10/11/29 10:37:18 zgOQF8490
皿いっぱいの宝石はもしかしたら、この母親の精いっぱいの全財産で、
虚勢を張っているのかもしれん、と思われた王様は、
「これは素晴らしい。だが、我が娘はこの百倍も価値のある娘。
どうしても会いたいとあらば、このような宝石の皿を、あと40皿持ってくるがいい。
そうしたら会わせてやってもよいぞ」
アラジンは母親からそれを聞くとすぐ、指輪の精に命じて前よりも大きな皿に山盛りにした宝石40皿を準備して、
大行列を繰り出して王宮へ自ら出向いたので御座います。
そうして、今度は王様と姫君とたくさんの家来を自分の屋敷に招き、世界じゅうの珍しい美味しい御馳走でもてなしたのでした。
王様は、アラジンが大豪商であると認め、安心して婿にするよう、姫君に勧めました。
姫君は宝石の皿よりもちっパナ屋敷や御馳走よりも、アラジンが誠実で心から自分を好いてくれるのを喜び、二人はめでたく結婚したのでございます。
151:本当にあった怖い名無し
10/11/29 10:45:25 zgOQF8490
姫君とアラジンの結婚式は三日三晩続き、国中の者に御馳走が振舞われ、みな、アラジンと姫君の結婚を祝福するのでございました。
只一人、その結婚を快く思わぬ者がおりました。
それは魔法のランプを手に入れ損ねた邪悪な魔法使いでございます。
彼はランプ売りに身をやつし、王宮へやってきました。
「えー、毎度お騒がせ、ランプ売りでございます。おたくに御不要の古いランプはございませんか。
新品のランプとお取り換えいたします~」
何も知らなかった姫君は、魔法のランプを新品と取り換えてしまいました。
何もかもが美しいこの屋敷で、唯一魔法のランプだけがみすぼらしいのが気になっていたので御座います。
152:本当にあった怖い名無し
10/11/29 12:30:14 zgOQF8490
邪悪なる魔法使いはすぐさまランプの精を呼び出し、命じました。
「アラジンと母親をこの屋敷から放り出し、姫君をこの屋敷もろとも我が領地へ運べ」
「仰せのままに」
ランプは命じられた通りのことを行ったので御座います。
元の何もない荒れ地に突然放り出されたアラジンと母親は、しばし呆然としておりました。
そこへ、折悪しく王の訪問がありました。
王は、婿殿アラジンと、姫君との結婚を喜び、その幸せな暮らしぶりを見たかったのです。
ところが、アラジンの屋敷の跡かたも無く、姫君の姿の無いのを見て、その怒りはたとえようも御座いませんでした。
153:本当にあった怖い名無し
10/11/29 12:37:06 zgOQF8490
「アラジンよ、そなたに騙されていた。いや、お前の本性を見抜けなかった我が身が憎い。
だが、王を束買った罪は重い。首切り役人よ、こ奴の首を刎ねよ」
息子の危機に母親がすがりました。
「王よ、お腹立ちは尤もです。しかしこれは邪悪なる魔法使いの仕業なのです。40日の猶予を下さいませ。
我が息子アラジンは必ずや姫君をお救い致すでしょう。それまでは母親の私を牢にお繋ぎ下さいませ。そして、40日後も、アラジンが姫君を連れて戻らぬときこそ、我が首撥ねたまえ」
王は怒りを鎮め、アラジンに「きっと姫を連れて戻れ」と命じたので御座います。
154:本当にあった怖い名無し
10/11/29 12:38:43 zgOQF8490
束買った、とか何だよ。たばかった、です。スマン。
155:本当にあった怖い名無し
10/11/29 12:50:53 zgOQF8490
アラジンはそれから39日、方々を訪ね歩きましたが、邪悪なる魔法使いの居所はようとして知れなかったので御座います。
