【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ14【友人・知人】at OCCULT
【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ14【友人・知人】 - 暇つぶし2ch400:本当にあった怖い名無し
10/09/10 20:50:47 o7vkoTqq0
         ____
クズ共が   / \  /\ キリッ
.     / (ー)  (ー)\
    /   ⌒(__人__)⌒ \    
    |      |r┬-|    |    
     \     `ー'´   /     
    ノ            \
  /´      >>398     ヽ
 |    l              \
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

            ___
       /      \
      /ノ  \   u. \ !?
    / (●)  (●)    \ 
    |   (__人__)    u.   | クスクス>
     \ u.` ⌒´      /
    ノ           \
  /´     >>398     ヽ

         ____
<クスクス   /       \!??
      /  u   ノ  \
    /      u (●)  \
    |         (__人__)|
>>398

401:本当にあった怖い名無し
10/09/10 20:54:50 HX/bA3+YO
>>398
か、かっこいいですぅ><

402:本当にあった怖い名無し
10/09/10 21:31:11 gibJebUQ0
>>398


403:本当にあった怖い名無し
10/09/10 21:43:31 o7vkoTqq0
      /     \    
     /   ⌒  ⌒ \   何言ってんだこいつ
   /    (●)  (●) \     
    |   、" ゙)(__人__)"  )    ___________
   \      。` ⌒゚:j´ ,/ j゙~~| | |             |
__/          \  |__| | |             |
| | /   ,              \n||  | |  >>402       |
| | /   /         r.  ( こ) | |             |
| | | ⌒ ーnnn        |\ (⊆ソ .|_|___________|
 ̄ \__、("二) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l二二l二二  _|_|__|_



>>402
       / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\    
     /    。<一>:::::<ー>。 
     |    .:::。゚~(__人__)~゚j   もう許してください・・・
     \、   ゜ ` ⌒´,;/゜
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。  
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._

404:本当にあった怖い名無し
10/09/10 22:50:10 7hES27RRO
ウニに投下されるくらいならこのまま不毛なレスで終わらせたいと
八割方の住人が言ってますが

405:本当にあった怖い名無し
10/09/10 23:09:34 qco08pus0
たてたから
もうこれでオシマイにして。


406:本当にあった怖い名無し
10/09/10 23:18:26 oOHCbdKX0
やっぱ荒らしは自演してんだな

407:本当にあった怖い名無し
10/09/10 23:27:41 4LJ2U7LI0
ついでに赤緑とメリーさんのスレも立てろ

408:本当にあった怖い名無し
10/09/11 00:15:44 MTuJGGTJ0
赤緑スレはいいかもな
誰か頼んだ

409:本当にあった怖い名無し
10/09/11 01:25:47 K+QYF1bz0
じゃあもうこのスレいらないね

410:本当にあった怖い名無し
10/09/11 06:07:23 nrWJrR1nO
何勝手なこと言ってんだ!今までずぅっと基地街(暗黙の了解)にイラつき殺意を抱きながらもここのスレを読んでうには勿論赤緑が投下するの生きる楽しみの一つと受け止めてるのに、
邪魔するんならおまえが死ねよ死ね死ね死ね!!

411:本当にあった怖い名無し
10/09/11 06:26:24 K+QYF1bz0
まぁ俺は嫌味で言ってるんだが

412:本当にあった怖い名無し
10/09/11 07:22:21 nrWJrR1nO
>>荒らしたりつべこべ云う皆様へ

お願いだから私の楽しみを奪わないで
奪わないで。そうっとしておいて。
私は赤緑の投稿もうにの投稿もその他の投稿も
楽しみにして生きているんです。
お願いです。お願いします。お願いします。

413:本当にあった怖い名無し
10/09/11 15:03:08 OFVpSKgd0
違う意味で怖いじゃん

414:本当にあった怖い名無し
10/09/11 16:53:34 aqJ1vl4YO
専用スレできたんだからそこ行けばいいだけじゃん
あとはウニに投下してくれるように祈れよ

415:本当にあった怖い名無し
10/09/11 19:05:14 JWfq38Zg0
>>414
あなた建てたひと?

