10/10/26 18:50:40 6aUnUOb+O
ミニカツ丼と半ラーメンは腹の虫を宥める事に成功した。俺は満足の嘆息を吐くと共に、あんな物を見た後でも人は飯を食えるのだなと人の業について考えた。
一方のAは、開くとちょっとびっくりする位に大きい口にひょいひょいと餃子を放り込んでもぐもぐと食べ、数皿目のおかわりを注文する。
Aはその間にもビールを飲むが、俺は何となく手持ち無沙汰。
そこで俺はところでさあと前置きして、Bからもたらされた写真の話の顛末を話すことにした。
Aはふんふんと頷きなら餃子のおかわりを平らげ、最後にジョッキを開けて息を吐いた。
「大分わかるようになってきたな」
「お陰様でな」
Aのコメントはそれだけだった。それは即ち、俺の今回の働きと推測は概ね間違ってはいないということを意味していた。
オカルタ(Aの好んで使う単語。隠されたものの意であるらしい)への並々ならぬ見識を誇る彼女に認められたと思うと嬉しくはあるが、しかし何だか癪でもある。
敵わないとは知ってはいるが、しかし彼女は俺の年下でもある訳で、何とも微妙な気分である。
「しっかし、巡り合わせかねえ?」
Aは演技ったらしくふむと小さく唸り、相変わらずどこに焦点を置いているか分からない眼で俺を見た。
黒い口紅を塗った口許はニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべており、俺は憮然とすると同時に上等だいう気分になる。
「何がよ」
「いや、私もちょっと心霊写真を実家から持って来ててな。しかも、Bがお前に見せたのと同じ系統の。
ああ、同じ系統っても桁は違う。怖いぞ? 見るか? 見たいよなあ?」
くふふ、などと笑い声を挙げながら、Bは黒いバッグの中に手を突っ込んでアルバムを取り出す。
俺はお前が見せたいんだろ? と言いたくなったがグッと堪え、Aの写真を待つことにした。
やがて彼女はこれだこれだと言って、しきりにニヤケた笑みを見せながら、俺に一枚の写真を手渡した。
「……ぁ?」
何だ、これは。