40日目、アラジンは疲れ果てて王の宮殿へ戻りました。
「王よ、申し訳ありません。姫君をお救い申しあげられずにここに参りました。
どうぞ私の首を刎ねてください。しかし、老い先短い我が母の命はどうぞ、お情けをもってお解き放ちくださいませ。
情け深い王はその願いを聞き届け、母親を解き放ちました。そして
「首切り役人よ、アラジンの首を刎ねよ」
「はっ」
アラジンを後ろ手に縛り、首を前に差し出させたその時、偶然にもアラジンは指輪をこすったのでございます。
指輪から白い霧が湧きたち、魔神が現れました。
「ご主人さま、御用をなんなりとお申し付けくださいませ」
アラジンは指輪の精のことをすっかり忘れていたのです。
「この縄を解き、私を姫のいるところへ連れて行ってくれ」
156:本当にあった怖い名無し
10/11/29 12:57:55 zgOQF8490
指輪の精はアラジンの命じる通りに仕事をこなしました。
邪悪なる魔法使いは、もうとっくにアラジンが処刑されてしまったものと思い込み、
豪勢な屋敷と美しい姫君が手に入ったのを喜んでいました。
が、しかし姫君は突然屋敷ごと知らない土地に運ばれ、美しくて優しく誠実だったアラジンが死んだと聞かされ、
厭らしい年寄りの邪悪なる魔法使いが、「姫よ、あなたは私のもの、いいかげんあきらめるのです」
等と言って、手に口づけようとするのを、身震いするほど嫌がっておりました。
157:ミノムシ ◆WIIEP92EG2
10/11/29 20:56:42 Vprt+wztP
おもしろいなぁ~
158:本当にあった怖い名無し
10/11/29 21:40:00 dLAJVxka0
姫君が泣きながら臥せっていると、そっと肩を抱く手がありました。
驚いて振り向いた先には愛しいアラジンの元気な姿。
姫君とアラジンは声をひそめて再会を喜ぶのでした。
アラジンは魔法のランプの秘密を話さなかった事を謝り、邪悪なる魔法使いがそれをどこに隠したかを聞きだすよう頼みました。
その夜、姫君は美しく着飾り、魔法使いとの晩餐に臨みました。
そしてしおらしく申し出たのです。
「おお、偉大なる魔法使いよ。わたくしはもう、アラジンのことは、死んだ者のことは忘れようと思います。
わたくしという者は、籠の中の小鳥同然、あなた様の御慈悲にすがるほか、生きるすべはありません。
今までのわたくしの無礼な仕打ち、どうか、お許しくださいますわね?」
邪悪なる魔法使いは、やっと姫君が自分の物になる決意をしたのだ、と喜びに打ち震えた。
「それにしても、どうしてわたくしのいるこの屋敷ごと、ここに運ぶことができましたの?
偉大なる魔法使いは、目に見えないゾウを使ってらっしゃるの?」
芳しい息まで吹きかけて、甘えるように尋ねる姫君に、魔法使いはでれりと相好を崩して答えたのです。
「なんでもない事だ、魔法のランプの精に命じたのさ」
「まあ、魔法のランプ。そんなものがあるなんて。わたくし、知りませんでしたわ。
それで、ランプは今どこにありますの?」
「ほら、あの中の一つだよ」邪悪なる魔法使いは壁一面のランプの一つを指差したのです。
姫君はすぐさまそれを取り、ランプを窓の外へ投げたので御座います。
「アラジン、受け取って」
「な、なにをする!」
「ランプの精に命じる、あの邪悪なる魔法使いを、世界の果ての氷の島へ捨ててきてくれ!」
こうして、邪悪なる魔法使いは世界の果てに飛ばされたまま、姿を見せる事は無くなったので御座います。
その後、アラジンと姫君は元の都に戻り、王様とも和解を果たしたのです。
