11/08/20 00:25:44.92 hPkmSRgw0
【体育館の絵】5/5
その後喫茶室で今どんな仕事してる、誰だれが結婚した、なんて一頻り地元トークで盛り上がった後、Aくんは「あの絵を描いた人に聞いたんだけどさ」と唐突に切り出し始めました。
Aくんの話を要約すると、
あの絵を描いた画家は戦時中に出征し、その間にご家族を亡くされたのだそうです。
その後、戦地を引き上げた彼が亡くなったご家族の写真をモデルに描き上げたのがあの絵で、せめて満足に勉強したり遊べなかった子供たちのために、と小学校に寄贈されたとのことでした。
また、その画家の方は2年前に亡くなられたのだそうです。
帰り際、ふと私はAくんになんであの絵が資料館で公開されなかったのか尋ねてみました。
するとAくんは、ぽつりと。
「同僚が言うには、何度修理してもすぐボロボロになるんだよね……」
そう言って資料保管室と書かれた不自然に真新しい木製のドアを指差しました。
そして、ドアの異常は2年ほど前にパタリと起こらなくなり、気がついた時には絵が元の姿……かつてBくんが見つけた白黒写真の中の絵のような格好に戻っていたのだそうです。
まるで画家が亡くなった2年前に合わせて、とでも言うように。
今になって思います。
ひょっとするとあの絵の子供たちは体育館で無邪気に遊んでいたんじゃないかと。
母親はご主人と会えるのをずっと待っていたんじゃないか、と。
そう――文字通り首を長くして。
【完】
158:ユウ ◆pK2t4W3twQ
11/08/20 00:25:53.82 w273qgce0
三十八本目の蝋燭が消えました・・・
キツネ ◆8yYI5eodysさん、ありがとうございました
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メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、第三十九話をお願いします
159:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs
11/08/20 00:26:33.82 YQD1C8J80
【愛犬】
我が家では妹が小学生になったときに一匹の犬を飼い始めました
その犬は妹が結婚し家を出る三か月前、19歳で亡くなりました。
その翌年、妹がお盆に帰省して来た時でした
妹が居間に入ったところ 「パタン・・・」 と戸棚の上にあった愛犬の写真が倒れ
妹の足元に落ちたのです。
それはまるで、いつも妹の足元でじゃれていた愛犬の姿そのものでした・・・・・
【終わり】
160:ユウ ◆pK2t4W3twQ
11/08/20 00:26:49.70 w273qgce0
三十九本目の蝋燭が消えました・・・
メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、ありがとうございました
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ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、第四十話をお願いします
161:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 00:27:18.07 hPkmSRgw0
冷たい
冬の出来事。
私は仕事を終え、お風呂に入ってベッドに潜り寝て居ました。
寝返りを打とうと足を右側に伸ばしたら、足にあたって
その足がすぐに引っ込みました。
起こしちゃったと思って「あ、ごめん」って言おうとした時、気づいたんですよ。
私、一人暮らししてるんです。当然一人で寝てたんです。
何か、壁に当たったのを勘違いしているんじゃないかと思ってもう一度、怖いけどもう一度
さっきの場所に足をやってみたんです。
もちろん、布団以外にあたるものなんてありませんでした。
私のベッドはセミダブルベッドです。だけど私はもう、かなり前からの癖で左側ぎりぎり、
落ちるか落ちないかという場所で寝るという癖がついています。
あたった足はとても冷たかった。とっさに布団とっちゃってたのかな、あっためてあげようかな…
とまで思ってしまいましたが、無くなってくれていて、良かったです。
それから起き上がるまでに時間がかかりました。
だって、もしバラバラの手足なんかが布団のどこかから出てきたら、嫌ですから。
162:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 00:27:58.88 hPkmSRgw0
【完】
163:ユウ ◆pK2t4W3twQ
11/08/20 00:28:07.90 w273qgce0
四十本目の蝋燭が消えました・・・
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、ありがとうございました
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4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、第四十一話をお願いします
164:本当にあった怖い名無し
11/08/20 00:28:10.48 nNMa4s+N0
やっべ全然漢字読めねーw
誰か振り仮名つけて
165:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg
11/08/20 00:29:01.18 TPh0jBLo0
【先生に聞いた話し】
高校生の頃、担任の先生に聞いた話です。
高校のすぐ近くのK大という大学を、2~3年前に卒業したばかりの、若い先生でした。
『学校の近くに"出る"って有名なアパートがあってなぁ。
噂は色々とあったけど、家賃がめちゃくちゃ安かったんで、全然気にしないで住んでた学生も結構いたんだよ。
ある時、先輩がそこのアパートを出るっていうんで、空き部屋に入らないか?っていう誘いがあったんだ。
当時は貧乏だったから、もう二つ返事で引っ越した。
最初の夜は、引越しの手伝いに来てくれた友達と飲んでそのまま寝ちゃったから、何も出なかった。
翌日、初めて一人で寝てたら……
出たね。
夜中にふっと目が覚めて、何気なく部屋を見渡したら、足元の方に赤い服着た女が立ってるんだよ。
わっ!と思った瞬間、金縛りに逢って動けなくなっちゃって…。
で、その女が、足元から近づいて来るんだけどさ…手をこう…首を締める時みたいな形にして、
前に突き出しながら…一歩一歩にじり寄って来るわけよ。
もう死に物狂いで動こうと思ったけど、途中で気を失っちゃってね、覚えてないんだけどね。
朝起きたら、首の周りに赤く指の跡みたいなのがついててさ…。
もう速攻その部屋出たけどね。
そのアパート?
あぁ、まだあるよ。
K大に行くやつがいたら、紹介してやるぞ?
ははは…。』 -おわり-
166:ユウ ◆pK2t4W3twQ
11/08/20 00:30:10.96 w273qgce0
四十一本目の蝋燭が消えました・・・
4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、ありがとうございました
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りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、第四十二話をお願いします
167:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 00:30:37.07 hPkmSRgw0
りほ ◆aZ4fR7hJwM様
1/3
・一方的な雪合戦
長野でのお話。 夏の時期に申し訳ないのだが、雪庇というものをご存知だろうか?
屋根や木の枝に積もった雪が自重に耐え切らなくなったか、
もしくは何かの弾みでドサッと落ちてくるという物である。
雪と聞けばたわいもないように思えるかもしれないが、
昼の日差しで溶け、夜の寒さで固まるといった循環を繰り返したそれは
もはや雪と言うより氷塊といったものである。
それが音もなく頭上から落ちてくる。
場合によっては木の枝ごと落ちてくるのだから、なかなか恐ろしいものである。
そんな真冬の出来事を一つ。
あれは大学3年の冬。時期で言えば2009年の12月と記憶している。
春夏冬と毎回休暇になると祖父母宅に行っては釣りをしたり、
山小屋の整理、畑(土地)の手入れをしたりして過ごしているのだが、
春や夏に比べると冬は雪のせいでやれることが少なくなるし、釣りも禁猟である。
周りにはスキーや温泉だと楽しみを持つ者もいるのだが、
それらに興味の無い自分には少々退屈な時期だ。
168:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 00:31:18.19 hPkmSRgw0
2/3
しかし、冬でしか出来ないこともある。それは釣り場の探索だ。
夏には崖下や藪が生い茂り、釣行するのに難儀な場所でも冬の間なら
雪の上を進むことでより行動範囲を広めることも出来る。
雪上を進むのはそれなりにしんどいのだが、
普段は行かない場所で思いもしない良ポイントが発見できれば、
春からの釣りがまた一段と楽しいものになる。
そういう理由から冬の間は新たなポイントを探すべく、沢や森中を探索していた。
そんなある晴れた日、山小屋へ向かう途中にある小さな沢が目についた。
普段通り過ぎる場所であるのだが、もしかしたら奥に行けば良ポイントがあるかもしれない、
道から簡単に入れるので、もし良ければ今後のポイントの一つになるだろうという思いから探索を始めた。
車を降り森の中を歩く。耳の端に僅かに聞こえる水音を頼りに、先ず沢を目指す。
雪上を歩くにあたっては雪庇だけではなく、跳ね返りや天然の落とし穴にも注意しなければならない。
跳ね返りというのは枝に積もった雪の重さで曲がり、しなったまま雪に埋もれている木である。
重しとなって乗っている雪が無くなれば、勢い良く飛び出してくる場合があり、
あたるとちょっと痛い。 また、雪は地面ではなく藪の上に積もっている為、
気をつけなければズボッとはまる事もある。 それらに気をつけつつ、
30分ほど進み沢へ出、そこから沢沿いに上流へ10分ほど歩いた時、
ひらけた場所を見つけることができた。
さて、ここはどうだろうかと吟味している中、何かが頭に当たった。
169:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 00:31:59.25 hPkmSRgw0
3/3
大きさはゴルフボールくらいだろうか、感触からすると雪。
まぁー、天気も良いし、日差しで解けた雪庇だろうと思ったところにまたポンと頭に当たる。
やれやれと、雪庇が当たったであろう後頭部についた雪を払ってる内にふとおかしなことに気がついた。
雪庇というのは上から落ちてくるはずである。
何故後頭部に当たるんだ?そう考えてる間に今度は右耳付近の側頭部に当たった。
思わず飛んできた方角に目をやる。 …いや、雪庇だと思ったが、
もしかしたら跳ね返りで飛んできた雪かもしれん。
しかしそれならば他にも雪上に飛んできた跡があるはず、
なにより飛ばしたであろう木が直ぐ見つかるはずだ。
だが、周りを見渡してもその様な跡も木も無く、目に付くのは自分の足跡だけである。
必死に理由を考えている間にまた当たる。
流石にムカッときたので、足元の雪を硬く握り、
飛んできた方角へ思いっきし雪球をブン投げてやった。
その瞬間、後頭部にポンではなくゴツッという鈍い衝撃が走る。
氷だろうか、先程よりも一回り大きく、そして硬いやつが当たった。
…もう考えるのは止めだ、帰ろう。 森の中を抜ける途中にもいくつか頭に当たった。
流石に氷ではなく、最初のような雪だまであったが、反応はせずに車に戻り帰宅した。
あんな一方的では勝負にならん。あの沢にはそれ以来行ってないが、
今度はロケット花火でも持っていってやろうかと思う。
