10/11/07 01:40:53 cxJgfVtTO
もしかしたら、彼女が何かを愛した時に、それは起こるのかも知れない。
最初は、飼い犬。
次に、可愛い兎。
それから、綺麗なお花。
……そして、素敵な彼。
彼女は恐らくそれを防いだのだ。
彼を殺す事を恐れて自らが犠牲になった。
俺が彼女を想う時、必ず浮かんだラベンダー色の靄。
あれはきっと、運命を狂わせる毒だったんだろう。
今にして思えば、彼女に惚れていたわけじゃないとはっきりわかる。
蛾が、電灯に近寄るように、ただあの唇に吸い寄せられていただけだ。
本を閉じ、表紙をなぞり、目を閉じる。
彼女の薄紫の人生を想って、少しだけ泣いた。
毒娘 終