10/10/28 00:20:28 /pMiR83o0
ところが、店の使いが五十両を届けるのを待っているうちに、女にも飢えていた浪人者は
気絶している年端のいかない少女の寝姿にムラムラときて裾を捲り上げ、下腹部をまさぐり始めた。
これを見た小兵衛はさすがにもう見過ごす訳にはいかず、飛び出して浪人者の片目と腕に斬りつけ
少女を助けて外にいる店の者や母親に返した。浪人者は、店の者達に袋叩きにされている。
「礼など要らぬ」と小兵衛は雨の中をその場から逃げるように立ち去り、少し行った途中
ちょうどタッチの差で金包みを抱えて小屋へと向かっていた店の使いとすれ違った。小兵衛は舌打ちし、走り去った。
幼女に手を出すのはさすがにそりゃイカンが、その後びしょぬれで帰宅した小兵衛が
風呂に入りながら「今頃あやつはどうなっただろう…」と気に掛けたり
「今の世の中はもう剣術遣いなぞ、どうにもならぬ生き物じゃ…」と年寄りじみた気弱な事を言っている結びが
なんとも切ないというか遣る瀬無い感じだった。