【完】
170:ユウ ◆pK2t4W3twQ
11/08/20 00:32:03.31 w273qgce0
四十二本目の蝋燭が消えました・・・
りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、ありがとうございました
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のぶえ ◆mF3J5kfOroさん、第四十三話をお願いします
171:のぶえ ◆mF3J5kfOro
11/08/20 00:34:39.33 S3jNAwBG0
部屋(1/3)
東京の大学に入って、最初の夏の話だ。
空調の利いた部屋でぬくぬくと布団をかぶり、夏虫の合唱を聞きながら過ごす夏はとても趣があることに気付いたのはこの頃。
その夜も俺は、座椅子に腰掛けて文庫本を読んでいた。中古で二十円の破格に期待など皆無だったのに、存外に夢中になってしまった。
本を閉じたとき短針は二時を回っていた。
翌日は、朝の十時から約束があることを思い出す。
少し考えてから眼鏡を外し、座椅子の背もたれをぐっと下ろすと、俺はその上に寝そべることにした。
朝にちゃんと覚醒できるように電気も空調も付けたままだ。
黄ばんだ毛布を被ると、すぐに俺は寝入った。
目が覚めた時、どれだけの時間が経っていただろうか、ここに記すことはできない。
なにしろ時計を確認することが出来なかったのだ。
俺は金縛りにあっていた。
こうなっては時間の経過を待つより他ないと、経験上知っていたものの、物のためしと俺は闇雲に身体を動かしてみた。
結果、閉じられた瞼が数ミリほどこじ開けられたような気がしないでもない。その程度の成果だった。
眼鏡を外していた上に半開きなものだから、視界はピントが合わず、余計にもどかしい感じになった。
このとき、時間を無駄にすることに耐えられなくて、九九など頭の中で唱えていた気がする。
172:のぶえ ◆mF3J5kfOro
11/08/20 00:36:43.12 S3jNAwBG0
(2/3)
仕方なく身を横たえたままにしていると、つと視界の端で何かが動いた。
最初は、何かの拍子でカーテンが翻ったのだろうといった程度の認識だった。
そんな暢気なものだから、次の瞬間に状況をより正確に理解したときの驚きは一入だった。心臓が鉛になったようだった。
動いていたのは戸だった。
玄関に続く戸が開き、そこから何者かが入ってきたのだ。
それまで、金縛りは何度も経験していた。
それを踏まえても、決して超常現象の類ではなく、身体の覚醒の不調によって説明できると信じていた。
しかし、今確かに、いるはずの無い何者かが迫っている。
恐怖で動けないでいるままの俺に、すり足で床を徐々に迫ってくるそれ。
真っ白になりそうな意識を繋ぎとめながら、俺はどうにか勇気を奮い起そうと、思いつくばかりの悪態を浮かべた。念仏が唱えられれば良かったんだが、生憎そんな高尚な語彙は持ち合わせていなかった。
そんな努力もむなしく、それは俺の足元に迫り、緩慢なしぐさで毛布に侵入を始めた。
俺は必死で即席念仏、もとい罵詈雑言を唱えようとする。
馬鹿野郎馬鹿野郎死ねハゲクソ死ねタコクソうぜえ死ねハゲクソ死ねハゲクソ死ねハゲクソ死ねクソ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
……
……
173:のぶえ ◆mF3J5kfOro
11/08/20 00:39:19.21 S3jNAwBG0
(3/3)
死ね
つと、祈りが通じたのだろうか。
その言葉が口を打って出たと思うと、俺の腹のあたりまで来ていたそいつはすっかり消えていた。
視力も回復していき、やがてだんだんと身体が動くようになった。
その間も震える体を鼓舞するために、持ちうる限りの汚い言葉を唱え続けた。
身体がすっかり覚醒すると、俺は立ち上がった。
毛布の中には、人ひとり分の空洞がぽっかりできていた。
進入路の戸は開いていた。
貧乏症の俺が、エアコンをつけたまま戸締りを忘れるということは考えられなかった。
思えば二時間の通学時間に嫌気がさした五月、不動産屋でその部屋を斡旋されたとき疑うべきだった。
清潔なクリーム色の部屋で、家賃は諭吉五枚。中央線まで歩いて五分。
決して悪くない条件だし、実際にマンションは俺が入った部屋を除いて満杯だったのだ。
部屋を出た今でも、たまにその前を通る時、カーテンをチェックするようにしている。
今のところ、半年ともった住人はいないようだ。
了
174:ユウ ◆pK2t4W3twQ
11/08/20 00:39:26.20 w273qgce0
四十三本目の蝋燭が消えました・・・
のぶえ ◆mF3J5kfOroさん、ありがとうございました
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メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、第四十四話をお願いします
175:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs
11/08/20 00:40:28.37 YQD1C8J80
【失踪事件】(1/2)
私の遠縁に当たるM氏
前々からいわゆる「見える」らしく時折「あぁ、ここ。いるよ。」なんてボソッと口にする方でした。
そんなM氏がある日の朝、いつものように会社に出社したはずが
会社から「出社してこないのですが・・・」と連絡が来たのです。
心当たりを探しましたが夜になっても見つからず捜索願を出すことになりました
翌朝、警察から「M氏の車が見つかりました」と連絡が入り現場に向かいました
家族の立会いのもと車内を確認しましたがかばんや携帯、その朝渡した弁当箱も車内に残されたままの状態でした。
176:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs
11/08/20 00:41:14.09 YQD1C8J80
(2/2)
いったいどこへいってしまったのか・・・?
そんな時、車内の捜索を続けていた警察官がトランクルームを開けたところいきなり大声を出したのです
見ると、トランクルームの中でM氏が横たわっていたのです。
恐る恐る起してみたところ・・・M氏は突然目を開き、錯乱状態で暴れだしたのです。
警察と家族で落ち着かせとにかく病院へ搬送されていきました
何が起きたのか、なぜこんな行動をとったのか未だに不明です。
ただM氏は救急車の中で延々と「逃げないと・・」「隠れないと・・」「追いかけてくる・・・」
とつぶやき続けていたそうです・・・・・
【終わり】
177:ユウ ◆pK2t4W3twQ
11/08/20 00:41:40.25 w273qgce0
四十四本目の蝋燭が消えました・・・
メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、ありがとうございました
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みそ ◆bJiVr4F5Agさん、第四十五話をお願いします
178:本当にあった怖い名無し
11/08/20 00:42:48.97 Cmvx5LT9O
語り部の皆様
まずタイトルの前に
第何話かをつけましょう
179:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 00:45:40.03 hPkmSRgw0
みそ ◆bJiVr4F5Ag様
第45話
山の寺にて
数年前のことです。
私はその昔、小学校で遠足に行った、山の中にある七不思議のあるお寺へ行くことになりました。
20数年ぶりに見るお寺は、前より寂れているようにも感じました。
しかし、思い出しながら七つ見て、懐かしいねと楽しみました。
一通り見ましたが帰るには時間も早いので、戻って買いものでもしようと言うことになりました。
と、友人が靴ひもが解けたので先に行ってと言いました。先に行くのも何なので、少し進んだ所で待つことにしたのですが。
「おい、おい」
肩の後ろではっきりと、低い男の声が聞こえました。
私(ん?呼んだ??)
友人の声ではなかったので私の事とは思えず、疑問に思いながらも無視しました。
丁度七不思議のひとつ、開かずのトイレの前でのこと。そこからつい目をそらしました。
間もなく友人もきて、男の人が居たか聞いてみたのですが、いないよとの事。
そして突然鳴きだす多くの鴉の声。
私はうすら寒くなって、友人の手を引っ張り、急いで車に乗り出ました。
帰宅後、祖父にその話をした所。
「返事しないでよかったなぁ。答えたら天狗か何かにでも連れてかれたんじゃねえかな。
知らねえ奴に呼ばれたら変事すんなって、教えといてよかったなぁ。」
霊感の無い私が体験した、唯一の不思議な体験です。(完)
180:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 00:46:34.87 BV43BcX/0
四十四本目の蝋燭が消えました・・・
みそ ◆bJiVr4F5Agさんさん、ありがとうございました
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釣り人 ◆sRCidpIShE、第四十六話をお願いします
181: ◆x6s/29sxi2
11/08/20 00:47:38.86 SBIpZAcr0
妄想乙w
182:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 00:48:44.06 kNyTOn2o0
第46話「中の人」
今夜は夜釣りに良い潮なんで張り切って出かけたんだけど
時々小雨も降るし、なんか遠くで雷がピカピカするし、
早々に切り上げて帰ってきたよ。帰りに缶コーヒー買って飲んだら
思い出した話があるんだ。確か98年の冬だったと思う。
釣りに行ったとき利用する自動販売機ってあるかい?
オレの良く行く釣り場は、駐車場の出口近くにいくつか自動販売機がある。
その中に、缶じゃなくて紙コップのコーヒーが買える奴があるんだ。
寒ーい日には釣りの帰りにホットコーヒー買うのが楽しみでさ。
一杯(?)70円で他より安いのも良い。お気に入りの販売機だった訳。
ただ100円玉を入れると10円玉のお釣りがジャラジャラ出てくる。
かじかんだ指で釣り銭取ろうとすると、落としたりして鬱陶しい。
だから50円玉が無い時は、なるべく100玉を1枚と10円玉を2枚入れて
釣り銭は50円玉1枚。これが何だかスカッとして気持ちいい。
でもその日は生憎財布に10円玉が1枚しか入ってなかったんだ。
183:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 00:51:38.35 kNyTOn2o0
しょうがないから100円玉を1枚だけ入れてホットコーヒーを買った。
砂糖入りでミルクは抜きのボタンを押す。いつも通りガタガタ音がして
コーヒー豆を挽いたあと、紙コップが出てきて抽出が始まる。
「釣り銭は10円玉3枚かー」と思ってたら、
その日はカチャッって1回だけ釣り銭の落ちる音がしたんだ。
「あれ?」って感じで釣り銭を取り出したら50円玉が1枚?
「変だな」とは思ったけど別に損した訳じゃないし、何だかラッキーだし。
そうこうしてるうちに「抽出中」のランプが消えたんで紙コップを取り出した。
そしたら...いつもより軽いんだよ、紙コップが。
紙コップの中をみたら、コーヒーが半分くらいしか入ってない。
何とも言えない妙な気持ちになったけど、。寒いし。まあ損はしてないし。
184:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 00:54:41.76 kNyTOn2o0
コップを口に運んでコーヒーを飲もうとしたら、
自動販売機の裏側あたりから、ハッキリ聞こえたんだよ。
小学生くらいの女の子の、けたたましい笑い声が...
