10/11/02 04:27:36 WFg/QtEV0
20歳くらいの頃の話。引っ越しをした初日の夜。
疲れてはいたが、初めての一人暮らしの興奮と緊張でなかなか寝付けなかった。
それでも段々と眠気が襲ってきて、意識がなくなりそうな時に突然金縛りにあった。
それと同時に聞こえてくる男のうめき声。かなり年配の方の声に思えた。
「うー あーー だめだぁー」
寝ている自分の左側からそんな声がうっすらと聞こえる。内心びびりまくりながらも
必死の思いで目を開けると、そこに「猫の手」があった。
頭頂側に猫が座っていて、右手だけ顔の上にかざしている感じ。その時は特に疑問も
感じず、1年ほど前に実家の前の道路で車に轢かれて死んでしまった飼い猫を思い出していた。
何気なく腕を伸ばすと普通に動く。男のうめき声はもう聞こえなくなっていたと思う。
その時触った肉球の感触は今でも忘れられない。
そいつは部屋の隅にゆっくりと歩いていって、壁の中に吸い込まれるように消えた。