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拝啓 米倉涼子様
私はあなたの犯した罪を永遠に忘れないでしょう。
あの思い出したくもない９月１１日、私の祖母は死の瀬戸際にいました。
お医者様の話では軽い脳梗塞とのことでしたが、その時祖母は九十二歳。
私たち家族にとって最後の一日になるだろうと覚悟し、涙をこらえて看病いたしました。
嫌な予感というものは的中するものです。
夜７時を過ぎた辺りから祖母の容態は急変しました。
１２年前に他界したはずの祖父に話しかけ始めたり、そばにいるはずの私たちに「みんなどこにいるんだい」と言い出したり・・・。
きっと祖母は目が見えなくなっていたんでしょう。
真っ暗闇の中で祖父の幻覚を見ていると思うと、大泣きせずにはいられませんでした。
ですが祖母は「ゆきえ、何を泣いてるんだい。お前はいつも笑ってる子じゃあないか。泣いてたらみんなに笑われるよ」と言ったのです。
私は思いました。今夜が祖母との今生の別れになるだろうと。
ならば最後は普段のように笑いながら見送ってあげようと心を決めました。
でもこんな状態では笑うことができませんでした。
そんな私を見かねた父が、「８チャンネルでお笑い番組やってるぞ」と教えてくれました。
意を決してフジテレビをつけると、芸人さんたちや、今をときめく綺羅星の如きスターたちが楽しそうに笑っておりました。
祖母が、「みんな楽しそうだねぇ。何を話してるんだい」と微笑を浮かべながら呟きました。
「おばあちゃん、今ね、米倉涼子さんのNGシーンがね」と私が言った瞬間でした。
『先週のシーンの最後の、ハッ！Booooooooooooooo！』と、あなたの屁が聞こえてきたのです。
「何でこの歳になって米倉の屁を聞かされなきゃならないん・・・」というのが祖母の最期の言葉でした。
私はあなたを絶対に許しません。
匿名希望 ゆきえ（１６歳）