深夜と言うより朝方に近い時間だ。背中がゾーッと冷たくなって
急いで車に戻って家に帰った。気がついたら袖口がコーヒーで染みになってる。
次の日は休みだったけどさすがに釣りに行く気にはならなかった。
今考えても、あの出来事が何だったのかはわからない。
酒の勢いで友達に話すと「妄想乙」とか「電波君」とか言われるけど、
あの甲高い、女の子の笑い声を思い出すと今でもゾッとするよ。
ま、それでもその釣り場には時々出かける。もうコーヒーは買わないけどね。
うまくいけば指4本~5本クラスのタチウオが4~5本釣れるとはいえ、
つくづく業の深い人種なんだよな。釣り人は。
(お終い)
185:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 00:55:38.16 BV43BcX/0
四十六本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、第四十七話をお願いします
186:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg
11/08/20 00:57:00.09 TPh0jBLo0
第47話 【先生に聞いた話し その2】
高校の先生が大学時代に住んでいた『出る』アパートには、それを承知で安い家賃のために
住み続けている学生もいました。
先生の先輩Aさんもその一人だったそうです。
ある日、Aさんの彼女が部屋に遊びに来ました。
こたつを挟んで向い合い、彼女はベランダを背にして座り、しばらくおしゃべりをしていましたが、
ふいに彼女が背後を振り返り、また前を向いてちょっと首を傾げました。
その後もしきりに背後のベランダを気にしています。
「何?どうかした?」
「ううん…」
彼女は暫く黙り込みましたが、突然立ち上がって猛スピードでA君の傍に寄って来たそうです。
「A君の後ろの、その食器棚のガラスに人の姿が映ってたの。
ベランダに誰かいると思ってびっくりして振り返るんだけど誰もいなくて…。
見間違いかと思って前を向くとやっぱりまだガラスに映ってて…逃げようと思ったけど怖くて動けなくて…。
ようやく消えたから、急いで逃げて来たんだよ!
外に立ってたのって、ひょっとして…アレ!?」
「ああ、あれ……外じゃなくて、中だから」
それっきりその彼女には、フラれたそうです。
ちなみにAさんの部屋には、入居前からあっちこっちにお札が貼られていたそうですが、そんなものは
全く無視して、トイレだの風呂だのにしょっちゅう怪しい人影が出没していたそうです。
Aさんは
「別に何かして来るわけじゃないから放っておいても大丈夫だよ」
とまるで気にせず、結局卒業までその部屋に居たのだとか。 -おわり-
187:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 00:58:19.19 BV43BcX/0
四十七本目の蝋燭が消えました・・・
4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、ありがとうございました
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よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、第四十八話をお願いします
188:よもや ◆t7bs99KZl0wn
11/08/20 00:59:03.28 gy7GSVb50
48話 [ おうちに帰ろう ]
― 再び、爺様から聞いた話。親友の方の体験談 ―
【1/3】
硫黄島(いおうとう)。
ここは、先の戦争にて亡くなられた方のお骨がまだ埋まっている。
ある悪天候の日、着陸しようとする機体があった。
車ですら、悪天候での運転は細心の注意を払い、気を使う。
ましてや、必要最小限の設備しかない硫黄島に、飛行機で着陸するならば
その気遣いは半端ではない。
自分の機位、姿勢、全てにおいて通常以上の注意を払わねばならない。
そんな中、ぽつり、ぽつりと灯(あかり)が見えてくる。
機位確認。最終チェック。
189:よもや ◆t7bs99KZl0wn
11/08/20 00:59:59.29 gy7GSVb50
【2/3】
機体が滑走路に近づき、滑走路灯が見えたところで着陸。
無事に着いて、ふと先ほどの灯を見ると、コースの誘導に
ベストの位置ではあったのだが、そこには…
設置された灯は、なかった。
では、あれは…。
任務を済ませ、本土に帰る日。
積荷が計算よりも重たく感じる。操縦桿に伝わる重さが違うのだ。
感覚的に、滑走路一杯使って離陸したくなる。
飛行中も、気を使う。
だが、本土に帰ると、本当に、本当に一気に軽くなるのだ。
御霊(みたま)がきっと、愛しい家族の下へ戻っていかれたのだろう。
190:よもや ◆t7bs99KZl0wn
11/08/20 01:00:11.05 gy7GSVb50
【3/3】
それ以来、硫黄島に飛ぶことがある日は、帰りに
「どうぞ、○○(地名)まで自分は戻ります。一緒に行かれる方はどうぞ。」
と声を掛けてから戻った。
その時は、ちょっと楽しそうな、嬉しそうなざわめきのような
雰囲気が感じられたという。
そして退官する日、「今まで有難う」「お疲れ様」という言葉を、
聞きなれた同僚の声以外からも、贈られたそうだ。
[ 完 ]
191:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:01:53.70 BV43BcX/0
四十八本目の蝋燭が消えました・・・
よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、ありがとうございました
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狐火 ◆QYJXQHmfdQDCさん、第四十九話をお願いします
192:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 01:07:17.72 hPkmSRgw0
狐火 ◆QYJXQHmfdQDC様
「赤いクレヨン」
ある夫婦が今まで暮らしていたアパートが手狭になってきたことと、貯金が溜まったので念願だったマイホームを購入することを決めた。
新築するだけの資金はないので中古物件で妥協することにして、不動産屋に相談した。
「出物だ」という価格の割には綺麗で適当な広さの中古住宅を購入することになった。
引越しを終えて新生活を始めた二人は、あることに気がつく。掃除した後でも廊下に赤いクレヨンが落ちていることがあるのだ。
夫婦は不動産屋に「この家で何かあったのか」と聞くが、不動産屋は「そういった事件は起きていない」と答えた。
しかし、何か思うところあったのか不動産屋は夫婦の元を訪れて家を再検証することにした。何も変わったことはないように見えたが、
不動産屋は家の間取りから「存在しなければならない部屋」があることに気づく。不動産屋は夫婦に了解を取って、夫と一緒に壁を壊し、隠されていた部屋を発見する。
部屋の壁には赤いクレヨンで「オカアサンダシテ オカアサンダシテ オカアサンダシテ オカアサンダシテ……」とびっしり書かれていた。
貴方も住宅を購入した際、間取りが変わっていたら注意してください。
賃貸だとリフォームされた間取りが以前に何かあったかもしれませんよ。。。?
完
193:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:07:41.59 BV43BcX/0
四十九本目の蝋燭が消えました・・・
狐火 ◆QYJXQHmfdQDCさん、ありがとうございました
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4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、第五十話をお願いします
194:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg
11/08/20 01:08:04.10 TPh0jBLo0
第50話 「玄関先の老婆」 【1/2】
うちの母が私を産んだばかりの年のお盆に、実家に里帰りした時の話しです。
当時の母の実家は、祖父が退職時に購入した平屋の中古物件でした。
既に母は嫁いで家を出ていたので、母がその家に泊まるのは、その日が初めてでした。
姉妹全員が集まった事もあり、祖母を含む女性達は、全員で縁側付きの部屋に集まって寝る事にし、
遅くまでおしゃべりを楽しんで、眠りについたのは日付が変わってからだったそうです。
台所に一番近いところに祖母が寝て、間に姉妹が、母は縁側に一番近い位置で寝ていました。
初めて泊まる部屋で、母はなんとなく寝つけず、何度も寝返りを打っていたそうです。
少しウトウトしかけた時、ふいに足元の襖が開く気配がしました。
母がそちらに目を向けると、開いた襖の向う…玄関のある板の間から、誰かがこちらを覗き込んで
いるのが見えました。
『おかあさん…?部屋が狭いから、一人であっちに移ったのかしら?』
覗き込んだ人影が、なんとなく年輩の女性っぽかったのと、覗き込んでいた位置が、随分下の方だったため、
祖母が板の間から寝そべったままで、襖を開けてこちらを覗き込んでいるのだと母は思いました。
195:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg
11/08/20 01:09:29.31 TPh0jBLo0
【2/2】
突然その人影が、這うようにして部屋に入って来て、一番台所に近い所で寝ていた者の傍ににじり寄りました。
そちらに目を向けると、寝ていたのは祖母でした。
では、今入って来たのは…?そう思った瞬間、体が金縛りに遭ったかのように動かなくなりました。
その人影は、向こう側から順に、一人一人顔を確認するように覗き込んでは移動を繰り返し、とうとう母の
ところまでやって来ました。
人影は、老婆でした。
老婆は母の足元から少しずつ這い上がって来ます。その重さたるや、とても老婆のものとは思えず、胸が潰さ
れて息が出来ない程です。
そして老婆は母の顔を覗き込むと、ニタ~ッといやらしい笑みを浮かべました。
…母はそこで気が遠くなり、気付いたら朝だったそうなのですが、あまりにも胸が苦しいので、念のため病院に
行って検査をしたら
『まるでもの凄い力で締め付けられたみたいに、胃が上に上がってますよ。』
と言われたそうです。
その後、祖父がその家を買う前に住んでいた人が、嫁姑の仲がたいそう悪かったのだという話しを近所の人
に聞いたそうです。
気の強いお嫁さんは、玄関先の狭い板の間にお姑さんを閉じ込め、他の部屋には絶対に入らせないようにして、
自分は縁側や勝手口から出入りをしていたそうです。
お姑さんは寒い玄関先で不自由な生活を強いられ、とうとう体を壊して亡くなってしまいました。
近所の人の話しでは、お嫁さんはうちの母にちょっと雰囲気が似た人だったそうです。
ひょっとしたら、あの時老婆はお嫁さんの顔を確認してまわっていたのかもしれません。
-おわり-
196:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:09:56.85 BV43BcX/0
五十本目の蝋燭が消えました・・・
4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、ありがとうございました
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釣り人 ◆sRCidpIShEさん、第五十一話をお願いします
197:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 01:12:27.25 kNyTOn2o0
第51話「波間から呼ぶ声」
かなり長いです。規制が少し心配。
かなり前のことだけれど、夏休みに
高校の仲間で、ある小さな島の民宿に泊まったんだ。
夕食を食べたら民宿の近くの砂浜に出て投げ釣り。
仕掛けを入れたら火を焚いて無駄話、最初は女の話とか...