416:本当にあった怖い名無し
10/09/11 20:09:07 aqJ1vl4YO
はい
誉めてもらおうなんて思ってませんよ
てへっ

417:本当にあった怖い名無し
10/09/11 21:10:17 JWfq38Zg0
そうか、おぼえておくよ

418:本当にあった怖い名無し
10/09/11 21:29:40 xU0WYnVk0
>>406
また言ってやがる
どこで「やっぱり」と確信したのか言ってみろ

419:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:05:27 nnZn6mBw0
ウニ来ないなぁ…
まぁ、たぶんまた来週って言ってたわけだから確実に来るとは限らないけども…

420:デス・デイ・パーティ ◆oJUBn2VTGE
10/09/12 00:06:19 eR8sQKUR0
大学一回生の冬。俺は当時参加していた地元系のオカルトフォーラムの集まりに呼ばれた。いや、正確には見逃していたのかそのオフ会の情報を知らず、家でぼーっとしていたところに電話がかかってきたのだ。
「来ないのか」
京介というハンドルネームの先輩からのありがたい呼び出しだった。俺は慌てて身支度をして家を飛び出す。時間は夜八時。向かった先はcoloさんというそのフォーラムの中心的人物のマンションで、これまでも何度か彼女の部屋でオフ会が開かれたことがあった。
ドアを開けると、もうかなり盛り上がっている空気が押し寄せてくる。
「お、キタ。キタよ。はやく。こい。はーやーく」
みかっちさんという女性がかなりのテンションでこちらに手を振っている。部屋の中にはすでに五人の人間がいて、それぞれジュースをテーブルに並べたり、壁にキラキラしたモールをかけたりしていた。
そしてテーブルの真ん中にはいかにもお誕生日会でございますという風体のケーキが鎮座していて、そのホワイトクリームの表面にはチョコレートソースで「colo」と書いてあるのだ。
なんだ。coloさんの誕生日パーティなのか。いつもは降霊会なんておどろおどろしいことをしているオフ会なのに、今日はずいぶん可愛らしいな。と思ったが、やがてこの人たちを甘く見ていたことを思い知ることになる。
用意されていたローソクがケーキの上に立てられて行くのをcoloさんは一番近い席でじーっと見ている。あいかわらずよく分からない表情だ。嬉しそうにしてればいいのに。
やがてローソクをすべて並べ終え、「じゃあ始めよっか」というみかっちさんの一言で部屋の電気が消された。
暗くなった部屋の中で、真ん中のテーブルのあたりに水滴のような形の光が仄かに揺れている。無意識に数えた。ひとつふたつみっつ……
あれ? 目を擦る。ゆらゆらとしている火の数が、何度数えてもおかしい。十六個しかないのだ。coloさんは同じ大学の三回生で、その誕生日なのだから二十一個より少ないということはないはずだ。
よく見ると真ん中に一つだけ大きなローソクがあるから、もしかしてそれが十歳分とか五歳分なのかも知れないが、それでも数が合わない。五歳分だとしても十五足す五で、二十歳にしかならない。
六歳分? そんな半端な数にするだろうか。
考えていると、歌が始まってしまった。以下、聞いたまま記す。

