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海に浮かべたいかだからワイヤのように発電装置を海中に垂らし、
波や海流を利用して発電する、海洋エネルギー発電の新システムを、
広島大大学院の陸田秀実准教授(39)らのグループが考案した。
竹製のいかだにワイヤを垂らすカキいかだから、ヒントを得たといい、
2011年に広島湾で実証実験を実施、5年後の実用化を目指す。
力が加わると電圧が発生する性質を持つ、圧電素子を利用した。
陸田准教授らは昨年3月、フッ素化合物で作られた圧電素子を0・11ミリまで薄くした
「圧電フィルム」を、柔軟なシリコンとともに層状に重ねて、発電の効率を従来の
数倍から100倍近くまで向上させることに成功。
これを束ねて短冊状の発電装置(縦30センチ、横5センチ、厚さ5ミリ)を作り、
ワイヤのようにつないで、いかだから海中に垂らす。
カキいかだの形にしたのは、波の力を柔軟な構造で受け止められるようにするため。
陸田准教授は、カキいかだの並ぶ、広島湾の風景を眺めている時に、ひらめいたという。
従来の海洋エネルギー発電は波や渦、潮汐(ちょうせき)など、
特定の力を利用していたが、すべてを発電に利用できるのが特長。
標準的なカキいかだと同じ縦10メートル、横20メートルのいかだ本体に発電装置を
張り付け、さらに長さ10メートルのワイヤ状につないだ発電装置を600本下げることで、
一般家庭約10世帯分の消費量に相当する、年間4万3800キロ・ワット時の発電が
可能という。発電の効率は風力発電と同等、費用は太陽光発電の半分程度と
試算されている。
独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」の先導研究に選ばれ、
陸田准教授らは実用化に向けて、発電用のいかだの試作を進めている。
陸田准教授は、「発電効率の悪かった海洋エネルギー発電の発展につながる可能性を
秘めている。いずれは太陽光発電などに並ぶほどに普及させたい」と話している。
◆圧電素子
力が加えられて生じたひずみを電圧に変換したり、逆に電圧を加えると
ひずみが生じたりする「圧電効果」の性質を持ち、電子ライターの点火装置や、
スピーカーなどに使われる。駅の改札口に圧電素子を敷き詰め、乗客が改札を
通過する際に生じる振動で、電気を起こす実験が行われ、話題となった。
ソース:読売新聞
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画像:考案したカキいかだ型の発電装置
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