10/10/23 02:13:00 rZanC2L7O
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事の顛末を全て聞いた俺は、ふと一つ聞き忘れていることに気付いた。
「十円玉はどうした?」
「ああ、言ってませんでしたね」
Bは財布から十円玉を取り出した。所謂ギザ十のそれを俺に見せる。まさか。
「捨てなかったのか」
「ええ。こっくりさんでは使った十円玉はさっさと使うのがルールですが、あれはこっくりさんなんかじゃ有りませんし。
逆に捨てたら祟られそうだと思って持ってましたが……さっきの話を聞いて手離さなくて良かったと思いましたよ」
俺は首を傾げる。
「すまん、さっきの話って」
「ほら、自己霊の話ですよ。この十円玉を手離すというのは、自分を手離すのに近い意味が有るのかなって今思ったんです」
そう言って彼女は財布にギザ十をしまった。その仕草はいかにも大事なものを扱うそれだった。
後日、彼女は地元で大きな神社からお守りを買ってきて、それに十円玉を入れた。
Bはきっと今も、あの時に使われた十円玉を大切に持っているのだろう。
仕事で十円玉をお客様に渡したりする時、俺はたまにそんな事を考える。
こっくりさん、了。
我ながら長いなあ。読んだ人いたら乙