11/06/10 23:25:46.24 er4H0hUP0
そいつの顔に開いた大きな穴から、
どす黒くて、とろりとした血が糸を引きながら溢れ始めた。
粘性のある血は俺のジーンズの布を滑り、じっとりと染み込んで行く。
俺の脇腹を掴む小さな手は、どんどんどんどん、力を込めていき、
腹の肉がちぎられるんじゃないかと思うくらいの痛みが余計に俺を焦らせた。
「た、助けて。たすけて」
俺は震えながらも鉄の冷たいドアに必死でへばりつき、
C子に掴まれた腕を必死で伸ばしてやっとの思いでチェーンを外した。
ドアの鍵を開け、倒れ込むようにして外に飛び出した。
腰が抜けて立てなかったので四つん這いになって、廊下をひたすら、エレベーターのほうへ進んだ。
「あああ、あああ、あああ」
誰かに気付いてほしくてなのか、頭が混乱しているせいなのか、とにかく俺は呻きながら
必死に手を動かして、ほふく前進のようにして重い体を引き摺った。
ジーンズの尻ポケットで、携帯のバイブが鳴った。そうだ!携帯があったんだ。