【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ16【友人・知人】at OCCULT
【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ16【友人・知人】 - 暇つぶし2ch74:本当にあった怖い名無し
10/12/25 02:18:15 mRpcXNrx0
・・・や――の多用(かっこいいだろう!?ギャキィ!)
会話文がやたら多い(小学生の時作った創作文と同じだね!)
会話文の前に人物名を入れる(こうしないと誰だかわかんないし!キャラ付け?なにそれ?)
空白や鬼のような改行で文章の嵩増し(文が長い=上質は宇宙の真理だろ?)
終盤はスーパーヒーロー役が出てきて事件を京極堂ばりに雄弁に解説(やったー!カッコイイー!)
くどい心理描写
台詞口調
20の内容で内訳10の言い回し
レベルはいわば消2

これを全部守って書けばいいわけだな。よし、ちょっと頑張ってみるわ。

75:本当にあった怖い名無し
10/12/25 07:26:09 sH8MU1WP0
ウニさんは何処で書いてるの?
ここだと思ってた。
来てないのかな?

76:本当にあった怖い名無し
10/12/25 08:00:45 xwh0SsxX0
>>75
大体ここで書いてるよ。
今来てないだけ。

77:本当にあった怖い名無し
10/12/25 11:18:44 iOsnRO5e0
最新の「目覚め」は洒落怖に書いてたね

78: ◆7QPLwJZR/Ypf
10/12/25 13:47:06 mRpcXNrx0
自己責任で読んで下さい。警告したので始めます。

"メリークリスマス"

いつもの如く師匠の古物屋で寝転がって漫画を読みながらうだうだしていると、
ちゃぶ台に乗せたパソコンで仕事をしている師匠から急に問いかけられる――
師匠「クリスマスイブってうざいよな」
・・・寒いので答えるのが面倒だ――いい加減エアコンを買い換えて欲しい・・・
師匠「カップルとか街に溢れててうざいよな」
ふぅ――二度目か・・・しょうがないので答える、いや――ほんとは答えたいのかもしれない
いや――しかしほんとは答えたくないのかもしれない。答えは心の深遠に隠されている。
A「うざいすね」
師匠「つーかさ、お前って彼女いないのな」
A「自分もいないじゃないすか」
師匠「・・・俺は、深い悲しみにたゆたう孤独な一匹狼なのさ――」
そのセリフ口調は、俺のぶち切れ導火線に火をつけたいためなのか
それとも師匠自身の心の奥底の悲しみのためなのか――答えはライラックの海の中だ・・・








一時間後・・・




79: ◆7QPLwJZR/Ypf
10/12/25 13:48:13 mRpcXNrx0
そんなわけで俺の鍛えられたスルースキルで無視し続けていると、
師匠「・・・クリスマスイブにだけ出る幽霊って知ってるか」
痺れを切らした師匠が、取ってつけたような幽霊話を始める・・・
いや、これは・・・!?師匠の不安定な収入による不安定な心理状態を
反映しているのかもしれない――その答えはこの大宇宙の彼方にある・・・
A「なんすかそれ――」
師匠「深夜に近くのビデオ屋とかに行ってみろよ・・・たくさん見かけるぜ」
いや・・・むしろ自分もその一人なんじゃないか――という突っ込みは無しにした・・・




――翌日



クリスマスなので久しぶりにみんなで食卓を囲んでいると、おかんが昔の武勇伝を語りだした。
同業者である俺らもその話に見習うべき所はあるので傾聴する。
おかん「――というわけで心霊殺人事件は解決したのさ」
師匠「凄いですね、さすが俺らの――スーパーヒーロー!よっ日本一!」
A「なんすかそれ・・・」
相変わらず師匠はおかんへのゴマすりが上手い。
俺のおかんが滅多に居ないスーパー霊能力者だとしてもだ――いや、まてよ――
むしろ、俺も見習うべきじゃないのか――それが息子としての義務――

そんなわけはないか。

了。

80: ◆7QPLwJZR/Ypf
10/12/25 13:54:30 mRpcXNrx0
・20の内容で内訳10の言い回し
これにはいつか挑戦したいと思います。
近日中に真面目な話を投下します。ではまた。スマンカッタ

81:本当にあった怖い名無し
10/12/25 15:49:42 N/F8sG/HO
>>78
まだ甘い
お腹が空いたからご飯を食べに行った
を原稿用紙1枚を埋めるくらい回りくどくしてくれ

82:本当にあった怖い名無し
10/12/25 18:01:18 3d+baEdh0
何かよく分からんがこういうの挟めばいいのか?

ああ、腹が減ったなと思った瞬間、暗い水の底からゆっくりと意識が浮上した。
夕方の薄暗い部屋は夢の中の淀んだ水と大差なく、俺は目をしょぼつかせながらベッドの上を左手で探る。
エアコンのスイッチを入れ、生暖かい風を浴びながらついでにもう一個のリモコンを握り、テレビの電源ボタンを押した。テレビのコマーシャルでは、ちょっと顔のパーツが寄り気味の女優がサンタの格好をしてチキンにかぶりついている。
そう言えばクリスマスだというのに俺は仕事で、昨日妹が買って来たケーキの一切れを食べたきり何も食べていなかった事を思い出した。
のろのろと起き上がりつつ纏まらない頭の中の事象をを右から左へ整理する。ただ動かしているだけで整理しているとは言えないかもしれないが、昨日のケーキには何故かトナカイではなく犬の砂糖菓子が乗っていたなと思い出す。
チキンを齧っていた女優はちょっとあの犬に似ている。
重病で恋人に連れられて海外に行こうとして空港で倒れるドラマに出てたっけ、相手役の男もあの犬みたいな顔してたな、なんだっけ、ハスキー犬か?雪車を引く犬だな。般若の子犬のカップルだ、何だか面白い。
男の方はあれだ、ヤンキーがぞろぞろ出て来る映画でフランクフルト食ってたな、やたら拾い食いする役だった。
チキンにフランクフルト、あとハンバーグがあればミックスグリルだな、むしろハンバーグが食いたい。
やっと右から左に情報の移動が済んだので、俺は起き上がってガストにミックスグリルを食べに行く事にした。

83:本当にあった怖い名無し
10/12/25 18:15:43 zMqUo62H0
俺ならこう書こう

喧騒の職場を後にして、疲れた体を引きずるように自宅へと急いだ
駅から降りると朝には無い違和感を感じていた
乗客・駅員・風景・何を見てもいつもと変わらない
アナウンスのメロディーでふと我に返る
きっと疲れているだけだろう。ストレスも溜まっている
気を取り直し歩き始める、やはり違う!
駅から出て歩き始めると、体内から次第に感覚が研ぎ澄まされてゆく
内在していた能力が僅かな変化を察知していた



84:本当にあった怖い名無し
10/12/25 18:16:24 zMqUo62H0
やはりここだ
分かってはいた、しかし知らぬほうが幸せということもある
何より自ら沸き起こる感覚に恐怖すら覚えていた
帰路は駅から歩いてものの五分程だ
しかし果てしなく長く感じる
もはや内在している能力が自制の効かない波に押し流される
もう今月は無駄遣いしないと決めたのに
看板が目に焼きついて離れない
「COCOS」

お腹が空いたからご飯を食べに行った。 完

85:本当にあった怖い名無し
10/12/25 18:21:23 XvxglNCgO
>>78
乙。だが色々と酷いな。

ライラックの海とはなんぞ?
ディラックの海と掛けてんの?

86:本当にあった怖い名無し
10/12/25 21:23:42 NmKy8owj0
>>74
基本ウニの亜流も追加で

87:本当にあった怖い名無し
10/12/25 21:31:18 iRWraoxDO
>>82
面白いなwそこに何かオカルトな話で肉付けするんだ

88:どうも ◆oJUBn2VTGE
10/12/25 23:47:39 ANcoT4Xq0
ウニです。
こんばんわ。
これから書く話は、とある事情でタイトルは最後に出てきます。
しかし、まだ最後まで完成しておらず、続きは年明けになります。なんとか1月中には終わらせたいですが、どうなることか・・・
ずるずると先延ばしにしていた話なので、とりあえず見切り発車すればいやがおうにも書かざるを得なくなるのでは、という甘い考えです。
では。


89:未 ◆oJUBn2VTGE
10/12/25 23:50:33 ANcoT4Xq0
師匠から聞いた話だ。


匂いの記憶というものは不思議なものだ。
すっかり忘れていた過去が、ふとした時に嗅いだ懐かしい匂いにいざなわれて、鮮やかに蘇ることがある。
例えば幼いころ、僕の家の近所には大きな工場があり、そのそばを通る時に嗅いだなんとも言えない化学物質の匂いがそうだ。家を離れ、大学のある街に移り住んでからも、どこかの工場で同じものを精製しているのか、時おり良く似た匂いを嗅ぐことがあった。
そんな時にはただ思い出すよりも、ずっと身体の奥深くに染み込むような郷愁に襲われる。次の角を曲がれば、子どものころに歩いたあの道に通じているのではないか。そんな気がするのだ。
そんな僕にとって一番思い入れのある匂いの記憶は、石鹸の匂いだ。
どこにでも売っているごく普通の石鹸。その清潔な匂いを嗅ぐたびに、今はもういないあの人のことを思い出す。
身体を動かすのが好きで、山に登ったり街中を自転車で走ったり、いつも自分のことや他人のことで駆けずり回っていたその人は、きっと健康的な汗の匂いを纏っていたに違いない。けれど、僕の記憶の中ではどういうわけかいつも石鹸の匂いと強く結びついている。
その人がこの世を去った後、その空き部屋となったアパートの一室を僕が借りることになった。
殺風景な部屋に自分の荷物をすべて運び込んで梱包を解き、一つ一つあるべき場所に配置していった。
その作業もひと段落し、埃で汚れた手を洗おうと流し台の蛇口を捻った。コンコンコンという音が水道管の中から響き、数秒から十秒程度経ってからようやく水が迸る。
古い水道管のせいなのか、その人がいたころからそうだった。
その人はよく僕に手料理を作ってくれた。そう言うと妙に色気があるように聞こえるが、実際は『同じ釜の飯』という方が近い。兄弟か、あるいは親しい仲間のような関係。それが望ましいかどうかは別として。
その人は台所に立つとまず真っ先に手を洗った。石鹸で入念に。だから食事どきのその人は、いつもほのかな石鹸の匂いを纏っていた。

90:未 ◆oJUBn2VTGE
10/12/25 23:52:34 ANcoT4Xq0
今でも爽やかなその匂いを嗅ぐと、あのころのことが脳裏に蘇る。痛みや焦り、歓喜や悲嘆。絶望と祈り。僕の青春のすべてが。
蛇口を捻り、水が出るまでの僅かな時間。その人は乾いた石鹸を両手で挟み、そっと擦り合わせていた。その小さな音。それを僕は背中で聞くともなしに聞いている。ささやかなひと時。戻れない過去はなぜこんなに優しいのだろう。
その人がいない部屋で、僕は一人蛇口から落ちていく水を見つめている。手には無意識に握った石鹸。指の間から滔々と水は流れ落ちる。ほのかに立ち上る涼しげな匂い。
僕は蘇る記憶の流れに、しばし身を任せる。



寒い日だった。昼過ぎから僕はある使命を帯びてオカルト道の師匠が住むアパートに乗り込んだ。
十二月も半ばを過ぎ、街中を、いや目に映る全てを一色に、いや、二色に染めているイベントが目前に迫っていた。赤と白だ。なにもかもが。それに伴い、僕にも焦りと若干の期待が入り混じった感情が押し寄せていた。
ドアをノックすると赤でも白でもなく、青い半纏を来た師匠が玄関口に現れて、じっと僕のことを見つめる。
いや、見つめているのは僕の手元だ。つまりスーパーの袋である。
「コロッケが大量に安売りしてたので、一緒にどうですか」と言うと、入れとばかりに顎を軽く振る。
部屋に上がらせてもらうと、炬燵布団に人型の空洞が出来ている。その向かいに腰を下ろして足を入れ、袋からコロッケのパックを取り出す。
師匠は台所から小ぶりの鍋を持って来て、「甘酒だ」と炬燵のテーブルの上に置いた。鍋の中には白くてどろどろしたものがほのかに湯気を立てている。生姜の香りがした。お椀にとりわけてくれたそれを、コロッケを齧る合間に啜る。
ここ数日でめっきり冬らしくなったものだ。朝方、路上に止まっていた車のフロントガラスに霜が降りていたことを思い出す。
「こっちが普通ので、こっちがカボチャ、こっちがクリームコロッケです」
カボチャコロッケに手を伸ばす師匠を横目に、床に散らばっている雑誌を手に取り、見るともなしにパラパラとページを捲る。

91:未 ◆oJUBn2VTGE
10/12/25 23:54:40 ANcoT4Xq0
クリスマス、どうするんですか?
それをなかなか口に出せないまま、特に会話らしい会話もなく穏やかな時間が過ぎて行く。
コロッケを三つ平らげた師匠は甘酒を片付け、ふんふんと鼻歌を奏でながらがテーブルに向かって何かを書き始めた。気になったので首を伸ばして覗き込むと、年賀状のようだ。
万年筆で書かれた新年の挨拶の横にかわいらしいヘビの絵が見えた。来年は巳年だっただろうかと一瞬考えたが、そんなはずはなかった。
「そのヘビはなんですか」
「うん? この子はカナヘビちゃんだ」
顔を上げず、師匠はペンを動かしながら答える。
どうやら干支を表す動物ではなく、自分の署名代わりのキャラクターらしい。加奈子という名前と掛けているのか。
そう言えばバイト先の興信所でも、彼女が作成した報告書の端にこんなヘビの絵を見たことがあった気がする。
にっこり笑ったヘビが、二又に分かれた舌をチロチロさせながら三重にトグロを巻いている絵だ。
「カナヘビちゃんですか」
「そう」
一枚書き終えて、師匠は次の宛名書きに移る。
「でもカナヘビって、トカゲの仲間じゃなかったですか」ふと沸いた疑問を口にすると、「え?」と師匠が始めて顔を上げた。
「ヘビだろう」
「いや、ヘビって付いてますけど、確かトカゲだったような…… 足もあったはずですよ」
うろ覚えだが、なんとなく自信があったので言い張ってみる。師匠は納得いなかい表情で自分の書いた絵を見つめている。
なんだか「キクラゲ」はクラゲなのか海草なのかで言い争いをしたことを思い出してしまった。
その時は勝者のいない戦いだったが、今度はどうだろうか。
「カナヘビがトカゲぇ?」と鼻で笑いながら呟く師匠に、僕は「確かめてみましょうか」と言って立ち上がる。
玄関に向かい、靴をつっかけて外に出ると、冷たい風が顔に吹き付けてきた。身体を縮めて小走りにアパートの右隣の部屋の前まで行く。


