10/10/29 19:18:57 xzIYkIO30
帰りの新幹線の中、尋ねた私に連れ曰く「とにかくすごい量の負のエネルギーの固まり。欲望とか、煩悩が凝り固まって怨霊化の一歩手前みたいな(このお寺は俗欲を満たすためにあるような、大きな朱塗りの鳥居のある神社のすぐ近くにあった)」。
と、それまで座席に身を埋め、目を閉じてイヤフォンで音楽を聴いていたその子が飛び跳ねるように身を起こし、
「今あのお寺の話をしなかった?」
私は驚きつつ、「うん、してた」と答えると、「もう止めて。考えないで」という。
不思議に思い、「どうして?」と聞くと、
その子はイヤフォンを耳に戻しながら、「話してたから来てるよ。あれが」
前置きに書かなかった事だけど、この旅行の前日から、私は声を奪われていた。
簡単にいうと、声枯れして、かすれた声を振り絞る感じだった。
警告だったのかなと今になって思う。生まれてこのかた声枯れしたのはこの前後だけだったから。
そして、この場所が選び呼び寄せたかった人間は誰だったのか、これも今となってはよくわかる。
だから、哀しい。
優れた霊感の持ち主は、どうして、現実世界との折り合いがこんなにも難しいのか。
その子と過ごした短い時間を思い、こんな肌寒い秋の夜長にはふと思う。