11/05/15 09:36:07.44
【<評>明治座「五月花形歌舞伎」 一回り大きくなった七之助@東京新聞より抜粋】
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昼の部は、なんといっても亀治郎が忠信を勤める『義経千本桜 川連(かわつら)法眼館(ほうげんやかた)』に注目が集まる。
昨年、国立劇場大劇場の「亀治郎の会」で出し、その緻密な芝居に唸(うな)った。
今回は本物の忠信の出に風格を増し、確かな口跡で観客を酔わせる。
また、源九郎狐(げんくろうぎつね)として登場してからは、「狐言葉」をよくこなして、しかも体に切れがある。
「人の情けも知る狐」の哀れが漂う。両親を慕う狐に心を寄せるうちに、次第に流浪の身でいる義経の心情が二重写しになる。
ただ、巧(うま)い人だけに、後半、情感を作り込み過ぎる弊害はある。
万事に派手な澤瀉屋(おもだかや)の型だが、宙乗りもケレンに終わらない。
狐が武士に化けた幻想の物語であると語っている。義経の染五郎が着実。門之助の静御前も古風な味が出た。
(長谷部浩=評論家)