火なんか焚いてにぎやかにやってちゃ魚なんか釣れない。
そのうち自然と怖い話大会になってきた。
なぜかっていうと仲間の一人、U君がすごい怖がりで
怖い話するとマジで怖がるから面白い。
その夜もU君は、
「夜釣りは怖いけど部屋に一人でいるのはもっと怖いから」
いやいやながら一緒に砂浜に来てたらしい。
怖い話大会になってしばらくの間
U君は「よせよー。そんなの怖いじゃん。」とか茶々入れてて
みんなもそれを面白がってたんだけど
そのうち怖い話が妙に盛り上がってきて
みんないつの間にかU君の事を気にしなくなった。
198:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 01:16:57.17 kNyTOn2o0
みんなで妙に盛り上がって怖い話を続ける内、変な感じがしてきた。
焚き火は勢いよく燃えてるのに、何だか妙に寒いんだよ。
時計をみたら未だ11時過ぎ、ビール沢山飲んでたけど小便したい訳でもない。
それとなくみんなの様子をうかがうと、
みんなも腕とか脚とか、さすりながら話を聞いてる。
オレだけじゃないんだって思った時に、変な声が聞こえてきたんだよ。
最初は何て言ってるのか判らなかったし、誰の声かも判らない。
話を中断してみんなで顔を見合わせたら...声の主はU君だった。
祈るように指を組んで、下向いて何かブツブツ言ってる。
みんなシーンとして聞いてると、切れ切れに「呼んでる...」とか
「あそこ...ここにも ふたり さん..に...ん」とか聞こえてくる。
まずいと思ってU君に声をかけようとしたら
それより早く漁師の息子のAがU君の肩をつかんで
「おいU、U! 聞くな!返事もするな!」って怒鳴った。
だけどU君はすっと立ち上がると真っ暗な海の方向を指さして、
「あそこか...あそこで呼んでるのか...」とつぶやきながら
勢いよく燃える焚き火を踏み越えて、海へ向かってヨロヨロ歩き出した。
一瞬呆気にとられて、ボーッとU君の後ろ姿を見てたけど
すぐにみんなU君を追いかけた。波打ち際までほんの十数歩の距離だ。
199:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 01:19:40.59 kNyTOn2o0
オレ達はすぐにU君に追いついた。
最初オレが後ろからU君の腕をつかんで止めようとしたんだ。
(この頃には正直みんなビビッて声も出なくなってた)
でもU君はオレの腕を軽々と振り払った。
U君はやせててオレより背が低いのに、すごい力だった。
漁師の息子のAは野球部OBのKと二人でU君の腰に飛びついた。
U君は一度ヒザをついたが...すぐに立ち上がって
AとKの二人をひきずりながら(!)、また歩き出した。
波打ち際までもう数歩、U君の靴は濡れた砂に沈みはじめてる。
オレはどうしたらいいかわからなくなって、ふとU君の顔を見た。
...笑ってた。いま思い出しても寒気がする何とも言えない笑顔だ。
その時、オレは打ち寄せる波の音に混じって妙な音を聞いた。
女の人の悲鳴のような、男の人のうなり声のような。
それは次第に大きく聞こえてくる。
すーっと引きこまれるように音のする方に顔を向けようとしたら
額の内側で何かが弾けて耳の中で大きな声がした。
「見るな!」
あんまり大きな声で、耳がキーンとなってすごく痛い。
オレは我に返って思い切り怒鳴った。「持ち上げろ!」
AとKが暴れるU君を担ぎ上げ、みんなで民宿まで走った。
後ろから何かが追いかけてくる気がして怖くてたまらないし、
すぐ近くのはずの民宿が何故かやたらに遠い。
200:ユウ ◆pK2t4W3twQ
11/08/20 01:21:25.65 w273qgce0
さる避けっス
201:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 01:26:01.85 kNyTOn2o0
部屋に着いたらU君に布団をかけてみんなで押さえつけた。
しばらくするとU君はぐったりして眠ってしまったけど
オレ達は全然眠れない。並んで座ってひたすら朝を待った。
ようやく日が昇り、あたりが明るくなった。昼過ぎには宿を出発しなきゃならない。
各自荷物をまとめたけど、問題は砂浜に置いてきた釣り具とクーラーボックスだ。
よっぽどそのまま置いていこうかとも思ったが、
忘れ物だと思われたりしたら民宿のおばさん達に迷惑かけちまう。
熟睡してるU君をK達に任せて、オレとAは二人で浜辺にでかけた。
二人とも黙って焚き火の残り火を始末し、クーラーボックスの氷と水を捨てて釣り具を片づけた。
民宿への帰り道、不意にAが口を開いた。
「昨夜は助かったよ。Uを止めようとしたとき、海から変な声が聞こえてさ。」
「お前が怒鳴らなかったらオレ、どうしていいかわからなかった。」
黙っていた方が良いのか迷ったけど、オレもAに言った。
「それ、オレにも聞こえたよ。」
「海の方見ようとしたら、耳の中で見るなって声がしてそれで...」
「そうか...」って言うとAは困ったような顔でしばらく黙ったが
民宿が見えてくると「声の話、K達には黙っていような。」と言い、
オレが黙って頷くとAはオレの肩を軽く叩いて少し笑った。
202:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 01:26:50.58 kNyTOn2o0
民宿へ戻って部屋へ入るとU君はもう起きていて、
荷物をまとめていたけど別に普段と変わった様子はない。
目を覚ました後、Kが「昨夜の事憶えてるか?」って聞いたら、
「オレ何時頃寝たんだろ。お前が部屋まで連れてきてくれたのか?」って言ったらしい。
どうやら怖い話大会の途中から全然憶えていないようだった。
帰りの車の中でもU君は一人元気にはしゃいでいたが、
オレ達は、眠いし話題が昨夜のことにならないように気を使うしでえらく疲れた。
家に帰ってからしばらくは部屋で一人で寝るのが怖かったし
夜中にトイレ行きたくなって目覚ましたりしたら、もう最悪だった。
でももう何年も前のことで、あの夜のこともいつのまにか忘れてた。
たまたまこのスレッドの事知ってあの出来事を思い出したんだけどね。
「お終い」
203:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:27:29.52 BV43BcX/0
五十一本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、第五十二話をお願いします
204:よもや ◆t7bs99KZl0wn
11/08/20 01:28:44.78 gy7GSVb50
第52話 [ 女性専用車両にて ]
― 職場の女性から聞いた話 ―
【1/3】
朝の都営新宿線の先頭車両は、女性専用車両になっている。
男性は、体の不自由な人とその付き添い、または小学生以下の子供とその連れしか乗れない。
通勤時間帯に女性ばかりの車両に乗り込むのは勇気が居るせいか、
子供連れで乗っている男性は外国人くらい。
その外国人はニヤケていて非常にキモイ。が。まあ置いとく。
もう一人、どうみても、体が不自由とは思えない、吊り目の65歳~70歳位の男が乗っていた。
周りの女性は完全にスルー。しかし彼を中心にぽっかりと空間が出来ており、
その分周りは混雑していた。
そのうち、つり革の渡してある棒にぶら下がってみたり不審な動きをしだす。
女性達はそれでもスルー。
205:よもや ◆t7bs99KZl0wn
11/08/20 01:29:42.83 gy7GSVb50
【2/2】
不自然な空気の中、いくつかの駅を過ぎていく。
不審な男はそのまま、九段下の駅で降りていった。
その男の傍に居た、二人組が囁いていた。
「…あれ、身体障害者じゃないよね?」
「九段下って、朝鮮銀行が近くにあるんだよ」
「…そういえばつり目、だったね」
「触らぬ神になんとやら。禍国の国技に巻き込まれたくなかったら、
空気を読むのも大事なんだよ」
都会って怖い、と心底思った。
[ 完 ]
206:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:30:23.11 BV43BcX/0
五十二本目の蝋燭が消えました・・・
よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、ありがとうございました
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4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、第五十三話をお願いします
207:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg
11/08/20 01:31:01.89 TPh0jBLo0
第53話 「帰って来る女」 【1/2】
伯父が新婚の頃住んでいた社宅の話しです。
社宅はかなり古いものでしたが、二階建てで、夫婦二人でとりあえず住むには十分でした。
伯母は、最初の頃は、ここは何の部屋にして、あれはあそこに置いて…と楽しそうにしていましたが、
ある日気がつくと、二階の部屋が締め切られ、全く使われていない様子。
おまけに二階自体に全く上がっていないようなのでした。
理由を聞くと、部屋が広すぎるから、とか物干し台の日当りが悪いから、というような事を言うので、
伯父はそうなのか?とその時はさほど気に止めなかったそうです。
ところがだんだんと伯母の様子がおかしくなり、家中の雨戸を締め切り、窓の開閉や人の出入りにも
酷く神経質になっている様子。
妻の異変に気付いた伯父が事情を問いただすと、この家に越して来た頃から毎日のように同じ夢を
見続けているというのです。
最初は引越しの片付けの途中でうっかり二階の部屋で居眠りをしてしまった時の事でした。
208:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg
11/08/20 01:32:32.72 TPh0jBLo0
【2/2】
ガラリと玄関の開く音がして、ダダダっと凄い勢いで階段を上がって来る音がし、
部屋に見知らぬ女が入って来たのです。
その女は伯母をジロリと睨みつけると、あとは物も言わず、ただじっとこちらに背を向けたまま
部屋のまん中に座っているそうなのです。
それ以来、夜となく昼となく、同じ夢を見るようになり、ついには起きている時にまで、見るように
なってしまったそうです。
気味が悪くなって、二階の部屋の戸を締め切って入れないようにしてみましたが、効果はなし。
やがて伯母は取り憑かれたように家中の雨戸を締め切り、窓を締め切り、誰も外から入れないように厳重に
戸締まりをするようになり、すっかり人が変わったようになってしまいました。
慌てた伯父は、その社宅から退居することに。
後から上司に聞いた話しでは、以前に入居していた社員の奥さんが、あの社宅に入居した頃から
精神的におかしくなり、体面を気にしたその社員が、奥さんが亡くなるまでずっと例の二階の部屋
に軟禁状態にしてしまっていた、ということでした。
伯母の夢に出て来たのはその奥さんだったのでしょうか。
あるいはその奥さんも伯母と同じように、何かの怪異に遭遇していたのでしょうか。
-おわり-
209:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:33:43.47 BV43BcX/0
五十三本目の蝋燭が消えました・・・
4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、ありがとうございました
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半兵衛 ◆B/.3uvv0Gkさん、第五十四話をお願いします
210:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 01:36:51.38 hPkmSRgw0
半兵衛 ◆B/.3uvv0Gk 1様
