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ガンマ線バーストの原因は宇宙ひも?
Brian Handwerk
for National Geographic News
August 3, 2010
極めて短時間だが強烈な光を放つ遠方宇宙の“火の玉”は、目に見えない「宇宙ひも」の振動で
生じている可能性があるという。宇宙ひもとは、時空に生じた超高密度の位相的欠陥のことである。
最も強烈な発光現象「ガンマ線バースト」は、1日に1回程度、宇宙空間のどこかで起きている。
非常に光度が高く、現在の観測限界である約130億光年先での発生を観測できる場合もあるという。
数秒から数分間持続する長時間のガンマ線バーストは、超大質量星のコア(中心核)が崩壊、
爆発したときに発生するとみられている。
1秒も続かないごく短時間の場合もあるが発生機構は解明されていない。
しかし2008年と2009年の2回、NASAのガンマ線探査衛星スウィフトが観測した異常なバーストは
過去のどの事例とも違っていた。どちらも2秒と持続しなかったが、持続時間の短い同様の
バーストと比べてはるかに高エネルギーだったのである。
香港大学の物理学者K・S・チェン氏の研究チームが発案した新理論によると、
この異常なガンマ線バーストの原因は超電導宇宙ひもの振動の可能性があるという。
「宇宙ひも」とは、時空の理論上の“欠陥”のことだ。幅は陽子の直径
(10のマイナス13乗センチ)ほどしかないが、極めて密度が高い。
高エネルギー粒子物理学では、宇宙ひもは最初期の宇宙に存在した物質が
「相転移」し損なって生まれたと考えられている。
相転移とは物質の状態(相)が変化することで、例えば水が氷に凝固するのもその一種である。
つまり時空の欠陥とは、水から氷への相転移時にできる亀裂に例えられる。
ひもの存在を示す観測証拠はないが、宇宙の果てまで複数のひもが延びていると予測する学説が
ほとんどだ。「宇宙の端から端まで届く極めて長い“導線”だと考えればいい」とチェン氏は言う。
実験室で導電性素材のワイヤーを磁場中で振動させると、ワイヤーに電流が流れる。
「宇宙ひもの場合、銀河団のような宇宙の大規模構造を起源とする磁場の中で、ギターの弦の
ように振動しているのかもしれない。
もしそうなら、何億回という単位で細かな揺れを起こしているはずだ」とチェン氏は説明する。
この仮説どおりなら、規模の異なる多数の閉じた電磁ループが生じることになる。
荷電粒子がそれらのループに捕捉されて散乱も減速もできない状態になると、ループは超電導体
(電気抵抗ゼロの物質)へと変化する。この超電導ループが宇宙ひもの動きに反応し、
ムチがしなるように素早く動けば、低周波の光波がバーストを起こすことになる。
「新理論が正しければ、光波のエネルギーは周囲のプラズマ(星間空間の荷電ガス)に吸収される」
と、研究共著者で中国湖北省武漢市にある華中師範大学天体物理学研究所(Institute of Astrophysics)の
ユー・ユンウェイ(Yun-Wei Yu)氏は解説する。エネルギーの増加により爆発したプラズマは、
光速に近い速度になるという。「短時間だが強烈なガンマ線バーストは、このような経緯で
エネルギーを増したプラズマによって引き起こされる。“超相対論的火の玉”とでも言うべきか」
とユー氏は述べる。
現時点で宇宙ひもは理論上の存在でしかない。しかし新理論が正しければ、ガンマ線バーストの
研究を足掛かりとして宇宙ひもの詳しい性質が解き明かされる可能性も出てくる。
▽記事引用元 NATIONALGEOGRAPHIC
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)
宇宙ひもの分布を示すコンピューター・シミュレーション。
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