10/11/09 13:07:33 3d0B8Xi00
近づいてみると、フェンスの穴の一つから、
やけに太い枝が一本突き出ているのを発見した。その茶色い枝に触ってみると、
妙にやわらかくてねちょっとしてた。
何だろう?と思ってると、後ろから声がした。
「それは、腐った腕だよ」
振り返ると、そこにいたのは当時の俺と同い年くらいの男だった。
そして、右目が、潰れてた。
どう表現すればいいのか分からないが、なんだか右目が白くて周辺が赤く爛れてた。
結構びびったが、障害者の人にどう接すればいいか分からなかったので
普通にしゃべったような気がする。
「腕?」
「そう。それは腕だよ。死体の一部が突き出ているんだよ」
ちょっとぞくっとした。
「これ死体なん?」「そう」
「じゃーこれって墓なのか?」「墓だよ」
「突き出てたらだめじゃん、埋めないとだめじゃん」「なんで?」
そんな会話をしたような。
当時の俺は、死人は墓に埋めて線香上げると天国に行くことができる、と認識していた。
「こんなんじゃ天国行けないよ!」
「天国じゃあないよ。彼は今地獄にいるんだよ。とても苦しんでるよ」
俺はだんだん怖くなって、家族の元に戻った。
一応ばあちゃんに聞いてみたが、このへんにそんな子どもが住んでいる家なんてないそうな。
というか、ばあちゃん家周辺はまじで家すらほとんどないド田舎なので
俺もそう思ってたけど。
彼はやはり幽霊だったのだろうか。右目の爛れた、墓場の幽霊。
ちなみにそれからは何も起きてない。ちゃんちゃん。