1/2
【題目】猫のお迎え
ある時、我が家の庭にきれいな三毛猫が迷いこんできました。
どうやら、おなかが大きいようでした。
当初、祖母は飼うことに反対しました。
しかし、特に猫好きであった祖父が自分の部屋で飼い始めてしまいました。
猫は赤ちゃんを数匹生みました。
親猫と、貰われての見付からなかったメスの一匹を飼うことにしました。
いざ飼い始めれば、家族皆で猫達を可愛がりましたし、猫達も良くなつきました。
親猫はあまり鳴きませんでしたが、娘の猫は事あるごとに良く鳴いたことを覚えています。
十数年が経ち、親猫が死に、それから数年後に娘の猫も死にました。
親子猫とも十分に寿命であった思います。
それからしばらく経って、祖父が亡くなりました。
祖父の遺体は、お寺での通夜までの間、家の仏壇間に安置されました。
夜、私は仏壇間の隣の部屋で蝋燭の番をしていました。
211:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 01:38:08.15 hPkmSRgw0
2/2
うとうとしていましたが、小さい影のようなものが仏壇間に入ったように感じられました。
こっそり覗いてみると、一匹の猫が祖父の枕元で座っていました。
すぐに消えてしまいましたが、体の模様が三毛であったように思います。
その後、あまり間を置かず、祖母が急病で他界しました。
祖父と同じように、遺体はしばらく家の仏壇間に安置され、夜になって私は蝋燭の番をしていました。
すると、また小さい影のようなものが仏壇間に入ったように感じられました。
そのときに、祖父の時にも同じことがあったことを思いだしました。
そっと、様子を見てみると、一匹の猫が祖母の枕元で座りました。。
体の模様は薄ぼんやりしていて良く見えませんでしたが、一言鳴いて消えてしまいした。
祖母は当初、猫を飼うことに反対していましたが、後年、ペットは死なれると悲しいからと言うのを思い出しました。
自分達を飼い始めたてくれた祖父と、実質的には面倒を見ていた祖母に対して、
親猫と娘の猫がそれぞれに迎えに来てくれたのだと思っています。(終わり)
212:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:38:50.70 BV43BcX/0
五十四本目の蝋燭が消えました・・・
半兵衛 ◆B/.3uvv0Gkさん、ありがとうございました
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啓 ◆N5NMa8pQLuy1さん、第五十五話をお願いします
213:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 01:42:23.74 hPkmSRgw0
啓 ◆N5NMa8pQLuy1様
【後部座席】
RV車に乗っていた時の事です。
当時付き合っていた彼を助手席に乗せて、2人で深夜に映画を観に行こうとしてました。
信号で停まっていたら、偶然同じビル内で働いていた女の子達が横に並んで(車で)
窓を開けて「どこ行くの?」「彼氏さんですかぁ?」など会話をして
青信号に変わった瞬間に、私達の車の方が先に発進。
お互い「またねー」などとにこやかに手を振って別れたんだけど。
次の日。
そのコ達と「昨日は偶然だったねー!」と会話をしていたら
彼女達が笑顔で「あんなにたくさん乗っけて、どこ行ったんですかぁ?」と。
「え?彼氏と2人だったよ。」
「えー!何言ってるんですか後ろに3人?4人?乗せてましたよね?」
「え?彼氏と2人だったけど・・・」
「だって信号変わったとき、後ろに乗ってた人達も手を振ってくれましたよ」
と、普通に話されました。騙しているんだなと思ったのですが
私の顔色を見た彼女達が「ごめんなさい・・・けど、本当の話なんです。」と。
それからしばらくはいろんな人に「ちょっと、聞いたけど大丈夫?」と言われてました。
車を売却するときに、あまりの安値に驚いてわけを聞いてみると
いわゆる「にこいち」で、なんらかの理由で二つの車を一つにしたものと聞き
二度と中古車を購入することはしないと心に誓いました。
終わり
214:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:43:00.28 BV43BcX/0
五十五本目の蝋燭が消えました・・・
啓 ◆N5NMa8pQLuy1さん、ありがとうございました
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鳩太 ◆CHiCKevu8gさん、第五十六話をお願いします
215:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 01:43:18.82 hPkmSRgw0
鳩太 ◆CHiCKevu8g様
タイトル「旅客機」
1/2
小学校4年生のときの話。
その時は、体育の時間で校庭で体操をしていた。
真夏日で、ギラギラとする太陽光が見えそうなほどだったのを覚えている。
焼け付いたグラウンドで、僕ら生徒は校舎のほうを向き、先生の動きに合わせて汗を流していた。
突然、巨大なジャンボジェット機が校庭の裏山の方から校舎を超えてすっと姿を現した。
空を覆いつくすほど大きく、飛行機の陰で暗くなったグラウンドで僕らは一斉に声をあげた。
「飛行機だ!ジャンボジェット機だ!」
「すごい!すごいよ!」
しかし。
―極端な低空飛行だった。校舎の屋上に機体を擦りそうなほどに。
こちらから操縦席や乗客室の窓ガラスがはっきりと見える。
白いボディに青いラインのある機体だった。
飛行機はその後、向こうの空へ飛んでいき、やがて見えなくなった。
僕らはその後、飛行機のことをしばしば興奮気味に話したのを覚えている。
216:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 01:43:59.59 hPkmSRgw0
2/2
大人になってもそのことは不思議だった。
学校の裏手は山なのであり、周りは住宅地である。あれほどの低空飛行で飛べるはずがなく、
さらにジェットエンジン付の飛行機なのである。あのような飛行は不可能なはずだ。
しかし、しっかりとこの目で見た。
青いラインの曲がり加減や、その色合いまではっきり覚えていた。
僕だけでなく、未だに何人か覚えている友人達もいたこともさらに不思議がらせた。
あの真夏日に見た飛行機は一体何だったのだろう。
ある時、その飛行機の容姿をあまりにはっきりと覚えていたため、調べたことがある。
インターネットで「旅客機」と検索し、ひたすらに旅客機の写真をクリックしていった。
―ある写真で指が止まる。
イギリスの旅客機を写した写真。
機体の細かい所までも寸分違わぬものだった。
しかし、調べたところ僕のいた小学校を通るイギリス国際便の航路は存在しない……。
そして、思い出すと飛行機が飛んでいるときには全く音がしていなかった。
ジェットエンジン付であるはずの機体は無音のまま僕らの頭上を飛んでいったのである。
だが、未だに、真夏日の焦げ付くようなグラウンドで見た音もなく飛ぶ機影はしっかりと
僕の脳内に焼き付いて離れない。
217:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:44:37.72 BV43BcX/0
五十六本目の蝋燭が消えました・・・
鳩太 ◆CHiCKevu8gさん、ありがとうございました
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りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、第五十七話をお願いします
218:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 01:44:40.36 hPkmSRgw0
【完】
219:りほ ◆aZ4fR7hJwM
11/08/20 01:47:11.55 78szAUOU0
・対抗意識 【1-4】
長野でのお話。
あれは高校3年の夏。時期で言えば2006年8月だったはず。
来る夏祭り(八丁原のそば祭り)に向け、祖父と共に山小屋の整理をしていた時の話である。
夕方になり、祖父は会合と言う名の宴会へ行き、僕は近くの沢へ釣りに向かった。
真夏の当時、P8時まではギリギリ何とか目視できる時間帯であった為、それまでと考えていたが
急遽振りだした雹と雷鳴轟く夕立に合い、P7時にはヒィヒィ言いながら山小屋に撤退するハメになった。
P9時前には出来上がった祖父も戻ってきた。酒のせいか、はたまた雹を浴びたのかやけに髪の薄くなった頭が
赤くなっていたのを覚えている。
220:りほ ◆aZ4fR7hJwM
11/08/20 01:49:11.47 78szAUOU0
【2-4】
P10時頃になり、布団を引き就寝。
何時頃だろうか、ふとトイレに行こうとして妙な物音に気づいた。
道路に面した窓側の方から
「ガリガリ…ガリ」といった音が聞こえてくる。
ここが町中であったらギョっとしただろうが、山の中である。
動物が居て当たり前、家の中に虫や蛇が出て当たり前なこの場所では
その様な怪音も対して気にならず、トイレを終えた後に祖父に
「なんか家引っかいてる。どうする?」と聞いたところ
「あん?、追っ払え」などと言い出す。
とりあえず鼠にしてはやけに豪快な音を出しているので、狢か鼬だろうと思い、
ドン!と窓際の壁を蹴飛ばす。静かになったので戻ろうとしたらまた「ガリガリ…」。
221:りほ ◆aZ4fR7hJwM
11/08/20 01:50:21.35 78szAUOU0
【3-4】
鬱陶しいので今度はドンドンドン!と連続で蹴飛ばし、静かになったところでもう1発とした時、
いきなりドゴォォン!という車がぶつかった様な大音が壁の向こうから響いた。
あまりのことにしばし固まってしまったが、慌てて祖父に報告したところ、
「自分には聞こえなかった。もしや熊か猪かもしれんからちょいと見て来い」とほざく。
さすがに嫌だったし、それ以降音もしなくなったのでそのまま寝たが、
翌日音のした付近を見ると確かに何かが壁の下をほじくった跡があった。
しかし、熊や猪、鹿といった大型動物が引っかいたような跡ではなく、猫ほどの大きさのものがほったような感じだ。
222:りほ ◆aZ4fR7hJwM
11/08/20 01:52:16.22 78szAUOU0
【4-4】
結局あの音を出したのが何であったのかは未だ解らない。
ただ、思い返せばあれだけの轟音にもかかわらず、壁や窓は一切揺れることが無かった。
本当に音だけ。
ただ、幸いにも翌年からは自分が車の免許を所得したので、
祭りの会合後も小屋に泊まることも無くなった。
しかし、また同じような怪音に遭遇したときには、負けないようにロケット花火でもぶっ放してやろうと決めた夏であった。
~終~
223:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:52:41.34 BV43BcX/0
五十七本目の蝋燭が消えました・・・
りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、ありがとうございました
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メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、第五十八話をお願いします
224:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs
11/08/20 01:53:15.56 YQD1C8J80
第五十八話【パチンコ店】(1/2)
隣町にあるパチンコ店、8列目の入り口から4番目のところだけが台がなく鉄板が打ち付けられています
これにはある理由があると聞いています
以前、そのパチンコ店の駐輪場で1人の男性が首吊り自殺しました