92:未 ◆oJUBn2VTGE
10/12/25 23:59:03 ANcoT4Xq0
ドアをノックすると、「はい」という声とともに部屋の主が顔を覗かせる。
卵のようにつるんとした顔に、細い目と低い鼻、そして薄い唇が乗っかっている。小山だか中山だか大山だか忘れたが、確かそんな感じの名前の人だった。
「どうしました」
「百科事典を貸してくれませんか」
この師匠のアパートの隣人は普段なにをしている人なのかさっぱり分からないが、しばしば師匠の部屋に食べ物をたかりに来たりしていた。
師匠は基本的に追い返しにかかるのだが、当人はいたって平然と師匠の容姿を誉めそやし、口先三寸で丸め込んで最終的にただでさえ乏しい食料のその何分の一かをせしめるという奇妙な人物であった。
僕は以前その彼の部屋に上げてもらった時に、百科事典が詰め込まれた棚があったことを覚えていた。
「かまいませんが、アカサタナで言うと、どこをご所望ですか」
「カ、の所をお願いします」
そう言って売れ残りのコロッケを差し出す。
「しばしお待ちを」
そうして首尾よく百科事典を借り受け、師匠の部屋に戻ると、さっそくカナヘビのことが出ているページを開いて見せた。
小さな写真が付いている。その姿からして一目瞭然にトカゲである。説明文を読むと「有鱗目トカゲ亜目トカゲ下目カナヘビ科」とある。よくは分からないが、ようするにトカゲのようだ。
写真を見る限り、普通のトカゲと比べると鱗が妙にカサカサとして油気がない印象だった。だがもちろん手足はあるし、ヘビとは明らかに違う。
「トカゲじゃないですか」
「……」
師匠は何ごとか反論しようとしたようだが、百科事典の背表紙を見て、それが有名な出版社のものであることを確認するや、諦めたように嘆息した。
「はいはい。私が間違えておりました。あほでした。これで良いのでございましょう」
そう言って自分の描いたヘビの絵に申し訳程度の小さな足を四本書き添えた。トグロを巻いたままなのでバランスが非常に悪い。というか、手などは一見二本並んでいるのだが、よく見るとトグロの別の段から出ている。冒涜的な生物だ。
その絵に対する突っ込みを入れる前に、ふと思った。

93:本当にあった怖い名無し
10/12/25 23:59:17 h5mBx2iBO
ウニさん!メリィクリスマス(・ω・)!

94:未 ◆oJUBn2VTGE
10/12/26 00:01:42 eIOkk7GA0
百科事典の記事なのに出版社次第では何か言い訳するつもりだったのかこの人は。
拗ねた様にうつむいて、年賀状の続きを書き始めたのを見て僕は腰を上げ、百科事典を返しに行った。
ドアを叩くと、小村だか中村だか大村だかという名前の隣人がにゅっと顔を出す。
「コロッケの何をお調べになったのです」
「いえ、確かにカ行ではありますが、コロッケを調べたんじゃありません」
「そうですか。カボチャコロッケもクリームコロッケもカ行ですから私はてっきり。そうですか。そう言えば昨日お隣を訪ねて来られた男性のお名前もカ行から始まったような」
「もっといりますか、コロッケ」
「あ、すみません。こんなに」
「で、その男とは」
「最近またよく見るようになった方ですよ。あの背の高い」
やつか。
暗鬱な気分になった。状況をもう少し詳しく聞いたが、その気分に拍車をかけただけだった。
「あげます」
「え。全部。すみませんねどうも。これで年を越せそうです」
卵のような頭を丁寧に下げるのを呆然と見下ろしてから師匠の部屋に戻る。
その本人は万年筆の先をペロリと舐めながら真面目くさった顔でテーブルに向かっていた。
僕は身体にこびり付いた冷気を振り払うように玄関口で服の裾を直すと、うっそりとコタツに入った。
「クリスマス、どうするんですか」
なんだかどうでも良くなってきて、本題を口にした。
「は?」
師匠は頭がすっかり正月へ飛んでいたのか、その単語の意味が一瞬理解できないような表情をしたが、すぐに笑い始めた。
「おまえ、クリスマスなんか信じているのか」
小馬鹿にしたような声。
いや、まて。なにかおかしい。
「サンタクロースならともかく、クリスマスを信じるっていうその概念がおかしくないですか」

95:未 ◆oJUBn2VTGE
10/12/26 00:03:58 eIOkk7GA0
まさか、サンタどころかクリスマスというイベント自体を迷信だと親に吹き込まれてきた可哀想な子だったのか、師匠は。
「ただの言葉の綾だ」
そう言ってまだ笑っている。なんだかクリスマスを前に焦っているこちらの腹の内を読まれたような気がして、恥ずかしくなった。
「そう言えば、クリスマスにまつわる怪談話があるよ」
「どんな話ですか」
「実話なんだけど」
と言って師匠はコタツの中でゴソゴソ動いていたかと思うと、脱いだばかりの靴下を床に置いた。
「おととしだったか、その前だったか、クリスマスイブに一人でいたんだよ。この部屋に。やけに寒い日だったな。サンタでも来ねえかなあと思って、枕元に靴下を置いといたんだ。こんな風に。
寝る前にちゃんと戸締りして、よし、これで朝起きて靴下になにか入ってたら、サンタ確定だと。もちろん冗談のつもりだ。まあイベントごとだし、気分の問題だから。で、寝たわけ」
え……そこから怪談になるって、どういうことだ。まさか。
ドキドキしながら聞いていると、師匠は床に置いた靴下を手に取る。
「朝起きたら、入ってるんだよ」
「うそでしょう」
急に鳥肌が立った。思わず声が大きくなる。
「いや、本当だ。入ってたんだよ、私の足が」
師匠は真剣な表情のまま口元を押さえる仕草をする。
力が抜けた。
「寒かったせいかな。普段は冬でも靴下履かずに寝るから、寝ぼけて履いちゃったらしい」
からかわれたと知って、腹が立ってきた。もういいです、と言ってコタツに入ったまま後ろに倒れこむ。
「いや、私からしたら結構怖かったんだって」と言い訳をしていたが、やがて静かになった。
再び万年筆が紙の上を走る音。
しばしの間考えごとをした後、天井を見ながらぼんやりと言った。
「一昨年はそれとして、今年のイブはどうなんです」
ペン先の音が止まった。

96:未 ◆oJUBn2VTGE
10/12/26 00:08:33 eIOkk7GA0
二回訊いたのだ。いくらこの人でもどういう意味で訊いているのか分かっただろう。
顔は冷たく。足は温かい。
わずかな沈黙の後で、「お泊り」という単語が出てきた。
「あ、違った。お泊り」
二回言った。
その二回目は一音節ごとに区切り、しかもくねくねした動きがついていた。
「そうですか」
もういいや。帰ろう。
そう思った時、師匠が意外なことを言った。
「おまえも来るか」
「ハァ?」
思わず跳ね起きた。どうしてそうなるのだ。
僕の動きに驚いたのか、師匠の身体がビクリと反応する。
「いや、そんなに良い所じゃないぞ。鄙びた温泉宿だ」
「行きます」と取り合えず即答しておいてから疑問を口にする。「なんでクリスマスイブに温泉なんですか」
それには深い事情があってだな。と師匠がもったいぶりながら話したところを要約すると、要するにバイトだった。
小川調査事務所という名前の興信所で師匠は調査員のバイトをしているのだが、中でもオカルト絡みの妙な依頼を専門に請け負っていた。
たった一人の正職員にして兼所長の小川さんにしても、そうした怪しげな依頼を積極的に求めているわけではないのだが、今までに師匠が携わったケースの関係者からの口コミで、日増しにそんな仕事が増えつつあった。
そしてそんな口コミの大半を担っていると思われるお婆さんがいるらしいのだが、その人の紹介でこの年の瀬に転がり込んできた依頼だった。
「婆さんが贔屓にしてる馴染みの宿ということだけど、どうも出るらしいんだな」
「出る、とは、あれですか」
「うん。これが」
師匠は両手首を引き付けてから胸の前で折った。目を細めて、にゅっと舌も出す。
「そんなに大きな旅館じゃないみたいだけど、毎年正月をそこで過ごすお得意様が何組かいるらしくてな。その前に、つまり年内にどうにかしたいんだと」

97:未 ラスト ◆oJUBn2VTGE
10/12/26 00:10:48 eIOkk7GA0
「お祓いとかしても駄目だったんでしょうか」
「ああ。駄目だったらしい。そのあたりがちょっと訳ありみたいでな。詳しくはまだ聞いてないんだけど」
僕は指を折ってみた。年末までそれほど猶予がない。だからクリスマスに泊り込みで仕事が入っているのか。
でもどうして僕にあらかじめその話が来なかったのだろう。零細興信所である小川調査事務所のバイトの助手という立派な肩書きがあるというのに。
「さすがに十代の若者にクリスマスに仕事しろとは言えないからなあ」
「そんな……」
あなたと一緒にいなくて、なんのクリスマスか。とはさすがに言えなかった。
「じゃあ助手を一人連れて行くって言っとくから」
師匠はそれだけを告げるとまた年賀状を書く作業に戻った。僕はそれを見て「そろそろ帰ります」と立ち上がる。
クリスマスイブに師匠と二人、田舎の温泉宿でお化け退治か。
真冬だというのに、身体の芯に火が入ったような感じがした。僕は半ば無意識に小さく拳を握る。それを見た師匠が、「やる気だな。よろしく頼むよ」と気の抜けたような声で言った。


98:今夜は ◆oJUBn2VTGE
10/12/26 00:12:26 eIOkk7GA0
終わりです。
投下は年内最後になります。よいお年を。

99:本当にあった怖い名無し
10/12/26 00:20:20 H5GRlmuJ0
うにさん、よいお年を(^.^)

100:本当にあった怖い名無し
10/12/26 00:36:41 d0VsvHFK0
ううっ、コロッケが食べたい!!さくさくホッカホッカ揚げたてがいいな
続き待ってます!

101:本当にあった怖い名無し
10/12/26 00:51:48 alebRe3C0
ウニきたあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!

102:本当にあった怖い名無し
10/12/26 00:55:08 N8EESW6/0
乙です!
ウニさんも良いお年を。
来年も楽しみにしています。

103:本当にあった怖い名無し
10/12/26 00:55:47 9/9sG8cg0
続きよみてぇえええ!!!11

104:本当にあった怖い名無し
10/12/26 02:27:11 avSK6VjzO
ウニたん優し~い!
クリプレがあるかも…と思ってたんだけど本当にきたー。ありがとう♪

105:本当にあった怖い名無し
10/12/26 03:34:21 7oxVgfFU0
わーお!

106:本当にあった怖い名無し
10/12/26 11:23:48 7eMVKtTlO
ウニさん乙です!

リアルタイムで読み損ねたのが悔しい…
ともあれよいお年を!


107:本当にあった怖い名無し
10/12/26 15:38:06 PhXOGCeV0
メリーが来た次の日、俺は学校を休んだ。
サボったわけじゃない。体力的に無理だったからだ。
昨日の夜はメリーが家に来て、近くのコンビニで夕飯買ってあげたりしたら十二時を回っていたり、
そのあと寝ようとしてメリー用に布団を出してあげたら俺に抱きついて「一緒の布団がいい…」って言ってきて、
そのあと一緒に寝るのはいいとして執拗に俺に抱きついてきて結局ものすごい勢いで俺の心臓が脈を打って、
結局一睡もできなかった。しかもかなり寿命が縮まった気がする。


108:本当にあった怖い名無し
10/12/26 15:42:34 PhXOGCeV0
「陸久、大丈夫?」
昨日すやすや眠っていたメリーが俺の顔を見て言った。
「ごめん…今日は休む…」
「うん…昨日はごめんね?」
「大丈夫…気にしてないから」


109:本当にあった怖い名無し
10/12/26 16:07:55 PhXOGCeV0
そういうなり俺はベッドに突っ伏した。
ああ、布団が気持ちいい…。
五分も経たずに俺は眠った。



110:本当にあった怖い名無し
10/12/26 16:29:34 PhXOGCeV0
「ふぁぁぁあ…ゲッ!?」
起きたらもう五時を回っていた。
(早く夕飯の支度とかしなきゃ…)
ガバっと起き上がってベッドに両手を置く。
……やわらかい感触があった。


111:本当にあった怖い名無し
10/12/26 16:32:49 PhXOGCeV0
(…まさか…)
恐る恐る手を置いたところを見る。
そこにはやはりメリーが寝ていた。ネグリジェで。
しかも俺の手はメリーの胸の上に、ちょうどわしづかみしているような形で置いてあった。
「ん~…あ、陸久起きたんだ。おはよ~」
などとのんきに言うメリー。俺の額からは汗がダラダラ流れてくる。


112:本当にあった怖い名無し
10/12/26 16:35:54 PhXOGCeV0
「うわあ!?」
バッとメリーの胸から手を取る。
俺の顔がまた熱い。
「ん?どうしたの?陸久、顔赤いよ?」
「どうしたって…胸、触られたんだよ?」
「うん。それがどうしたの~?」
「その…恥ずかしいとか、ないの?」
「ないよ~?」


113:本当にあった怖い名無し
10/12/26 16:45:33 PhXOGCeV0
どうやら気にしてないらしい。元人形だったからか?
「いや、気にしてないならいいんだ。それよりお腹すいてない?」
「うん。朝から食べてないからすごいお腹すいた」
やっぱり。


114:本当にあった怖い名無し
10/12/26 16:47:02 PhXOGCeV0
「なんか食べたいもの、ある?」
メリーは「んー」と言いながら少し考えた後、
「陸久の手料理が食べたい」
と言った。
「……は?」


115:本当にあった怖い名無し
10/12/26 16:50:13 PhXOGCeV0
「だから陸久が作ったものなら何でもいいよ?」
(俺何も作れないんだけど…)
などとは言わない。言ってはいけない。言ったら男が廃る。
「簡単なものでいいの?」
「うん、いいよ」


116:本当にあった怖い名無し
10/12/26 17:14:44 PhXOGCeV0
早速俺はカセットコンロを取り出して料理を始めた。
材料はさっきコンビニで買ってきたベーコンと卵とバター(総額およそ千円)。
「メリー、たくさん食べたい?」
「ん~、少なめでいいよ」
(じゃメリーは卵三つで俺四つかな…)


117:本当にあった怖い名無し
10/12/26 17:18:45 PhXOGCeV0
取り出したボウルに卵を三つ割って溶く。
卵を溶き終わった後はベーコンを四列ほど切ってフライパンに放り込む。
ジュゥゥといい音を立てながらベーコンが焼けていく。
その中にバターを放り込んで一気に揚げる。


118:本当にあった怖い名無し
10/12/26 17:21:13 PhXOGCeV0
ベーコンがカリカリに焼けたところでさっき解いた卵を一気にフライパンに流し込む。
卵の焼けるいい香りが部屋を満たす。
俺のそばからメリーがひょこっと顔を出してフライパンを覗く。



119:本当にあった怖い名無し
10/12/26 18:02:37 ZVYmpBW6P
またそれかよ!!