アラジンと姫君の間にはおふたりに良く似た美しいお子たちが何人も生まれ、
彼らの一族は後々までも栄えたということで御座います。
159:本当にあった怖い名無し
10/11/29 21:54:08 dLAJVxka0
そこまで語ると、白々と夜が明けはじめました。
「アラジンの話はここまでで御座います。アラジンの話は珍しいものでしたが、アリババの身に起こった物語は、その何倍も珍しいことでした」
朝の光が窓いっぱいに差しこんだとき、シェヘラザードは慎ましく口を閉じました。
宮殿には、大臣がもう参内していた。もう、娘の首は胴体と別れてしまっているだろう、と
亡骸を入れる為の大きな皮袋を用意し、彼の目は一晩中涙を流したために、泣き潰れていた。
ところが、王はいつものように「妻の首を片付けろ」とは言わず、だまって一日の執務を始めた。
一日が終わり、王は寝室に戻った。
「アラジンよりも珍しいという話しの続きをせよ」
「はい」
慎ましく一礼してシェヘラザードは語り始めた。(ry)
以後、千一夜、物語はエンドレスに語られるのであった…。
160:本当にあった怖い名無し
10/12/01 08:57:16 Mj9Khx6Y0
「エンコウの皿」
宇賀の本郷に大専寺という立派な寺がある。この寺に昔、「エンコウの皿」があった。
時の和尚は大変に肝の据わった方だった。
その頃、本郷川の近くには大きな深い淵があり、水遊びをする子供が溺れて死ぬことがたびたび起こった。
澄んで美しい水ではあるが、子どもはエンコウに引き込まれるのだ、ともっぱらの噂であった。
大専寺の和尚なら、エンコウをなんとかしてくれよう、と近在の者たちはこぞって頼みに行った。
大専寺の和尚は、淵に向かって大音響で呼ばわった。
「エンコウよ、耳があるならようく聞け。
本郷の淵に住まいせしが、人の子に仇なしたるは何事ぞ。
今後、同様の事あらば、本郷川干し揚げ、魚一匹住まわざる涸れ淵となさん。
われは朝に夕に、淵を眼下にしたる大専寺が和尚なり。
つくづく得心致さば、詫びの印にエンコウよ、おのが皿を差し出すべし」
三日後、奇妙な恰好の皿が大専寺の本堂に供えてあり、それ以後、淵で子供が取られることは無くなったという。
161:本当にあった怖い名無し
10/12/01 08:58:46 Mj9Khx6Y0
>>160
豊浦町史三民俗編より
162:本当にあった怖い名無し
10/12/01 09:26:29 qT1iMZGv0
笹の葉 皿皿 のきばに 揺れる
163:本当にあった怖い名無し
10/12/01 12:03:38 Mj9Khx6Y0
「ロトの妻」
旧約聖書「創世記」より
神は堕落と腐敗に満ちたソドムとゴモラの地を憂い、これを滅ぼすことになされた。
しかし、その地に有っても神を尊び、善なる人であったロトを憐れみ、それを救わんとして天使を使わした。
天使はロトとその妻と二人の子に向かい、一刻も早く町から遠ざかるよう伝えた。
そして、如何なる事態が起きようと、決して後ろを振り返ってはならない、と警告する。
天の火が町を焼き尽くすその時、ロトの妻は警告を忘れ、振り返ってしまった。
ロトの妻は一瞬にして塩の柱と化し、さらさらと崩れ落ちたという。
164:本当にあった怖い名無し
10/12/01 16:43:35 Mj9Khx6Y0
「夫婦げんかで破壊したモノ」より
ある日「鍋をするからおいで」と言われ、皆で先輩のお宅にお邪魔した。
何故か夫婦喧嘩をしていて、別の先輩がドアを開けたら、皿や炊飯器が空中を舞っていた。
しかも、投げられた炊飯器で窓ガラスが割れた。
っという訳で、夫婦喧嘩で破壊したモノはありませんか?