その男性が自殺する数時間前、最後に打っていた台がその8列目の入り口から4番目の台だったのです
その後、その台では不可解な現象が立て続けに起きました
225:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs
11/08/20 01:53:59.28 YQD1C8J80
(2/2)
機械の誤作動、故障はあたりまえ、静電気が常に帯電しているのかいつも「パチッ!」とくる
最後には打っていた人が心筋梗塞で倒れ、救急車で運ばれるしまつ。
さすがに店側も「これではイカン・・・」と定休日に御祓いをし、台を撤去
そこを鉄板で封印したそうです。
だた、今でも深夜になると付近をうろつく不思議な影が目撃されるそうです・・・・
【終わり】
226:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 01:54:35.24 BV43BcX/0
五十八本目の蝋燭が消えました・・・
メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、ありがとうございました
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BIGGOD ◆UL0yNua03wさん、第五十九話をお願いします
227:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:00:05.97 hPkmSRgw0
BIGGOD ◆FXm8E9Lrd9Ak様
1/2
題名「死んでしまえ!」
プルルルルルル
プルルルルルル
「はい?何ですか?」
知らない番号からの電話。セールスマンの声を予想していた私は、
向こうの無邪気な声にほっとした。
『いまどこぉ?』
イタズラ電話かと思ったりもしたが、相手はまだ小さい女の子のようだ。
どうやら、家族か何かに現在地を教えてもらおうとし、番号を間違えたのだろう。
「あら、どなたかな?」
答えると、女の子は言った。
『ねぇ、いま、どこにいるのぉ?』
・・・聞こえてなかったのだろうか。
228:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:01:43.45 hPkmSRgw0
2/2
「ごめんねぇ、番号まちがってるみたい、じゃあね。」
子供への接し方が分からない私は、適当に済ませようとした。
『あたし、まこちゃん。』
受話器を切ろうとした所で、女の子は言った。
『いま、どこぉ?』
「まこちゃん・・・、まちがえてるわよ。」
『あなた、だれぇ?』
・・・。ずぅずぅしい子だと、私は少し腹を立たせ、答えた。
「うちは柴田ですよ。」
これでようやく、間違いだと気付いてくれる。
『・・・・。』
なのに、女の子は黙ったままだ。
『・・・・アッテルジャナァイ・・・・?』
急に恐ろしい声に変わったのに驚いて、私は受話器を放り投げてしまった。
『………』
受話器からは何も聞こえない。
もう相手はきってしまったのか・・・・・。
おそるおそる、受話器を耳に当てた・・・・・・
『 死 ん で し ま え ! 』
ビックリして、恐ろしくなった私は、友人の家に行こうと外へ飛び出した。
キキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!
ドカン
終わり。
229:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:02:21.64 BV43BcX/0
五十九本目の蝋燭が消えました・・・
BIGGOD ◆UL0yNua03wさん、ありがとうございました
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ガタロー ◆l7Mb16VB82さん、第六十話をお願いします
230:ガタロー ◆l7Mb16VB82
11/08/20 02:02:52.28 w+0JlsO40
【位牌堂の屋根裏】
1/2
俺の親父は電気屋やってるんだが、その親父が今から20年以上前に田舎にある菩提寺の位牌堂の
電気の配線を通す作業をやってた時の話
当時の配線工事は今と違ってかなり面倒な作業だったらしく、位牌堂の屋根裏で懐中電灯片手に
四苦八苦していたそうだ
昼過ぎに始めた作業は日もだいぶ傾き始め、親父はもう明日に回そうとか考えていたとき、
カシャ…カシャ…と位牌堂から屋根裏にかけたハシゴを上ってくる音が聞こえたそうだ
親父はてっきり和尚さんが遅くなったんで見に来たのかと思い
「暗くてなかなか仕事が進まないですよ」
と話しかけたそうだ
しかしハシゴを上った人は無言。何も返事は返ってこない
「和尚さん?」
親父は懐中電灯をハシゴをかけている屋根裏の出入り口に向けるが、
親父のいる場所からは結構距離が離れており、懐中電灯の光もあまり当たらない
しかしシルエット程度は分かる。そこに人の居る感じは無かった
231:ガタロー ◆l7Mb16VB82
11/08/20 02:03:55.49 w+0JlsO40
2/2
気のせいかと思うも気味が悪くなった親父は今日は終わりと道具を片付け始めた
その時。
『クフフ・・・』
子供の押し殺した笑い声が屋根裏の出入り口から聞こえてきた
親父は再び懐中電灯を向ける。やはり誰も居ない
子供のいたずらか。しかしこの寺は和尚さん夫婦だけで子供は居ない
ではこの部落の子供が寺で遊んでるのか。しかしもう時間が時間である
そんな事を頭の中で考えていたとき
『キャハハハハハハハハハハハハハ!』
バタバタバタバタバタバタ!!!!!!と屋根裏を誰かが走り回る音が
子供の笑い声と共に辺り一面に広がった
慌てて懐中電灯を音のする方に照らすが何も見えない
しかし子供は狂ったような笑い声を上げながら相変わらず走り回っている
親父は努めて冷静に道具を片付け、走り回る見えない子供の笑い声をヨソに
屋根裏の出入り口に辿り着き、ハシゴに手をかけた
『バイバイ』
ハシゴを降りる時にそんな声がすぐ真正面から聞こえたそうだ。
そして親父は離れにいた和尚さんに今あった話をした
「ここはお寺ですからね。何でもいますよ」
和尚さんはそれ以上はあまり語らなかったらしい。
翌日、親父は和尚さんをハシゴの下に留め置いて配線作業を終わらせたそうな。
【終】
232:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:04:39.55 BV43BcX/0
六十本目の蝋燭が消えました・・・
ガタロー ◆l7Mb16VB82さん、ありがとうございました
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あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、第六十一話をお願いします
233:あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM
11/08/20 02:05:19.74 8+aRKMPa0
「頬」
昔の事です。私はしょっちゅう金縛りに合っていました。
主にアパートで起こる事が多かったように思います。
部屋の隅から斜めに向かって台所に走る子供たち。
数人いるのかパタパタと駆ける足音と笑い声。
自分の足元を何度も行き来する誰か。
頭の方でカサカサうるさいビニール袋。
怖いのでお経を唱えてると突然大声で叫ばれたり……!
そんないろいろな金縛りの中で一番怖かったもの、それは…
今住んでいる部屋は8畳一間で、布団を敷くと周りには誰も座れないのです。
それなのに私の頭の上に白い着物の女の人が正座しました。
私はキタ!と思って身構えました。
すると私の顔を覗き込む様にして女の人は前にかがみ、私の顔を眺めてから、突然、
私の頬を両手であごの方からすうっ…と頭の方にさするのです。
それを何度も、何度も…
私は今までで一番声を殺し石の様になりながら「出ていけ!出ていけ!」と心の中で
叫び、気配が消えるのを待ちました。
霊に触られたのはこの時が初めてでした。
「完」
234:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:06:14.43 BV43BcX/0
六十一本目の蝋燭が消えました・・・
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、ありがとうございました
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Yenn ◆3qDMUSp0ngさん、第六十二話をお願いします
235:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:08:30.97 hPkmSRgw0
Yenn ◆3qDMUSp0ng様
「ありがちな話」
深夜のファミレスからの帰り道。
まっすぐな道を、当時の彼氏の自転車の後ろに座って、ぼんやりすすでいた。
ふと顔をあげると、前を先行する自転車が見えた。
ふらふら進んでいて、進行速度は速くないから、このままの直線で追い抜くことになりそう。
よく見ると制服を着ているようで、それが警察のそれに見えた。
彼氏は飲めなくて素面だったけど、さすがに二人乗りで深夜だし、
これは彼氏とめた方がいいかなあと思った。
その直後、アタシが彼氏を止める前に、その自転車は川の手前の脇道にそれた。
フラフラしながら巡回とか大丈夫か?と思って、警官が曲がった道の先を覗き込んだ。
そこはせいぜい20畳ほどの大きさの墓地で、その小さな入り口以外壁に囲まれた行き止まりになっていた。
当然、そこに自転車も警官も、何もない。
アタシは何も言えず、そのまま家まで黙ったままだった。
帰って少し落ち着いて、彼氏に「あの警官、なんだったんだろうね?」と話しかけた。
理屈のつく説明がほしかったし、笑って済ませるならそれで気味悪さを吹き飛ばしたかった。
アタシはその選択を後悔した。
彼には前を行く自転車なんて見えてなかった。
【完】
236:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:09:12.73 BV43BcX/0
六十二本目の蝋燭が消えました・・・
Yenn ◆3qDMUSp0ngさん、ありがとうございました
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釣り人 ◆sRCidpIShEさん、第六十三話をお願いします
237:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 02:14:47.69 kNyTOn2o0
第63話「大きなヤドカリ」
ある日、夜釣りに出かけた。よっぽど条件が良かったのか
その日はひっきりなしにアタリがあったんだ。それこそひっきりなしに。
良型のコトヒキやホシミゾイサキ、それにゴマフエダイ。
小さなクーラーボックスに釣れた魚をどんどん入れる。
いつもの近場で、まさかそんなに釣れると思ってなかったから、
持参した餌「半ボイルオキアミ」の残りが少なくなってきた。
夜遅くなるにつれ、釣れる魚のサイズは大きくなってきてたから、
餌不足で釣りを止めるのも悔しい。他の餌はないかと考えた。
そしたら、波打ち際から少し離れた草むら近くに
オカヤドカリが沢山いるのを思い出した。
オカヤドカリを貝殻から引きずり出し、腹の部分をちぎったものは
最高のエサになるって聞いたことがあったんだ。
238:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 02:16:56.77 kNyTOn2o0
オカヤドカリを何匹か捕まえて、殻を割ってエサを確保。
それを使って3投目、60cm超のハマフエフキが釣れた。
こりゃ、オカヤドカリ追加で確保するしかないよね。
もう一度草むらに戻ってオカヤドカリを探す。
ガサガサ音がして、ヤコウガイの殻に入った大物が歩いてる!!