120:本当にあった怖い名無し
10/12/26 18:29:57 MhHYVwo40
ウニ乙
クリスマスプレゼントとは味なマネをするじゃないか。
お年玉も待ってるぜ!

121:本当にあった怖い名無し
10/12/26 19:09:50 YvCcqUuq0
ウニ乙ううううううううううう!!
師匠かわいいw
続き楽しみです

122:本当にあった怖い名無し
10/12/26 20:35:48 3snjH2BP0
水嶋ヒロの小説を映画化する前に、こっちを映画化してほしいものだ。
で、師匠役は誰だ?

123:本当にあった怖い名無し
10/12/26 20:48:40 1Da1NzwWO
>>122
んじゃ頑張って製作費を稼ぐんだ。
金を出せば話に乗ってくれるところもあるんじゃね?

師匠役はキムタク。
主題歌はエアロスミス。

124:本当にあった怖い名無し
10/12/26 21:04:55 m/7Du0AF0
キムタクとかいかにも腐女子っぽいなwww
氏ねwwwwwwキメェwwwwwwww

Gacktでお願いします
常にシャツからチラリと胸板が出てる漢字で
ズボンは腰パンな風味でちょっと股間の付け根が見えてるぞ~みたいな
話はとにかく師匠が痛めつけられるシーンを入れてください


125:本当にあった怖い名無し
10/12/26 22:50:45 pRWdF9nN0
俺の脳内では師匠シリーズのアニメ化2期目が始まってDVD1巻が出たところだがな

126:本当にあった怖い名無し
10/12/26 23:46:21 H7f268+50
メリー兄貴オッスオッス!!

127:本当にあった怖い名無し
10/12/27 00:43:54 xyUtnEMy0
>>85
ガチで間違えました。しかしこのスレは怖いな。
最初は洒落で書いてたのに気がつけば本気にさせられてた。
一年前はただウニさんの続きが読みたかっただけなのに…。気をつけよ

128:本当にあった怖い名無し
10/12/27 01:07:20 3edVyQ9u0
なんかウニだけ持ち上げられてキモチワルイ・・・
他にも書き手さんが面白い作品で頑張ってるだろうに・・・
ウニの時だけ変な煽りの子が消えて賞賛一辺倒になる
いつものラノベ連呼してる奴はどこ行ったの?
自演でもしてんのか

129:本当にあった怖い名無し
10/12/27 01:36:14 F07pWP9q0
>>128
ただ単に読者数の違いのせいと思われ。
師匠スレが成立するくらいにはウニ単独の読者がいるわけだし。
それに今日はまだ見かけてないけど、アンチウニの書き込みも少なくないよ。

130:本当にあった怖い名無し
10/12/27 02:40:07 8EtZkQdN0
>>128
師匠シリーズ全部読んだかい?
そして、今のもそうだけど作品が明らかに雲泥の差でしょ。


131:本当にあった怖い名無し
10/12/27 06:16:01 vcvRqL7iO
>>124
Gacktも変わらないと思うがw
個人的なイメージはデスノートのL

132:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 09:46:42 eg/PBFf+0
[巡り会い]

1/13
なぜここに三島が?という疑問は浮かんだが、私は落ち着いて彼に言う。

私「三島。今は―」
三島「会長が、神尾様とお会いしたいそうです」
私「…何?」

三島が私の言葉を遮り、予想外のことを言う。
会長…?アレが何故?神尾に会うだと?

三島「隣のお部屋でお待ちです」
私「…」
既にここに来ている?
しかも、神尾に会うつもりで?
それはつまり…神尾がここに来ることを知っていた、という事か。

…フン。

私は箱から手を離し、神尾に言う。
私「申し訳ありません。先に…会長に会って頂けますか?」

私としては、こう言うしかない。
仮にも、会長様だ。
ここで拒否して、神尾美加に不審がられることは思わしくない。


133:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 09:49:38 eg/PBFf+0
2/13
三島「…では、こちらにお願いします」
神尾「あ、はい…」

そう言って、神尾は三島に連れられて部屋を出て行き…すぐ隣の部屋に入っていった。
…中の様子を覗き見るわけにはいかないが、私は部下に命じて、部屋の外で見張らせる。
念のためだ。逃げ出さないように、念のため。

そしてそれから、考える。
会長が…今まで沈黙を続けていたアレが、神尾に何を言うのかを。

会長はもちろん壷の秘密を知っており、そして…訳あって壷の破壊を望んでいる。
恐らく、会長の口からは壷の秘密が語られるだろう。
そして、その破壊を依頼するだろう。
それだけ考えれば、これは非常に危険な事態だが…

神尾が言う事を聞いて、壷を破壊することは無い。

会長と神尾に面識は無い。これは絶対だ。
突然現れた、初対面の相手。
その相手の言う事を全て信じて、ここまで来ておきながら、長年の自分の念願を果たせる物を破壊する…?

有り得ない話だ。
例え神尾がそれを信じたとしても、それくらい、私が払拭してやる―。


134:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 09:53:28 eg/PBFf+0
3/13

不安はあった。

「霊感を身に付けるために、特別な壷を使います」

ここに来て副会長さんの口からそう聞いたとき、私は雨月君から聞いた話を思い出していた。
舞さんからの伝言で、「壷に気を付けて」という話を。

でも…私には止められなかった。
私にとって霊感を求める気持ちは、何よりも大きなものになっていたから。

そんな私に、往来会の会長さんが会いたい、と言っているそうで…
私は、その隣室に案内されたわけだった。

三島「神尾様をお連れしました」
三島と呼ばれていた男の人が、先に部屋に入り、奥に向かって声を掛ける。

彼に続けて部屋に入った私は、そこで往来会の会長さんと対面する。

―そこに居たのは、1人の初老の女性だった。


135:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 09:56:12 eg/PBFf+0
4/13
この部屋も先ほどの部屋と同じく和室で、部屋の中央に大きなテーブルが置いてあり、その向こう側に会長さんが座って、私を待っていた。

テーブルのこちら側には、座布団が1つ。
私は三島さんに勧められ、そこに座る。
三島さんは…というと、部屋の入口まで下がり、そこに静かに座った。

なんて言うか、この人―三島さんて、感じの良い人だな。なんてことを、ちょっと思う。

まぁ、それはさておき…。

座布団に座り、私は会長さんをジッと見つめる。
着物を着ていて、物静かな感じ。
年は…60くらいかな?お婆さん、って呼ぶには微妙な年頃ね。
穏やかな顔でこちらを見ている。

んー…なんだろう。
少し、不思議な感じ。
初めて会うはずだけど…どこかで会ったような?
他人のそら似かな…?


136:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 09:58:20 eg/PBFf+0
5/13
私「あの…はじめまして、神尾美加です」

会長さんは何故か何も言ってこないので、私から挨拶をする。
すると、会長さんが口を開く。

会長「はじめまして、神尾さん…。源川恵子と申します」

…え?

優しい声。
でも私は、その名前に動揺してしまう。

源川?それって―
偶然?関係ない?

源川「お会いするのは、初めて…。でも、すぐに分かりましたよ」
私「あの―」
源川「私があの子にあげた、翡翠…それのお陰ね」

やっぱり…!
源川は、優理ちゃんのお母さんの旧姓だ。
だとしたら、この人は…

源川「優理の伯母になります。あの子の事、本当にありがとう…」


137:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 10:00:53 eg/PBFf+0
6/13
私「優理ちゃんの…」
びっくりだ。
こんなところで…世の中、狭すぎよ。

源川「えぇ。…ふふ、驚きました?」
そう言って、微笑む源川さん。
上品な仕草。綺麗な人。
優理ちゃんも大きくなれば、この人の様になったのかもしれない。
大きくなれば。大きくなれていれば…。

源川「貴女には、一目会いたかったの。会えて嬉しいわ」
私「あ、いえ…そんな」
女の人が相手でも、会えて嬉しいなんて言われると、少し照れてしまう。

源川「あの方の仰ったとおり…」
私「…え?」
源川「ふふ…」

穏やかに微笑む、源川さん。
あ、良いなぁ…この感じ。
優しくて、暖かい感じ…。


138:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 10:03:39 eg/PBFf+0
7/13
源川「あの子は…ラットは、お元気かしら?」
私「え?…あ、はい。元気一杯です。もう、可愛くて…たまに、添い寝してもらっちゃったり」
源川「あら、良かった…。あれは、妹の容子もずっと大事にしていたものだから…」
私「へぇ…」
源川「私も羨ましくて、取り合いになった事もあったわねぇ…」

懐かしそうに話す源川さん。
うーん…ラット君は、モテモテだったのね。
それを、今は独占しちゃっている私。
何だかちょっと…いい気分?

源川「可愛がってあげてね。容子も優理も、きっと喜ぶから…」
私「それはもう…」

もちろんだ。
蔑ろになんてしたら優理ちゃんは悲しむだろうし、可愛がってあげたら、きっと心から喜ぶだろう。
よかったね、って言って。

…そう。きっと、そう言って喜ぶ…。


139:本当にあった怖い名無し
10/12/27 10:15:41 pq1jQqwPO
赤緑ちゃんおつ

140:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 10:20:13 eg/PBFf+0
8/13
源川「…神尾さん」
私「はい…?」
急に源川さんが真剣な顔になる。

源川「これから貴女は、あの壷を見ることになるでしょうけど…」
私「…はい」
霊感を得るための話だ。
そう、私はこれからそうするつもり…。

源川「そこでね…、もし思い止まったら、あの壷を、割って欲しいの」
私「…え?」

…突然、何?

私「割るって…割っちゃうのですか?」
源川「そう」
私「何でそんな…?」
私は当然疑問に思い、聞いてみる。

…が。

源川「理由は、言えないの」

答えは返ってこなかった。


141:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 10:22:08 eg/PBFf+0
9/13
私「…」
何だか無茶なことを言われて、私は困ってしまう。
そもそも、思い止まるようなつもりは無いのだけど…何か事情があるなら、聞いておきたいのになぁ…。

源川「理由は言えないけど…1つ、教えておくわね」
私「あ、はい」
慎重に、言葉を選ぶように、源川さんが言う。
何だか知らないけど、複雑な事情があるのかな…?

源川「優理の兄…暁彦の事はご存知ね?」
私「はい」
よく知っている。
…だって、殺されそうになったもの。

源川「暁彦もね、小さい頃にあの壷を見たの。…容子と一緒に」

私「…え?」
源川「それだけよ。今、私から言えるのはそれだけ…」
そう言って、源川さんは口を閉ざしてしまう。

私の中には、更にハテナが浮かんでくる。
それって…どういうこと―?


142:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 10:25:18 eg/PBFf+0
10/13

ガンガンと扉を叩き、私は声を上げ続ける。
もちろん何の返答も無ければ、扉が開く様子も無いが、私は続ける。

桐谷「…汐崎さん、落ち着きましょうよ」
部屋の真ん中で、座ったままの桐谷が私に言う。

私「それは…すまない。無理だ」
私はそう返し、再び扉を叩き続ける。

…そう、無理だ。

桐谷から話を聞いて、真奈美と本部長にも、危害が及ぶ可能性を知った。
私の命が―というだけなら、後は本部長が真奈美の面倒を見てくれるかも…なんて考えが少しだけあったが、どうやらそうもいかないようだった。

それが分かった以上、落ち着いて座ってなんていられない。
諦める訳にはいかない。


143:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 10:29:09 eg/PBFf+0
11/13
桐谷「あれですよ。ひょっとしたら、静かにしている方が、外の人間にとっては不気味かも知れませんよ?」
私「…」

桐谷にそう言われて、私は扉を叩く手をピタリと止める。
別に、その意見に賛同した訳ではない。
先ほどからの…ここに来てからの桐谷の態度に、一言、言いたくなったからだ。

私「…桐谷さん。どうして、そんなに落ち着いていられるのです?このままだと、2人共…」
桐谷「扉を叩いたところで、何も変わりませんよ」
私「それは私も分かっているが、何もせずに―」
桐谷「私達は所詮、掌の上だった、という訳ですよ」
私「…」

…諦めているのか。
桐谷は、既に諦めているのか。

私「…それでいいのか?」
私は扉から離れて桐谷の元まで行き、彼を問い詰める。
私「全ての行動が読まれていて、思い通りに動かされて…この有り様だ。それが悔しいのは分かる。でも、それで腐って、諦めて、何もせずにこのまま―」
桐谷「あー…いや、その…ちょっと違うのです」
私「思い―…ん?」


144:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 10:33:06 eg/PBFf+0
12/13
桐谷「諦めてなんていませんよ。壷のことを、諦めるわけがない」
私「…そうか」
何となく、肩透かしをされた気分になる。

桐谷「自分が言ったのは、何ていうか…もう、役目が終わったというか…。うーん…やっぱり、掌の上だった、って事なんですよねぇ…」
私「いや、だから副会長の思い通りになってしまったからと言って…」
桐谷「副会長じゃありませんよ」
私「…ん?」

桐谷「まぁ、まずは座ってください」
私「ん…あぁ」
そう言われて、私は桐谷の前に座る。

桐谷「全て副会長の思い通りだったのなら、それはやっぱり悔しくて、地団駄踏んでいるでしょうねぇ」
私「…違うのか」
桐谷「えぇ。…まぁ、実際、私は副会長にも負けてしまった訳なんですけどね」
頭をポリポリ掻きながら、桐谷が言う。

私「では、一体…」
桐谷「誰かは言えないのですが、副会長でも私でもなく、この状況を予想していた人が居るのですよ」


145:本当にあった怖い名無し
10/12/27 10:34:30 DDh76t/XO
そろそろmixiかモバゲーに引っ込んでくれませんかね

146:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/12/27 10:35:57 eg/PBFf+0
13/13
私「…予想していた?」
桐谷「最悪のパターンとして、だとは思いますけど」

桐谷は真剣な表情だ。
ヤケを起こして、適当なことを言っているようには見えない。
私は、それが誰であるかを考え―ピンとくる。

私「会長か?」
会長…あの源川会長なら、有り得なくも無い。
私は2,3回しか会ったことは無いが、不思議な雰囲気を持った人だった。

桐谷「いえ。違います」
…違った。
桐谷「でも、彼女は会長にも動いて貰うつもりのようでしたね」
私「…彼女?」
桐谷「…あ」

女性か。まさか本部長?…違うな。真奈美の訳はないし、神尾美加も違うだろう。他には、えっと…
桐谷「汐崎さんの知らない方ですよ」
私「…」
…なんだ。考えるだけ無駄だった。

私「で、それは…その人は、これからどうなると?どうするつもりなんだ?」
桐谷「さぁ…。何を考えているのか、私にもよく分からない人でしたからねぇ…」

桐谷はその人を思い浮かべてか、遠くを見るような目で、そう言った。





147:本当にあった怖い名無し
10/12/27 11:48:53 ZDd6Cigt0
赤緑、乙。

148:本当にあった怖い名無し
10/12/27 13:32:39 Hu7y0d8a0
ウニが来ると一気に流れるな
メリーさんとか他書き手が来て
たまたま?

149:本当にあった怖い名無し
10/12/27 15:18:58 SF8HbCd00
メリーさんは誰にでも被せる
赤緑さんはたまたまでしょう
メリー以外乙です

150:本当にあった怖い名無し
10/12/27 16:36:37 +xJPjDlbO
赤緑乙
遅くなったがウニも乙
よいお年を

151:本当にあった怖い名無し
10/12/27 18:21:27 hki6wq5D0
ウニが来ればそれだけ観覧数も増えるからな
多くの目に止まる投稿時期

152:本当にあった怖い名無し
10/12/27 18:25:17 jH7Iak3A0
ウニに限らず投下があれば荒らす奴がいるだけの話
赤緑乙

153:本当にあった怖い名無し
10/12/27 21:39:50 EOY2VHR60
ファミマで牛肉コロッケ¥60買って食べちったぜ

154:本当にあった怖い名無し
10/12/28 01:51:06 0h8U6/7IO
内容に触れられず、乙しか言われない…

155:本当にあった怖い名無し
10/12/28 03:35:35 EthKTXKm0
>>88

ウニさん来てたんだ♪これから拝読拝読…
来年も楽しみにしています。
良いお年を!

156:本当にあった怖い名無し
10/12/28 21:13:59 WnA25L120
「うわあ、すごくおいしそう!」
「うちの母さんがよく作ってくれたんだよ。中学の間習ったんだ」
焼けてきた卵を箸で端に寄せ、一気にひっくり返す。
またジュゥゥと卵の焼ける音が少しした後、俺は卵焼きを皿に置いた。


157:本当にあった怖い名無し
10/12/28 21:16:17 WnA25L120
「よし、あとはご飯をっと」
先週買い溜めたパパッとライス(こしひかり100%)をレンジに突っ込みチンしてスペアの茶碗に突っ込んでメリーに渡した。
「さ、召し上がれ」
出来上がった卵焼きからホクホクと湯気が立ち上る。


158:本当にあった怖い名無し
10/12/28 21:17:24 WnA25L120
メリーは少し驚いたような顔で俺を見る。
「料理できると思わなかった…」
「余計な御世話だ」
メリーがクスクス笑い出す。
俺もつられて微笑む。
なんだかんだで今晩も楽しくなりそうだ。



159:本当にあった怖い名無し
10/12/28 21:19:48 WnA25L120
時間が七時を過ぎた。
俺とメリーは夕飯を食べ終えてこのあと何をするか考えていた。
とりあえず風呂に入ったので何もすることがない。
(しゃぁない。明日の予定でも考えるか…)
幸い明日は土曜日。藤沢あたりにでも買い物に行ける。


160:本当にあった怖い名無し
10/12/28 21:49:46 WnA25L120
「メリー、明日さ…」
話を始めようとした時、俺の電話がいきなり鳴り始めた。
「あ、ちょっとごめん」
俺はメリーにそう言って電話に出た。


161:本当にあった怖い名無し
10/12/28 22:18:39 WnA25L120
『よぅサボりクン』
清水だった。
「高校生活の五割以上が遅刻のやつに言われたかねーよ」
『別にさぼってねーからいーじゃん』
清水がヘラヘラ笑い出す。


162:本当にあった怖い名無し
10/12/28 22:22:17 WnA25L120
「で、用件は?」
『あー、いや簡単な話。昨日女の子そっちに行った?』
メリーのことだろう。
「ああ、来たけど…」
『で?どうだった?』
「どうだったって何のことだよ」


163:本当にあった怖い名無し
10/12/28 22:46:31 WnA25L120
『いや、だからヤッたのかヤッてないのか聞いてんだよ』
「初めて会う人とヤるわけねぇーだろうがこのアホッ!!」
衝動的に電話を床に叩きつけそうになったがなんとか堪える。
「…で?本当の要件は何だ」
『さすが植村。よく俺の言おうとしたことを察してくれた』


164:本当にあった怖い名無し
10/12/29 14:45:11 hXBP8g1E0
実話なら洒落怖の方に書いた方がいいのかな

165:本当にあった怖い名無し
10/12/29 17:06:27 OJ9Zat830
シリーズ物になるならこっち
あっちは一部の例外を除いて単発が基本
あくまで基本だから、荒らしたいとかルールなんか知るか書き手の自由だとか
その手の波風を立てる意図があるなら向こうに投下したらいい


166:本当にあった怖い名無し
10/12/29 17:09:15 X3/PsML6O
メリー続きは?
普通に気になるwww

167:本当にあった怖い名無し
10/12/29 19:10:07 oWcFgl+JO
ここの多紀ってコテの生い立ちが忍の人と似てるけど別人かな

養護施設にいて姉が失踪して探してるって…
スレリンク(intro板)

168:本当にあった怖い名無し
10/12/29 21:28:37 cj08NhZPO
>>167
ネットだとまれによくある話

169:本当にあった怖い名無し
10/12/29 21:39:26 ZwkT96qSO
>>168
他板のスレに貼紙う pってレスがあるから本人のような気がするんだけどチキンなので質問できない

二人ともオカ板住人みたいなレスの応酬だけど確かめてくれる勇者いない?

170:本当にあった怖い名無し
10/12/29 22:00:30 4FtVbU4L0
>>169
聞いてみたよ

171:本当にあった怖い名無し
10/12/29 22:09:50 ZwkT96qSO
>>170
ありがとう。忍の人ならスレじゃ聞けない質問あったから本人なら嬉しい
ありがとうございます

172:170
10/12/29 22:33:42 4FtVbU4L0
>>171
レスも来てる
忍本人だそうだよ

173:本当にあった怖い名無し
10/12/30 00:41:37 YAx3qeI60
自分でこのスレに書き込んで自分で話題作りとは随分セコい手を使うんだな
自己紹介板なんてマイナーな場所に偶然住民がいて
その上本人のレスの8分後にここに他人を装って書き込み
たった8分で断定して他人がここの書き込むとか実に都合のいい展開だな
しかももう一つのHNも文体の癖が一緒
少し自演を隠す努力くらいはしようよ、1日空けるとかさ、もう一つのHNは文体変えるとかさ

10 :多紀 ◆endure/O7M :2010/12/29(水) 19:02:34 ID:???O
バイトはクビになりそうだな。
↓8分後
167 :本当にあった怖い名無し:2010/12/29(水) 19:10:07 ID:oWcFgl+JO
ここの多紀ってコテの生い立ちが忍の人と似てるけど別人かな

174:本当にあった怖い名無し
10/12/30 01:46:05 PbaDLvlQO
>>173
元々のスレも知らずに自演とかwwwwww
自分がいつも自演しているからですね。わwかwりwまwす
多紀さんが忍の人だと指摘している人は携帯IDが二人なわけだけどwwwwwwwwwwwwwwwwww
ちなみに夜の使いは他スレで延々と多紀さんに粘着してて多紀さんが自己紹介板にスレ立てして誘導したんだよm9(^Д^)プギャー

175:本当にあった怖い名無し
10/12/30 08:50:29 YAx3qeI60
まぁ頑張って自演で話題作りしてくれ


176:本当にあった怖い名無し
10/12/30 12:33:31 h4GdSMtXO
自演もここまでくると酷いな

177:本当にあった怖い名無し
10/12/30 12:46:59 dA4NNcSo0
174の文章の品性の無さがそのまま関わってる物のレベルの低さを物語ってるな
中学生?


178:本当にあった怖い名無し
10/12/30 12:55:26 dA4NNcSo0
というかそのリンク先の板スゲーな
電波と池沼の集まり
そこにいるって時点で頭のおかしい人だと思う
そしてそのスレとここをリンクさせようとする神経も想像を絶する


179:本当にあった怖い名無し
10/12/30 15:56:14 CZPTglfx0
>>163続き

「だからなんだって聞いてんだよ」
『昨日の子、もしかしてお前匿ってる?』
少し考えてから答える。
「ああ…それが?」
『気をつけろよ…昨日、俺確かに彼女の背中に光るものが見えたんだ』
「で、お前はそれが包丁だと思ったのか?」
『うん』
「早とちりしすぎだバカ。他にも光るものがあるだろうが」


180:本当にあった怖い名無し
10/12/30 16:28:03 JgpKP/IQ0
まあ、あれだ
忍の人が元気そうで安心したわ

181:本当にあった怖い名無し
10/12/30 17:01:12 CZPTglfx0
写真立てとか鉄とか。
『だから少し考えてから電話したんだけどな。思い違いならいいんだ』
「ああそうかい。じゃ切るぞ」
『あ、そうだ。今度そっち行くから紹介してお』
「却下」
そして電話を切った。


182:本当にあった怖い名無し
10/12/30 17:01:50 CZPTglfx0
「メリー、明日何かやりたいことある?」
俺達が寝る直前に聞いてみた。
「私?ん~…」
少し長めに考えてからメリーが口を開いた。
「ちょっと外の世界が見てみたいな…お昼ぐらいのが」
ビンゴ。



183:本当にあった怖い名無し
10/12/30 17:02:15 CZPTglfx0
「んじゃ明日買い物にでも行こうか。土曜日だし」
「本当に!?」
子供のようにはしゃぎながら抱きついてくるメリー。
「ホントホント。俺はあまり嘘つかないよ」
メリーの頭をなでながら言う。
「お金は大丈夫なの?」
「大丈夫、四十万ぐらいはある」
高校の時からバイトで貯めた金だった。


184:本当にあった怖い名無し
10/12/30 17:03:50 CZPTglfx0
とりあえず使う予定もなかったし、彼女のために使うなら本望だ。
「とりあえず今日はもう寝よう、な?たぶん明日走り回ることになるし…」
「うん!じゃお休み!」
メリーが俺をベッドの上に押し倒しながら寝転がった。
どかそうと一瞬思ったが、メリーの幸せそうな顔が目に入った。
(やれやれ…かわいいやつだな、もう…)
とりあえず俺はメリーに抱きつかないように仰向けになって寝た。




185:本当にあった怖い名無し
10/12/31 11:12:16 dnD895n40
ウニくるかな

186:本当にあった怖い名無し
10/12/31 19:09:26 I4zVVwSS0
その板に住んでる時点でなんかガッカリだな忍の人
ミステリアスとかじゃなくただのキチガイじゃん
しかも状況的に167は自演だよね
色々都合が良すぎる


187:本当にあった怖い名無し
10/12/31 19:54:54 nNyQasRQO
ナナシ、ケイさん(藤原君)もサイトなりブログやって馴れ合ってるわけだし、それが2ch内でもかまわないと思うけど

ミステリアスなんて読み手が勝手につけたイメージだし、忍の人は他の書き手よりも個人情報ダダ漏れなのに何をって感じ
ミステリアスなのは忍であって書き手の多紀じゃないよ

188:本当にあった怖い名無し
10/12/31 20:05:10 2Y2efw6H0
ファン暦3年目にして初の生ウニあるか 今日こそ

189:では、
10/12/31 20:16:35 vp/IgyDP0
また来年

190:本当にあった怖い名無し
11/01/01 18:44:11 sqIPj8EgO
あけましておめでとう
ウニ後編楽しみだ

稲男や俺さんも続き期待です

191:本当にあった怖い名無し
11/01/01 23:49:59 rNS1VSEj0
あけおめことよろ

192:本当にあった怖い名無し
11/01/02 06:48:18 dvhDha4jO
>>191
えっちなのはいけないと思います

俺さん期待

193:本当にあった怖い名無し
11/01/02 10:47:16 kv1wbhsd0
あけおめこ

194:本当にあった怖い名無し
11/01/02 17:06:17 HBzgI/2i0
おまんこ新年

195:本当にあった怖い名無し
11/01/03 09:24:43 bRLQIpIS0
しかしアレだなこのスレ
作家を擁護してる側の方が荒らしてる側より品性が下劣ってのが笑える状況だな

