【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ15【友人・知人】at OCCULT
【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ15【友人・知人】 - 暇つぶし2ch1:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/12 18:43:42 iaWe/FUZ0
シリーズ物、霊感の強い人にまつわる話を集めるスレです。
考察や、好きな話について語り合いましょう。(荒れる原因なのでなるべく「乙」だけですましましょう)

・投下歓迎。実話、創作不問。新作も歓迎
・作品投稿者はトリップ(名前欄に#任意の文字列)推奨。
・話を投下する際はなるべくまとめてから投下しましょう
・sage進行、荒らし煽りはスルーでお願いします。
・他スレへの迷惑が掛かるような過度の勧誘やはご遠慮下さい。
・このスレでは作品への批判は荒らしと認定していますので、批判はご遠慮ください
・このスレには『このスレと住人を許さない』という荒らしがしつこく荒らしています
 どうかこいつには徹底無視をお願いします。
・「荒らしに反応する奴も荒らし」というネットのルールを忘れずに。
 反応するとその人を荒らしと 認 定 いたします

シリーズ物総合まとめサイト
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前スレ
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2:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/12 19:38:49 WSI5oJ/Q0
                ,
                  /
               /
                 /
  ̄``ヽ、       /
      ``‐、     i
        `ヽィ'⌒ヽ.,_
             ト_,__,..>'``ーァ‐''´了 2ゲット!うんこに勝利!!
          ノ:;,.,r-‐'´ ̄_r'´ /i
     ー、r‐ァ‐'-‐'´__,..、‐_,.、-‐イ/ !
       そ‐、二_、-‐'´    .! ト、
          >、 ヽ、     |  i. i_
          ,.r'/!ヽ  `ヽ、   !  〉.トミ
       iィ´  /、ヽ、  ヽ、 j-<  ! i!
       !i   /∧ ヽ`ー'´!`‐' `ヽ.ノ. !i
      _.」> !.i  ヽ、  ./ 〈ヽヽ.ー.i! !i
     r'´   i.!   `ヽィ.く ヽヾ、`ノ !i
           !i     `‐-、.,_/.  tゝ
          !i
          i !
          〉!
           t/

3:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/12 20:55:22 T7BKhQfm0
>師匠シリーズのパクリだという意見もあるけど、「ユリ・ゲラーの番組を見てスプーン曲げを試した」という描写が出てきたら、
それはユリ・ゲラーのパクリだろうか?

読み物と超能力を同列に語るなよ低能ww
じゃあお前小説を完全にパクって出版社に掛け合ってみろよw
ほんと此処の住人ってバカばかりで楽しませてくれるわ

4:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/12 21:56:05 WSI5oJ/Q0
カメムシ4ゲット!たひ阻止成功!!

5:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 00:51:02 7r+ChAQz0
>>1

トンガラシ作品をまとめてるサイトを探してるんだけど、
誰か知らないですか?(´・ω・`)


6:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 07:55:03 dwEg0m+nO
>>1
今日は誰か来ないかな

7:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 09:36:23 ABn92imn0
ウニさん、稲男さんまってまーす

8:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 18:35:16 xxbEtjjmO
枯野の出現率の低さはオカルトだな
何故長編化して尺を稼がないのか…

9:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 18:35:56 +pe4z8eCO
ウニパクリは消えろ

10:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 19:57:31 RKXYO67w0
忍の人のお姉さんは見つかったのかな…

11:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/13 20:22:24 99i3wtg50
どうもこんばんわ、稲男です。
今日は朝から脱穀、昼から稲刈り二日目という微妙にハードなスケジュールをこなして来ました。
もう米は見飽きた感じです。
前スレで相談した投下間隔の話ですが、不快に思う方がいるのを承知で書きあがったら即投下にしたいと思います。
その内自然と間隔が広がっていくと思いますので、ある程度の基盤が出来るまでということでご容赦ください。
と、言うわけで今日も一つ。

「手首ですか」
「そう、手首だ」
その話を聞いたのは、出会った年の夏だった。
「で、手首がどうしたんですか」
「うん、手首がな、こう、歩くんだ。知ってるか。昔の映画」
てれれれん、と主題歌を歌う。
「あの、化け物一家のヤツですよね。で、どこを歩くんですか」
「俺の部屋の中」
「やっぱり帰ります」
先輩の部屋には空調が無い。
その日は猛暑日だったが、先輩がどうしても部屋で無ければ話せないことだと言うからこうやって耐えているのに。
その結果がこの場に幽霊が出ますだった。
「まあ待て。何も難しい事を頼もうっていうんじゃない。そいつを一緒に見ようって言いたいだけだ」
正直、気乗りしない。
そういうものを見たいって気持ちより、この暑苦しい空間にいたくないという気持ちが強いからだ。
いい加減いらいらしてきた俺に、先輩は尚語る。
「なあ、そんな顔しないで頼むよ。困ってるんだ、俺」
ひく、と眉が動く。
なんと。予想していなかった。
先輩が困っている。
それを俺が助ける。
「わかりました。そこまで言うなら」
俺は単純だった。

12:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/13 20:26:15 99i3wtg50
その夜。先輩のアパートにて。
「と、いうわけで。第一回、ドキドキお泊り会~」
いぇーいと楽しそうな先輩と、暑さのイライラと、華の無い空間にがっくり来ている俺。
「あの、楽しいですか。男二人でお泊り会して」
先輩は一瞬で冷静になった。
というより悲しそうになった。
「誘ったけど誰もノってくれなかった」
先輩には人望がない。
・・・・・・いや、本当に人望がない。
友達もいなければ、もちろん恋人もいないし、仲間と呼べる人もほとんど皆無だった。
「先輩・・・・・・今度から俺に人集めさせてください。なんかある時は」
おう、と答えた先輩はもういつものテンションだった。
「じゃあ、詳しく説明するぞ。起きる現象は一つ。手首から先が両手揃ってうろうろする。それだけ」
「それは昼に聞きました。で、それをどうしたいんですか」
結局はそこなのだ。
先輩がどう困っていて、それで俺がどうしたらいいのか。
そこが重要だ。
「まあ、気味のいいもんじゃないから、追い払いたい。だけどあいつ、俺につかず離れず、逃げ回るんだ」
俺は想像する。
必死に逃げる両手首と、部屋を駆け回って追いかける先輩。
想像の中の手首が思ったよりコミック調だったので、深刻に思えなかった。
「で、具体的には何を?」
先輩は少し考えたが、すぐひらめいたように手を打った。
「よし、こういう時はあれだろう。挟み撃ち。俺が追いかける先にお前が待ってれば、流石の手首も止まるんじゃないかな」
先輩は何のつもりかシャドーボクシングをしている。
この人の考えることはやっぱりわからない。
「わかりました。じゃあ、えっと、いつ出るんですか。待ちますか」
うん、と先輩は言った。が、急に布団を敷き始めた。
「え、ちょっと。どうするんですか」
「寝るんだよ。寝てる時に出るんだから」
俺は畳に直らしい。
やっぱり、なんだか釈然としなかった。

13:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/13 20:30:20 99i3wtg50
どのくらい経ったかわからない。
頭の中を掻き回される感覚があって飛び起きた。
吐き気がする。
部屋を飛び出して、共同トイレに駆け込む。
和式便器にしこたま吐いて、ふらつきながら部屋に戻る。
畳の跡が腕についている。
何となくその跡をなぞっていると、明らかに違う痕跡に気付く。
ぼんやりしていた頭に冷水を流し込まれる。
わざわざこんな寝苦しい部屋で寝ていた理由を思い出す。
爪の痕。
ちょっとした食い込み痕だが、不思議とそれが爪痕だと理解できた。
暗い部屋の中を見渡す。
見渡すほど広くないのだが、窓から入る月明かりだけでは見えない部分もある。
が、おかしな物は何も見えない。
安心は出来ない。先輩を起こそうかと迷っている内、不意にあるイメージが浮かんだ。
寝る前に考えたような、コミカルな手首ではなく、リアルな、まるで今見たような。
女の手だ、と直感的に思った。
白魚のような、という例えがあるが、本当に白く、魚鱗のような光沢を持った手だった。
それが、俺に向って這って来るイメージ。
歩くと聞いていたのだが、それは手のひらを畳に擦りながら、指を交互に進め這い寄って来ていた。
はっと気付くともちろん足元には何もいない。
直後、額に殴られたような衝撃。
がくっと後ろに仰け反ってしまう。
必然的に喉がさらけ出されて、その喉に指の感覚が纏わりついた。
「げあ」
声を出して先輩に気付いてもらおうとしたが、喉仏に親指が食い込んで呻き声にしかならない。
喉仏の骨が気管を圧迫していくのがわかる。
息が出来ない。

14:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/13 20:36:00 99i3wtg50
見えもしなければ触れもしないその手を探り手を喉にやる。
くふー、と空気の漏れる音がしている。
それが自分の呼吸音だということもわからない。
意識が白い手のイメージに埋め尽くされる。
力が抜ける。
積もる雪のように、真っ白に埋め尽くされ、埋め尽くされ、
うめつくされ。
手。
遠くで声が聞こえる。
この声は誰のものだったか。
「うごくなよ」
言葉は入ってくるが、意味が理解できない。
どん、と肩を突かれた。
そのまま床に押し倒される。
首元に風を感じた。
直後、気管が元通り広がる。
「はぁっ!はっ、せんぱ」
当たり前と言えば当たり前だが、声の主は先輩だった。
金属バットで肩をぽんぽんと叩いている。
「危なかったな、おい」
状況が飲み込めない。
「え、と、どういう」
先輩は笑った。

15:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/13 20:40:58 99i3wtg50
「まあ全部説明するとな。あいつは俺やお前みたいな『見える』奴に憑くタイプでな。たまたま通りがかった俺に喜び勇んで憑いたはいいんだが・・・・・・」
恐らく、だが。
たまたまでなく、自分の意志であの手のいる場所を侵しに行ったのだろう。
「あいつにとって俺は、文字通り手に負えない相手だった。だが諦めるのも嫌だ。それで俺の周りをぐるぐる回ってたんだ」
ああ、わかってきた。
つまり、俺は・・・・・・
「ルアーですか」
先輩は楽しそうにくっくっと笑う。
「その通り。俺ほどじゃないけどそれなりの奴ってことで、お前に白羽の矢が立った。そして俺の予想通り、あいつはターゲットをお前に定め」
「襲い掛かった。で、夢中になってる間に、こいつで吹っ飛ばしてやった。いいスイングだったろ」
はぁああああ。
深い深い溜息が出た。
先輩の安眠の為に、俺はその命を危険に曝したわけだ。
「先輩、その金属バット借りていいですか」
「だめ。殴るだろ、お前」
さ、寝ろ寝ろ、と言って、先輩はまた布団に寝転がった。
「詫びとか無いんですか」
先輩の背中に話しかけてみる。
「死なせるつもりは無かった。それは本当だ。なにせお前は俺の」
その先は良く聞こえなかった。
聞き返してみるが、先輩はもう寝息をたてていた。

その夜はもう何も出なかったが、エアコンの無い部屋はとても蒸し暑く。
先輩の言った事が気になったのもあって。
結局、とても寝苦しかった。

先輩と手首 終

16:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 21:07:48 4ThkerbX0
ジェリド乙
次回も期待してますよー

17:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 22:04:35 mqzlAnvsO
>>8
実話だからだろ。文も淡白だし…

18:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 22:30:50 KIPDG3Qk0
超絶劣化ウニ作家気取りキタ━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━!!

自己マンで済むかもしれんが、取り巻きだけだぞ崇めてるのは

19:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/13 22:54:48 d6ERuHNt0
今日も乙
そりゃあ崇めるのは取り巻きとか信者だろうな。


20:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 00:00:50 A9qX9q7e0
稲尾で確定なのかw
おつ

21:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 02:49:42 KeySAAQRO
稲男の投稿したシリーズを2ちゃん以外のどっかのサイトで読んだことがあるんだが、本人か?

22:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 06:46:04 wOQepQK50
取り巻きも糞も「良い」と思ったらまた読みたいと思うのが普通だろが。
>>18も見たくないなら来るなよ。
少なくとも楽しみにしているやつがいるんだから。

23:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/14 08:26:19 8xbYUin3O
携帯からおはようございます。
半角#が見つかりました。
>>21
一応、このシリーズの雛型というか、そういうのは公開しています。
テキストを固めてろだに上げてるんですが、アップ先URLとパスはmixiの日記で書いているので、かなり身内向けの公開になっています。
なのでそれ以外のサイトで見た場合、空から発信された電波を複数の人間が受信して作品にするという現象が起こっていると考えてください。

それから褒めて下さる皆さんと同じくらいアンチの皆さんにも感謝しています。
見る度になんというか向上心が湧いてきます。
まだまだ他の作者様には遠く及びませんが、全力で精進しますので、良ければ読んでもらえたらな、と思います。

24:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 08:53:25 PiJgibYQ0
>>23
細かいコトは気にせず投下よろろ

25:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 09:58:12 GvhiL6Kj0
前スレからウニ気取りと叩いてるバカはウニの盲目信者でしょ。
あの人は信者が痛くてかなわん。

26:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 12:00:00 /FoCfgqR0
nihongo de ok

27:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 13:08:03 mLksmCaC0
イタリア語でおk

28:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 13:19:29 /Z+laoerO
作者側からの馴れ合いとかマジいらね。
変な前置きも後書きもいらね。


29:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 15:08:42 Ab1uYk1a0
信者のふりしたアンチ

30:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 16:49:49 dOvQBIwqO
>>28
おれ、天パーの弟がいるんだけど
親父の誕生日祝いに、弟と合同で金出し合ってズワイとタラバ蟹食べ放題に
親父とお袋を連れて行ったんだ。
席に着くなり親父が
「タラバもズワイも蟹と付くけど、ズワイはヤドカリの一種だからタラバをたらふく食え」
とマジ顔で言うもんだから、家族の総力を挙げてタラバを食いまくったんだ。

後で調べたらヤドカリはタラバなのな。

お袋なんて、やっぱりズワイよりずっと上品な味ね
なんて悦び勇んでタラバ食ってたのによ。

俺はヤドカリの件は黙ってようかと思っているんだ
お前なら家族になんて言う?


31:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 17:28:11 a7SxKvNnO
ウニを真似したいなら口数の少なさも見習わないとな

32:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 17:50:34 0KuaJu80P
余計な自分語りや馴れ合いをしたがらない奴の方が息が長いのは事実だな

33:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/14 18:08:14 awVTwrbQ0
挨拶不要との意見が多いので以後そうします。

二年に上がった年の、梅雨のことだった。
俺の地元では、梅雨とは言うものの雨はほとんど降らない。
期間中に三日降ればいい方だ。
しかし空気は相応に湿っていて、特有の息苦しさを感じるのだった。
そんなある日。
じめじめと鬱陶しい空気の中、じめじめとした表情をしながら自転車をこぐ。
雨は好きじゃない。
雨が降りそうな日も好きじゃない。
必然的に梅雨時期は俺の気分も曇る場合が多い。
学校が終わり、家に帰る道のりで、ビルの前を通る。
都会にあるような高層ビルと比べれば、ビルを名乗るのもおこがましいような慎ましい建物だが、一応、5階まであるビルである。
そこを通った時、不意に上から声が聞こえた・・・・・・気がした。
ブレーキをかけて上を仰ぐ。
口を大きく開いて、「あ」という声が聞こえてきそうな表情をした女性が、
ビルの上から、降ってきた。

34:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/14 18:12:37 awVTwrbQ0
「で、落ちたはずの女はどこにも居なかったと」
先輩は楽しそうに俺の話を聞いてくれた。
「はい。まあ、波長があったって奴だと思います。何か知りませんか」
昨日、空から降ってきた女性は最初からいなかった。
俺程度では滅多にないことだが、そういう感覚の強い人はたまに『残留思念』を目撃するらしい。
あれは多分過去にあった飛び降りの映像なんだろう。
「お前はあれだな。ちょっと地元のニュースに目をやるべきだな。ちょっと待ってろ」
押入れに頭を突っ込んで奥を探る。
先輩のアパートの押入れは魔境だ。
よくわからないお札や、まず何なのかがわからない塊なんかが多数入っている。
先輩はその中から、ごく普通のファイルを取り出した。
「何ですか、それ」
先輩はファイルのページを適当に開き、ぱらぱらめくっていく。
「スクラップぶーっく。確か二週間くらい前の記事だ。・・・・・・あった」
小さい記事だ。
28歳の女性が自殺。場所は・・・・・・あのビルだ。
「俺は死亡事故だとか自殺だとかの記事は基本的にまとめてる。たまに役立つこともあるんだ」
一般人に話したら確実に引かれるだろう。
こんなアパートに住んで、食費も徹底的にケチる先輩が、新聞を取っている意味がわかった。
「で、多分この女で間違いないだろう。年齢とか、服装とか、そういう所に矛盾もないだろ」
確かにそうだった。
年齢も多分そのくらいだろうし、俺の見た女性は制服を着ていた。
記事には残業中に・・・・・・と書いてあったので、恐らくその時制服を着ていたのだろう。
「あ、でも」
表情は。
あの表情は、思いつめての自殺では無いように思えた。
どちらかと言うと、驚いているような。
「そうだな。お前の見た女は自殺する時の表情では無かっただろう。まあ、ここでぐだぐだ言っても仕方ない」
先輩は立ち上がる。
「行くぞ、現場」
楽しそうな先輩に続いて、俺も立ち上がった。

35:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/14 18:17:26 awVTwrbQ0
「すみません。お聞きしたいんですけど」
滅多に見ない他所行きの笑顔で先輩はビルの受付に話す。
「私、雑誌の記者をやっている者なんですけども、二週間前の事件の取材をさせて頂きたくて伺ったのですが」
出鱈目だ。
普通ならこれは信用されないだろう。
先輩は何事かこそこそと喋っているが、恐らく門前払いだろうと思った。
しばらく話した後、先輩が一礼した。
「では、失礼します」
おい、行くぞと言うと先輩はずんずん階段を登っていく。
俺は慌てて追いかけた。
「先輩、どうしたんですか、今の。まさか本当に信用してくれたんですか」
「いや、幽霊が出るって噂があるって言っただけだ。あのおっさん、そういう話が大好きらしくてな。ろくすっぽ話も聞かずに通してくれたよ」
呆れる話だ。
まあこのあたりは田舎特有の無警戒感があるから、警備もそのくらいなのかもしれない。
「で、何を話してたんですか」
うん、と頷いて先輩は笑う。
さっきの他所行きの笑顔とは違う、いつものにやけ面。
「まず、屋上以外には立ち入らないことを言われた。それから、詳しい話を教えてくれた。彼女、最上階の事務所に勤めてたらしい。明るい子だったからまさか自殺するなんて、だとさ」
なるほど。
「受付のおっさんのお気に入りらしくてね。帰り際なんかにいろいろ話してたみたいだ。例えば、誰もいない屋上から話し声がする」
そうか。
いくら安普請のビルでも屋上で話している声が下階に聞こえるわけがない。
要するに、それが彼女の自殺・・・・・・いや、もしかしたら他殺の犯人かもしれない。
「おい、あのドアが彼女の事務所だ。もちろん天井はそんなに薄くない」
そして、もう一階あがると。
「で、これが屋上へのドア。開けるぞ」
がちゃり。

36:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/14 18:23:52 awVTwrbQ0
テンプレートな屋上。
コンクリートの床に、申し訳程度の転落防止用鉄柵。
柵に途切れている部分は無かったが、乗り越えようと思えば子供でも可能だろう。
「思ったより普通ですね。やっぱり自殺だったんでしょうか」
先輩は無言だ。
つかつかと歩き、屋上の真ん中あたりに立ち、手招きをする。
俺は従って隣に立った。
「お前、何とも無いか」
はぁ、と気の抜けた返事をする。
何も見えないし何も聞こえない。
「なるほど、彼女は波長が合ったのか、それともかなり強い人だったのか。とにかくそれなりの才能はあったらしい。そりゃ飛ぶ」
先輩は無表情に言う。
心なしか口調が緊張していた。
「おい、帰るぞ。全部わかった」
先輩は早口に言うと、早足に屋上を去った。
俺はまた慌てて追った。

37:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/14 18:28:15 awVTwrbQ0
「で、この話にどうオチをつけるんです」
アパートまで戻って先輩に言う。
「お前には見えなかったみたいだしな。じゃあ説明しようか。あの屋上、どういう因果か信じられない量の・・・・・・色んなモノがいる」
あの、殺風景な屋上に。
俺に見えないような物達がひしめいていたと。
「それこそ立っているスペースが無いくらいだ。彼女は多分、屋上の声を辿って行った結果、そいつを見てしまった」
あ、もしかして。
「逃げたんですか。咄嗟に」
先輩がその通り、と右手で顎をなぞる。
「俺があそこに立った時な。そいつらが急にふくらみ始めた。風船みたいに。俺が帰る頃には、あの屋上からはみ出すほどだった」
俺は想像する。
屋上から聞こえる奇妙な話し声。
暗くなってからの残業で事務所に一人。
気味が悪くなって彼女は奮起する。
『あの声の主を突き止めよう』。
彼女は屋上に上がり、隠れられそうな場所を探す。
もちろんそんな場所は無いが、その間にあそこにいるモノが膨張を始める。
ふと気付くと、得体の知れない何かが自分のすぐ近くに迫っている。
彼女は慌てた。慌てていると、ビルの前の道を車が通る音がした。
それに気付いてもらおうと、鉄柵を乗り越え、身を乗り出した時。
「事故、だったわけですね。それで、驚いた顔を」
「そう、事故だ。ただ、彼女が普通の人間なら起こらなかった事故でもある」
俺は疑問に思った。
何故そんな事を言うのだろう。
先輩だって見える側だし、俺だって多少は見える。
その能力がまるで悪いみたいに。

38:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/14 18:33:34 awVTwrbQ0
「お前は多分わかってない。本来見えないモノが見えるっていうのは確かに才能だ。だけどそれは決してプラスに働かない。普通に生きるには、邪魔なんだ。むしろ」
頭の中がフラッシュする。
なんとなく、先輩は自分の才能を誇っているのだと思っていた。
なぜならそれは俺にとって憧れであり、その頃欲しかった物だから。
憧憬があった。
見える人達に、無条件の。
でも、当人達はそれを足枷に思っている。
天地が逆転するような感覚に襲われる。
「お前は俺の後輩だけど、出来るなら俺を追うな。俺の見てる世界は、普通じゃない」
「でも、それでも俺は」
先輩は人差し指を立てて制止する。
「それでも、とお前が言うなら、いつかそれを選択する時がくる。必ず来る。その時お前が、それでも、と言うなら」
続く先輩の言葉を、俺は忘れない。
これから起こる出来事を、先輩は多分予測していたのだろう。
それを知るのはもっとずっと後だけど、その言葉は俺の芯にじくりと染込んだ。
外は薄暗く曇っていて、滅多に降らない雨がぽつぽつと降り始めていた。

俺はお前に、心ばかりのおくりものをしようと思う・・・・・・。

先輩と飛び降り 終

39:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 18:49:41 5qEV8XZ40
GJ

40:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:18:15 Ab1uYk1a0


41:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:40:14 4v3RnWNx0
十年ぐらい前の話。
俺はまだ五歳ぐらいで、東京に住んでいた。
その時の俺は人形に夢中だった。
おもちゃ屋に行けばぬいぐるみコーナーに走って行って目をキラキラ輝かせながらすべてのぬいぐるみに抱きついていた。
俺の当時のお気に入りは俺の親父が誕生日の時に買ってくれたフランス人形だった。
顔はものすごく整っていて、黒いフリル付きのドレスを着ていて。
十代前半の女の子みたいに華奢で。
すぐ壊れてしまいそうだった。
俺はその人形をメリーと呼んで可愛がっていた。


42:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:41:54 4v3RnWNx0
買ってもらってから一カ月ぐらい過ぎたころ、俺はメリーを連れてゴミ捨て場に行った。
ゴミ捨て場は当時の俺にとって秘密基地のようなところだった。
そこで見つけたプラスティックの板とかで実際に小さいシェルターを作ったこともあった。
その日も俺はその小さな小屋でメリーとままごとをして遊ぼうとした。
がしかし。俺はすぐに後悔した。


43:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:43:54 4v3RnWNx0
ゴミ捨て場には俺の幼稚園のいじめっ子共がいたのだ。
いじめっ子共は俺を見るなり笑い出した。
「見ろよ、人形なんか持ってるぞー!」だとか、「赤ちゃん!」みたいなことを言いながら。
怒った俺は泣きながらいじめっ子の一人に向かっていったが、返り討ちにあった。
顔面に一発くらって俺は人形を落として地面に寝転がって泣いた。


44:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:45:42 4v3RnWNx0
そして俺を殴ったいじめっ子はメリーを掴んで投げた。ガラクタの山に向かって。
俺はメリーが放物線を描いてゴミとゴミの間に落ちるのを泣きながら眺めていた。
いじめっ子共はそれを見るなり笑いながら自分の家に帰って行った。
俺はメリーが落ちたあたりを必死に探した。


45:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:48:22 4v3RnWNx0
皮が切れても、爪が剥がれそうになっても。
夕方になってもメリーは見つからなかった。
辺りが暗くなったころ、親が俺を探しに来て俺を連れて帰った。
次の日も俺はゴミ捨て場に行ってメリーを探した。
その日は前の日よりもう少し広い範囲を探したが見つからなかった。
その次の日も俺はメリーを探した。その日はもう少し深くを探した。


46:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:49:32 4v3RnWNx0
けど、見つからなかった。
その次の日も探したが、見つからなかった。
その次の日も探した。その次も探した。その次も、その次も。
けど、見つからなかった。
当時の俺は気付かなかった。毎日ゴミの山が変わっていることを。
そして毎日ゴミが、処理されていることを。


47:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:52:16 4v3RnWNx0
メリーを探し始めてから半年が経った頃、俺は鎌倉に引っ越すことになった。
結局メリーは見つからなかった。
そして今。
大学生になった俺は寮に住んで学校に通っている。
成績は中の上、運動神経は並。彼女はできたことはないが、別に顔は悪くはない。
友達も普通にいて、いじめにも遭っていない。将来の夢は特にない。
俺はそんな普通の人生を過ごしている。


48:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:54:19 4v3RnWNx0
「はぁ…何で今頃人形のことを思い出すかなぁ…」
窓から夕焼けを見ていた俺は深くため息をついた。
特に理由はないと思うが、なぜか冬になると無くした人形のことを思い出す。
毎年のことなので特に深く考えずに終わるのだが。
(しゃあねぇ、今日は早めに晩飯食って寝るとすっかな)
そして俺は夕暮れに染まる街に出た。


49:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:56:48 4v3RnWNx0
自転車を漕いで十分ぐらいのところに行きつけのラーメン屋があるので週一ぐらいのペースで俺はそこで食べることにしていた。
ガラッとガラス戸をあけてカウンターに座る。
「チャーシューメン大盛りお願いしまーす」
「あいよ!」
一時期毎日のように通っていたことがあるのでほとんどの店員は俺の顔を覚えていた。


50:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 19:58:24 4v3RnWNx0
「チャーシューメン大盛り、お待ち!」
「どーもっす」
俺は渡されたラーメンを両手で持ち上げて目の前に置いた。
そして同時に俺の携帯が鳴り始めた。


51:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 20:00:22 4v3RnWNx0
ちょうど割り箸を割ろうとしていた最中だったため、割りばしが妙な形に割れてしまった。
(誰だよ、こんな時に…)
ポケットから携帯を取り出して電話に出た。
「ぁいもしもし?」
向こう側は静かだった。
「もしもーし?誰ですか?」


52:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 20:03:21 4v3RnWNx0
『私…メリーさん…ひさ…ぶりだね………くん』
俺の名前を言っているようだが声が聞き取れない。
「メリーさん?そんな人俺知りませんが…」
『今日…会いに…くよ…』
そういうなり電話が切れた。
(なんだ、いた電か…)
俺は妙な形に折れた割り箸を捨ててもう一本折った。


53:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 20:13:37 4v3RnWNx0
自転車を漕いで俺は寮に戻った。
そして戻るなり俺の携帯が鳴った。
すぐポケットから出して電話に出た。
「はいもしもし?」
『私メ…ーさん。今坂道…上…てる…ころよ』
またあのいた電だった。
「またお前か。いたずら電話はやめてください」
しばらく誰も何も言わなかった。


54:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 20:15:53 4v3RnWNx0
『……も…かして…村く…私の…と忘れ…ゃっ…の?』
声が途切れ途切れに聞こえてくる。
「俺はあなたのことなんか知りませんが?」
正直に言ってやった。
また静かになる。
『…っ……っ』
向こうからすすり泣くような音が聞こえた後、電話が切れた。
(何なんだよ、たく…)
俺は携帯を顔の横に置いてベッドに寝転がって読みかけの本を読み始めた。


55:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 20:22:46 4v3RnWNx0
十一時を過ぎたころ、また電話が鳴り始めた。
携帯を取る前からわかる。これはまたあのメリーさんだ。
呆れながら電話を取る。
「またメリーさんですか?」
『…ん…植村君、まだ思…出し…くれな…?』
途切れ途切れだが何となく言いたいことは分かった。


56:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 20:25:39 4v3RnWNx0
「知りませんよメリーさんなんか。そういう名前の人形は持ってたけど」
しばしの沈黙。そして電話が切れた。
(意味がわからない。まったく、意味が分からない)
そして俺はまた本を読み始めた。


57:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 20:33:15 4v3RnWNx0
十一時を過ぎたころ、また電話が鳴り始めた。
携帯を取る前からわかる。これはまたあのメリーさんだ。
呆れながら電話を取る。
「またメリーさんですか?」
『…ん…植村君、まだ思…出し…くれな…?』


58:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 20:40:26 4v3RnWNx0
途切れ途切れだが何となく言いたいことは分かった。
「知りませんよメリーさんなんか。そういう名前の人形は持ってたけど」
しばしの沈黙。そして電話が切れた。
(意味がわからない。まったく、意味が分からない)
そして俺はまた本を読み始めた。


59:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 20:55:12 4v3RnWNx0
本を読み終えた俺は友達の清水と電話で話し始めた。
『だからさ、担任の前原がよ…』
「マジ!?そんなことしたんあいつ!?」
俺は部屋で腹を抱えながら笑い出した。
いつもこの友達は俺のことを笑わせてくれる。
落ち込んでるときも、怒っている時も。
『ハァー…あ、そうだ』
「ん?どうした?」
清水がいきなり声色を変えた。


60:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 21:10:26 4v3RnWNx0
『さっきな、俺んちに十五、六の女の子が来たんだよ』
「へぇー…で、どれがどうしたん?」
『いや、な?その女の子が俺に聞くんだよ。植村はどこですかー?って』
なんだか嫌な予感がする。
『俺は植村はこの道を真っすぐ行った寮にいますよ、って親切に教えてあげたんよ。そしたらありがとうってお辞儀して
その子そっち行ったんだわ』
「…で、それがどうしたん?」
『いや、な?俺、見ちまったんだよ。あの子の背中の帯のところに包丁が』


61:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 21:12:35 GvhiL6Kj0
スクリプトじゃなくて手動なのが泣ける
よっぽどこのスレに恨みがあるんだね(´;ω;`)ブワッ

62:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 22:26:27 37BxYA5d0
さすがとしか言いようがない
前スレ埋めてくれるならまだいいが、人が投下した直後にとか
これからは毎日メリーになるかもなw

あと、稲おつ

63:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 22:29:51 4v3RnWNx0
ブツっと言って電話が切れた。
「もしもし?おい清水?もしもし?もしもし!?」
『私…メ…ー…ん…植村君…』
メリーが、電話に、でた。
「う、ああ、あああ…」
『私、今君の寮の外にいるよ…今からそっちに行くよ…』
そして電話がまた切れた。



64:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/14 22:34:19 5qEV8XZ40
今日のあぼーんさんは最初にNGワード入れてくれたから助かる。
コテつけてくれと言っても付けてくれないからな。
コテつけてくれれば、一回のNG指定で済むのに。

65:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 05:06:19 jOy3J9yC0
さる食らわないのかねぇ

66:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/15 18:35:18 6lnrYDLf0
「どこだ、ここ」
どこかで見た場所に俺は立っている。
芒がさらさらと音を立てる。
時間は夜だ。
場所は、空き地?
駐車場代わりに使われているのか、轍が走る一角がある。
そこは黄土が見えているが、他は雑草と銀色の芒に覆われている。
向こうに廃墟が見える。
ここは・・・・・・
「よう、来たか」
草の生えていない一角に、ドラム缶が置いてある。
その中の何かに火が点いて、そばに座っている人の顔を照らす。
「先輩」
火を点けたのは先輩のようだった。
手には百円ライターを握っている。
「座れよ、お前も」
先輩が腰掛けているのはベンチだった。
こんな場所になんで?とは思ったが、素直に隣に座る。
「なあ、ここに幽霊が出たら怖くないか」
唐突に言う。
それは場所を選ばず怖いと思うのだが、この人の場合普通に出てきても怖くないのだろう。
「なんでです。何か曰くがあるとか?」
風も無いのに炎が揺れる。
先輩は喋らない。
「何でですか?」
重ねて聞くと、先輩がゆっくり口を開く。
「例えば」

67:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/15 18:38:47 6lnrYDLf0
例えば。
頭の中で復唱する。
「幽霊だとかお化けだとか、そういうモノが怖いって奴がいたとする。そいつは見たことが無いから怖いのか、それとも見た上で恐れているのか」
先輩は、見た上で怖くないと判じているのだろうか。
「大半の人間はそれを恐れる。それは何故か。見たことも無いのに。それは何故か。答えは簡単だ。干渉できないからだ」
「相手から干渉される事を恐れている。こちらからはどうやっても干渉できないのに、相手が害意を持っていたら。それは怖い」
なるほどそうだ。
対応できない敵意ほど恐ろしい物も無いように思える。
「じゃあ、見えるし干渉も出来る上、その正体が人間と変わらないと知っている人間がソレを怖がるってことは、どういうことだ?」
今度は俺が黙る。
どういうことだ、とはどういうことだろう。
恐らく先輩の事なのだろうが、先輩の世界は皆目検討もつかない。
「人間と変わらない物が怖いってことは、即ち人間が怖いって事に他ならない。そいつは人間を恐れている。自分も人間なのに」
炎が勢いを増した。
「その中でも特に怖いのは、そいつが好意を持っている人間だ。嫌いな人間に何をされようがかまわない。それなりの対処をすることが出来るからだ」
では。
「好きな人間に殺されかけた時、その相手を殺して自らの命を守る事が出来るだろうか。そういう選択を迫られる。それは、嫌いな人間より遥かにやっかいだと言える」
急に鼻につく匂いが漂ってくる。
ドラム缶の中身が気になり始める。
「けど、そんな事を思う人間はそいつ以外いなかった。そいつは探した。同じモノを見える人間を。理解してくれる人間を。見つかりそうになった時、それが起こった」
それとはなんだろう。
わからない。
隣にいるのは本当に先輩だろうか。
「それを解決する方法は一つしかないし、それが出来るのはそいつしかいなかった。そして、その被害者が、友達に成り得る存在だった」
ドラム缶の中でじゅうじゅうと音がした。
肉を焼く時の、油が爆ぜる音。
「そう、友達だ。ずっと欲しかった友達。そいつは決心する。自己犠牲。そして、二度と会う事は無い」
先輩は一旦話すのをやめた。
芒が揺れて囁き声に似た音を立てた。

68:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/15 18:42:43 6lnrYDLf0
「それが、俺の人生だった。運悪く、生きている世界がずれていた為に、最後まで友達は出来なかった」
先輩はにやけていたが、何故かひどく悲しそうだった。
俺は言葉を探す。
先輩を慰めるような、先輩を肯定するような言葉を。
何も見つからないでいると、先輩の顔がいつもの楽しそうな笑みに変わる。
「さっきの話な。好意を持っている人間に命を脅かされそうになった時、っていう話」
もうわかっている。
ドラム缶の中身も、この人が望んでいる事も。
「もしそれが自分じゃなく、自分の愛している人間を脅かしていたとしたら、お前はどうする。俺が、お前の恋人を殺そうとしていた場合」
ドラム缶の中身はわかっている。
肉だ。それも、俺のよく知っている人の。
先輩はポケットからペンダントを取り出した。
それは俺が恋人に送った物で、彼女の誕生石が付いてる。
同じ物も売っているが、多分彼女の物なんだろうなと思った。
ドラム缶はじゅうじゅうと音をたてている。
肉のこげる匂いがする。
俺は笑って・・・・・・

携帯のバイブ音。
体を起こして、枕元の携帯を見る。
彼女からのメールだった。
『遅いです』
液晶の端の時計は10:26と表示されている。
待ち合わせは十時。完全な遅刻だった。

69:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/15 18:45:27 6lnrYDLf0
「・・・・・・夢の中でまで語りに来ないでくれないかな」
その年、俺は大学に入学していた。
先輩がいなくなってから、三ヶ月が経っている。
「心配しなくても、あんたより今の彼女の方が大事なんで。もしそんなことになったら・・・・・・」
先輩でも殺せますよ、という言葉は飲み込んで、彼女への言い訳を考える。
上手く言えそうになかったので、とにかく電話してみる事にした。
発信履歴の一番上を選択、コールする。
一回目のコールで彼女は電話を取った。
「あ、すみません。・・・・・・はい。以後気をつけます」
語り口は静かだがかなり怒っているようだった。
俺は少し萎縮しながら出かける準備をする。
話している内に、彼女の口調から棘が抜けていく。
どうやら許してもらえるらしい。
「はい、はい。ええ、変な夢見ちゃって。あ、ヨーコさんも出てきましたよ。え?あ、いや、覚えてないです」
うっかりした事を言わないよう気を付けていたら、電話の向こうから信じられない言葉が飛んできた。

『遅刻もそうだけど、夢だからって殺すのもやめてください。あと、あの人と比べるのも』

背中に寒気が走った。
苦笑しか出ない。
俺は靴をつっかけて、玄関を開ける。
やっぱあの人たちには敵わないな、と思いながら、俺は待ち合わせ場所に急いだ。
街には今日も、人と幽霊が溢れていた。

悪夢 終

70:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 18:58:01 igSIp9gtO

いつもよりウニ色が濃いな
普通のオカルト活劇が読みたい

71:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 19:43:30 7zjEnT1a0
稲男乙

72:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 19:53:08 6pmUHuto0
俺は必死に考えていた。
メリーは何者なのか。
彼女は俺のことを知っている。
(知り合いか?)
違う。俺の知り合いにメリーなんてふざけた名前のやつはいない。
だとしたら可能性は一つだけだった。
…だけど俺はそれが信じられなかった。


73:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 19:56:03 6pmUHuto0
信じたら何かいろいろ終わっちゃいそうな気がしたから。
そしてまた電話が鳴った。またメリーだろう。
恐る恐る電話を取る。
「も、もしもし…」
声が震える。怖い。
『今、私寮の階段を上がってるんだ…聞こえる?この音…』
外でカン、カンと何かが昇ってくる音がする。
『もう少し…もう少しでまた会えるよ、植村君…』
そしてまた電話が切れた。


74:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 19:57:42 6pmUHuto0
それから十秒ぐらいしたらまた電話が鳴った。
受話ボタンを押して電話を取る。
『もう、ついたよ…ドア、開けて…?』
「ひぃあ、ああぁぁあ!?」
ブツ、と電話を切った。



75:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 19:57:48 h9Bei4wK0
また始まった

76:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 19:58:43 6pmUHuto0
十分ぐらいずっと電話が鳴り続けている。
俺は部屋の隅で足を抱えながらそれを見ていた。
さらに十分が過ぎる。まだ電話が鳴りやまない。
…もしもの話。メリーが俺の好きだった人形だった場合。俺はどうすればいいのか。
俺は殺されるのか。それとも生きるのか。
あの時人形を無くしたのは今でも少し後悔している。


77:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 20:00:50 6pmUHuto0
親父に悪いことしたな~とか、値張ったんだろうな~、とか。
けど一番後悔したことは、もう二度と見つからないだろう、ということだった。
(俺、本当にあの人形が好きだったんだな…)
覚悟を決めて俺は玄関に向かった。



78:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 20:06:58 OeEkoxq60
面白く無いとは言わないが、ウニ臭が強すぎる。

79:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 20:30:01 6pmUHuto0
俺はドアの前でとまった。
「…なぁ、メリーさん」
ドアのすぐ外に人の気配がある。
「…うん。なに?植村君」
「お前、俺の人形だったメリーか?それとも別の何かか?」
沈黙。
「……暗かった。あのゴミ捨て場」
「……」
この子は俺の人形だったメリーだ。


80:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 20:37:47 6pmUHuto0
「夜は寒くて…苦しくて…狭くて…寂しかった」
胸が苦しい。
「やっと出れたと思ったらね?私、壊されちゃったんだ…他の物と一緒に」
涙が出そうになる。
「ずっと捨てられたんだ、て思ってたの。だからもし君に会えたら同じ目にあわせてやろうって誓ったの」
下唇を力一杯噛んだ。


81:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 20:49:00 6pmUHuto0
「それで気づいたら、人間になってた。嬉しかった。やっと復讐できる。やっと同じ目にあわせてやれるって」
怖い。怖い。とても怖い。
だから必死に腹の奥から声を絞り出した。
「…俺を、殺すのか?」



82:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 20:56:39 jOy3J9yC0
今週はウニさん来てくれるかねぇ

83:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 21:06:41 6pmUHuto0
また沈黙。
「…わかんない。殺したいのかどうかもわからない」
「……」
「変でしょ?さっきまで殺したかったのに今じゃ会ったってだけですごいうれしいの…」
「……」
「なんか妙なの…なんだか言葉にできないの、今の感情…」
「なぁ、メリー」
「…なぁに?植村君…」
俺は部屋の扉を開けた。



84:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 21:13:08 6pmUHuto0
そこにいたのは黒いフリルのついたドレスを着た金髪藍眼の十五、六の女の子だった。
思わず息をのむ。
「……とりあえず部屋に入ってきてくれ。話がしたい」
「…うん」
メリーは小さくうなずき部屋に入った。



85:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 21:14:57 jeaAzJO20
一日張り付いてるけどやっぱりニートだったか

86:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 21:20:12 6pmUHuto0
メリーを床に座らせ、俺もメリーの前に座る。
ちょっと気恥ずかしい。
「…なぁメリー」
「ん…?」
「ゴミ捨て場のこと…本当にごめんな…」
メリーの顔が陰る。
「言い訳するわけじゃないけどさ…俺も必死に探してたんだ…お前のこと」
メリーはうつむいたまま何も言わない。


87:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 21:22:26 6pmUHuto0
「半年ぐらい探したんだ…でも見つけられなかった。それにすぐ俺達引っ越しちゃったし…」
どう説明しても言い訳にしか聞こえない。
「だから、その、なんだ…」
言葉が詰まる。
メリーもうつむいたまま何も言わない。
どうする…?どうする、俺!?
「…好きだったよ、お前のこと」
メリーがこっちを向く。
驚いているように見えた。


88:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 21:32:05 6pmUHuto0
俺の顔が燃えるように熱い。真っ赤なんだと思う。
「今もすごいかわいいと思うし…何を言ってんだ俺…」
声がかすれる。
「わ、私も!」
メリーの不意打ちに心臓が飛び出しそうになる。
「私も、別にゴミ捨て場のことは全部植村君のせいだとは思わないし…その…」
沈黙。静寂。誰も何も言わない。


89:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 22:13:01 6pmUHuto0
「うん…やっとわかった。この気持ち」
メリーが立ち上がって俺のほうに近づいて抱きついた。
「これが「大好き」って、感情なんだね…」
意味が、わからない。
心臓が不整脈を打っているような気がしてならない。
けど俺の中でもやっと物事が落ち着いた。
そしてわかった。
俺もこのメリーが好きだってことに。
「俺も、好きだよ…メリー」



90:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 22:17:15 Oyy8gHIT0
頼むからトリつけてくんねぇかなぁ…
NG処理めんどくせんだよ

91:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 22:41:03 6pmUHuto0
「なぁメリー」
「?どうしたの植村君」
「陸久でいいよ。それよりさ。俺と一緒に暮さない?」
俺の中でももう整理できている。
そして何より、もしもここで彼女と別れたら…
もう二度と会えない気がした。
「…いいの?」
「うん。いいよ」
「陸久が困るだけなのに?」
「俺はメリーが居てくれるだけでいいんだ」
「本当に?」



92:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/15 22:48:07 6pmUHuto0
「本当に」
メリーが俺に抱きついてくる。
「…大好き」
「俺も好きだよ…」
これからは忙しくなりそうだが、なんとかできると思う。
俺の愛しのメリーがいてくれるから…



93:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/16 02:23:15 Sx9cLBWG0
赤紫乙

94:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/16 14:15:43 l/+yyqTZO
メリーうぜえぇえぇ~~~

二日酔いの具合の悪さ倍増。

95:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/16 17:47:34 XMi8CRxW0
稲男

フッ… l!
  |l| i|li ,      __ _  ニ_,,..,,,,_
 l|!・ω・ :l. __ ̄ ̄ ̄    / ・ω・≡
  !i   ;li    ̄ ̄ ̄    キ     三
  i!| |i      ̄ ̄  ̄  =`'ー-三‐ ―

              /  ;  / ;  ;
          ;  _,/.,,,//  / ヒュンッ
            /・ω・ /
            |  /  i/             
           //ー--/´
         : /
         /  /;
    ニ_,,..,,,,,_
    / ・ω・`ヽ  ニ≡            ; .: ダッ
    キ    三    三          人/!  ,  ;
   =`'ー-三‐     ―_____从ノ  レ,  、


96:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/16 22:08:35 wDqwl0uA0
稲男乙
って、ちょっと気になったけど、稲男の読み方って 「いねお」 なのか?

97:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:10:44 lZM9Igr50
>>96
いねお・・・でいいと思います。多分、きっと。

「ベッドの下の男を退治するぞ」
一年の冬、エアコンの無い自分の部屋を嫌がって、ファミレスに逃げ込んでいた先輩が言った。
「それって、都市伝説のアレですか」
ベッドの下の男。
ある晩、友達と部屋で遊んでいると、急に友達が外に出ようと言い出す。
どうしても外に行きたいという友達に、しぶしぶついていくと、友達の様子がおかしい。
問いただすと、「さっき偶然見えたんだけど、ベッドの下に刃物を持った男がいた」……。
それなりに有名な都市伝説である。
何度かテレビで語られているのも見たことがある。
「そう、そのアレだ。アレを退治する」
先輩の目が爛々と輝いている。
いつになくやる気満々なようだ。
「でも、先輩は布団でしたよね。誰の所に出たんですか」
おかわり自由のコーヒーを一気飲みして先輩が立ち上がる。
「これから現場に行く。ついてくるだろ」
時刻は夜の九時。
帰って寝るにはちょっとだけ早かった。
「わかりました、お供します」
先輩は笑った。
ちなみに、先輩の食事代も俺が出した。

98:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:12:45 lZM9Igr50
現場に近付いていくと、先輩のやる気の源がわかってきた。
見覚えのある道だ。
そして見覚えのあるマンション。
この辺りではそれなりに高級な部類に入る。
ずかずか入りこんで三階に上がる。
多分、ここの角部屋だ。
……予想通りだった。
「ヨーコさんですか」
先輩がいつもより三割増しくらい楽しそうな理由がこれだ。
恐らく相談を持ちかけられた時、内心とても喜んだだろう。
「お前、来たことあったっけか」
先輩はヨーコさんが大のお気に入りだ。
理想の女性だと言って憚らない。
だから黙っていたのだが、今年の夏、先輩に紹介されてから、恐らく先輩よりずっと多く訪問している。
何を言われるかわからないから、絶対に言わないけれど。
「いや、住所は聞いてたんで、それで」
ああ、そう、と納得しつつインターホンを押す。
俺は内心ヒヤヒヤした。
なんだか高級な音がして(家のチャイムはジーッという音がなる。最近はそれもどこかの接触が悪くなって鳴らない)ヨーコさんの声がする。
『はい』
「あ、俺だけど」
しばしの沈黙があった後、玄関が開いた。
「ごめんなさい。なるべく頼りたく無かったんだけど」
若干浮かない顔をして、ヨーコさんが顔を出す。
どういう意味か悩んだが、先輩に迷惑をかけたく無かったんだと思うことにした。
「いや、手間のかかる事にはならないと思う。まあ、任せてくれ」
先輩は笑顔だった。

99:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:14:59 lZM9Igr50
ヨーコさんはあがって、と手で奥を示す。
俺は慣れた手付きでスリッパを出して、それからあ、と思った。
先輩の顔色を伺ったが、浮かれすぎて気付いてないようだった。
「……ここが寝室」
ヨーコさんはとても嫌そうだった。
なんだろう、先輩に申し訳ない気持ちと、なんだか可哀想な気持ちが同時に湧いてきた。
そんな俺の気持ちを知らずに、先輩は非常にそわそわしている。
全体に淡いピンク基調の小綺麗な部屋。
勿論エアコンもついている。
そこはなんだか、いつもより片付いていた。
「あ、片付けました?」
先輩が俺の方を見る。ヨーコさんも鬼のような形相で俺を見る。
またしてもあ、と思った。
「お前、来たこと無いって言って無かったか」
俺は先輩を無視することにした。
「で、ヨーコさんは何で先輩を呼んだんですか」
ヨーコさんはちょっと考えて、それから言う。
「昨日寝ていたら、急に金縛りにあったんです。それから、見える景色が変わっていった。暗い所にいるのがわかって、隙間からは私の部屋が見えていました。低い所から見た、私の部屋。直感的に、あ、ここベッドの下だなって思いました」
「視界が混線したんだな、多分」
先輩はさっきの事を忘れたように楽しそうな笑顔をしている。
これはいつもの、怪奇現象に挑む時の表情だ。
……ヨーコさんは、見えるって事に関してはすごい。
霊的な能力では段違いに強い先輩を、さらに水をあけて引き離すほどよく見える。
例えば、幽霊が見えたり、未来が見えたり、過去が見えたり。
今回のように、他の誰かの視界が見えたり。ただ、それは偶発的に起こることで、コントロール出来るような物じゃないらしい。
だから、『見る』じゃなく『見える』なのだ。
そういう不安定な所も魅力の一つだと先輩は言っていた。
「でも、それって変質者じゃないですか。警察の領分のような気がしますけど」

100:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:16:59 lZM9Igr50
ヨーコさんは首を振った。
「おいおい。一見すればわかるだろう。ほら、ベッドの下に人が入れる隙間なんて見えるか」
先輩に言われてベッドの下を覗いて見る。
確かに、10cmにも満たないような隙間しかない。
「そんな所に入っていけるようなヤツは、警察になんとか出来る相手じゃない」
ヨーコさんが溜め息をついた。
「だから、この人に相談したわけ」
先輩がくすぐったそうに体を揺する。
頼られて嬉しいのだろう。
そしてやっぱりヨーコさんは頼りたく無かったのだろう。
寝室に入れるのも嫌だったのかもしれない。
「さて問題はこれからだ。ヤツはいつ出るかもわからないし、どんな物かもわからない。だからとりあえず、昨日の状況を再現してみようか」
要するに?
「つまり、ヨーコさんに寝てもらうって事ですか」
ヨーコさんの頬がひくりと動いたのを俺は見逃さなかった。
楽しそうな先輩を見ながら、俺はヨーコさんに耳打ちする。
「……あの、一応俺もいますし。先輩、多分ヨーコさんよりお化けに興味あると思うんで」
安心してください。心配はわかりますが。
ヨーコさんは頷いてくれた。
「着替えるから、一回出て」
俺は名残惜しそうな先輩を連れて寝室を出た。
「先輩、実際の所どうなんですか。見当付いてたりしないんですか」
先輩は少し難しい顔をしていた。
「実際の所、皆目だ。何も見えないし感じない。かなり変わり種なのか、それとも、相当上等なヤツかどっちかだろうな」
驚いた。
先輩の感覚に引っかからない相手なんて、この時が初めてだった。
嫌な想像が膨らんでいく。
しかし俺の妄想は、ヨーコさんの声でかき消された。
「着替え終わったよ」
部屋と同じ、淡いピンクのシンプルなパジャマだった。
うん、可愛らしい。
先輩がまた少し興奮したのがわかった。

101:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:18:51 lZM9Igr50
「じゃ、寝ます。見ててね」
仰向けにベッドに入ったが、暫くして壁に顔を向けて横向きになった。
まあ、視線が気になるのだろう。
さらに暫くして、小さく規則正しい呼吸音をたてはじめた。
どうやら眠ったらしい。
寝付きはいいようだ。
「……お前、いつここに来た」
寝付いたのを確認して、先輩が小声で言う。
「あの、以前、たまたま近くで会って……お茶でもどうだって言うので、その」
気まずい。
嘘はついてないし、何か特別なイベントがあったわけではないが。
「一回か」
「……いえ、それからも何度か」
「お前、なんで」
不意に、破裂音がした。
大きな音が一つ、続けて小さな音が二つ。
かなりの音量だったにも関わらず、ヨーコさんは眠り続けている。
「先輩、今のは」
先輩は既に立ち上がり、拳を握り締めている。
「起こせ」
「は?」
「ヨーコ起こせ!早くしろ!」
突然大声を出され、反射的に立ち上がる。
「う、あ、ヨーコさん!起きてください!」
肩を掴んで激しく揺さぶる。
反応は無い。
「起きません!」
先輩はさっきまでの真剣な表情から一変、黒い笑いを浮かべていた。
「ならいい。かつぐなりなんなり、とにかくこの部屋から連れ出しておけ。俺は片付けておくから」

102:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:20:04 lZM9Igr50
ヨーコさんの膝の下と腋に手を差し込んで抱えあげる。
俺は笑う先輩と、ベッドの下の隙間から見える手を残して寝室を出た。
そのまま玄関を出て、ヨーコさんを廊下に座らせる。
さっき、ベッドの下に見えたのはなんだったのか。
泥のような色をした手。
細い隙間から見えた片方の目。
先輩はアレの正体がわかったのだろうか。
「ヨーコさん、起きてください。ヨーコさん」
抱えて走った時もかなり揺れたはずだが、ヨーコさんは全く反応をしない。
顔色は青白く、まるで死んでいるようだ。
辛うじて呼吸音が生存を教えてくれた。
俺はヨーコさんの正面に座って待った。
ただ待った。
先輩か、ヨーコさんのどちらかがアレに勝ってくれる事を。
そのまま十分ほど経った時。
玄関のドアががしゃんと鳴った。
急いで立ち上がり、玄関を開ける。
内側に拠りかかっていた先輩が倒れこんできた。
「ちょ、先輩!どうしたんですか」
両腕を垂らして俺に体重を預けている。
「追っ払った・・・・・・けど、もう限界だ。病院近くにあったっけ」
よく見ると両腕に痣がたくさんある。
右手の中指・小指がおかしな方向に捩れていた。
「だ、大丈夫なんですか。どうしよう、救急車とか呼んだ方がいいですか」
先輩が思った以上に重症に見えて、焦りが噴出してくる。
俺がおたおたしている間、先輩はヨーコさんを眺めていた。
「・・・・・・起きなかったのか。そういうこともあるか。あ、痛、た。まあ、痛いのは腕だけだから、歩いて病院行くよ。今・・・・・・10時か。閉まってるだろうなあ・・・・・・」
ふらふらしながら歩いていく。
追いかけようとしたら、先輩に止められた。
「お前までいなくなったら、ヨーコが驚くだろ。起きるまで付き添うか、もう大丈夫だからベッドにでも戻してやれ」
去っていく先輩は、いつになく男らしく正統派のかっこよさだった。

103:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:22:15 lZM9Igr50
翌日、病院の待合で先輩と会った。
先輩は両腕に包帯をぐるぐる巻いていた。
「なんか、右手の人差し指と中指、あと小指が折れてるって。人差し指は綺麗にイってたけど、中指と小指は細かくちくちく折れてて治るのもちょっとかかるかもってさ」
笑って右手を振る。
「あの、先輩。昨夜、何があったんですか。アレは結局なんなんですか」
先輩がにやりと笑う。
「解説しようか。まず、アレの正体だが・・・・・・簡単に言うと、ヨーコだ」
比較的無事な左腕でズボンのポケットを探る。
と、中から紙に包まれた丸い物を取り出した。
直径1cmくらいの玉だ。
「まあ、ビー玉なんだけど。これがあの化け物になった。おい、そうバカ面するな。本当だ。例えば、だが」
先輩は包み紙をぺりぺりと剥がす。
中身は水色の透明なビー玉。
包み紙には、どこかでみた模様が入っていた。
「これがベッドの下に転がっていくだろ。ふとした瞬間に、それがきらりと光っているのを目撃するんだ。脳みそは連想する。光る玉、眼、顔、人」
手のひらの上でビー玉を弄びながら続ける。
「そして、その想像にはっきりした形が出来る。それはベッドの下に人間ということから連想された都市伝説だ。その想像をした人間が、少し変わった奴だったら」
「そう、人より少しだけ、そういうモノに近い奴だったら。その想像は、何かにキャッチされ、実現される。そういうもんだ」
頭の中で整理する。
つまり、ビー玉を見たヨーコさんが、ベッドの下の男を想像し、それが現実になった?
「あるんですか。そんなこと。大体、それならどうやって追い払ったんです」
先輩は口の端をさらに歪める。
「実現したってことは、俺と同じ土俵にいるってことだ。想像相手じゃ勝ち目もないが、そこにいるならどうとでもなる。言っただろ、これは眼だ。あいつの。引っこ抜いてやった」
この怪我は、抵抗されたからだ。と。
ベッドの下に手を突っ込んで、得体の知れない物に指を捩じ折られながら、それでも相手の眼を抉って引っこ抜いた。
・・・・・・やっぱり、この人は尋常じゃない。
「最初はな。ヨーコの世界の中にしかいないのかと思った。あいつは、なんていうか、上位の世界を持ってる。だから、その中にいれば勝てなかった」
何のことだかよくわからないが、なんにせよ、この二人は段違いだと思った。

104:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:25:15 lZM9Igr50
ここまでなら、やっぱり先輩達はすごい、で終わるのだが。
その後、非常にイメージの悪い話がある。
「あのな、頼みたい事があるんだ」
一通り解説を終えた先輩は、神妙な面持ちで言った。
「え、まあ出来ることなら」
今回は人の為に働いたし、まあ怪我しているから困ることもあるのだろう。
「あのな。先に言うぞ。別にいやらしい気持ちがあったわけじゃない。ただ、ちょっと、その、見えちゃったから、つい、だな」
先輩はまたポケットを探る。
まさか。
冗談だろう。
「これ、返してきてくれないか。間違って持って帰っちゃったとか言ってさ。お前ならそんなに怒られることもないだろ」
先輩が出したのは、あの部屋と同じ薄ピンクのシンプルな、それでいてかわいらしさのある・・・・・・。
女性下着(下)だった。
俺は悩んで悩んだ挙句、ここまでの怪我をして稼いだ好感度を、出来心で全部失くしてしまうのはあんまりだなあと思ってしまい、しかめっ面をしながらそれを受け取った。
返しに行った俺と受け取ったヨーコさんはお互い赤面し、それからしばらく気まずい日々を送った。

先輩と下男 終・・・じゃない。
先輩が病院に行き、ヨーコさんをベッドに戻した時の話。

105:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:28:13 lZM9Igr50
「・・・・・・行った?」
背後から急に声を掛けられて驚いた。
ヨーコさんがぼんやりした顔で俺を見ていた。
「あ、起きてたんですか。なんか、もう大丈夫みたいなんで部屋戻ってください。俺、先輩を」
「連れてってください。力が入らなくて」
ヨーコさんはひどくぐったりしている。
俺は再びヨーコさんを抱え上げる。
「あの、嫌だったら言ってくださいね」
ヨーコさんはゆるゆると首を振る。
「本当はあの人にこうやって頼ってあげたいんだけど、あの人に近づくと、見えちゃうから。いろいろ、嫌な物が」
あ、もしかして。
「今考えてたこと、見えたりしました?」
俺は『先輩にこそこういう役得があるべきなのに』と考えていた。
今回一番頑張ったのは彼だ。
「別に。なんとなくそんなこと考えてそうだなって。実は、そんなに嫌じゃないです。ああいう風にストレートに当たられるの」
良かった。先輩は嫌われているわけではなかったのだ。
いつもそれが気にかかっていた。
そう、俺がどう思っていても、最初に好きになったのは先輩だ。
「じゃあ、嫌な物が見えなければ、先輩と付き合ってもいい・・・・・・とか」
なんとなく口にし辛かった。
それは、多分俺の中の感情に原因があるんだろう。
「まあ、前まではそうだったんですけど。今は、他に好きな人がいるんで」
ずくり、と。
心臓に突き刺さる言葉だった。
鼓動の乱れを悟られないように気をつけなければならない。
これは先輩に対する憐憫だ。
そう思い込むことにした。

106:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/16 22:31:38 lZM9Igr50
「そうですか。まあ、そういうこともありますよね。よ、と。じゃあ俺はこれで。先輩の所に行ってきます」
ヨーコさんをベッドに下ろしても、心臓がバクバクと鳴る。
俺はヨーコさんに対して特別な感情を持っていない。
彼女は先輩の思い人で、ずっと思ってきた人で、ヨーコさんも先輩が嫌いじゃなくて。
でも、他に誰か好きな人がいて。
「勘違いしてる気がします。私が好きなのは・・・・・・」
誰だろうと聞いてはいけない。
俺は慌てて寝室の扉を閉めた。
が、扉の閉まる音と同時に聞こえてしまった。

わたしがすきなのは、あなたです。

先輩と下男と俺とヨーコさん 終

107:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/16 22:46:11 /mlcA7Fj0
いなおとこ乙

108:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/16 22:47:54 BAI0qhMf0
先輩wと思ったら先輩…ってなってしまった

109:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/16 22:54:43 kiEiGs760
おーひ、レベルが落ちるのが早過ぎるぞ。

先輩に愛されながらヨーコを愛する3P乙。

110:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/16 23:08:13 wDqwl0uA0
いねおで良いのね 稲男乙
なるほどなぁ この三角関係が後々響いて来るんだろうな
ウニっぽいとは言いつつも、ウニ程伏線を放置するタイプでも無いよね

111:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 02:53:58 94SXlE7nO
勧められたのでこっちに移動。やっと仮眠時間だ
 
定時制の高校というのはいろんな人が通う。
夫と子供の面倒を見ながら、薬剤師免許を取るため学歴を得ようと頑張る人の良いおばさんもいれば、
傷害でパクられたことを武勇伝のように話すDQNもいるし、
授業が終わる度に「今何々の授業が終わったよ。もう帰りたいよママ」と母親に電話する大の男もいる。
まあ、とにかく濃い面子が揃ってたなあと思う。
俺自身働きながら学校に通う二十歳過ぎの高校生なんてものをやっていたわけだが。

高一の春だった。
新入生の初々しさとは全くもって無縁な俺は、参っていた。
俺は自分が憑かれていたり、近くに居ると解る性質の人間で、そう言った人間の大半がそうであるように
そういうものに対する自衛手段を持っていた。
しかしその時は状況が少々特殊で、俺は心底から参っていた。

左耳はかりかりという音を聞き続け、頭の中では説明しがたい音響が鳴りっぱなしだ。
体は常に鳥肌が立ち掛け、視界は不意に靄がかかったり何かが過ったりする。
こういった症状は近くに居るか、もしくは自分が憑かれている時に出る。
実際に憑かれてるという実感が有った俺は、当然のように原因を探し、身構える。
どこだ。いつ来る。どこから来る。初めは雑多なもの寄せ集めだったはずなのに。
起きている間は常にびくびくと周りを警戒し、また、眠りに落ちてからも悪夢を見る。
見つけさえすれば何とかできるのに。俺の精神状態はどん底だった。

112:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 02:55:59 94SXlE7nO
それでも俺は学校と仕事は休まなかった。
学校では担任から心配され、職場では何かヤバいことに首を突っ込んだのではないかと疑われた。
(それでも心配してくれる人は居たが)
結果として、それが功を奏したのだろう。
良い加減お祓いでも受けなければ気が狂うと思い始めた頃、俺は教室でうとうとしていた。
授業が終わった夕暮れの教室。仕事に出るまでのちょっとした空き時間。
バン、と音がした。驚いた俺は眼を醒まして音の発生源にありったけの気迫を込めて眼を剥いた。
ついに来た。
上等だ。やってやる。取り殺せるならやってみろ。
しかし、そこに居たのは人間だった。

他人の視線なんか知らないとでも言うような(と言うか後に言う)ガチガチのパンクファッションに
身を包んだ、隣のクラスで浮きまくりの女。
俺と同じく二十歳前後だという話を聞いていたので覚えていたが、パンクやらゴスロリやらが苦手な俺は
二十歳にもなってそんな格好して、と余計に苦手意識を持っていた。
しかも、やたらと目付きが悪いことで有名で、クラスの何人か(人の良いおばさんですらも)が、
「なんだか怖いよね」
と言っていた女。
その女が大股で近付いて来る。
なにがなんだか訳が解らなくなった俺を尻目に、女は俺の机の前までやって来て、
 
ぎ、と俺を睨んだ。
 
人を殺した事があるような眼だ。混乱してたことも有ってか、俺は本当に殺されると感じた。
そうしてヤバいと瞬間、ふわりと体が浮いたように感じた。
頭から体を吊るしていた糸がぷっつりと切れたような感覚。妙な心地良さを感じて俺の意識は遠退く。
けれど、一秒も経たずに俺は眼を醒ました。あの目付きの悪い女が、俺の肩を揺さぶったからだ。
「おい、大丈夫か」
とそいつは言った。
中途半端に覚醒した頭では何もかも訳が解らず、俺はただ、は? は? と繰り返したのを覚えている。
これがAとの出会いだった。

113:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 02:58:13 94SXlE7nO
後に聞いた所によると、俺は自分霊とでも言うようなものに憑かれていたらしい。
呪いが自分にかけられたと知って自己暗示に掛かるのと似たようなもので、
謂わば自分の生き霊が自分に憑いているような状態らしい。
Aは俺がそんな状態に陥っていたのに気付いて、しょうがなく助けてくれたそうだ。

因みにあれから数年経つが、Aは多少マシになったものの未だにパンクファッションを続けている。
勿論Aはそんな格好で、主な客層が中年から初老のおじさんおばさんな俺行き付けの大衆食堂に行くわけだ。
今ではもう、すっかりと馴染んでしまっている。

114:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 05:37:01 H9rZCj4J0
ちょwwwAって女だったのかよ
わざと男友達と思わせるような描き方をしてただろw


115:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 05:39:03 H9rZCj4J0
あぁ後コテ付けたほうがよくね
洒落怖から読ませてもらってるんで楽しみにしてるよん


116:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 08:03:14 mtxDRcORO
新しい人か
乙です
次も楽しみにしてます

117:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 08:39:42 LuMUpgjg0
移動してたのか
洒落怖に書き込んでた分は、こっちに貼らなくてえーの?

118:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:08:42 94SXlE7nO
仕事終わった。読んでくれた人ありがとう

>>114
バレたか
コテはその内つける

>>117
めんどいからいいよ

119:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:11:21 Fg/65n9FO
こっちの分は読んでないけどまた「実は女だった設定」なの?
はっぽうさいくさくて一気に読む気失せた
キモすぎー…

120:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:48:43 GqyoHBDM0
糞!間違って洒落怖にレスしちまったじゃねえか

糞住人が
また洒落怖から書き手を奪ったな。普段あんなに洒落怖馬鹿にしておきながら勧誘するための監視は怠らないとか、悪質すぎ

>>118
おい,お前。お前はもうどこにも投下するな。投下したらその度に叩きまくってやるからそのつもりでいろよ



121:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:49:20 GqyoHBDM0

542 自治スレでローカルルール他を議論中 sage New! 2010/10/16(土) 04:42:02 ID:E/FI+Z5n0
>>539
このスレ、バカが住みついててうっとおしいから
シリーズ物スレに移動したらどうだろう。
あっちも変なヤツいるけど、ここほどは
酷くない。




122:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:50:22 GqyoHBDM0


545 自治スレでローカルルール他を議論中 sage New! 2010/10/16(土) 05:51:12 ID:To6kVFkG0
>>542
俺もそう思う。
ガイキチが湧いてるから、あっちの方が気持ちよく投稿できるかもね。



気持よく投稿できると思うなよ、あ?

123:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:53:21 GqyoHBDM0
糞どもが徒党組んで必死に誘導しやがって
洒落怖なんだからまとめ掲示板に誘導するのが筋だろ
少なくても選択肢のひとつに挙げるべき
シリーズ物(笑)一択はありえん

てめえらはもう洒落怖覗くなや。誘導レス見るたび吐き気するわ

124:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:55:17 GqyoHBDM0
糞!また間違って洒落怖にレスしちまったじゃねーか

バカ晒しあげ

558 自治スレでローカルルール他を議論中 sage New! 2010/10/16(土) 13:39:09 ID:3ht8rFwd0
>>557
つーかさ、あんた、自分で検索ぐらい出来ないのかよ・・・
ゆとり?



【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ15【友人・知人】
スレリンク(occult板)
じゃないかと思うんだが、まだ書き込まれていない




125:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:55:36 GqyoHBDM0


559 自治スレでローカルルール他を議論中 sage New! 2010/10/16(土) 13:50:52 ID:qOMJIAXM0
>>554
まだまだ読みたいから、よろしくー



126:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:56:11 GqyoHBDM0


570 自治スレでローカルルール他を議論中 sage New! 2010/10/16(土) 17:38:23 ID:+005aHie0
シリーズスレ見てきたけど…、フロントマンが
淡々と書き込んでくれればいいが…



127:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 10:58:15 GqyoHBDM0
こんなクソスレ、メリーに潰されてしまえ

128:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 11:09:37 94SXlE7nO
俺の話大して怖くないから確かにスレチだよなあと思って移動したんだが俺
まあ、寝る

129:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 11:15:56 GqyoHBDM0
そもそもシリーズ物でもない、ただの長文なのにここに誘導するのはおかしいだろ
自分らがルール無視して誘導とかはするのにメリーとかはスレ違い扱いするんだな
自分に甘くて他人に厳しいって一番最低な人間だぞ




130:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 11:19:42 GqyoHBDM0
>>128
だったら洒落怖まとめに行けよ
あっちだったらまとめにも乗るし叩きもされないし一石二鳥だろ
こんな普段誰も投下しない隔離スレに投下してもほんの一部の狂信者に崇められるだけだぞ
ウニ以外の投下者には「乙」しか言えない馬鹿共だ

つーかもう二度と来るな。うっとおしい

131:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 11:21:49 T23lYbYOO
もともと洒落怖の隔離スレだからな。
誘導するのは当然としても洒落怖住人が怒る事じゃないだろ。
ここに投下してる書き手が洒落怖に戻ったら、困るのは洒落怖住人だろうに。


132:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 12:12:28 NiABwQfkO
乙!>>113
待ってたよ
なんか投下される度に文章力が上がって行くな
今回はAがオニャノコだったというドッキリ付きだな

133:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/17 12:50:59 mtxDRcORO
『来い。早く来い。面白いから来い』
三年の春。
先輩から電話があった。
「なんなんですか。来いってどこに」
『工場。潰れた方の。すぐ来いよ』
それだけ言って切れた。
その頃、俺と先輩の距離は少し開いていた。
別に仲が悪くなったわけではないが、その頃先輩は、俺の理解の遥か外側にいたし、前年度の終わり頃、ヨーコさんとの一悶着があり、俺からすればなんとなく気まずかったのだ。
まあ、呼び出しを断る程でも無かったし、先輩の様子がおかしかったのもあって、俺は港近くの廃工場まで自転車を飛ばした。
夕暮れが街を染め、影が長く伸びる時間だった。
工場に着くと、奥から先輩の声がする。
「来たか。こっちだ。奥の資材積んである所」
建物に反響した声は、別人のモノのようにも思える。
埃の舞う工場の奥、資材置き場だった所に先輩はいた。
ピラミッドのように積まれた鉄材のてっぺんに腰かけている。
抜けた天井から夕日が差し込み、逆光になっている。
先輩の顔は良く見えない。
「先輩。面白いって何がですか」
油の匂いと海の匂い。
それから埃の匂いの中に俺達はいる。

134:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/17 12:53:04 mtxDRcORO
「見えないか。あるだろ、そこに」
すぐそば、床に何か黒い塊がある。
じっと見ていると、塊の表面が動いた。
どこかで聞いた音がする。
ぶ、ぶぶ。
ぶぶぶぶ。
びびっ。ぶわぁん。
塊の表面をびっしり覆っていたのは、黒い羽虫だった。
蝿だ。
飛び立った数匹に釣られるように、そのまわりから次々と飛び出し始める。
嫌な予感がした。
「死体だ」
黒い塊はもう黒くない。
わーんわーんと蝿の羽音が耳につく。
目のあるべき場所は窪んだ穴があるだけ。
恐らく生前は薄く桃色だったろう皮膚は、白く、所々に青や緑の斑点が。
腐りかけた体のラインから、辛うじて、女性とわかった。
「見えただろ。どうだ」
俺は吐き気を堪えるのに精一杯だ。
「どう思う。どう見る。お前は」
吐き気を飲み込んで、先輩を睨む。
「これは冗談じゃ済みませんよ。警察に……連絡しなきゃ」
先輩は笑う。声をあげて。
「警察。警察ねぇ。これを。お前、悪戯だと思われるぜ」
悪戯?
何を言うんだ。
現にここに死体があるじゃないか。
俺はもう一度死体に目をやる。
さっきと変わらず、窪んだ穴がこちらを見ていた。

135:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/17 12:55:07 mtxDRcORO
「警察が動くのは人間の事件だ。死んでいるのは、猫じゃないか」
はっとして先輩を見る。
相変わらず逆光でシルエットしか見えない。
再び、視線を下におろすと、そこに転がっているのは女の死体……ではなく、黒い猫の死体だった。
「お前にはどう見えた。男か、女か、大人か、子供か、綺麗な死体か、腐りかけた死体か」
また、吐き気がした。
「ここは別に霊場じゃない。だが、正気の境界線だ。お前にはどう見える。まだ人か。それとも猫か」
不思議な感覚だった。
猫を見ていると同時に、女の死体も見ている。
二つの存在が重なって、そこにあるような。
「一度でも人に見えただけで、お前は有望だ。さて、どう見えるのが正気で、どう見えるのが狂っているのか」
わからない。
目眩がする。
シルエットの先輩が高笑いをする。
「面白いだろう。お前は知らず知らずそこに立っている。選ぶなら今のうちだ。どちらに倒れるか」
先輩の声を背後に聞きながら走る。
工場を出て、自転車に跨がり、全力で走る。
先輩の狂ったような笑い声は、工場に反響して、まるで別人のモノに聞こえた。
夕暮れ、影は長く伸びて、夜がくれば闇に溶ける。
先輩に、夜が訪れ始めていた。

先輩と死体 終
最初の、下げ忘

136:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/17 12:56:40 mtxDRcORO
また変な所で切れた…申し訳ない。
最初のレス、sage忘れてました。失礼しました。

137:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 13:28:13 W+q6KscB0
俺「いなお」かと思ってたわ

しかしキチガイ多いなあ……。書き手が一人他所で書く事に何をそこまで必死になる要素があるんだ

138:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 13:33:32 QzASic/l0
いなおとこ乙

139:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 13:34:20 GqyoHBDM0
>>131
派生スレだとしてもシリーズ物に限るだろ
ただ一回透過されたものを即ここに誘導するのはおかしいだろハゲ


140:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 13:35:43 GqyoHBDM0
>ここに投下してる書き手が洒落怖に戻ったら、困るのは洒落怖住人だろうに。


困る?何が困ることあるんだ。貴重な書き手だろ
困るのは賑わうのを嫌がるアンチだろ。俺のようなw あ、お前がそうか

141:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 13:38:45 GqyoHBDM0
>>137
必死なのは大嫌いな洒落怖を常時監視していてスキあらばここに引きこもうと考えてるここの信者だろ
単発ものでも構わず勧誘するんだからな
板違い?スレ違いなんてどうでもいいだろ。ルール無視のならず者がホザくな
そういう輩が他人には厳しくルールを押し付けて排除しようとするんだよな


142:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 13:54:37 mtxDRcORO
好きな所で好きなように書かせてあげればいいじゃないと思うんですが違うんでしょうかね。

143:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 14:03:31 cCApXZN10
とうなん乙

144:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 14:29:23 dA/WRT3j0
ID:GqyoHBDM0

最近居ないと思ったらまだ居たのか。
こいつ、何スレも前から張り付いてる病気の人だから触らない方がいいよ。

ひょっとするとメリーと同一人物かもね。

145:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 15:43:45 GqyoHBDM0
ま~~~たいつもの同一人物認定厨が出てきたよ
都合の悪い展開になるといっつも同じ事言ってはぐらかすよなw


146:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 15:47:34 GqyoHBDM0
>>142

はあああ?
洒落怖に投下してたのを強引に勧誘しておいてよくそんなセリフ吐けるよなあ
そのセリフは勧誘してきた馬鹿に言えよ
言えねえだろ?身内に甘いもんなあ。自分を崇めてる信者にそんな事言えないわなあ

やっぱりウニの劣化パクリ作家様は違うねえ
普段からてめえの頭で考えるってことをしてないんだろう。頭悪すぎる
いちいちコテ外して名無しのふりしてるのが笑えるww

147:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 15:49:49 GqyoHBDM0
スレ違いを弾圧しておいてスレ違いを誘導、自演認定、おまえが言うなよ発言

信者も作家も底辺すぎ

148:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 15:51:33 GqyoHBDM0
>>142
なあ、偽ウニさんよ。弁明してみろよ
誘導された作家に「好きなところで書けば良い」ってどういう事だよ?ああ?

149:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 15:58:41 dA/WRT3j0
837 名前:本当にあった怖い名無し:2009/09/08(火) 22:35:24 ID:/ejiCi330
また新規作家のように振る舞ってる馬鹿がいるのか
洒落コワに投下→すぐ誘導厨発生→あっさり移る

行動が同じw
その作家も語り口調も同じ作風だけは一生懸命変えようと努力してるのが笑える
「猛者」とやら、ここで投下し続けると叩きまくる人がたくさんいるから気をつけろよ
洒落コワにいた方がまだましだよ。



文体・特徴まるで同じ。
一年以上、いやそれ以上か?前から張り付き、新たに投下する人を貶しまくって迫害するマジキチ。
お手を触れないように。

150:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 16:01:38 naxIQ4ovO
前スレにあった、枯野だっけ、
あの人の投下した話ってどこかでまとめられてる?
探したけどなくて

あと稲男乙

151:本当にあった怖い名無し
10/10/17 16:05:36 UQMmeZ4wO
>>148
メリーよ残念ながらばればれだ
いい加減反省しろ

152:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 16:30:57 tGGCxS2QO
>>150
全部あるか分からんがまとめで読める。
URLリンク(us.eek.jp)

153:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 16:52:04 GqyoHBDM0
>>149
ああ、それ俺だがそれが何か?
いつそのレスが俺のじゃない、と言ったんだ?
そんな事言うために必死にそのレス探してたのか?お前がマジキチだろww

154:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 16:53:03 GqyoHBDM0
>お手を触れないように。

お前が言われるセリフだろばーかww
ほんとお前ら楽しませてくれるわw

155:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 16:54:50 GqyoHBDM0
>>151
もういいよお前。いつまでもそうやって粘着してろw

156:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 16:58:12 GqyoHBDM0
それより早く>>142、とっとと出てきて>>148に答えろよ

お前らは何度こういう事繰り返すつもりなんだ?
調子乗って相手をねじ伏せたつもりの発言して、それに反論されたら途端にだんまりしたり話をすり替えたり、いつも同じ逃げパターンじゃねーか

さんざん相手しておきながら最後は
>お手を触れないように。

こういう台詞はいて逃亡ww
学習能力ゼロか

157:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 17:00:09 GqyoHBDM0


142 自治スレでローカルルール他を議論中 sage 2010/10/17(日) 13:54:37 ID:mtxDRcORO
好きな所で好きなように書かせてあげればいいじゃないと思うんですが違うんでしょうかね。


違わないね。最初から洒落怖に投下してるんだからそっとしておくべきだったねえ
だから、誘導してたお前の信者に同じ台詞吐いてね

158:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 17:02:11 GqyoHBDM0
>一年以上、いやそれ以上か?前から張り付き、新たに投下する人を貶しまくって迫害するマジキチ。
お手を触れないように。


これも何回も繰り返してるな
ほんと学習能力ないんだなあ・・・・テンプレにもあるんだろ?


159:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 17:04:09 tGGCxS2QO
>>157
煽りとかじゃなく素朴な疑問なんだけどさ
相当このスレを嫌ってるように見受けられるけど、何のためにここに居続けてるの?
自分に合わないと感じたら、無理して見なきゃ良いのにと思うよ。

160:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 17:08:17 GqyoHBDM0
これまでの流れ読んで理解出来ないなら、俺が1から10まで事細かく説明しても理解出来ないだろうから黙ってろ
とことんバカしかいないんだなこのスレ



161:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 17:33:42 xJI/x7Xf0
NG処理したらすっきり( ´∀`)

162:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 19:37:24 T23lYbYOO
勧誘してるように見えるのはこのスレ住人じゃなくて洒落怖の自治厨だっつうの。
洒落怖が過疎ったのも自治厨の過度な追い出しだろうが。ほんのり行け、シリーズ行けって何回見た事か。
つか正直糞みたいな書き手を全員ノシつけて返品したいぜ。今書いてるウニ擬きみたいなの全部な。

そんなの戻されても伝統ある(笑)洒落怖さんも要らないだろ?
そういう返品もきかないゴミを隔離するスレがココなんだよ。


163:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 19:46:22 sL/OkN/L0
洒落怖住人だけど、この人基準でレベルをはからんでもらいたいな

164:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 20:16:16 naxIQ4ovO
>>152
おお、ありがとう
そういえばそのサイトだけ探し忘れてたかも
わざわざすまんね。ありがとう
後で読んでみる

165:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 20:46:44 NiABwQfkO
>>163
禿同
独りで騒いでる糞基地外は
洒落怖スレでも相当ふじこってるが
誰にも相手にされとらん

連れて帰りたいが無理そうなので
そのへんの山にでも捨てといてくれ
後、誘導された投下者は責めないでやってな
自治厨に振り回されちゃった被害者なんだよ

166:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 21:16:18 LYc842xf0
こんなに荒れてるんじゃ、投稿しにくいよね
きっと

167:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 21:27:22 Q4yt4uWZ0
2ちゃんはレスしてる誰のものでもないのにね
気に入る気に入らないの感情だけもんね

168:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/17 21:57:02 mtxDRcORO
俺の住む県は雨が降らない。
日本一、とかではないが、地方の天気を見ても、周り全部雨なのにここだけ降っていないという事が多々ある。
それは隣県の晴れの国パワーが流れて来ているからか、山脈に雲が塞き止められるからか、はたまたなにやら専門的な要素が働いているのかはわからない。
降ってもほんの少しだったりするから、毎年水不足に悩むのも仕方ないのである。
そんな滅多に降らない雨の日、俺は初めてそれを見た。
先輩と出会った年の秋、肌寒くなってきた頃。
珍しく大雨で、俺はカッパを着て自転車をこいでいた。
雨でも風でも学校はある。
どこかの大王のように、雨が降ったらお休みにすべきでは無いのか、などと、たわけた事を半ば本気で考えていた所、雨に煙る道の先に人影が見えた。
視界は悪く、人影は文字通り影に見える。
少し遅刻気味の今の時間、もしかするとお仲間かもしれないと思った俺は、自転車を加速させた。
知り合いかどうか見てやろうと思ったのだが、雨が酷く未だに影のままだ。

169:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/17 21:59:43 mtxDRcORO
さらに近付いて、ようやく違和感に気付いた。
この人影はまさしく影であり、ただ漠然と黒いままに存在していたのだ。
驚いてぽかんとしている間にも自転車は進み、影の横をすれ違う。
厚みのある影、という表現が一番しっくりくる。
確かな厚みと存在感はあるが、間違いなく影なのだ。
すれ違いざま、その影が弾けた。
ばしゃんと音を立て、降り注ぐ雨に溶けて流れてしまった。

「それは、人の形をしてたのか」
先輩はコンビニのおにぎりをかじりながら聞いた。
「はい、それは間違い無いです」
昼休み、俺は先輩の教室を訪ねた。
登校中に見た物が気になったからだ。
「雨の日の、黒い人影、ね」
海苔をバリバリ噛みながら、先輩は窓の外を見た。
見るまでもなく、雨はまだ降り続けている。
「雨に限らないんだが」
先輩の語りが始まる。
先輩の話し方は、不思議と心惹かれるというか、掴むのが上手いというか。
俺は、先輩が語り始めるとわくわくするのだ。

170:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/17 22:01:34 mtxDRcORO
「水っていうのは、何かを溶かす物だ。砂糖とか、塩とか。電気も溶け出すと言える。そして、溶けた物は水の中に残るんだ。消費されるまで」
おにぎりをかじりながら淡々と語る。
「そう、何でも溶かす。死体も溶けて崩れるし、雨に流れる幽霊も見たことがある。極めつけは、意思だ。人の思いも、水は溶かす」
想像してみろ、と先輩は窓の外を指差す。
「あの雨の一粒一粒に、お前の意思が溶け込んでいる。何かを食べたい、何かが欲しい、誰が好き、誰が嫌い」
俺の脳みそから、液体のように意思が漏れだし、雨に混ざるイメージが浮かんだ。
「だけど、水の量は世界中で一定だ。水分は蒸発して雲に、雲は凝結して雨に、雨は蒸発してまた雲に。つまり、有限なんだ。水は」
それはわかる。
が、だからどうなのだろう。
「水が無限なら、問題ない。しかし、水が有限なら、溶けることの出来る量も有限だ」

171:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/17 22:03:47 mtxDRcORO
昔、飽和、というのを習った。
水の量に対して、一定の量の物質が溶けると飽和して、それ以上は物質が溶ける事が出来なくなる。
なるほど、水の量が有限なら、節操無く溶かし込んでいけばいつかは飽和するわけか。
「で、本題である、お前が見た物についてだ。恐らく、俺も同じ物を見る。俺には不定形に見えるが、黒くて、不可思議な存在感をしたモノ」
今朝見た物が思い出される。
確かにあるように見えるのに、どこか希薄な、平面のような存在感。
影という他喩えようもないモノ。
「あれは、上手く近付いて触ればわかる。水に溶けて、飽和した後。溢れた分の意思だ。雨は、そういう物も地上に運んでくる」
雨の音が聞こえる。
喋り終えて黙った先輩は、俺の弁当の唐揚げを物欲しそうに眺めている。
箸でつまんで鼻先に持っていくと、一口に頬張られてしまった。
「その、意思っていうのは、どんな物なんですか」
先輩は唐揚げを咀嚼しながらにやりと笑った。

172:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 22:03:59 tPblFww10
支援!!

173:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 22:04:31 dA/WRT3j0


174:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/17 22:07:05 mtxDRcORO
「ん、うん。簡単なことだ。溶け残るってことは、つまりそれだけ濃く、多くを締める意思なわけだ。そんなもんはいつだって誰だって決まってる」
少し、間があいた。
「憎しみ、嫌悪、憎悪。決して幸せや愛なんかじゃない。あの黒い物は、人の汚濁だ」
先輩は今度はウインナーを見ている。
俺はあーんと言って先輩に口を開けさせて、その中に放り込んでやった。
満足そうな先輩から視線を外し、窓の外、校庭を眺める。
その真ん中に、真っ黒な人影が立っていた。
その黒い顔は、こっちを見ているような気がした。

先輩と雨 終

175:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 22:34:23 wLwv+PVn0

ウニ臭を漂わせながらここまで読ませるのもすごい才能だな。

176:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 23:51:44 1KznBTfT0
先輩と雨 面白いなぁと感じるだけに師匠シリーズにたぶるのが悔やまれる。
ほんとうに

177:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/17 23:59:20 GDgAB6srP
往生際の悪い二次創作

178:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 01:26:35 y9dKIzSm0
二次だろうが実話だろうがおもしろければそれでいい

179:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 02:02:52 pRlIHu5OO
いなおとこ乙

180:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 03:20:30 sSaupG2OO
仮眠時間だ。稲男氏の話おもしろいなあ
稲男氏見習って今回からタイトルつける
 
 
 睥睨
 
霊感を持つ人間なら、祓ったりとまではいかなくても何らかの対抗手段を持っていることが多いと思う。
宗教やら信仰に由来するものや、呪術・魔術的な儀式めいたもの、または自分の経験によるもの。
お経や祝詞を読む、お守りを持ち歩く、人形代に吸わせる、その他。人によって様々だ。
勿論、俺にもある。自分でも少々変わり種だと思う対抗手段が。
だが、Aの対抗手段は俺のを鼻で笑えるくらい(事実鼻で笑われた)もっと変わり種だ。

181:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 03:22:32 sSaupG2OO
高二の夏休み、二十歳になったということで、Aが酒と煙草を始めた頃の話だ。
あいつはずぐに酒にも煙草にも慣れ、メンソってシャキーンてなるんだなあとか言ってた気がする。
当時付き合っていた彼女が煙草嫌いだったため、喫煙者でありながら自分の家の中では煙草を吸わない事にしていた俺は、
何の気兼ねもなく煙草が吸えるAの家に入り浸り、買い貯めた煙草のストックもA宅に置いているような有り様だった。
その日も煙たいAの家でだらだらとしていて、どんな流れだったかは忘れたが、とにかくAの対抗手段の話になった。
洒落怖から見てくれてる人はもう分かってるかもしれないが、そういう存在に対するAの対抗手段は、相手を睨むことだ。
 
「昔さ、パラノイアだったんだよ。中学校に上がった辺りからなんかキモいのが見え始めた。
 妄想ってか幻覚ってか、まあ、そんな感じのが。それで不登校になったわけ」
中学校時代のAの話を聞いていた俺は、頷きながら煙草の封を開けた。
定時制の高校に通うやつには、当然普通の高校に行かない理由がある。
なんでこの高校に入ったのか? という定時制高校ではよくある身の上話として聞いていた。
「人っぽいのとか、なんか悪魔っぽいのとかゾンビとか。今思うと霊も見てたんだろうなあ、区別つかなかったけどさ。
 あ、妖精も見たぞ。ティンカーベルとか。つまり昔の私は妖精と戯れる無垢な少女だったわけだな」
「今は煙草食らって酒を飲む汚れ女だけどな」
「うるせえよ」

182:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 03:24:12 sSaupG2OO
「で、どうしてそれがあの睨みになるんだ?」
「あー、先ずは聞いとけ。とりあえず、そいつらは夢の中にも出てくるんだよ。まあ、悪夢だな。
 妄想、幻覚の化け物が昼夜問わずで襲って来るんだ。あの時は頭が狂いそうだった」
あ、つうか頭がおかしくなったからあんなのが見えたのか? なんて言いながら、Aはビールを飲む。
この後彼女と会う予定が有った俺は羨ましく思いながらそれを眺め、煙草に火を点けた。
「それで、ある時夢の中でこう思った。夢なら何でも出来る訳だから、こいつらを消すこともできんじゃないかって。
 明晰夢ってやつだな。で、夢の中で必死こいて念じるんだ。死ね死ね死ねって。でも死んでくれない」
俺は夢の中で生々しい化け物に囲まれるAを想像する。夢の中も現実も、中学生時代のAからすると大差なかったのだろう。
そう考えて俺はゾッとした。たまに見る悪夢が現実で、こうしてだらだらしてるのが夢だと思うと、堪らない。
「毎日毎日死ね死ねって念じて呟いてる内に、イメージもそれにくっつくようになった訳よ。
 包丁刺されて死ぬとか、車に轢かれて死ぬとか思うと、その化け物が包丁で刺されて死ぬイメージが勝手に浮かぶんだ。
 何回もそんなことをしてる内にそのイメージが固まってきた。化け物は私の妄想だろ。それを妄想の中で殺すんだ。
 そうなると本当に死に始めたんだよ、化け物が。本当って言っても実際は私の妄想だか幻覚に過ぎないんだけどな。
 その内夢だけじゃなく現実でもを殺せるようになってさ。まあ、妄想は妄想から逃げられないんだろうなあ」
染々とAは語った。
俺たち現実で生きている人間は、夢の中で死んでも実際には生きている。現実では死んでないのだから。
だが、昔のAが見ていたという化け物は妄想の存在だ。妄想の中で殺されれば、生きてはいけないんだろう。

183:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 03:25:09 sSaupG2OO
「その内、いつの間にか手当たり次第片っ端から化け物を殺すようになってさ。そしたら、だんだんと数が少なくなってきた」
「それって」
「うん。最終的には皆殺しにしたのかもしんないなあ。妄想を。でもさ、まだ変なのが見えるわけ。
 いかにも化け物、ってのは居なくなったけど、まだ変なのがいるわけだ。まあ……お前にも見えるやつだな」
妄想を皆殺しにしたら、残ったのは霊だったとAは言う。
「霊だって気付いたのはそっからすぐ。いつの間にかそっちも見えるようになってたんだな。
 で、やっぱりそいつらは殺せないんだ」
「それはそうだろ。霊は妄想じゃないんだから、妄想の中で生きてるのを妄想の中で殺すのとは訳が違う」
「うん。私もそう思った。だからオカルトに傾倒したわけよ。なんとかする手段は無いかってな。
 熱中したね、あの時は。一通り勉強したあと、私がこれだと思ったのは、魔術だった」
「魔術って、悪魔呼び出したりとか?」
「いや、そういう儀式的なのじゃない。まあそんなんも出来るけど。成功したこと無いが。
 まあ、魔術って言っても初歩の技術的なやつだ。私がやったのは幻視法と呼吸法」
やっと話があの睨みに近くなってきた。そう感じた俺は煙を吐いて煙草を揉み消した。

184:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 03:27:27 sSaupG2OO
ぼう、っとした焦点の合わない瞳でAは話を続ける。
「幻視はイメージを視角化するってやつでな、それを使うんだよ。で、イメージを視角化するってことはつまりさ、」
話の途中でAはビールの冠を傾ける。中身を全部飲みきったAは、っあー、なんて声を出した。
「まあ、あれだよ。私が睨む時はさ、相手を見ながら頭ん中で相手を殺すんだ。死ね、死ね、死ねって本気で思いながら。
 居なくなれ。消えろ。お前が存在してる意味はない。お前は無価値だ。死ね、死ね、死ね、死ね、死ねってさ」
一人言のように言ったAは、いつものように焦点が合わないどこかぼうっとした目で俺を見た。
淡々と語るAに怖気を覚え、俺は煙草に火を点けるふりをしてAから視線を外す。
どこを見ているか解らないような目は、けれど、確実にこちら向いていた。
……Aのそれは、きっと呪いみたいなものなんだろう。
相手を睨み付け、死ね、死ねと本気で思いながら相手が死ぬ姿を丁寧に丁寧に想像して行く。
丑の刻参りと同じように、相手に思念を飛ばして殺すという、呪い。
「ゆっくり、ゆっくりイメージするんだ。相手を見ながら。ゆっくりゆっくり、注意して、丁寧に、丁寧に」
淡々と話を再開したAは、まだこちらを見ていた。俺はAを見ることができない。
「……なあ、ちょっと待ってくれ」
見ることができないまま、俺はAに質問しようと口を挟む。
「あの時のお前の自分霊のことか? 大丈夫だよ。軽く睨んだだけだから」
俺が質問の内容を言う前にAはそう言って笑う。
けれど、俺が知りたいのはそういうことじゃなかった。
 
お前は俺を呪ったのか? お前は俺の死を願ったのか?
お前の頭の中で、俺はお前に殺されたのか?
 
俺は、何も言えなかった。

185:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 03:28:30 sSaupG2OO
生まれた会話の空白に気づかないふりをして、Aは声を挙げた。
「よし! お前帰れ!」
ふざけるように笑ったAに胸を撫で下ろし、俺は意識して普段通りの顔と声を作る。
「何でだよ」
「うるせえなあ。彼女に会うんだろ? 風呂入って服洗って、煙草の匂い落とさなきゃなんないだろ?
 おら、帰れ帰れ」
俺は意識して苦笑しながら舌打ちをする。
「しょうがねえなあ。んじゃ、またな」
そうして、その場はお開きとなった。
 
 
……恐らくAは気付いていたんだと思う。
俺が煙草に火を点けるふりをしてAから目を逸らしたことも、俺が本当に聞きたかったことも、俺がAに怯えていたことも。
Aの睨みに関する話は、あれから数年経った今でも、話題に登ることは殆ど無い。

186:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 08:13:30 DEJSCcaNO

定時制って本当に色んな人いますよね
確実に教師より歳上なオッサンとかザラ

187:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 17:56:41 32JtGWr/0


>>185
過去投稿分もコピペして良いかね?
まとめて読みたいわ。

188:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 19:25:52 DW2cGsUtO
>>187
洒落怖スレ常駐者です
特にネタ第1は素晴らしい
是非ともお願いする
投下するにつれネタ臭くなってるが
文章力は光ってる
自分は好きなので応援している

189:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/18 20:14:22 NqCrBzBm0
あれはいつのことだったか。
俺は先輩に聞いた事がある。
「先輩って怖い物とかあるんですか」
俺が真っ先に思いつくのは幽霊だとか、お化けの類だ。
あれこそ万人に怖がられている物ではないだろうか。
しかし、この人はきっと違う。
何故ならその類の物でも、ぶん殴ることが出来るからだ。
倒せるのなら、怖くは無いんじゃないか。
そう思って、聞いてみたのだった。
「あるよ」
先輩と俺は歩きながら話した。
「俺は、そうだな。ヨーコが怖い」
まじめな顔をして答えてくれたので、まじめな答えが聞けると思ったら、そんなもんだった。
「いやいや、そういうのいいです。もっと、こう、真剣に」
えー、とぶー垂れて、先輩は顎に手をやって少し考える。
「・・・・・・向日葵が怖い」
返ってきた答えは意外な物だった。
「え、向日葵って、あの、花ですか。夏の」
頷く先輩。
「どっちかというと、怖いとかじゃなくて、元気な感じしますけどね。綺麗っていうか、可愛いっていうか」
先輩がにやりと笑う。
いつもの笑顔だ。
「あの花、漢字で何て書くか知ってるか」
俺は考える。
いや、考えるまでも無く知っているのだが、一応。
「向うに、太陽の日に、葵ですよね。どうかしたんですか」
「由来は知ってるか」
今度も考える。
わざわざ聞くってことは、一般的な意味じゃないのかもしれない。
俺は恐る恐る答えてみた。

190:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/18 20:17:37 NqCrBzBm0
「え、と。向日葵は、太陽の方に花を向けるんじゃなかったですか。太陽を追いかけて、こう、ぐぐっと」
少し間があったので、どきどきしていたのだが。
「そう、その通りだ」
拍子抜けだった。
「・・・・・・で、それが、どうかしたんですか」
「そうだな、向日葵は太陽を追う。光を追う。光を追うのは、何だ」
今度はちょっとわからない。
俺はイメージしてみる。
大きな光に、集まってくるものといえば・・・・・・。
「あ、虫、とかでしょうか。夜、電灯とか自販機とかに群がってますよね」
先輩はまた頷く。
「うん、それはそうだ。他は?」
他、他・・・・・・。
あまりイメージ出来ない。
「光を追う、と言ったからわからないのかも。言い方を変えよう。光を求める物は何だ」
あ、これならわかる。
先輩が俺に何を言わせたいのか。
「人間、ですか」
「そうだ」
人間は、その大小に関わらず光を求める。
それは物理的な光に限らず、精神的な、所謂希望という物でもある。
「向日葵の花は、その性質を持っている。何故だ」
また、イメージする。
人間と向日葵の共通点。
光を追うこと、光に向うこと。
「あの花には、一本残らず幽霊が憑いているんだ。一度向日葵畑に行ってみろ。お前の感覚が尖っていたら、見えるかも知れん」

191:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/18 20:20:07 NqCrBzBm0
背筋に寒気が走った。
背の高い向日葵の下で、うつむいてしゃがみこむ幽霊。
それが一本じゃなく、一面を覆う程たくさんある。
向日葵と、それと同じ数の、老若男女様々な幽霊が。
「太陽は最大級の光だ。そして向日葵は、太陽に似ている。あいつらのぼけた目には、同じに見えるんだ。近付いていって、ようやくわかる。この太陽が偽者だと」
救いを求めた先が紛い物だった時の落胆。
「そして、あいつらは今度こそ本物を見つけるんだ。そっちに顔を向けると、憑いている向日葵もそっちを向く。だから、日に向う葵なんだ」
考えた事も無かった。
生命体として、そういう仕組みだと思っていた。
そこにそんな秘密があったなんて。
「まあ、実際どちらが先かわからないんだけどな。向日葵が太陽を追っていたから憑いたのかもしれない。ただ、今はそうなってるんだ」
俺は納得した。
そんな花だったなんて。
怖い花だ。
その下に、救いを求める青い霊魂を座らせて、まるで太陽に近付こうとするように、高く伸びる。
綺麗で活気に溢れているように思えた向日葵畑が、薄暗く妄執の溜まる鬼門のように思えた。
「先輩は、それで向日葵が怖いんですね」

192:稲男 ◆W8nV3n4fZ.
10/10/18 20:22:32 NqCrBzBm0
先輩はなんだか照れているようだった。
「いや、違うんだ。実は」
「昔見た、トリフィドの日・・・・・・人類SOSって映画がトラウマでな。見る度なんとなく思い出して怖いんだ。大きいからかな。わからんのだけど」
先輩は決まり悪そうに言った。
俺は笑った。
先輩にも可愛い所があるじゃないか。
「なんだよ、気分悪いな。俺だって怖いもんくらいあるさ」
「す、すいません。でも、なんか意外で」
ちぇ、と一つ舌打ちをして、先輩は足元の小石を蹴飛ばした。
「まあ、本当に怖いのはそんなもんじゃない。本当に怖いのは」

俺の中の、怪物だ。

俺は、もう笑えなかった。

先輩と向日葵 終

193:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 21:17:14 pRlIHu5OO
いなおとこ乙

194:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 21:46:37 A4nRRonB0
いなさく乙

195:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/18 22:14:34 9bKoiCT40
>>180
Aが中島美嘉で再生されてしまった
石原さとみでもいい

196:AとBの話コピペ
10/10/19 02:06:30 JqwxdyoK0
315 名前:自治スレでローカルルール他を議論中[sage] 投稿日:2010/10/12(火) 22:06:06 ID:OT0QzzvRO [1/9]
昔あった事を簡単に話してみる。
前置きが長いがちょっと聞いてくれると嬉しい。
始めに言っておくが俺は正気だし、脳の病気を抱えてたりはしない。

丁度今頃の時期。
何か連絡しなきゃいけない事が有って、出先から電話をかけようとしたら、携帯が無かったんだ
仕方無いから電話ボックス探して、十円玉を入れ、電話。
電話が終わって電話ボックスから出ようとしたら、黒いパーカー着て、フード被った人が出入口の前に立ってた。
電話待ちかと思って
「あ、すいません」
って小さく言って電話ボックスから出て、さっさと行こうとしたら、掴まれた。
腕を掴まれた。
え? って感じで振り返ると、俺(179.9cm。惜しいw)の胸くらいの身長の人がいた。
黒いパーカーを着てて、小柄というかげっそりと痩せてる感じの人。
顔は俯いてて良く解らない。時間はもう夜中だし、当たりは暗い。
危ない人かと思ってちょっと怖くなった。
「なんですか?」
って言っても、その人はただ俯いてるだけで何も言わない。
フードの下、何とか見える顔の下半分。
口許が引き吊っている。
気味が悪くなった俺は、手を払ってその場から逃げ出した。

197:AとBの話コピペ
10/10/19 02:06:46 JqwxdyoK0
316 名前:自治スレでローカルルール他を議論中[sage] 投稿日:2010/10/12(火) 22:07:17 ID:OT0QzzvRO [2/9]
それで、ここからが本番。
 
それから暫くしてから、仕事が休みだって事で友達と二人で飯を食いに行った。
予想出来ると思うけれど、その友達が霊感が強い人。
とりあえず行き着けの食堂でラーメンとカツ丼セット食べて、
店を出てさあ何処に行く、って話をしながら車に戻ろうとしたら
別の友達とばったり会った。
(次から霊感強い友達をA、こいつをBと書く)
「おお、久しぶり」
って感じで、Aを放ってBと話して、話に花を咲かせた。
暫く話して、AをBに、BをAに紹介しようとAの方を見た。
Aが、Bを睨んでる。
放置してキレたか? 悪いとは思うが睨むことはないだろう。
むっとした俺はその事を言おうと口を開こうとして、出鼻を挫かれた。
Aの方が先に口を開いた。Bを睨んだまま。
「誰だよコイツ」
今から紹介しようとしてんじゃねえか!
そう思って、
「こいつは、」
 
言葉が出ない。
始めにあれ、って思った。次に誰だっけ、って考えた。そして、鳥肌が立った。

誰だこいつ。


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