・運用には巨額の費用がかかるため、単独で建設したのは旧ソ連(71年)と米国(73年)だけ。
現在、日米露など世界15カ国が参加して国際宇宙ステーション(ISS)を建設中だが、建設・運用総費用が10兆円を超え、「人類最大のプロジェクト」といわれている。
中国もISS参加を打診しているが、軍事利用を警戒する米国などが反対している。
そのため単独で宇宙ステーション開発を進める中国は、国内の軍需産業を総動員して計画を主導する。
中国が宇宙開発を国威発揚に結びつける背景には、国民の所得格差が深刻化するなか、巨額予算を宇宙に投じることへの国民からの批判を封じ込める狙いもありそうだ。
有人宇宙プロジェクトに参画する中国の軍需企業「中国航空科技集団」幹部は「宇宙ステーション建設によって、中国の宇宙開発は、宇宙の探索から利用に向け大きな飛躍を遂げるはずだ」と意義を強調している。
毎日新聞 2010年11月17日 19時19分
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