笑ってはいけないシリーズ物総合スレSP

デデーン

赤緑 アウトー

196:本当にあった怖い名無し
11/01/03 13:15:11 YoudBGtW0
文体バレバレの自演で笑われてるのを気付かない荒らしがオカルト

197:本当にあった怖い名無し
11/01/03 15:33:05 bRLQIpIS0
うーん
その無駄な攻撃性はどうにかならんかね
一つ言わせて貰うとそれ既に荒らしに調教されてる
あれらはスレが自分らの攻撃だけでは瓦解しない事を知ってる
だから馬鹿な発言をして「わざと」相手に下種な勝利感を与えてやる
人間てのは以外に単純だから明確な勝利を目の前に突きつけられると驚くほど勝ち誇り、理性を失う
偽りの成功体験を与え、相手を自分たちと同じ次元まで落としてやるわけだ
これでもうスレは100%煽りと叩きのみとなり終焉を迎える
そしてそれは今このスレで完成しつつあるね
これの厄介な所は賞賛以外の意見は全て罵声の対象とし、住民を以ってスレを衰退せしめる事だ


198:本当にあった怖い名無し
11/01/03 17:58:47 lz2E2Mph0
等と意味不明のことを供述しており

199:本当にあった怖い名無し
11/01/05 00:46:46 Z/8m9vfK0
このスレのまともな人は作品の感想と乙ぐらいしかレスしないから
相手にすんなよ

200:本当にあった怖い名無し
11/01/05 23:53:02 YUE9YpCX0
「このスレとお前らを許さないネンチャック」については定期的に告知した方がいいかもね。

201:本当にあった怖い名無し
11/01/06 07:50:21 uOg7KA9t0
作品の感想、ネガティブな内容のは別だけど、それ以外は皆このスレの存在を許さない荒らしと見ていいだろう
あと新規の投稿とか言ってるけどどうせまた荒らしの寝言だろ
違ったとしてもいらねーんだよ新参は


202:本当にあった怖い名無し
11/01/06 13:36:34 7GsQsq4F0
別にネガティブ感想もいいとおもうけどね~
例えに挙げて恐縮、師匠シリーズの中にも駄作はあるだろうし、むしろ師匠シリーズだからなんでも面白いっつー方が不健全だと思うわぁ

と、ここまで書いて>>201がネンチャックだと気付いた
なんだ新規の投稿はいらないってwバカスwww

203:本当にあった怖い名無し
11/01/06 14:36:17 7lESHdCu0
>>202
気に入らない書き手に粘着して叩きまくって追い出してしまうようなことがあったから
批判を荒らしと認定するようになったんだから不健全に見えるけど仕方ない

204:本当にあった怖い名無し
11/01/06 20:39:40 h1NVBnRH0
>>196
貶める発言があれば必ずこういう奴がこういうレスしてるけど、同じ奴か?
どうしてもこのスレが気に食わない奴は一人しかいないって思い込みたいのかね
まーその方が幸せだろうがね


205:本当にあった怖い名無し
11/01/06 20:40:59 h1NVBnRH0
>と、ここまで書いて>>201がネンチャックだと気付いた

ほらほら言われてますよ~>>201さんww

206:本当にあった怖い名無し
11/01/07 01:13:03 Lx+ZCITx0
絶賛以外の書き込みが全部荒らしに見えてムキムキくる時点でスレの末期なんだよ
最終的に「絶賛以外のレスは禁止」とか言い出す
スレを潰すのは荒らしじゃなくいつだって当の住民という皮肉
勝手に自分で先細りして敵作って崩壊してく

207:本当にあった怖い名無し
11/01/07 01:43:12 fxOckA9K0
論点のすり替えですね

208:本当にあった怖い名無し
11/01/07 02:03:03 vfnaMpK10
>>206
絶賛以外禁止って誰が言ったんだ?
もちろん201は無しな
お前と同じ荒らしだから
それかお前本人かな?

209:本当にあった怖い名無し
11/01/07 02:15:59 7/Ky94DD0
つまり誰も言ってないことが見えてムキムキきてる>>206の頭が末期なんだな

210:本当にあった怖い名無し
11/01/07 08:37:01 hn7+shHs0
書き手側の意識の違いがありすぎるんだよ。
読んで貰いたいから書く人。
書いてやってる人。
文面にありありと出てるからね。面白くない物は素直に反応したほうがスレとして正常な流れだと思うよ。
書き手のレベルが上がるどころか下がっているのは間違いない。

211:本当にあった怖い名無し
11/01/07 15:32:10 P5SzbKwF0
メリーさんですら読んで貰いたいに決まってる。
金も貰えないのに「書いてやってる」なんて変な意識のやついねぇよ。
ただし、このスレに自分の話が合ってるかどうかは全員自覚した上で書いてると思う。

212:本当にあった怖い名無し
11/01/07 16:27:12 9fzo8aP30
変なのは放置で。

213:本当にあった怖い名無し
11/01/07 20:30:43 UiFdu/g40
>>208
>絶賛以外禁止って誰が言ったんだ?

お前は>>206のあの文面を読んで誰かが「絶賛以外禁止」って言ってると読み取ったのか?

>最終的に「絶賛以外のレスは禁止」とか言い出す

こんな調子だと最後には「絶賛以外レス禁止」とか言い出すんじゃね?って事だろ
こんな国語力でよくこのスレの長文読めるなあ
バカは書き込むなよ。ややこしくなるw


214:本当にあった怖い名無し
11/01/07 23:05:12 i7LLvopJ0
もういい加減言い争いはやめようぜ。
お互いどうせ冷静に話し合うなんて出来ないんだろうから。
いっそのこと、書き手以外は女言葉で書き込むこと、って言う規則でも作ったらどうだ?
どんなムカつく内容でもカマっぽく見えて思わず笑ってしまわずにはいられなくなるかも知れんw

215:本当にあった怖い名無し
11/01/08 00:14:30 MauCm4Il0
シリーズ完全新作予告!
――かつては親友だった
「信也ァ!!」
――成り果てたる狂気の妄念鬼
「こいつを生かすも殺すも貴様たち次第だな」
――廃墟となった巨大な屋敷に乗り込んだ一行
「気をつけろ!天井が崩れるぞ!」
――青っぽい恋愛
「守るって約束したかんな」
――暗闇の中に巣食う何か
「気のせいだ、何もいない」
――因果は驚くほど近くに存在した
「親父ィ!!」
――明かされる真実
「もしや、貴方が廃寺の元住職なのですか!!」
――憎悪の果てに・・・・
「何故助ける!!離せ!!」
「やかましい!お前がどう思おうとお前は俺の親友だ!!」
―――紡がれる物語は螺旋の如く絡み合う
「皮肉だな、忌まわしい”コレ”だけが唯一、おぞましい”アレ”を壊せるだなんて」

――ポロリもあるでよ
そのうち公開予定!!

216:本当にあった怖い名無し
11/01/08 00:23:17 5Xr4m0800
密かに期待

217:本当にあった怖い名無し
11/01/08 06:30:38 Wa4GESjZ0
>>204が面白いこと言ってるな。

「どうしてもこのスレが気に食わない奴は一人しかいないって思い込みたいのかね」

馬鹿過ぎて笑えるし、そこが特徴的なんだな。
こいつID変わりまくりで自演しまくりなんで、「変な奴は一人」と思い込むのは意外といい考え方かもよ。
まあ仮に複数いたとして、コレのせいでスルーされるのは可哀想だけどしかたないね。


218:本当にあった怖い名無し
11/01/08 06:43:43 c8jovmiP0
>>204>>217が同じ奴だとさらに面白いな

219:本当にあった怖い名無し
11/01/08 07:20:02 dz+yFx3g0
ウニ氏まだかなー待ってますよー

220:本当にあった怖い名無し
11/01/08 16:14:01 vnso6gG10
>>219
去年は話数少なかったしな

荒らしは放っておけ。構うから図に乗る

221:本当にあった怖い名無し
11/01/08 22:34:13 cubbjFfP0
>>217
まだ言ってるww
だから、一生批判レスは一人の粘着による自演だと思ってろよw

まあ、俺は確かにお前らの相手が面白いから良くするけど、普通に俺以外にもこのスレを馬鹿にしてる奴のレスはあるよ。残念ながら

>まあ仮に複数いたとして、コレのせいでスルーされるのは可哀想だけどしかたないね。

仮に、とかwアンチが複数いるのが「仮」って?馬鹿じゃねーの?
一人の粘着しかいないって本気で思ってるんだなあ
というかさ、「コレノせいでスルーされる」ってどういうこと?お前を筆頭に絡みまくりだろw
やることなすこといちいち滑稽すぎて哀れすぎるわw

222:本当にあった怖い名無し
11/01/09 00:34:56 ob+uOxJ10
あんまりいじめんなよ
このスレは臭い物に蓋をしてくれてる大事な隔離場所なんだから
考えてもみろ、ここの書き手が洒落怖スレや他の文章系スレに移住して
そのスレを無茶苦茶にする光景を
寒気がする

223:本当にあった怖い名無し
11/01/09 15:53:28 fNgwDd+F0
>>221-222

さあ、この両者が自演だと思う人は自演だという根拠を聞かせてくださいwww

224:本当にあった怖い名無し
11/01/09 18:39:23 4BI+QDPW0
>>221と223は同一人物だろうな。頭わるそな文体も同じやし。
>>222はいっつも同じこと言ってる人だな。たぶんツンデレです。

225:本当にあった怖い名無し
11/01/09 19:35:32 GCfhUgZ+0
何がそんなに面白くてwばっか付けてんだよw

226:本当にあった怖い名無し
11/01/09 20:48:18 fNgwDd+F0
頭わるそな文体も同じやし。
頭わるそな文体も同じやし。
頭わるそな文体も同じやし。
頭わるそな文体も同じやし。
頭わるそな文体も同じやし。



227:本当にあった怖い名無し
11/01/10 02:35:18 TCLVf8LB0
          ,      /〃ハヾ  / ∧∨〃、ヾ} l| :}ミ;l\
        /〃// / 〃l lヽ∨,〈ヾ、メ〈 }} ;l リ ハ l`!ヽ.
          //' /,'  ,' 〃 l l川/,ヘ丶\;;ヽ/:'/〃∧ l ト、:l !
         〃,'/ ;  ,l ,'' ,l| レ'/A、.`、\;;ヽ∨〃/,仆|│l }. |、
         i' ,'' l| ,l ' l. !| l∠ニ_‐\ヽ;\,//,イ| l | l ト/ λ!   、
.        l ;  :|| ,'i:/ l| |:|: |``'^‐`ヾ∨`゙//|斗,l ! | ,タ /l.| l  三__|__
       l ' l |」,' l' lハ |'Ν    ̄´ /` ,|l_=ミ|! ly' ,〈 :|| |  口 |
        |l .l H|i: l | ゙、| l        _.::: ,!: l厂`刈/ /!} :l|    ‐┬‐
        |! :l |)!| ! |  ヽ      '´ ’/'_,.   ノイ.〃/|!    │田│
        l|l |l 「゙|l |`{             ..   _   |}/,ハ l     ̄ ̄  
       |!l |l、| !l :|.      ‘ー-‐==ニ=:、__j:)  l'|/|l リ    、 マ
ヽ ̄ニ‐、__.」乢!L!lヱL」__           ー、 `'''´   从「 /     了 用 
 \ `ヽ\      /l |       / ̄´     //        '"`ー‐
.  ,、  l  ゙、    / ' |、      {        /l/         ,
   '}  l  ゙,    /   |:::\      }     ,.イ/          レ |  
   l  l   l  ,.イ   l:::::::::\__   `'-‐::"// |′          ノ
   l   !   K ヽ,、 \「`''''''''"´:::::::;;:" //          
.    l   l   ト、\( _.... ヽ  .:.::::::::;;″ /'       _    
\   |  l|  八、ヽi´    | .:.:::::::::::::i' .:/'"´ ̄ ̄ ̄ ,.へ\


228:本当にあった怖い名無し
11/01/10 20:05:21 cPsaIV1k0
頭わるそなw

人に頭悪い、と指摘するはずがてめえの頭の悪さを露呈とか一番恥ずかしい

229:本当にあった怖い名無し
11/01/10 21:15:59 fIqI46bf0
キモ。そういう自分が思いっきり釣られてるじゃないか。

230:本当にあった怖い名無し
11/01/11 22:06:38 6Y53nB3r0
このスレにいる粘着をどうやって打倒するか徹底討論!
奴らをケチョンケチョンのギッタンギッタンにするのが目的という噂!
殴り合いや激論のすえにどうにかこうにか辿り着きましょう!

以降500レス以内での作品投下は邪魔なのでご遠慮ください


231:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 13:45:14 aXGJJGd00
[激流]

1/15
炎の中、私は今日何度目かの眠り―失神から、目を覚ました。

あ、いけない…

慌てて真奈美ちゃんの様子を窺う。

…良かった。どこにも火は移っていない。

私はホッとして、彼女を抱き寄せる。
辺りには煙が満ちてきて、伏せていないとどうしようもない。
もはや立ち上がることができない以上…ここから出る術は無くなってしまった。

もし…
私の体が燃え出したら、私は真奈美ちゃんから離れないといけない。
燃え移ったら、大変。

そうやって、燃えて…灰になっても、私はこの子を守れるかな?
死んでしまったら終わり?それとも、霊になって守り続けることはできる…?


232:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 13:47:21 aXGJJGd00
2/15
炎に囲まれ、その熱さにジッと耐えながら、私は以前、祐一さんを家に招いたときの事を思い出していた。

「どこかで、少しお話できませんか?」

夜遅い時間、電話で突然そんな事を言われたときは、心臓が止まるかと思った。

すぐに頭を切り替えて、”本部長”として対応したつもりだったけれど、あんな時間に男の人を家に招くなんて、軽率だと思われたかも知れない。

彼が家に来るまで、急いで掃除をして、着替えて、お酒の準備をして…でもきっと飲まないだろうから、お茶の準備もして。
あんなにドキドキしたのは、生まれて初めてのことだった。

でもそうやって期待し過ぎたせいで、実際の用件を聞いたとき…私は彼に、酷い態度をとってしまった。

事件から手を引かせるためとは言え、彼が何よりも大切に想っている真奈美ちゃんのことで、あんな風に脅して…。

上手くないやり方。
冷静さを失っていたのかも知れないな…と、そんな事を思う。


233:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 13:50:14 aXGJJGd00
3/15
真奈美ちゃんは相変わらず眠ったまま、目を覚ましそうにない。

少し心配だけど…今は、それが幸いな気もする。
炎に包まれて、怖い思いも、苦しい思いもしないで済むから。

でもひょっとしたら…彼女は今、怖い夢を見ているかもしれない。
夢の中で、炎に焼かれているかもしれない。
苦しんでいるかもしれない。
それが気掛かりだ。

こうして抱きしめてあげれば、怖い夢から解放される?
優しく包み込むことで、見る夢は変わるもの…?

分からないけど、私にはもう、それくらいしかできない。
後は…そうだ。
子守唄でも歌ってあげようかな―…

…と、そんな事を考えていたときだった。

私の目の前に、”それ”が現れた。


234:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 13:54:12 aXGJJGd00
4/15
白い影。

そんなものは見たことがないけど、正にそれだった。
横になっている私の目の前に、白い影が立っている。
そして、それが徐々に人の形を成していき…やがて、女性と分かる形になる。

炎の中に浮かぶ、白いシルエットのような存在。
…幻覚かな?
それとも、これがあの…”お迎え”というもの?

それを見上げたまま、ただ漠然とそんな事を思っていると…頭の中に、声が聞こえてくる。
声の主は…目の前の影だ。
そして、その声を聞いて、何故か分かる。
これは、生きている人間の声だ。
でも、ここには居ない。居るのは…影?魂?
これは―生霊?

その声は、私に何かを伝えてくる。
しかし意識が混濁していて、聞こえてはいるけど、理解ができない。
でも、その中から1つの言葉を聞き取ったとき…私の頭の中で、何かが弾ける。

そして私は、すぐに行動に移った。


235:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 13:58:37 aXGJJGd00
5/15

往来会本部前。

そこには消火活動を続ける数名の消防隊員と、大勢の野次馬が居た。

「火災が発生してから、建物の外に逃げ出してきた」という往来会の人の話では、中には誰も居ない、ということだった。

火は建物全体に広がっており、その様子から、出火元は1箇所ではなく、複数の箇所であることは明らかだった。
そしてそのことからも、消火を行っている隊員の多くは、これは放火によるものだと確信していた。

そんな中…。

燃え盛る炎に紛れ、微かな音が聞こえてくる。

隊員達は手を止め、その音に耳を澄ます。
野次馬達も声を潜め、その音を聞く。

それは、異常を告げる音。
助けを呼ぶ音。

―汐崎真奈美が父に言われて持っていた、防犯ブザーの音だった。


236:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:00:48 aXGJJGd00
6/15
その音の意味を悟った消防隊員が、隊長に指示を仰ぐ。

隊長は逡巡する。

往来会の人は、「中に人は居ない」と言っていた。
ならばこれは、何かの拍子で、ひとりでに鳴り出した音では…?
人が居ないと言われているのに、炎の中まで確かめに行く必要があるか…?

しかしそのとき、周りを囲む野次馬の中から、声があがる。
「中に誰か居るんじゃないのか?」

それと共に辺りがざわめき始める。
誰も居なければ、それで良い。しかし、もし居たら…?
隊員の誰もがそう考え、覚悟を決める。

そして、隊長の指示の元、数名の隊員が建物内に突入していった。
聞こえてくる音の、発信源を求めて。


…後日のニュースでは、こう報道される。

社団法人往来会のK県本部が全焼。
放火の疑いあり。

…死者1名、と。


237:本当にあった怖い名無し
11/01/12 14:06:18 yekT4AZC0


238:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:08:11 aXGJJGd00
7/15

源川会長との短い話を終え、私は隣の部屋に戻ってきた。

すると、待っていた副会長が私をジッと見つめ、こんな質問をしてくる。
副会長「秘密の話でもしていましたか?」

別に、秘密がどうのという話でもなかったので、よく意味が分からなかった私は答える。
私「いえ、特には…」

それを聞き、しばらく私を見つめた後、副会長は満足気に微笑む。

…なんか、嫌な笑顔。
でも私は、それどころじゃなかった。
頭の中で、色々なことがグルグル回っていた。

優理ちゃんのこと。
出会って、すぐに仲良くなって、キーホルダーを交換して…
最期には、あの子にとって一番大切だったもの―ラット君を預かった。

一緒に居た時間なんて、ほんの僅かの間だ。
でも私は、あの子が何を望んでいるか、何を喜んで、何を悲しむかを知っている。
源川さんと話をして、それが良く分かった。


239:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:11:35 aXGJJGd00
8/15
佳澄のことだって、そうだ。
きっと、この世界で「生きていた彼女」の事を一番良く知っているのは、私。
次に、古乃羽かな?そういう記憶力じゃ、負けないんだから。

では…彼は?彼のことは?

副会長「では、こちらに」
副会長さんがそう言って、私を部屋の中央―壷が置いてあるところまで連れていく。
背中に手を添えて…まるで、もう逃がさないとでも言いたげに。
でも、そんなことはどうでもいい。私は、もっと考えないといけない。
私…私は―

…彼のことを知らない。

何でなの…?
付き合っていたのに。
彼のこと、あんなに好きだったのに。

何で、もっと…彼のことを知ろうとしなかったのだろう。
彼が生きているうちに、何でそれができなかったのだろう…。

…あぁ、だから、なんだ。
やっと分かった。
だから私は、こんなにも彼に会いたのね。
彼のことを、知りたいからなのね?

…でもそれって、なんて―ひどい話なの?
そんなの、生きている人間のエゴじゃない―


240:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:16:49 aXGJJGd00
9/15
副会長さんが箱から壷を取り出し、座っている私の目の前に置く。
あ、あの壷…蓋が付いているんだ、なんてことを、頭の片隅で思う。

副会長「さぁ、どうぞ。蓋をお取りください」
私を促す副会長。
そんな私の頭の中は、相変わらずモヤモヤしているけど…
今ここに至って、急速にそれが晴れていく感じがする。

相手が生きているうちに出来なかったことを…してあげられなかったことを、死んでしまってからやろう、なんて。
後悔したことを、自分だけ戻って、やり直そうなんて。

それで、前に進むなんて言えるの?
…んーまぁ、言えなくはないのかな。
ただそれって、後ろ向きな考えよね。

そんな風に、後ろを向いたまま前に進む?
私は、それでいいの?
そんなことでいいの?

…イヤに決まっている。私は、そんなことは望まない―

自問自答を繰り返していくうちに霧が晴れ、視界が開く。
目の前が明るくなる。

…そしてそこで、気付く。
私を見つめる視線。
部屋の周りに立つ人々の、その暗く淀んだ目の正体に。


241:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:18:34 aXGJJGd00
10/15
あの目…。
そうだ。どこかで見たと思っていたけど、やっと思い出した。

―暁彦だ。
ずっと前に古乃羽が言っていた、あの「嫌な目」だ。
これはどういうこと?
…なんて、考えるまでもない。

「暁彦もね、小さい頃にあの壷を見たの」
源川さんはそう言っていた。更に容子さんもそれを見た、と。

明らかに常軌を逸していた暁彦。
壊れていた、と言っても差し支えは無い。

暁彦がそうなったのは、いつから?
父親の実験台になってから?母親が亡くなってから?
それとも…壷を見てから?

…分からない。
本当のところは、分からない。

でも、もし壷を見たときからだったら、どうなるの?
一緒に壷を見た母親―容子さんは亡くなって、生き延びた暁彦はどうなったの?

そう考えながら、私は目の前に置かれた壷を見つめる。
そして…全てを理解する。


242:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:21:41 aXGJJGd00
11/15
暁彦が壊れてしまった本当の理由と、母親である容子さんの死因。
源川さんが望んだことの理由。
それと、私の進む道―

全て分かった。
そして、今するべき事が決まった。

目の前には、副会長が居る。
私に壷を見せたがっている、暗い目をした副会長が。
…間を置いたらいけない。

やるなら、すぐに。迅速に―
意を決した私は壷に手を伸ばし、両手でそれを掴み、立ち上がる。

副会長「何を―!?」
私の突然の行動に、副会長が驚きの声を発する。
そして私を止めようと、手を伸ばしてくる。
部屋の周りの人々も、私に向かってこようとしている。

…でも、遅い。
私は手にしたものを頭上高く掲げ、副会長を避けるように横を向く。

先に進むって、こういうことよ―

そして息を深く吸い込み、目をきつく閉じると、壷を思いっきり床に叩きつけた。


243:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:25:53 aXGJJGd00
12/15
壷が割れる音。
少し耳障りな、砕け散る音。

下が畳だったので不安ではあったけど、私の耳には、私の望む音が聞こえた。

…でも、破片が足に当たるような気配がない。
破壊音は聞こえたけれど、何かが飛び散ったような気配がない。
その後に、当然聞こえてくるであろうと思っていた、副会長の声もない。

静寂。
時間が止まったかのような、静寂。

…そして聞こえてきたのは、叫び声。
無数の叫び声が、どこか遠くから広がってくる。

それと同時に、突然辺りの空気がうねり出し、大きな流れが生じる。
私はその力に押し流されそうになり、目を閉じたまま、両手で耳を塞ぎ、その場に膝をついてうずくまる。
立ってなんて居られない。

流れの行き先は、私のすぐ前の床…壷を叩きつけたところだ。
様々なものが、そこに吸い込まれていくのが分かる。
私の横を、たくさんの…何かがすり抜けていく。
何だろう。物じゃない。魂…?分からない。
そんなの、私に分かるわけがない。
ただ分かるのは…それに身を任せてはいけない、ということ。

これに流されていったら…その先に何があるのかなんて、想像もできない。
でも、その先に行ってしまったら、絶対に戻って来られないことだけは分かる。


244:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:28:29 aXGJJGd00
13/15
私は、ここに居たいの。
まだここに居させて。お願い―

そう願いながら、何とかその場に留まる。
どこにもしがみつく物が無いから、私は…私自身に掴まる。
この存在に。この命に。
“流れに負けない重たいもの”を考えたとき、真っ先にそれが浮かんだから。

でも…
流れは更に激しさを増し、私を巻き込もうとする。
私の身体から何かが抜け出て、流されていく…そんなイメージが浮かぶ。

それをどうやって繋ぎとめれば良いのか、私には分からない。
ただ歯を食いしばって、引き剥がされそうになるイメージを頭から振り払いながら、耐え続ける。

ここに居たいと、強く願う。
命にしがみつく。
必死に、しがみつく…
けど、もう…何だか、息が詰まってきて…

流れが一段と、激しくうねり出す。
非情に、容赦なく私を責め立ててくる。

ダメ…このままじゃ、私―


245:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:31:12 aXGJJGd00
14/15
―と。

1つの小さな手が、私が押し止めてくれる。
…すぐに、優理ちゃんの手だと分かり、頭の中にあの子の姿が浮かぶ。

それと、他の人の姿も。

面倒そうな…でも、仕方ないわね、といった顔の佳澄。
それと、照れくさそうな顔をした男の子。
…私の方が、大分年上になっちゃったな。

それから、古乃羽の姿。
昔、私の手を握っていてくれた古乃羽。
私を繋ぎとめてくれた古乃羽。
あー…。これ、絶対に後で怒られる。
こんな体験しました、ってこと、黙っていようかな?
…なんて、ダメよね。お説教は覚悟しなきゃ。

そして更に、頭の中には私の大切な人達が次々と浮かんでくる。
両親の姿や…北上まで。
雨月君も浮かんできたから、まぁ、これはきっと友情ね。

って…、これってもしかして、走馬灯?
なんて一瞬思ったけど、きっと違う。
最後に舞さんの姿が浮かんだとき、そう、確信できた。

何故か舞さんは、私のすぐ傍に居るような…そんな感じがした。


246:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/12 14:35:37 aXGJJGd00
15/15
私は、流れの中、ジッと身を固める。
もう、平気よ。
決して揺るがない。流されたりしない―

そう強く思い、私はそこに居続ける。
激しい流れにもビクともせず、不思議と、穏やかな心で。

そして…しばらくすると、流れが緩やかになってくる。
聞こえていた叫び声も小さくなり、消えていく。

やがて流れが完全に止み、辺りが静寂に包まれ…
私は、そっと目を開ける。

私の周りには、誰も居ない。
広い部屋に1人、ポツンと座り込んでいる。

私は程よい脱力感の中、ゆっくりと身体を起こす。

あまりに静かで、まるで何事も無かったように思えるけど…
私の目の前には、あの壷が入っていた箱だけが置いてある。

その空っぽの箱が、私に全てが終わったことを、教えてくれた。




247:本当にあった怖い名無し
11/01/12 14:42:12 Zg6hegiz0
乙!

他にも投稿増えればいいんだけどな

248:本当にあった怖い名無し
11/01/12 14:42:43 vpD7sGPI0
毎度乙です。

249:本当にあった怖い名無し
11/01/12 18:03:20 lWXilWbk0
赤緑Z!

