11/09/20 23:14:42.71 3MzZOc2oO
入ってきたのは理事長でした。
僕の武田への愛がここまで大事になっているとは。
しかし僕の心胆を心底寒からしめたのはその背後にいた人物。
母でした。
「今日はこのくらいにしておきましょう」
ハゲ理事長の鶴の一声で僕は解放されました。
今思えば、帰り際に母と理事長が交わした目配せが少し気になりましたが、僕にとっての心配事は別にあったのですぐに忘れてしまいました。
授業中の校舎からは一目に触れることなく出られました。
日差しはまだ斜めに射していて、僕はその影を縫うように無言の母の背中を追いました。
何も聞かれないという展開がこれほど重苦しいものか。
僕がその圧力に押し潰されんとしたまさにその時、一匹の犬が通りに現れたのです。
「キャシー?」
「キャシー中島じゃないの」
僕と母は同時に声をあげていました。