10/12/15 13:01:26 YM+nKpND0
うちの兄貴は変わり者だった
兄貴は近所でも皆が知ってる秀才・美男子で、
俺はよく同級生に○○兄弟の出来が悪い方とか呼ばれてた
かなりモテたくせに(バレンタインデーなんか家に女が沢山来てた)、
高校・大学でも会社でも親友や恋人を作ったりはしなかった
その辺は死んだ後に色々な人に話を聞いて分かったことだ
大学進学して一人暮らしを始めるまでずっと一緒に暮らしてた兄貴は、
弟の俺から見てもかなりの変人というか個性的で、
例えば、夜になっても帰ってこないから警察沙汰にまで発展したが、
学校のジャングルジムの上で数時間ぶっ続けで瞑想してただけだったとか、
数日間、本を読み続け、寝不足と過労で倒れるとか、そういうことがよくあった
俺が高校生の時、その兄貴が(当時23歳)久しぶりに実家に電話をかけてきた
俺と話をしたかったと言い、しばらく世間話をしたんだけど、
急に口調を変えて(その独特の口調でよく不思議な話をしてくれたっけ)、
「ところでお前、12月15日って何かあったか?イヤな感じがするんだよなぁ」
と言った。俺は阿呆だし日付と出来事をセットで覚えてられるわけもなく、
その場は大丈夫と一先ずしておいたけど、兄貴は腑に落ちない感じで、
「そうか、ならいいんだけど。まぁ気をつけておいてくれよ」と電話を切った
それから三年後に兄貴が交通事故で死んだ。即死ではなく、病院での治療の末だった
相手方の野郎も亡くなったんだが、目撃者が大勢いて、完全にそっちの過失だった
12月15日だった。
葬式で親戚から聞いた祖父さんのことで兄貴の話を思い出し、寒気が収まらなかった
あぁ兄貴はもしかしたら自分の死期に感付いていたのかって。
三年もたったのにどうして俺がその電話と日付を覚えていたかというと、
電話の後で気になったので家族に聞いてみたところ、
12月15日ってのがうちの祖父さんの命日だったからだ。
俺も兄貴も大好きだった祖父さんの命日じゃ、いい感じがするわけもないし、と、
兄貴が健在の頃はそれを知って心から納得したんだけど。。。