250:本当にあった怖い名無し
11/01/12 21:05:59 pTUlr9jM0
今ドラゴンクライシス見てるんだけどコテコテのハーレム物だな
1話時点で3人主人公に惚れてる確定
声釘宮だし
媚び過ぎ、視聴者を舐めてる、今のアニメ界はこのままじゃ未来は無い
もっと骨太な作品をつくろうとは思わないのか
本当に腹立たしい
とりあえず視聴決定
読んでないけど赤なんとかさん乙

251:本当にあった怖い名無し
11/01/13 10:10:09 ZxXfjxHG0
赤緑乙

252:本当にあった怖い名無し
11/01/13 19:22:08 f+wb8SMR0
全世界、全人民に告ぐ。私はメリーさんだ」

 社員食堂のテレビが突如として変な映像を映す。
 おかしい、さっきまではお昼の定番長寿番組を見ていたはずなのだが。

「あれ、なんですかね」

 テレビを指さして先輩に訪ねる。

「春だからね」



253:本当にあった怖い名無し
11/01/13 19:24:10 f+wb8SMR0
回答になってない。が感覚の領域では納得している自分を感じる。
 日本人に共通して「春」のイメージがあることの証明になるかもしれない。
 季節を理由にするのは季節のある国にしかできないな、と思った。

「繰り返す、私はメリーさんだ」



254:本当にあった怖い名無し
11/01/13 19:25:29 f+wb8SMR0
 テレビは相も変わらず意味不明な映像を映し続けている。
 青一色の背景。少女が自分の名前を連呼している。
 他の社員達は全員奇妙なものを映すテレビにくぎ付けになっている。

「あっ、ちょっと待ってくださいよ」



255:本当にあった怖い名無し
11/01/13 19:34:10 f+wb8SMR0
先輩が席を立ったので呼び止める。
 後輩の食事が終わるのくらい待ってくれてもいいじゃないか。

 いや、そこで待たないのが先輩らしい、とも思える。
 我ながら矛盾してる。でも矛盾は嫌いじゃない。



256:本当にあった怖い名無し
11/01/13 19:37:13 f+wb8SMR0
「メリーさん、知らないの」

 知らないから聞くんだろうが、とは口が裂けても言えない。
 コクッ、と頷いて次の発言を促す。

 先輩から話し始めること自体、珍しいケースだ。
 変なことを口走って機嫌を損ねてはいけない。



257:本当にあった怖い名無し
11/01/13 19:41:05 f+wb8SMR0
 先輩が説明してくれたメリーさんとはよくある怪談だった。
 デモンズウォールみたい、と思ったけど口にはしない。口は災いのもとだ。

「で、そのメリーさんがなんでテレビに」

「春だからね」



258:本当にあった怖い名無し
11/01/13 19:44:18 f+wb8SMR0
 興味がない、という意味だと判断。
 先輩は私が食べ終わったのを見て返却口まで早足で歩いていく。

 その後ろを慌てて追いかけてい行く。
 先輩の後ろには私がいる。



259:本当にあった怖い名無し
11/01/13 19:45:31 f+wb8SMR0
 ふと、先輩がテレビに映るメリーさんに大して何にも思わなかったのは、
 後ろに常に私がいるからじゃないか、という考えが浮かぶ。

「俺の背後には君がいるから」

 そんな台詞が先輩の口から出るのを想像する。
 気持ちが悪い。先輩の柄ではない。



260:本当にあった怖い名無し
11/01/13 19:48:38 f+wb8SMR0
 それに私がいたいのは先輩の後ろではなく隣なのだ。

 さっきのメリーさんの怪談にはオチがない。
 語り手が後ろにいるメリーさんにどうされたのか分からない。



261:本当にあった怖い名無し
11/01/13 20:02:20 f+wb8SMR0
 そこに想像の余地があるから広まった話なのかもしれない。
 後ろの次はどうなったのか、その疑問への回答は人の数だけあるに違いない。 

 今はまだ先輩の後ろでも、いつか先輩の隣にいれるように。



262:本当にあった怖い名無し
11/01/13 20:18:24 f+wb8SMR0
メリー「もしもし、私メリー。今あなたの後ろをいただいてるの」

男「アッー!!」

メリー「初めてか?力抜けよ」



263:本当にあった怖い名無し
11/01/13 23:07:59 7xrFOG5N0
シリーズスレのテーマ曲が決定しました
URLリンク(www.nicovideo.jp)

264:本当にあった怖い名無し
11/01/14 01:09:51 4QszvUCu0
ウニ待ち伏せ中
(`・ω-)▄︻┻┳═一

265:本当にあった怖い名無し
11/01/14 19:46:57 Uc9f5sKX0
伏兵掃討中
        ---ェ=[]]ニi
          r‐ェュ,>'三`ェ-、,、,、
     iliニ)ニ)二)}〈'〈r、ririri-ー'ー'〉_,,_
    _,, -‐`゚゚ii司i〉'二-`゚゚'ニiニニiニニiニニiニiヽ,
   {三{{rj ̄ ̄~rj{三{{fj~''=''=''=''=''=''=''fj}}~
    ゝ=ゝ`ー―ゝ=ゝ{[,j}{[,j}{[,j}{[,j}{[j}/
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


266:本当にあった怖い名無し
11/01/15 19:40:48 qO+vT4Cb0
スレ違いの話をおとなしく聞くんだ
たまにある事なんだが往来が殆どない細い道を走ってる
するといつの間にか後ろから車が煽ってくる
無視して走ってるといなくなってる。曲がりは無いはずなんだけど
暫らく走ると事故を目撃してしまう
そんな時思う、これは何かの能力ではないのか

267:本当にあった怖い名無し
11/01/17 00:22:52 rwDI8yn80
しかしこのスレやばくねーか
スレの4分の1回って投稿数がメリー除いて4つ
後は全部大荒れのレス応酬

まともに機能してる状態じゃない

更に読み物として成立してる作品で限定すればウニと稲男の2つだけという

268:本当にあった怖い名無し
11/01/17 04:03:00 49TiH0F10
やばかったらなんなん?

269:本当にあった怖い名無し
11/01/17 04:17:45 MzqVBI8j0
ウニ以外にまともな書き手がいるつーなら、相当に優秀じゃねーかw

270:本当にあった怖い名無し
11/01/18 00:09:01 v23ugQ7o0
ウニだけは洒落怖本スレに投稿しても許される現実
結局これが全てよね
ゴタゴタあって隔離されたけどそれはウニ以外の面白くない投稿者が嫌われてただけで
質の低い模倣者が現れなければここも存在せず本スレで皆仲良くやっていたんだろう


271:本当にあった怖い名無し
11/01/18 04:29:22 TYYSKQG80
結局お前らが無駄に敷居を高くしてるだけじゃねーかw

272:本当にあった怖い名無し
11/01/18 13:23:27 6gheKTQ80
「ネットの中だけが、世界の全て」な人間は、ここでクオリティとか真剣に求めちゃうんだろうね。

暇つぶしの読み物に対して、本気で

273:本当にあった怖い名無し
11/01/18 13:41:28 FgS3RUTT0
>>272
すごく納得した
お見事

274:本当にあった怖い名無し
11/01/18 14:28:13 MDElhCBn0
>>272
反応してる時点でお前も同類
暇つぶしと認識してる奴は話以外のレスにはいちいち反論しない

275:本当にあった怖い名無し
11/01/18 19:18:05 DkltdrFX0
反論すんのも暇つぶしだろ。何言ってんだよ。

276:本当にあった怖い名無し
11/01/18 21:20:16 v23ugQ7o0
こうやってジワジワと無為なレスを稼ぐのがやり口なのに
本気で反論してる時点で思惑通りなんだよね


277:本当にあった怖い名無し
11/01/19 06:41:46 VodwqAIL0
一度に4行も書き込んでるくせによく言うぜ

278:本当にあった怖い名無し
11/01/19 08:47:50 tgSOVqOG0
ウニウニィ(´Д`;)
まだー(´Д`;)

279:本当にあった怖い名無し
11/01/19 13:36:15 g/HVPjC70
>>275
だから同類だって言ってるだけだろ
顔真っ赤にして反論しないでも良いよw

280:本当にあった怖い名無し
11/01/19 14:50:36 nQNiOMar0
ウニ (うに)


                i  |    i
            ヽ   |  |! i  l    i    ,
        ヽ  ヽ、 \  | |l. |! l i  il.  ,. /
          \  \ \ | || || l| |  !| / /  ,.  ,
            \. \ \ヾ∨ii ii|^l|ハV||Y v!i / /
    _ __      `ヾ\ゞヾv` |iiil ||  || イ ,^ケ/   _ , -
      -‾-‾三三-ヽゝ``ミ゛  |i| lij イ < ∠三‾- -
     ‐ ‐‐‐======≡≡≡ニ: : : : : : : ,、: :::::¨'ゞ<≡==-- -
    - --------===ニ¨ァ::::ソ::/ル i!i ii!!ヽ;:;:__ニ≡≡≡===---- -
     .....、、---'''''''"ヲス::::タ:::ハ::::|i.::i!i::::ii!!`ミヾヌミべ.- 、 ,,,__
              /, ツイァ/レ::ソiiハトiイリiヘ!i::トィY\ ` 、
         /   ///シ/イ!iyト::イiリVi|ヘ|i ヾ  \  `
        '    / ' / /: |i !|l 川|l |i  |l \   \
            /  / /  | ! |! │|!.  l  |! 丶   `
            / /  i   |  i |  i   l


281:本当にあった怖い名無し
11/01/19 20:01:20 ScTUUTC/0
>>280
わりとどうでもいいに見えた。

282:本当にあった怖い名無し
11/01/19 22:42:20 nQNiOMar0
                       ヘ(^o^)ヘ いいぜ
                         |∧  
                     /  /
                 (^o^)/ てめえがこのスレを
                /(  )    思い通りに荒らせるってなら
       (^o^) 三  / / >
 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三 
 ( /
 / く  まずはそのふざけた
       幻想をぶち殺す


283:本当にあった怖い名無し
11/01/22 14:36:48 SPDc4W0F0
投稿待ちの間、霊感持ち友人知人がいる人同士で雑談でも出来たらこんなに荒れることもないんじゃないか
…と思ったけどシリーズスレだからスレ違になるのか

284:本当にあった怖い名無し
11/01/22 22:50:39 XlWEYSjs0
昔のラノベ巻末でよくあった作者とキャラの対談みたいな惨状になりそうだ


285:本当にあった怖い名無し
11/01/23 00:19:10 YcWGdXM10
乙しか言えない、貧相なボキャしか持ち合わせてない住人に会話が続くかよ

286:本当にあった怖い名無し
11/01/24 15:14:58 hDbVHJQ2O
乙だけでなくて感想言えよって話だよな

287:本当にあった怖い名無し
11/01/24 16:50:02 laERTxXKO
バーカ、まだわかんねぇの?
感想なんかどーでもイイんだよ
要はオレさまが投下しなけりゃ始まんねーの!

288:本当にあった怖い名無し
11/01/24 17:21:03 G/6cyx3pP
本当に一人で会話してるwwwwww

289:本当にあった怖い名無し
11/01/24 19:23:59 HFptszSJ0
ウニさんのを最近読み出しました。
凄い・・・プロの方みたいだ。


加奈子さんの事が師匠は好きだったんですね。


290:本当にあった怖い名無し
11/01/24 22:58:04 zmlaunlB0
なあ、もまいらアイデアを下さい。なんか続きが書けんのよ。
ぶっちゃけどういうのが読みたいのよ?

291:本当にあった怖い名無し
11/01/24 23:17:51 G/6cyx3pP


レインメイカー
田舎後編
この間の続き

好きなの書きなさいよ

292:本当にあった怖い名無し
11/01/24 23:37:39 zmlaunlB0
というかこのスレのみんなとシリーズ物作れたら面白そうだな。と思って。
いつも煽ってる人もアイデア出して欲しいなあ。
「何が駄目」じゃなくて「こういうのが読みたい」って感じで。

293:本当にあった怖い名無し
11/01/24 23:45:58 1c4QqEyI0
馬鹿だなぁ
乙しか言わないって言うが
乙の一言で十分なんだよ
乙という言葉の中には愛も悲しみも憎しみも全て凝縮されている
乙の言葉は最大級の惨事なんです、あくまで誤字なんです
一流の料理に対しての言葉は「うまい」の一言で十分
他の知ったかぶった言葉で「シャッキリぽんと舌で踊るわ!」
とか栗田ゆう子のビッチは死ね、氏ねじゃなくて死ね

・・・ああうん・・・実際は不味そうなんで食わないで乙言ってるような状況なんだけどね

294:本当にあった怖い名無し
11/01/25 08:26:54 vVc1YEZWO
パク屋いるからな

295:本当にあった怖い名無し
11/01/25 10:46:01 2MyHn/d4O
>>293
乙、面白かった
今後の展開に期待

296:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 09:36:00 /DHP8l300
[後日の人々]

1/16
副会長の別荘での一件があった翌日。
私―汐崎祐一は、ある決意を持って家を出た。

あの日、地下室に囚われていた私たちは、思いも掛けない人物―事務の三島さんに助けられた。

そして彼に連れられて1階の部屋に行くと、そこには神尾美加が1人で座り込んでおり、更にその隣の部屋には、何と源川会長が私たちを待っていた。

副会長や、その部下の姿はどこにも見当たらず、私の頭は混乱するばかりだったが、会長自らが事の顛末を説明してくれた。

しかし、その話の途中で往来会本部が全焼したことを知り…その中に真奈美が居た、という事を聞いた時点で、私はショックの余り、気を失ってしまったのだった。

…そして気が付いたのが、今から数時間前。場所は自宅。
既に夜も明け、時刻は昼過ぎになっていた。

目を覚ました私のすぐ傍には、三島さんからの手紙があり、その中で、彼が私をここまで届けてくれたことと…真奈美が無事であることを知った。


297:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 09:39:20 /DHP8l300
2/16
そして、丁度手紙を読み終わる頃に、真奈美が帰宅。

私達は思わず抱き合って喜び…不覚にも、娘の前で涙を流してしまった。
真奈美がわんわんと泣くので、貰い泣きだ。うん。

それから、真奈美は私が居なくなってからの事を教えてくれた。
それは私にとって、衝撃的な話だった。

古い友人である牧村陸が既に亡くなっていた、ということもそうだが…それ以上に、本部長のことにショックを受ける。

彼女が、真奈美のためにしてくれたこと。
その全てを知った私は、言葉を失う。

心の底から謝りたい。
それ以上に、感謝したい。

そう思って、私は真奈美と共に家を出た。

行き先は―本部長が入院している病院だ。


298:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 09:42:48 /DHP8l300
3/16
病院までの道のりで、私は三島さんの手紙のことを考える。