・うちはレコードプレイヤーとレコード2枚。
100均の皿はもう何枚も割った。夫婦喧嘩したことによるイライラのせい。
・大きい鏡。血が出てケロイドになっちゃった。
・石油ストーブ。火がついたまま投げつけられた。
もちろんストーブは大破。もちろんもちろん離婚しました。
・壁、リモコン、皿かなあ…。音がしないとスッキリしないんだよね。
・俺は料理してる時に反撃されて、自分の腹に出刃包丁がぶすりだったよ。
あれ、刺した瞬間は痛くないけど血が広がる感覚がある。
んで、意識が朦朧として嫁が喚いていた。
165:本当にあった怖い名無し
10/12/02 10:04:07 qMsBbr8c0
「ひょうごの椀貸し伝説をめぐる」より抜粋
…揖保川上流には2か所の椀貸し伝説が残っている。
宍粟市(しそうし)一の宮町の「白滝さん」と、同山崎町の「鬼面様」である。
白滝さんは倉床川上流の「浜廻橋」近くの小さな滝のこと。
そのそばには小さいお堂がある。白滝不動尊堂である。
このお不動様にお願いすると、とても立派な御皿を貸して頂けたと言う。
昔は御講や冠婚葬祭などで、大皿に煮物を盛り合わせて饗応するのが当然だった。
だが、貧しい家には立派な大皿はない。
大皿をどうして工面すればよいだろう、と思い悩んだ者が、ここの白滝不動尊に祈り、悩みを打ち明けた。
すると、その夜の夢に白滝不動尊より「思い悩むな、皿は貸そうほどに」とお告げがあった。
半信半疑で次の朝、白滝さんに詣でると、お堂の前には立派な大皿があった。
そのものは伏し拝んで大皿を抱いて家にもどり、無事講中の法要を終えたと言う。
大皿は洗い清めて御堂に返すと、いつのまにか無くなったという。
この奇跡は噂を呼んで、方々の者が大皿を借りに来た。
ところが、不心得者が皿を割ってしまい、返さなかったためにもう二度と皿は貸して頂けなくなったそうな。
166:本当にあった怖い名無し
10/12/02 12:05:57 QEHAM8vk0
「皿貸し姫」
昔、あるお寺では沢山の御参りが遠くからも有り、器が足りなくなることがたびたびあった。
その寺の賄いをしているお坊さんは、大勢の御参りがあるというので、
足りなくなる器をどうしたら良いか悩んでいた。
寺の裏の泉で器を洗いながら、つい口にしていたと言う。
「ああ、器が足りない、どうしたら良いのだろう」
そして、いつものようにお勤めを終えて眠ると、不思議な夢を見た。
「日頃誠実に仏の道に精進したるそなたの悩み、水を通して聞きましたよ。
足りない器の数を紙に書き、泉に沈めなさい。器を貸してあげましょう」
まさかと思いながらも、お坊さんは紙に器の数を書いて沈めた。
すると翌日、人数分のお椀や皿などの器がきちんと整えられて泉の側に置いてあった。
「ああ、有りがたい」
お坊さんはその不思議な器を丁重に扱い、使い終えると綺麗に洗っては返していた。
何度となくこのように貸し借りがなされていたが、その話を聞いた他の寺からも、借りにくるようになった。
そしてある日、他の寺の坊主が借りた皿のうち一枚を誤って割ったまま、数不足のを返してしまった。
すると、一番最初に器を借りたお坊さんの夢に
「私は皿貸しの姫ですが、こたび、不調法にも皿を損ない、それを謝りもせぬという仕打ちに遭いました。
自らの過ちを詫びもしない人間には、もう器を貸すのは止めようと思います」
と、悲しげな様子で断られたという。
この皿貸し姫は、仏法に帰依された竜神の姫君であったそうな。
167:本当にあった怖い名無し
10/12/02 15:47:15 32YXlF6P0
「殺され女神」 ハイヌヴェレ神話より
インドネシア・セラム島・ヴェマーレ族の神話
その頃、世界はまだ、青いバナナから生まれた女神にして太母なるムルア・サテネに支配されていた。
セラム島西部のヌヌサク山は、人類発祥の地であり、そこから9家族が発した。
其の9家族は、タメネ・シワ(九つの祭の踊りの広場)に移住した。
その一族の独りにアメタ(闇)という男がいた。
アメタはある日、犬を連れて狩りに出た。
犬は猪を池へ追い込んだ。
溺死した猪を吊りあげると、牙に見たことのない不思議な木の実がついていた。