「よっしゃあ!」って貝殻捕まえてひっくりかえす。
大きなハサミに気をつけて中身を引きずり出そうとしたら、
貝殻からでてきたのは、ヒトの手だった...色白の細い指5本。
どうやって釣り場から家に帰ったのか憶えていない。
竿とクーラーボックスは持って帰ってきてた。
すごく、気味の悪い体験だった。
239:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 02:17:21.74 kNyTOn2o0
「お終い」
240:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:17:47.71 BV43BcX/0
六十三本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、第六十四話をお願いします
241:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:18:35.45 hPkmSRgw0
ワープロ室
1/3
私が高校生の頃に体験したお話です。夏のはじまり頃だったと思います。
当時、私は演劇部に所属しており、台本の作成を一人でしていました。
兄から貰ったワープロを学校に持ち込み、あれやこれやと話を考えていました。
ワープロを使う時は、図書室へ行ったり、部室へ行ったり、
K先生のパソコン室などを使わせて貰っていました。
放課後、私は部活を抜け、台本を書きに先生のパソコン室に行きました。
その日もこっそり、先生はお茶とお菓子を用意して待っていて下さいました。
私はお茶を飲みながら台本を、先生は授業用のプリントを作っていました。
気づくと、冷房を入れているはずの部屋が少し暑くなっていました。
ドアを見るとあいています。私が来た時、しめたはずなのですが…。
閉めに行こうかと思って席を立とうとした時です。
室内からかすかに話し声が聞こえました。
「先生のところに誰か来てたんだ…集中してて気づかなかったんだな」
私はそう思い、再びワープロに向かいました。
242:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:19:16.63 hPkmSRgw0
2/3
5分くらいたったでしょうか、ふとまたドアを見ると今度はしまっていました。
作業する手をとめ、振り返り先生にたずねました。
「先生、どなたか…」
いらっしゃってたんですか?と聞く前に先生の後ろに立つ学生に気づきました。
「あ…すみません。」
私は急いで目をそらし、ワープロに向かいました。
何故なら、その学生が私の事を睨んでいたからです。
あまりにもすさまじい形相をしていたので少し声が震えていたかも知れません。
それなのに先生は私を呼びました。
私は出来るだけ関わりたくないのに…先生は私の名を何度も呼びます。
仕方なくもう一度振り返ろうと、ワープロから目をはなした時でした…。
ドアの前に、先ほどの学生が教室を背にして、
つまり、私たちに背をむけて、ドアぎりぎりのところで立っていました。
異変に気づいたのはその時でした。
何故彼女はドアをあけようとしないのだろう。
何故ドアの真ん前にたったまま、動かないのだろう。
見ちゃいけない…
そう思う気持ちとは裏腹にその彼女から目が離せないでいました。
243:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:19:58.27 hPkmSRgw0
3/3
私の視界にネクタイが映りました。顔を上げると先生がいます。
先生は冷房のきいている部屋でひたいに汗をかいていました。
そして、ゆっくりと私に尋ねました。
「おまえ…なにか…みたか?」と。
私は何も言えませんでした。先生が、否定して欲しそうな顔をしてたからです。
私が首を横にふると、先生もうなずきました。
しばしの沈黙の後、「なぁ…」
先生が先に言葉を発しました。
「さっき、俺に話しかけたよな?どうして途中でやめたんだ?」
やはり先生は気づいていなかったようです。何者かが背後にいた事に。
少し悩んでから、私は先生に打ち明けました。
声が聞こえた事、室内に他の生徒がいたような気がした事を。
「やっぱりか…」先生はつぶやくと、私に帰り支度をするように言いました。
どうやら私を家まで送ってくれるようです。
その日は珍しく、私が靴を取りにいくのにもついてきて、
靴を持たせたまま、教員用の下駄箱まで一緒に行き、
そのまま先生の車までとぼとぼと歩いて行きました。
学校からでれて安心したのか、
先生はすっかり普段の「とっつきにくそうな先生の顔」をしていました。
家の前まで送って貰い、先生にお礼を言って家に入りました。
玄関に鍵をして、自分の部屋に荷物をおいて着替えようとしていた時です。
居間から「おかえりなさい…」と声が聞こえました。
おかしいんです。家は私が中学生の時から夜は誰もいないはずなのに。
その時の私に、誰がいるのかを確認する勇気はありませんでした。
【完】
244:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:20:20.43 BV43BcX/0
六十四本目の蝋燭が消えました・・・
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、ありがとうございました
γ
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. l| !| i""!|
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〈| 'J |! }j :}
_ノ;し i} {J |
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コッソリ ◆.PiLQRq.0Aさん、第六十五話をお願いします
245:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:21:25.56 hPkmSRgw0
コッソリ ◆.PiLQRq.0A様
題名:【臭い】
(1/2)
僕が小学校3年の頃、ある友人がいました。仮に、彼の名前をT君としておきます。
T君は身体を動かすことがとても好きで、彼と遊ぶ時はいつも外を走り回っていました。
ある日、秋の深まった頃、僕はT君は二人で遊んでいました。
いつもは他に何人か友達がいるのですが、その日はみんな都合があって来られなかったのです。
大勢であれば色々な遊びもできるのですが、二人となるとそう面白い遊びもできません。
最初の内は二人で雑草を棒でなぎ払ったり、そこらの土管に潜り込んだりして遊んでいましたが、やがて二人とも飽きてきました。
辺りも徐々に暗くなってきたので、今日はそろそろ帰ろうかなぁ、と思っているとT君が
「…そうだ、うちに来ない?」
そう尋ねてきました。
彼の家に誘われるのは初めてだったので、僕はワクワクしながら彼の提案を受けました。
T君に先導されて辿り着いたのは古びた団地でした。
彼の部屋まで付いて行くと、T君はズボンのポケットから鍵を取り出し
「親、いないから」
そう言って、僕を家へと招き入れました。
家に入って最初に気が付いたのは、臭いでした。
まるで何かが腐っているような、鼻につく嫌な臭い。
T君はまるで何も感じていないように、いつもと同じ様子で僕を自分の部屋へと招きました。
家中に充満する饐えた臭いに閉口しながら、僕はT君の部屋へと足を踏み入れました。
246:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:22:10.83 hPkmSRgw0
(2/2)
彼の部屋へ入った瞬間、臭いはより強く、鮮明になりました。
目に刺さるほどに強く、吐き気を催すような、そんな臭い。
アンモニアのような、肉の腐ったような、そんな臭い。
この部屋が臭いの発生源であるような、そんな感じすらしました。
僕はT君に
「ねぇ、何かこの部屋臭わない?」と思わず尋ねました。
子供だったので、遠慮も何もなかったのですが、
今にして思えば、怒られてもおかしくない失言だったと思います。
しかし、T君は全く激昂する様子もなく
「あぁ、分かるんだ」
と答えました。
まるで宝物の在り処を明かすときの様に、T君は少し笑ってから答えました。
「この部屋さぁ、ずっと昔に自殺があったんだって。それで、臭いが取れないんだよ」
クスクスと笑いながらT君は電灯の紐を引きました。
パチパチッ、という軽い音の後、室内を蛍光灯の光が照らしました。
「まぁ嘘だけど。臭いなんてしなくない?」
そんなことをT君は言っていたような気がします。
僕はその言葉をしっかり聴かずに、T君の家を飛び出していました。
蛍光灯に照らされた室内にできるT君の影。
その影の右上、天井からぶら下がる、もう一人の影が揺れていました。
それ以来、T君とは距離を置くようになり関係は次第に薄れていきました。
彼は小学校が終わる前に引っ越しましたが、彼の住んでいたあの団地は、今も街の片隅に建っています。
【了】
247:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 02:32:57.81 kNyTOn2o0
第66話「引き上げる時は」
これはオレの体験ではなく、中学の同級生Aから聞いた話。
Aは夏休みの間、カニ漁を手伝って親父と一緒に海に出ていた。
朝4時前には港を出て、前日あちこち仕掛けたカニ網でワタリガニを捕る。
港の近くの河口に仕掛けたカニ網を上げようとしたら、
カニ網と目印の浮子を結んだロープに何かが引っかかっているのが見えた。
洋服みたいな布が見えたので、変だなと思ってロープをちょっと引っ張ったら
それはゆっくり回転してロープから外れた。
やがて白っぽい上着を着た水死体がうつぶせになってボートの側に浮いてきた。
Aが驚いて親父を呼んだら親父は水死体を見て、別に慌てた様子もなく
「よしよし、今ロープ用意するからな」とつぶやいて何やら準備を始めた。
Aはマジでびびったらしいが、どうしても水死体から目を離せなかったそうだ。
すると、水死体はゆっくり流れてボートから離れていきそうになった。
Aが思わず身を乗り出すと、それはもう一度カニ網のロープにぶつかって、
何の具合か水死体の片手が水面近くに浮いてきた。
Aが「このままじゃ流されていっちまう」と思った途端に、
何だか自分でもよくわからない切羽詰まった気分になって
ボートから手を伸ばして水死体の手をつかんでたそうだ。
248:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:33:22.18 BV43BcX/0
六十五本目の蝋燭が消えました・・・
コッソリ ◆.PiLQRq.0Aさん、ありがとうございました
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次の語り部がいらっしゃるまで、今しばらくお待ちください。
249:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 02:34:14.26 kNyTOn2o0
ぐいっと力を入れて引っ張ったら、
何とも言えないイヤな感触を残して水死体の手の皮が手袋みたいに剥けた。
Aが悲鳴を上げてその皮を海に放り投げたら
親父が「手でつかむ奴がいるか」って怒鳴って、
Aの襟首をつかみ、ボートの中に引きずり倒した。
そのあとAの親父は水死体にロープを引っかけてボートの側に引き寄せ、
何か口の中でブツブツ言いながら腰の辺りにロープを結び、港まで曳いて帰った。
港に着いたらAの親父は片足で軽く触れてから、水死体を引き上げた。
Aが後で聞いたら、
溺れて死ぬのがあんまり苦しいから、引き上げようとする者にもしがみつこうとする。
だから「これから助けるからオレには取り憑くなよ」って意味で、
まず足で触るんだ。と話してくれたそうだ。
Aはその後、近くの祈祷師の所へ連れて行かれて
念のためにって御祓いしてもらったが、運良く何も障りはなかったらしい。
「あの時の手の皮の感触と、皮の剥けた手の気味悪さは忘れられん」
Aが自分の右手を見ながら話していた様子が妙に印象に残ってる。
「お終い」
250:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:34:55.72 BV43BcX/0
失礼いたしました。
釣り人 ◆sRCidpIShEさん 引き続き 第66話をお願い致します。
251:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:40:00.10 BV43BcX/0
六十六本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第六十七話をお願いします
252:代理投稿:色々諦めたロドリゲス ◇pbbxR7EI3w
11/08/20 02:40:10.09 vuz4Ec9S0
「母から聞いた話」
祖母が亡くなったとき、ふと気がつくと、祖母がいる部屋から
玄関の引き戸まで、全て「こぶし1つ半分」位、引き戸が開いていた。
「魂」の幅?