あの手紙には、本部の火事跡からは1体の焼死体―藤木徹の死体が見つかった、と書いてあった。
しかし、遺体の詳細についての報道はまだされていない。家を出るときのニュースでは、身元は不明と言っていた。

三島さんは何故、死体の身元を知っているのだろう…?と思ったが、私は、その点については深く考えないことにした。
私は元々そんな性格だし、相手はあの三島さんだ。
会長と繋がりがあることが分かったので、きっとそこから得た情報だろう、と思うことにした。

そして、目的の病院に着く。

真奈美「お父さん、ちょっと…」
すると真奈美が、持ってきたお見舞いの花を抱えながら、私をジロジロと見てくる。

私「どうした?まだ何か…変か?」

今日は仕事でも何でもないので、スーツではなく、普段着だ。
それも、家を出る前に真奈美にあれこれと厳しいチェックを受け、納得するまで何度も着替えさせられ、やっと決まった服だ。

真奈美「うーん…まぁ、大事なのは中身よね」

うんうん、と1人で頷きながら言うと、真奈美はさっさと病院に入っていってしまう。
何のことやらだか…やけに楽しそうだな。


299:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 09:46:31 /DHP8l300
4/16
本部長の病室は、3階だった。
真奈美は本部から救出され、怪我や異常が無いか検査を受けた後も、ずっとこの病院に…本部長と一緒に居たらしい。
でも一度家に帰るように言われ、そこで私と会い、また戻ってきた、という訳だ。

真奈美「ここ、ここ。沙織さんの部屋、個室なんだよー」

私より先行して廊下を走って行き、1つの病室の前で立ち止まる真奈美。
そういえば…真奈美は、本部長の事を下の名前で呼んでいる。
ほんの数日でそこまで親しくなったのかと、驚いてしまう。

真奈美「沙織さーん、ただいま~」
そう言いながら、部屋に入る真奈美。

高城「…おかえりなさい、真奈美ちゃん」

部屋の中から、本部長の声が聞こえてくる。
病院でただいま、おかえり、とはねぇ…と思いながら、私も真奈美に続いて部屋に入る。

火事から救出されたので、それはそれは痛々しい姿を予想していたが、ベッドで半身を起こしている本部長は、左手に包帯を巻いているだけだった。
その姿を見て、私は心の底から安堵する。

私「本部長、この度は―」
そしてすぐに、準備してきた挨拶をしようとする。
が―

高城「あ、祐一さん…」


300:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 09:50:24 /DHP8l300
5/16
私「…はい?」

高城「…あ」
突然、真っ赤になって顔を伏せる本部長。

…何だ?
いきなり下の名前で呼ばれたぞ…?

私「あ、あの…」
何を言おうとしていたか、頭から綺麗サッパリ抜けてしまい、言葉を失う。
謝るのだっけ?お礼を言うのだっけ…?

真奈美「お花、ここに飾っておくねー」

固まってしまった大人2人を尻目に、真奈美がちゃっちゃと花を飾る。
そして、「それじゃ、後はよろしくー」と言い残し、止める間もなく部屋を出て行ってしまう。

最後にこっそり、「私はOKだからね」と、謎の耳打ちをしてから。


301:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 09:53:45 /DHP8l300
6/16
真奈美が出て行き、急に部屋の空気が変わってしまった。

まずは落ち着いて深呼吸をし、まだ真っ赤になって下を向いている本部長に、声を掛ける。

私「あ…あの、本部長…」
高城「…」
私がそう呼ぶと、本部長は何か意味ありげな目でこちらをジッと見てから、プイとソッポを向いてしまう。

その仕草で、私はとてつもなく重大な”可能性”に気付く。
この私が、自他共に認める鈍感さを持つ私が、気付いたのだ。
何しろここ数日間、私はずっと本部長のことを考えていた。…いろいろな意味で。
そして今、ほんの一瞬だが目で会話をしてしまい、そこからとんでもない言葉が伝わってきた…ような気がした。

だがしかし、待て。
これが勘違いだったら…かなり恥ずかしい事になるぞ?
いい歳したオジサンが、何言っているの?歳の差ってものを考えなさいよって事になる。

ここは慎重に…と思い、改めて彼女を見る。
そこには、命を掛けて真奈美を守ってくれた本部長が居る。
真っ赤になって、拗ねるように俯いて―…あれ、こんな人だったっけ?

…何だか、慎重になんて、言ってられなくなってきた。
私は男として…今、勝負を掛ける時が来たのじゃないか?真奈美はOKなのだ。

私はありったけの勇気を振り絞り、真奈美と同じように、彼女の名前を呼ぶ。

すると彼女は顔を上げ、今までに見たことの無い笑顔を見せてくれた―。


302:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 09:55:28 /DHP8l300
7/16

「それで、往来会は解散ってことか」

神尾さんの家。
毎度女の子の部屋に集まるってのは、どうかとも思うが…ここがすっかり俺達4人のたまり場になっている。

そこで神尾さんの口から、彼女が昨日体験したことが語られた。
神尾さん自身、何故霊感を求めていたか、という理由についても含めて。

昔の彼氏の話もあったので、北上は複雑な顔をしていたが…
何年も前のことだし、こいつはそういうことを気にする男ではない。…確かそうだ。

神尾「うん。源川さんはそうするって。それで、また新しい会を開くみたい」

会を開くって言うと、なんだかお楽しみ会みたいに聞こえる。

神尾「今度は前の本部長…高城さんを中心に、往来会に居た人を集めるって言っていたわ」
北上「ほぉ…」

まぁそうしないと、突然の解散で仕事を失った人が可哀想か。
それに、元々そのつもりだったような感じもする。


303:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 09:57:18 /DHP8l300
8/16
古乃羽「あのさ」
神尾「んー?」
古乃羽「その…源川さんが言っていた”あの方”って、やっぱり…舞さんのことかな?」
神尾「うーん…確認はしてないけど、多分、そうだと思う」

往来会の会長、源川さん。
その名前は俺も知っていた。あの小女―優理ちゃんの母親の旧姓だ。
その人と姉貴は、何か関係があるみたいだが…詳しい事は神尾さんも知らなかった。

古乃羽「舞さん、どうしているのかなぁ…」

心配そうに呟く古乃羽。
…ここは、早く話しておくかな。

俺「あー…後でと思ったけど、姉貴のことでちょっと」
神尾「何?」
古乃羽「連絡あった?」
いい喰いつきだ。

俺「連絡というか…昨日の夜に電話が掛かってきて、1つお願い事をされてさ」
古乃羽「どんなこと?」

俺「簡単なことだったよ。今からすぐに、往来会の本部前に行って…ブザーが聞こえたら、「中に人が居るんじゃないか?」って叫んで欲しい、ってさ」


304:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 09:59:25 /DHP8l300
9/16

立派に務めを果たした雨月君と、今回、ほとんど何もしなかった北上が帰った後…

私は、古乃羽からお説教をされていた。

古乃羽「―いい?今度勝手なことしたら、ほんとに許さないからね?」
私「はい…反省しております…」

ラット君を抱きながら正座をし、小さくなる私。
こんなとき、ラット君はちっとも私を守ってくれない。
流石の彼も、古乃羽の雷は怖いとみえる。

古乃羽「ハァ…もう、いくら言っても言い足りないわ」
お茶を飲みながら、母親のような事を言う古乃羽。

私「あの、少しご休憩を…肩でもお揉みしましょうか?」
古乃羽「ム…」
私「あ、冗談です…」
古乃羽「ん、もう…」
ため息混じりに、呆れた声を出す古乃羽。


305:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 10:01:56 /DHP8l300
10/16
古乃羽「ところでさ」
私「ん?…あ、はい?」
古乃羽「もう普通で良いってば。あのさ、桐谷さんってどうするのかな」
私「どうって…」

あの別荘で会長さんを交えて会ったとき、彼は自分の境遇…壷を求めた理由を、私に教えてくれた。
その内容は、古乃羽たちにも伝えてある。

私「私に「ありがとう」って言ってくれて…これからお兄さんのお墓に報告に行って、後はそれから、って言っていたけど?」

古乃羽「そうじゃなくて、舞さんと何か…とか」
私「舞さん?…あぁ」
古乃羽は、2人の仲を疑っているわけだ。

桐谷さんの話では、壷のことで兄を訪ねて来た舞さんとは面識があり、兄が亡くなった後でも、何度か相談をしていたらしいけど…

私「古乃羽が考えているようなことは、無いと思うよ?」
残念ながらそれだけの仲です。と、桐谷さんは言っていた。
そこには、特に深い意味もなさそうだった。

古乃羽「そっかぁ…」
何故か安堵の表情の古乃羽。

舞さんも大変ねぇ、と、私は毎度のごとく思うのだった。


306:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 10:05:11 /DHP8l300
11/16

都会から少し離れた、郊外にある家。
今は私が1人で暮らしている、源川の家。

三島さんに送ってもらってから、私は居間で1人…間もなく来るであろう訪問者を待ちながら、物思いに耽る。

約20年前…
妹の容子と、その息子の暁彦が、壷の呪いを受けた。

容子は倒れ、暁彦は…壊れてしまった。

私は容子のお見舞いに行ったとき、それが呪いによるものだと悟った。
しかし、当時壷の事を知らなかった私は、必死でその原因を調べたけど何も分からず、そのまま容子は亡くなってしまった。
それが悔しかった私は、その後も諦めずに、寺坂さんから数多くの骨董品を引き取り、それらを1つ1つ調べていった。

…それを手伝ってくれたのが、夏目川だった。

その頃私は、夏目川と一緒に暮らしていた。
…結婚はしていなかったけど、私達は”そういった関係”だったから。
彼は難しい人ではあったけれど、私には優しくしてくれた。
私が喜ぶであろうことを、何でもしてくれた。

しかし―

私より先に壷の秘密を知った彼は、変わってしまった。


307:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 10:09:06 /DHP8l300
12/16
彼は、壷の秘密を私に隠したまま、往来会を設立。
私が容子の調査に没頭している間に、会は瞬く間に大きくなっていき…
私が壷の秘密に辿り着く頃には、取り返しの付かないところまできていた。

私は当然の事ながら、すぐに壷の破壊を試みた。
容子の仇…寺坂家の幸せを奪った元凶である、その壷を。

…でも、出来なかった。

それを目にしたとき…私には壊せないと、すぐに分かった。
私の中の霊感が、それを完全に拒絶した。
憎しみを持ってそれと対峙してしまった私は、一瞬のうちに魅入られてしまった。

壷を壊せないと悟った私は、これ以上それを使わせないための行動に出た。
それはつまり…夏目川を止めることだった。

しかし、まともな方法ではどうにもならないことは、明らかだった。
何しろ、彼の周囲には不気味な部下が沢山いる。一方こちらは、年老いた女が1人。
散々悩んだ末、まずは往来会をどうにかしようと決め、私は高城沙織を見い出した。

彼女は私の期待以上に成長し、本部長の地位にまで登り詰めてくれた。
…でも、それでも夏目川は―往来会は、止められそうになかった。

そしてそんな時、私の前に、舞が現れた。


308:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 10:11:21 /DHP8l300
13/16
…家のチャイムが鳴る。

来たみたいだ。

私はその場で何もせず、その場でしばらく待つ。
彼女には、家に鍵は掛けていないから、いつでも入ってきて良いと言ってある。
それでも律儀にチャイムを鳴らし、時間を置いてから彼女は入ってくる。

舞「こんにちは、恵子さん」
私「こんにちは、舞さん。無事でよかった…」

そう言うと、彼女はニコリと笑う。
強い人…。私の想像も付かない程に。

私「高城のこと、ありがとう」
舞「いえ…お約束したことですから」

桐谷達夫の遺体が見つかる数日前、舞が壷について私の元を訪ねてきたとき…私は私の知る限り、全てのことを彼女に話した。

そして、高城沙織を守って欲しいとお願いをした。
決して夏目川に悟られぬよう、影から…。


309:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 10:23:08 /DHP8l300
14/16
舞「でも、危険な状態でした。死相が見えるくらい…。もしあそこで高城さんが諦めていたら、私は間に合わなかったかも知れません」
私「そのときは、私の責任ですよ」

彼女がもし、大切な感情を失ってしまっていたら…それは、私のせいだ。
彼女を夏目川に対抗させるため、本部長にするため、私は帝王学に近い教育を、彼女に受けさせた。
そのせいで彼女は孤立し、この私との間に、変な…女同士なのに、本当に変な噂まで流れてしまった。

それが常に気掛かりではあったけれど、汐崎祐一との出会い、そしてその娘の真奈美との出会いで、彼女は変わってくれた。
…いや、元の気質を取り戻してくれた。

彼女はきっと、幸せになる。
決して諦めず、自分の手で掴み取ったものだから。

舞「それで…恵子さんは、この後…?」
舞が聞いてくる。
それが気になったから、ここに来てくれたのかも知れない。

私「そうねぇ…。これでも一応会長でしたから…色々と忙しいことになるでしょうね」

これから、面倒な後処理が待っているだろう。
今までそういった事は、全て夏目川がやってくれていた。
良くも悪くも、彼が。

ずっと昔から、私のことは全て…


310:赤緑 ◆kJAS6iN932
11/01/26 10:29:10 /DHP8l300
15/16
舞「…夏目川さんのことは、残念でした」
舞が、私の心を読んだかのように言う。

私「仕方無いわ。彼は、完全に虜になっていたから…」

彼はきっと、気付いていなかっただろう。
自分が、壷を使っているのではなく、壷に使われていた、ということに。
己自身もまた、それに呪われ…支配されていたことに。

私は、彼にそれを気付かせてあげることができず、私自身もまた、あれを一目見ただけで支配されてしまった。

そんな力を持っていた、あの壷。
それを破壊するなんてことは、きっと舞にしかできない…
私はそう思っていたけれど、彼女は他にもそれができるであろう人を教えてくれた。

それが神尾美加であり、あの子は見事にそれを成してくれた。

彼女には、優理の事も含め、本当に感謝しないといけない。
機会があったら、もっとお話をしたいな、と思う。



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