421:デス・デイ・パーティ ◆oJUBn2VTGE
10/09/12 00:09:45 JDXpPZZg0

 はっぴですでいつーゆう
 はっぴですでいつーゆう
 はっぴでーすでいでぃあcoloちゃん
 はっぴでーすでいつーゆう

は? なんだそれ。「ハッピー・デス・デイ・トゥー・ユウ」だって?
俺は混乱する。誰かのクスクスという忍び笑いが聞こえる。
「け、消して。coloちゃん。ローソク。消して」
みかっちさんが吹き出しそうになるのをこらえながら言う。
「うん」という声がして、coloさんが真ん中の大きなローソクの火に息を吹きかける。フッと一つの火だけが消える。
わずかな静寂の後、「おめでとー」という声が重なってパチパチという拍手が響いた。そして電気がつけられる。
「デス・デイ、おめでとう。あと十五年!」
みかっちさんがそう言ったあと、お腹を抱えて笑い出した。
ケーキの上には火のついたままのローソクがまだ十五個残っている。なにがなんだか分からない俺は、ずっと硬直していた。
説明を聞くところによると、どうやらこういうことらしい。
coloさんは異常にカンが鋭い女性で、それはほとんど未来予知と言っていいようなレベルに達しているのだが、本人いわく危険度の高い情報ほど基本的には早期に知ることが出来るのだそうだ。
野良猫を撫でようとして引っ掻かれる時には二日前に。カラスに頭を突っつかれるときには三日前に、という具合だ。どうして彼女がカラスに頭を突っつかれなければならないのかよく分からないが、とにかくそういうことらしい。
そんな彼女にとって危険度マックスの情報とは、つまり自分の「死」である。彼女はその日時をすでに知っているというのだ。
それがバース・デイならぬデス・デイであり、今日十六個目のローソクの火が消えたといことは余命があと十六年を切ったということなのだろう。
なぜそんな日を祝うのか理解に苦しむが、親しい友人たちを呼んでデス・デイ・パーティを開くというのが昔からの慣習になっているのだそうだ。
祝えねーよ。
六等分に切り分けられるケーキを見ながら、そう突っ込みたくて仕方がなかった。


422:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:10:26 lThC3LX30
わ~い

423:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:11:24 nnZn6mBw0
デス・デイ・パーティーだと!!?!?!?!?

424:デス・デイ・パーティ ◆oJUBn2VTGE
10/09/12 00:12:32 JDXpPZZg0
デス・デイ・パーティという恐ろしげな名前とは裏腹に楽しく場は進み、coloさんの手料理やケーキで腹を満たしつつ、「わたしも寿命しりたーい」などというみかっちさんの不謹慎な発言に「本当に知りたいの」というcoloさんの静かな答えが返り、
「あ、うそ」と黙り込んだりということもありながら、とうとう宴もたけなわというころになった。
「はい、じゃあこれからゲームをしましょう」
coloさんがそう言って手を叩いた。みんなが注目する。
「えーと。みんな、今日はわたしのデス・デイをお祝いしてくれてありがとう。そのお返しにスリリングなゲームを用意しました。とっても危ないゲームだけど、きっとみんなならクリアできるよ」
みかっちさん、京介さん、沢田さんという女性陣に、俺、山下さんという男性陣の合わせて五人がそれぞれ顔を見合わせる。
「これから問題を出すから良く聞いてね」
俺たちの目の前でcoloさんが白い紙を取り出し、マジックペンで数字を書き始めた。
 
X=1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+ ……

なんだろう。1の間にマイナスとプラスが交互に入っている単純な数式だ。最後の点々はこれがずっと続くという意味か。
「この永遠に続く数式の解が実は三つあるの。その解Xを三つとも答えてね。ただし、一つでも間違えたらアウト。答えはみんなで相談して代表者が答えてね」
三つ? 三種類も解があるのか? 単純そうに見えて難しい問題なのかも知れない。
数式を覗き込みながらそう考えてると、coloさんがとんでもないことを付け加えた。
「もし答えられなかったら罰ゲームに、さっきみなさんが食べたケーキ。あれに下剤を入れちゃうよ」
はあ? 全員目を剥いた。意味が分からない。もう食べ終わったケーキに今から下剤を?
なんの冗談かと笑おうとした瞬間、以前体験した恐ろしい記憶が蘇ってきた。
種類の違うお札の入った箱を選べというゲームなのだが、coloさんが俺の選択をあらかじめ予知しているというのだ。結局現在進行形の行為が、過去に遡って影響を与えるという事象の不可解さに怖じ気づいた俺は白旗をあげてしまった。
そのゲームと同じ構造だというのか。
もしこの問題を答えられなかったら、その結果を予知した過去のcoloさんがケーキにこっそり下剤を仕込むということか。すでにケーキは食べ終わっているというのに!