その夜の夢に「それを土に埋めよ」とお告げがあった。
夢に従って埋めると、三日で成長し、ココヤシの木になった。
168:本当にあった怖い名無し
10/12/02 15:56:00 32YXlF6P0
更に三日後、花が咲いた。
アメタは酒を作ろうと思い立ち、木に登って花を切ろうとした。
だが、誤って自分の指を傷つけ、血が花に滴った。
アメタは花を切るのをあきらめた。
その三日後、花の汁と血が混じり合い、人間の顔のようなものが出来上がりかけていた。
更に三日後、胴体が出来ていた。
また更に三日後、小さな少女が完成していた。
その夜、再び夢のお告げがあった。
すなわち、「ヘビ模様の布で少女を包み、家に連れ帰って育てよ」と。
169:本当にあった怖い名無し
10/12/02 16:00:38 32YXlF6P0
アメタはお告げに従い、少女を連れ帰った。
アメタはこの少女に「ハイヌ・ヴェレ」と名付けた。
(ココヤシの枝)という意味である。
ハイヌ・ヴェレはすくすくと育ち、三日後には美しい年頃の娘となった。
しかも、ハイヌ・ヴェレの排出する便は、中国の陶磁器や銅鑼などみな高価な品々であり、父であるアメタは大金持ちとなった。
170:本当にあった怖い名無し
10/12/02 16:06:48 32YXlF6P0
その頃、タメネ・シワで九夜ぶっ続けで行う「マロ祭」が開かれた。
マロ祭には、九家族全てが参加する習わしである。
彼らは九重の螺旋を描いて踊る。
螺旋の中央には女たちが座り、踊り手に清涼なシリ―の葉とぺテルの実を渡す慣例である。
そして、今回のマロ祭では、その役をハイヌ・ヴェレが任された。
171:本当にあった怖い名無し
10/12/02 16:12:46 32YXlF6P0
最初の晩は何事も無く終わった。
けれど、二日目の晩、ハイヌ・ヴェレは人々にシリ―の葉ではなく珊瑚を渡した。
誰もがこの綺麗な宝物を喜んで受け取った。
三日目の晩には中国の磁器の皿が。
四日目の晩にはもっと大きな時期の皿が。
五日目には大きな山刀が。
六日目には銅製の素晴らしいシリ―入れが。
七日目には金の耳環が。
八日目には美しい銅鑼が皆に分配された。
172:本当にあった怖い名無し
10/12/02 16:19:15 32YXlF6P0
こうして夜毎に宝物は高価な物になって行き、人々はだんだん気味悪く思い始めた。
そして相談した結果、彼女を殺してしまう事に決めた。
彼らは無限の宝物を持っているハイヌ・ヴェレを不気味に思い、また激しく嫉妬したのである。
九日目、最後の晩ハイヌ・ヴェレは同じように螺旋の中央に立っていた。
が、男たちはそのすぐそばに深い穴を掘っていた。
173:本当にあった怖い名無し
10/12/02 16:25:11 32YXlF6P0
踊り手の作る九重の螺旋の一番内側は、必ずレシオラ家の者が踊ることになっている。
レシオラ家の者たちはゆっくり踊りながら、だんだんハイヌ・ヴェレを穴に追い詰め、とうとう中へ突き落した。
少女の悲鳴は、マロの踊りの高い歌声にかき消された。
少女の上には土が浴びせかけられ、踊り手たちは踊りながら土を踏み固めた。
明け方、マロの祭は終わり、人々は家に戻った。
174:本当にあった怖い名無し
10/12/02 16:33:17 32YXlF6P0
朝になっても娘が帰らなかったので、アメタは異変を悟った。
彼は九つの灌木の棒の占いで、娘がタメネ・シワ広場で殺された事を突き止めた。
例のココヤシから九条の葉肋を取って広場へ行った。
葉肋を一本ずつ広場の外側から地面に挿していった。
中央を挿した時、引き抜いたそれにはハイヌ・ヴェレの血と髪の毛がこびりついていた。
アメタは娘の死体を掘り出し、それを細かく刻んであちこちに埋めた。
すると、そこから様々な種類の芋が生え、人々の主食となった。
175:本当にあった怖い名無し
10/12/02 16:42:00 32YXlF6P0
けれども、アメタはハイヌ・ヴェレの両腕だけは埋めずに、女神ムルア・サテネの所に持って行った。
アメタはハイヌ・ヴェレを殺した者を激しく呪った。
女神の怒りは凄まじかった。
