11/01/01 20:55:37 FKu9B/3G
☆今年の特撮番組は、収穫が多いです。
「ウルトラマン80」を放映してくれたファミ劇に感謝。
こんな傑作だとはついぞ知らず。不徳の致す限り。
年末映画は'76年版「犬神家の一族」でも録画して、病院から帰ったらコッチ流し観でもするか…と
罰当たりな計画を立てておりました。とんでもない。
呼吸するのを忘れた。終劇と同時にぜーッぜーッと
息を荒げている自分の呼吸が耳に入った。無音の
部屋の中、自分の荒い息だけが耳に木霊していた。
ムロン、DVDは即注文完了。
アカデミーやベルリン、様々な賞にノミネートされ、それでも受賞を逃しているのは「万人が納得する」
決着が付いてない映画だからでしょう。アクション映画だと思ってはいけません。そんなチンケな作品
ではありません。ラブドラマです。いや、監督がアメリカ人なので、一種の宗教映画かも知れません。
心を映す鏡です。
本作を観て私は今、自分自身が相当に荒んでいるのを発見しま
した。ムロン、「ウルトラマンA」みたいな下痢糞と、ソレ
にたかる客層が横行しているためです。
本作を観ながら、80と怪獣の戦うシーンは
「頬に噛み付いて、瞼と共に喰いちぎっちまえ。敵も、目玉と歯茎剥き出しの顔のまま怪獣に肉薄しろ。
そこで眼窩に手突っ込んで脳みそ引き摺り出しちまえ!切り刻め!肉塊にしちまえ!」…と80を応援
しておりました。言うまでも無いスがこの時、私が脳内で"敵"として
投影していたのは「ウルトラマンA」信者です。ハッキリ言って私はそれ程
彼等を軽蔑しています。
何故そんな投影が可能なのかといえば、本作がこうして「滅びに瀕している特撮界」の現状に即して
現れてくれたからですね。
…でも、本作はラブドラマでした。悪人どもを退治するでもなく、街に居座る腐敗が払拭されるでも
なく、その憤懣遣る方ない欲求不満はすべてホイッ、と観客に投げ渡され「各々が片付けるべき問題」
として未解決のまま終わってゆきます。「委ねられる」映画です。凶暴で残虐で情け容赦ない暴力の中、
"愛"を描いています。「ウルトラセブン」は、もう観なくてイイや。アレは子供の遊び。円谷プロは文字
通り「子供の遊び」として、あの作品を撮られたのでしょう。こちらは、オトナの観るべき映画です。
アメリカではR-18だそうで。そりゃあそうだよなぁ(笑)。
"純愛"をテーマに描かれたバイオレンス映画ですが、アタシは↑上記の通り、ココんトコの押井守監督
作品と同様に「今の若年層の精神的欠落と、それに業界が巻き込まれた現状」をメタ視線で含んでいる、
と見る事も出来る作品です。ちゅーかアタシにゃ↑希望の白い鳩がカラスの大群に追われる場面でモハヤ
そーとしか見えなくなった(笑)。また観返せば、別の感想になるかも知れませんが。