10/12/20 02:51:06 RyULkKcO0
俺は振り返らず歩き出すと、暫く進んで走り出した。全力で。振り返ったらあの無表情
な伯父がすぐ背後にいる気がして。夢中で走った。
家に帰ると伯父が帰ってくるのが怖くて、布団に潜り込んだ。店から帰ってきた母から
「どうしたの?具合でも悪いとね?」と聞かれたが俺はただ疲れた、眠いとだけ言い
その日はそのまま寝てしまった。伯父はとうとうその夜帰ってこなかった。
日曜が過ぎ、伯父は翌日の月曜日に滝から大分流された下流の中州で見つかった。
遺書が無かったために、伯父は釣りに行って足を滑らせ濁流に流された、と言う
事になったらしい。親父がその日、何もないがらんとした伯父の部屋から包丁を
見つけた。
親父は伯父の出棺の時、お棺にすがりついて号泣していた。
どうしても欲しかったGアーマーのガンプラを近所の模型屋で見つけ、伯父の目を
盗んで店のレジから1000円抜いたのは俺だった。伯父は多分事実を知っていた。
親父も気付いてたかもしれない。でも誰ももうそのことを話そうとはしなかった。
俺は今何をやってもうまくいかない。未だにあの無表情な伯父の顔を夢で見て飛び起きる。
叔父さんごめんなさい。許して下さい。