女神はタメネ・シワ広場に九つの螺旋の大門を作り、自分は中央の大木の上に座り、手にハイヌ・ヴェレの両腕を持った。
「お前たちはハイヌ・ヴェレを殺したので、わたしはもう、ここに住みたくない。
私は今日、お前たちから離れる。
お前たちが人間のままで居たければ、この門をくぐって私の方へ来るがいい。
来ない者は人間以外の者になるだろう」
176:本当にあった怖い名無し
10/12/02 16:48:57 32YXlF6P0
それを聞いて人々は皆螺旋の門をくぐろうとした。
だが、誰もが通れたわけではない。
ある者は動物に、またある者は精霊に変わった。
通れた者は女神の座る大木の左右を通ったが、女神は皆をハイヌ・ヴェレの片腕で打ちすえた。
木の左側を通った者はパタリマと呼ばれる島東部の住民となった。
木の右側を通った者はパタシワと呼ばれる島西部の住民となった。
この神話を伝えるヴェマーレ族はパタシワである。
177:本当にあった怖い名無し
10/12/02 16:54:40 32YXlF6P0
女神は最後に言った。
「お別れだ。もはやお前たちは地上で私の姿を見る事は無い。
お前たちが私に会えるのは、死んだ時。
それも、辛い旅路を辿らねばならない」
こうして女神は人間の前から姿を消し、サラフアという霊山に住んでいる。
この山に行くには八人の二トゥ精霊の住む、八つの険しい山を越えなければならないのだと言う。
参考文献 「神話の話」大林太良著 学術文庫より
178:本当にあった怖い名無し
10/12/02 20:25:32 Mt8fUC400
「頭蓋骨のスープ皿」
エドワード・ゲイン
1906年8月27日生まれ
ウィスコンシン州 プレインフィールド
ゲインはパラノイア的な信仰心を持った母親によって、
性=悪という偏った教育を受けた。
長じて広い農場に独り暮らしをする、物静かで穏やかな彼は、
近所の人にベビーシッターを良く頼まれていた。
1957年、11月、保安官が彼の家を訪れるまでは。
179:本当にあった怖い名無し
10/12/02 20:33:26 Mt8fUC400
訂正・保安官補。
保安官補は、雑貨屋の女性が行方不明になった件で、最後の客だったゲインの家を訪れたのだ。
母屋にゲインがいなかったため、保安官は薪小屋を覗いた。
そこで彼は、内臓を抜かれ、血抜きされている女性の首なし死体を発見する。
改めて母屋に戻り、ダイニングルームでは皿に盛られた心臓、被害者の頭部、
内臓等を次々発見する。
緊急配備を敷かれ、外食に出ていたゲインは即座に逮捕された。
犯行は認めたが、心神喪失状態だったと供述した。
180:本当にあった怖い名無し
10/12/02 20:34:38 uQbtU+XP0
「ほあんかんほ」
逆から読んでも「ほあんかんほ」
181:本当にあった怖い名無し
10/12/02 20:44:35 Mt8fUC400
家宅捜索でゲイン宅に踏み込んだ警察官らは我と我が目を疑った。
家の中は死体で溢れていた。
頭蓋骨で作ったスープ皿。
人骨のスプーン。
被害者の皮膚をはいで作った乳房付きチョッキ。
ベスト、カバン、ポーチ。
糸で吊り下げられた唇。
画鋲で留められた顔の皮膚。
塩漬けにされた臓器。
ゲインは墓場から死体を盗み、死姦を繰り返していた。
また、自作の乳房の付いたチョッキを着て、
自分は女性なのだという妄想にひたる楽しみも持っていた。
1957年から、ウォーパン州立精神施設に生涯収容された。
1984年、7月26日、癌により死亡。
この実在した犯罪者は、映画「羊たちの沈黙」の殺人者、
バッファロービルのモデルである。
182:本当にあった怖い名無し
10/12/02 20:47:52 Mt8fUC400
>>180
異議あり。
「ほあんかんほ」「保安官補」
逆から読んだら、「ほんかんあほ」「本官アホ」だろ?
183:本当にあった怖い名無し
10/12/02 21:14:54 uQbtU+XP0
>>182
ローマ字で書いて逆から読んでみろ。
184:本当にあった怖い名無し
10/12/02 21:27:07 Mt8fUC400
ho a n ka n a ho
なるほど、高度な回文だ。負けた…。