11/07/02 01:48:19.89 LMdrtnMj0
しぶしぶ私の車で学校にとんぼ返りとなった。
すっかり暗くなった駐車場に車を止めて、そのまま川沿いへと歩き出す。
「なあ、本当に出るのか?」
普段から不機嫌そうだと評される私だが、今回は本当に不機嫌だ。
Vの挙動不審を追跡していれば、いつの間にか幽霊探検だ。不機嫌にもなる。
「ああ、でるよ。ほら。」
Vが投げてよこしたのは、携帯電話。開いてみると、ネットニュースが開かれている。
ニュース記事に書かれているのは『女子高生4人軽傷・肝試し中不審者に襲われる』。
噂話の正体はこれか。ニュース記事だけみれば完全に単なる春先の変質者だ。
これを幽霊と称するのは、やはり「赤いコート」とおあつらえ向きの条件があるためか。
なんでもそういうふうに捉えたがる人種には、悪くない話なのだろう。
もっとも、噂のほうで語られていた帰ってきていない、は誇張だったのだろう。
「思ったより早かった。こんなに早く動けるなんてさ。なんかあったかな。」
前を行くVがこちらを振り返り、笑った。
とびっきりの笑顔で。わたしでは無い。宝物でも見つけたような表情。
いいようのない悪寒が背筋に走り、私は振り向いた。いた。
続く