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原発深層流003 危険な原発・登場の瞬間
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私はかつて原子力エネルギーに夢を持っていました。
日本は資源が少ない国でしたが、技術は世界一ですから、
何とかして技術力で日本人が豊かな生活ができるようにと思ったのです.
幸い、日本の原子炉(軽水炉)は水で中性子を減速するので、
内部に自動停止装置を持っているようなものですから、
「事故は起こらない」、つまり「原子炉は暴走しない」というタイプなのです.
原子炉ばかりではなく、耐震建築にしても、電気設備やコントロールにしても、
日本の技術や運転は本当に世界一と言って良いと思います。
だから、原発のような危険なものは世界で日本ができなければ、どの国もできないはずだと考えていたのです.
私が書いたかつての文章の中に「原発は安全だ」というのがありますが、
考えてみると「原発は安全だ」というのは正確ではなく、
「安全な原発を作る事ができるので、安全に作れば安全だ」という事だったのです。
・・・・・・・・・
そんな私の夢が大きく崩れたのが平成18年でした。
この年の9月、原子力安全委員会は次のような耐震設計の審査基準を出しました。
この指針は旧指針と呼ばれた昭和56年の指針を改定するのですから、
全体としては優れたものだったのですが、一つ、大きな欠点がありました。
それは、それまで「原発は絶対に安全に作る」というのが基本だったのですが、
どうも大きな地震が来ることもあって、
「想定外」のことが起こる場合、それを「残余のリスク」という言葉で処理しようという事になりました。
「安全な原発を作る事ができるのに、不安全な原発を作れる言葉」を役人が発見したのです。
つまり、「残余のリスク」という聞き慣れない言葉の登場です。