10/11/09 17:51:22 GGqDpNzz0
つづく
長女には復讐を遂げたという実感が無く、心は晴れなかった
長女を屋敷に連れ帰った金持ち男は、長女を丁重に持て成した。長女は男に優しくされながら「私は幸せになったのだろうか?」と自問自答したが、答えは出なかった
やがて、男の妻が帰ってくると、男は長女を牢獄の水槽に閉じ込めた。長女は鎖付きの首輪をはめられた
長女は首輪と鎖に触れながら、自分が愛玩動物とみなされていることを悟っり、ただ水に浮かびながら暗い瞳(俗に言う「レ○ポ目」)で天上を眺めた
一方、竜になってしまった次女は自分達の住処に帰って来たが、そこでは三女と三女の娘達がチイの亡骸を抱いて泣き続けていた
三女は泣きながら「私は姉さんの気持ちが分かった。人間達を殺してやりたい。私達はただ珍しい生き物だという理由だけで、何故こんな酷い仕打ちを受けなければいけないの」と言った
次女は「姉さんのようになってはいけない。竜になった私なら皆を守れるわ。もっと沢山人魚を産み増やして、いつか人魚を人間より多くしてしまいましょう」と言った
その後、三女は沢山の人魚を産んで育て続け、人魚は人間より多くなり、希少生物として狙われなくなった
長女は地下の水槽の中で「海の水に触れたい」と考え続けていた
意識は朦朧とし、過去と現在の区別もつかなくなり、住処や妹達のことを心配していた
すると、地下牢の窓の外から楽しそうな声が聞こえてきた
長女が外を見ると、そこには妹達とその子供たちが楽しそうに海を泳いでいた
長女は妹達に助けを求め、これまでのことを謝罪しながら泣き叫んだ
竜になった次女は壁を壊して長女を助け出した。長女は久々に海の水に触れ、「もういつ死んでもいい」とすら感じた
屋敷の周りを散歩していた美しい半獣人の娘が窓を見付けて中を覗くと、そこには水槽に浮かんだ長女がいた
男は始めこそ長女をとても大切にしていたが、実はただの珍しい物好きであり、
人魚が希少生物ではなくなると、今度は森で捕まえた半獣人の娘を可愛がるようになった
閉じ込められた長女は水槽の水を代えることすら忘れられていた。長女は死んだ。スイーツ
半獣人の娘は薄暗い牢獄の中をハッキリ見ることができず、何か嫌な物を見たという顔で足早にその場を去って行った
おわり