【完】
253:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:42:40.94 BV43BcX/0
六十七本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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半兵衛 ◆B/.3uvv0Gkさん、第六十八話をお願いします
254:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:43:27.29 hPkmSRgw0
半兵衛 ◆B/.3uvv0Gk 1様
【工場】
私は製造業の会社に勤めています。
会社は昭和初期に建てられた古い工場と、最近建った開発棟が併設されています。
私は開発棟にて、主に試作品を作製する仕事をしています。
とある金曜日の夜、試作品の部品が壊れてしまいました。
月曜日には完成品を使用する必要があり、部品をあらためて購入する時間はありませんでした。
仕方なく私は工場に予備の部品が無いか、探しに行きました。
金曜日の夜ということもあって、すでに工場は真っ暗で、人気もありません。
予備の部品がありそうな場所は、工場の奥まったところにある倉庫でした。
倉庫は蛍光灯が1本あるだけで、かなり薄暗い状態でした。
倉庫の中で部品を探しましたが、なかなか見付かりません。
時間だけがどんどん経ち、次第にあせってきます。このままでは徹夜どころか、上司から大目玉をくらうことは明らかです。
私は半べそ状態で、なお部品を探し続けました。
そのとき不意に肩をたたかれたような気がしました。
後ろを振り向きましたが、誰もいません。
気のせいかと思い、また部品を探そうとしたときです。
視界の端、ちょうど倉庫の中央あたりに、縦に細長い影が立っているように見えました。
その瞬間、「ゴトッ」と何か物音がしました。
私は驚いて倉庫から飛び出しました。
しかし、どう考えても部品がありそうな場所は、この倉庫しかありません。
仕方なく再度倉庫に入ると、今度は予備の部品があっさり見付かりました。
その場所は中央の棚の付近で、しかも部品は一番手前に置いてありました。
ほっとして、開発棟に戻り、なんとかその日のうちに試作品を完成することが出来ました。
今思うと、遥か昔の先輩が後輩を不憫に思って、部品の場所を教えてくれたのかも知れません。(終わり)
255:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:45:47.47 BV43BcX/0
六十八本目の蝋燭が消えました・・・
半兵衛 ◆B/.3uvv0Gkさん、ありがとうございました
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色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第六十九話をお願いします
256:代理投稿:色々諦めたロドリゲス ◇pbbxR7EI3w
11/08/20 02:46:12.57 vuz4Ec9S0
「同じく母から聞いた話」
おれには全く霊感は無いけど母には結構あるらしい。
祖父の墓参りに向かった母は霊園の道を登る途中、お墓の前に黙祷を
捧げている女性を見かけた。
「こんな中で、傘もささずに…って思ってちょっと目を逸らして見直
したらいなくなったの。変よねぇ…」
母自信は霊感とかの自覚はないらしい。
【完】
257:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:48:24.30 BV43BcX/0
六十九本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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れららさん、第七十話をお願いします
258:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:50:43.72 hPkmSRgw0
れらら様
黒い丸 1/3
今から10年ほど前、まだ大学生だった頃に後輩のA君から聞いた話です。
神奈川県の海沿いにある某大学。その大学のサッカー部は、代々先輩が卒業すると
それまで使っていたアパートの部屋を、新入生へ引き継ぐ伝統がありました。
その部屋は2人で使う為に古い二段ベットが置かれており、その年はA君と
同じくサッカー部に入部した新入生のB君が使う事になりました。
まだ新入生という事もあり、それほど話した事もない二人は、部活を終えれば
それぞれ別に食事を取り、アパートには寝るために戻る日が続きました。
A君は二段ベットの下、B君は二段ベットの上。
2,3ヶ月が経った頃。A君が深夜に目を覚ますと、B君が机でなにやら書きものを
しているのを見つけました。日記か何かだろうと思い、その日はそのまま寝ましたが
日に日に部活で見るB君の様子がおかしくなっていったそうです。
そして深夜には机に向かい、必死な形相で、殴り書くようにペンを動かしていました。
A君はその姿を見て怖くなり、部活の先輩に相談し、先輩と一緒にB君から事情を
聞いてみる事になりました。A君は相当精神的に参っていた様子で、泣きながら
此れまでの奇行の理由を教えてくれました。
B君がアパートに越してから数週間後、アパートの外で足音が聞こえるようになったそうです。
その足音は日に日に自分たちの部屋に近づいて来ており、一ヶ月前くらいからドアの戸を
ガチャリ、ガチャリと開けようとしており、何度か恐々と姿を見に行ったことがあったそうですが
ドアスコープには誰も映っていなかったそうです。
259:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:51:24.73 hPkmSRgw0
黒い丸 2/3
日記を書き始めたのは一週間ほど前、ついに姿を見てしまったそうです。
いつものように通路を足音が近づき、ドアをガチャガチャと回し、そして部屋の中へ
ベチャ…ベチャ…と、濡れたモップを引き摺るような音が聞こえてきたそうで、ベットで布団を被り
震えながら何処かへ遠ざかるのを待っていたそうです。
しかし、その音は二段ベットの梯子へ近づき、ベチャ…ベチャ…と、梯子を上ってきたと
梯子の段数など4,5段程度なのに、その音は10分近い時間を掛けて、ベチャ…ベチャ…と
登り、ついに足音が止まったときには、明らかにベット脇に気配があったそうです。
ジッ……と、こちらを見続ける気配に耐え切れず、数分後目を開けてみてみると
真っ黒い、巨大な毛むくじゃらのモノが、ジッ…とB君を見ていたそうです。
金縛りにあったように動けなくなり、恐怖で背筋が凍ったまま目を離すこともできず
B君は心の中で知りうる限りの神様、仏様へ祈り「消えてくれ!」と祈ったそうです。
それでも黒い毛むくじゃらの怪物は消えず、にやにやと笑いながら
「そんなの効かないよ」
と、笑いながら呟いたかと思えば、段々とふくらみ、パンッ…と弾けてしまったとか
その後、飛び起きてA君を起こしに梯子を降りると、地面は水をまいたように地面が濡れており
A君は寝ぼけ眼で起こされたそうですが、気配すら気がつかず「何で地面が濡れてるの?」
とか言っていたので、それ以降相談もしなかったとか…。
日記の内容を見せて貰うと、黒いペンで紙の破れるほどの筆圧でグチャグチャと
丸が書かれており、B君もなんで書いたのか覚えていないと言っていたそうですが…
今度はその日記の黒モジャを見て、先輩が真っ青になったとか
260:代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2
11/08/20 02:52:05.97 hPkmSRgw0
黒い丸 3/3
なんでも、先輩が一年だった頃、理由不明の自殺をした部員がいたそうで
彼の使っていたのもこの部屋、しかも2段ベットの上だったとか…
それからB君が使うようになるまで、荷物置き場になっていたそうです。
自殺した部員と懇意だった先輩が荷物を整理にしこの部屋へ来たときに見たのが
「あいつが来る」「殺される、殺される」
と書かれた日記で、同じようにグチャグチャと塗りつぶすように描かれた
黒い丸があったのだとか…
【終わり】
261:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:53:50.23 BV43BcX/0
七十本目の蝋燭が消えました・・・
れららさん、ありがとうございました
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釣り人 ◆sRCidpIShEさん、第七十一話をお願いします
262:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 02:57:47.76 kNyTOn2o0
71話 合宿の夜
オレの通ってた高校には、結構立派な合宿所があった。
夏休みには、いろんな部活が交代で合宿をする。
オレの入ってた部活は男女共通で部員が多く、とてもにぎやか。
オレは1年生だったから、練習の時以外はほとんどパシリ。
2年の女子の先輩達と買い物行って荷物持ったり、
合宿の昼飯定番の冷やしそうめんやカレー作ってワイワイやってた。
夕方になるとOBやOGの先輩方がやってきて一緒に夕飯を食べる。
もちろん酒を飲んだり、後輩を他所に連れ出したりはしないが、
遅くまで起きて怖い話し大会なんかはあたりまえ。
合宿最終日、芝生に車座になって
みんなで怖い話しをしてたら、1時を過ぎた頃から
何だか寒くなってきた。
263:釣り人 ◆sRCidpIShE
11/08/20 02:58:54.22 kNyTOn2o0
目がかすんできてるのか、近くの家の灯りがボンヤリ見える。
「灯り増えてる?」って思ってよく見ると、それはホタルの光。
黄緑色の光があっちにも、こっちにも。
オレたちを取り囲んで無数のホタルが光ってる。
そのうちみんな異常な数のホタルに気が付いて、
あわてて合宿所に帰って布団に潜りこんだ。
クーラーもないのに、朝方まで、とても寒かったよ。
こんな場で言うことでもないが、
怖い話しは場所と時を選んでやらなきゃな。
話が「本物」だと、そいつらが寄ってくるらしいぞ。
お終い
264:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ
11/08/20 02:59:24.61 BV43BcX/0
七十一本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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たったかた~様◆UFe7PhFKw2さん、第七十二話をお願いします