425:デス・デイ・パーティ ◆oJUBn2VTGE
10/09/12 00:16:40 JDXpPZZg0
味は? 変ではなかったか? 口に残ったケーキの余韻を確かめようとするが、やたらスパイシーだったチキンのおかげで完全に消えてしまっている。
「ちょっと、冗談でしょ。入れたの? 入れなかったの?」とみかっちさんが詰め寄る。他のみんなも真剣な表情に変わった。きっと多かれ少なかれ箱の時の俺と同じような経験をしているのだろう。
「答えたら面白くないじゃない。無理に喋らせようとしたら、失格ね」
ハッとしたようにみかっちさんが手を引く。
なんてこった。とんでもない事態だ。さっきまでの楽しいパーティはどこに行ってしまったのか。当事者のcoloさんは無表情で、なにを考えているのか分からない。
「はい、じゃあ、紙とえんぴつを支給します。頑張ってね」
配られたものを眺めながら、五人は「やるしかないのか」という顔になっていた。
「恨むわよcoloちゃん」というみかっちさんの言葉に、「スリルがあった方が楽しいでしょう」という脳天気な答えが返る。
そしてゲームが始まった。
とりあえず、無限に続くという部分に惑わされてはいけない。式を紙に書き出してからそう考える。単純化するのだ。
高校時代、数学の成績は酷かったが、ここは俺とみかっちさんの現役大学生コンビが頑張るしかない。そう思ってみかっちさんを見ると、沢田さんと二人で「最後がプラス1で終わるのかマイナス1で終わるのか」という論争をしている。いや、終わらないから。
みかっちさんを見限った俺は一人でやるしかないと気合いを入れた。山下さんも一応紙に向かっているが、あまり自信がなさそうだ。京介さんは初めからやる気がなく、煙草を吸いにベランダに出ていってしまった。
とりあえず俺は式を括弧で括り、単純化することにした。そうすると一つめの答えはすぐに見つかった。
X=(1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ ……
X=0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + ……
ゼロを永遠に足し続けるわけだから、Xは0だ。まず一つ。
次は少し難しかった。あれこれいじってみて、ようやくそれらしい形になった。
X=1-(1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+ ……)
X=1-((1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ ……))
永遠の数式の最後を括弧で閉じるのが少し気になったが、多分これが正解だ。大括弧の中が一つめと同じ形になったので、あとは簡単。

426:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:16:43 9vtEuQi70
紫煙わっふる

427:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:20:34 nnZn6mBw0
支援

428:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:22:06 +RFBetFrO
支援

429:sage
10/09/12 00:23:05 2FgiuNPC0
うれしいよぅ…ないちゃう

430:デス・デイ・パーティ ◆oJUBn2VTGE
10/09/12 00:23:28 JDXpPZZg0
X=1-(0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + ……)
X=1-0
答えはX=1。これで二つめだ。
とんとんと二つめまで辿り着いたので案外簡単じゃないかと安堵したのだが、ここからが難問だった。
どういじっても、どう括弧で括っても一つめか二つめの形の亜種にしかならず、結局0か1かという答えになってしまうのだ。頭がこんがらがってきた俺は、これまでのパターンをみんなに見せて確認してもらった。
「おい、少年。すごいじゃん。さすが学生」とみかっちさんが褒めてくれたが、あなた俺と同じ大学でしょう。それにやってみて思ったが、これは数学というよりパズルだ。
京介さんが戻ってきてから、俺は全員に同意を得て代表としてとりあえずここまでの答えをcoloさんに告げた。
「0と1ね。正解! あと一つ」
「なにかヒントはないですか」と頼んでみたが、「ない」と実につれない。仕方がないので、全員で知恵を寄せ合い、いろいろ考えてみる。しかし括弧での括り方なんてそれほど多くのパターンはなく、似たような形になるばかりで、どうあがいても0か1かになるのだった。
「発想の転換が必要」と宣言して、みかっちさんが書き出した式も結局なにも変わらなかったし、「他二つが0と1なんだから、その前後じゃないか」ということで、「2かマイナス1」という答えが直感派の間で主流になったりしたが、
裏付けが取れないためGOサインが出ないのであった。
発想の転換が必要だ。その言葉を十回くらい聞いたが、なんの足しにもならなかった。書いた紙が散乱し、下剤の恐怖と戦いながら、殺伐とした空気を吸って吐いて俺たちは考え続けた。
ふと顔を上げるとcoloさんが椅子に座ったまま退屈そうに足をぶらぶらしている。まずいな。そろそろ答えないと。
そんな停滞する場を打開し、答えを導き出したのは意外な人物だった。 手持ちぶさたのcoloさんが腕時計を覗き込んだ瞬間だ。
「わかった」
そんな言葉が部屋に響いた。全員の視線が集まる先にはみかっちさんがいた。「うそ」と沢田さんが言ったが、みかっちさんは人差し指を左右に振って「あたし天才かも」と目を瞑る。
「いい? 発想の転換が必要だったのよ。答えから言うわね。意外や意外、三つめのXの正体はに……」
そこまで言い掛けたみかっちさんの口を誰かの手が塞いだ。疾風のように動いた人物は京介さんだった。

431:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:24:43 nnZn6mBw0
>>429落ち着けwww

432:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:25:41 DCOkge8t0
わあい

433:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:29:00 X8inYZlEO
うれしすぎる…支援

434:デス・デイ・パーティ ◆oJUBn2VTGE
10/09/12 00:32:29 JDXpPZZg0
「バカ。勝手に答えるな」
真剣な顔でみかっちさんの抵抗を力ずくで抑える。そして矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「解けたぞ。ヒントは時計だ。沢田さん、coloの口を塞げ」
え? とみんな唖然とする中で、沢田さんが条件反射的にcoloさんの口を塞ぎにかかった。「ちょっと、なに」抵抗するcoloさんの手を俺も一緒になって押さえつける。
京介さんの方はみかっちさんが大人しくなったところで手を離し、部屋にあったタオルを手に取ると押さえつけられているcoloさんの口を覆った。猿ぐつわだ。
「ふぁいふぅおぉ」
突然の暴挙にcoloさんが戸惑いながら訴える。
「これは予知してなかったか? 焦点になっている答えに関わる部分以外は捉えられていないようだな。無理に喋らせようとしたら失格だと言ったが、喋らせないのはかまわないはずだ」
京介さんはゆったりした動きでcoloさんの前に両手を組んで立ちはだかった。
「おまえの予知が本物という前提で話す。いいか。問題は、解Xを三つ答えろという内容だ。一つでも間違えたらアウト。つまりさっきこのバカが答えてしまっていたら失格だったということだ。
そしてその結果を予知したおまえは過去のケーキを用意した時点で中に下剤を仕込む。それでこれから私たちは地獄の苦しみという展開だ。行為が終了しているにも関わらず下剤が入っていたかどうか、食べた後にも分からないのがこのゲームのミソなわけだが……」
京介さんはみんなで綺麗に平らげたケーキの空箱を指さす。
「ミスをしたな。おまえはこのゲームの制限時間を決めていない」
俺はその言葉にハッとした。そうだ。その通りだ。

435:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:32:36 zu2oHq7jO
支援!

436:デス・デイ・パーティ ◆oJUBn2VTGE
10/09/12 00:35:57 JDXpPZZg0
「私たちはこれから、『最後の三つめをなかなか答えない』という行動に出る。するとなにが起こるか。分かるな。下剤が効いてくるはずの時間を超過するんだ。何ごともなくその時間が過ぎたら、下剤は入れられていなかったということ。
もし仮に腹が痛み出したら、下剤は入っていたということになるが、私たちはなにもミスをしていない。間違えてもいない、制限時間もない、無理に喋らせようとしていない。そして、腹が痛み出したら未来永劫、絶対に三つめを誰一人答えないことを宣言する。
にも関わらず下剤を入れていたとしたら、これはアンフェアだ。入れられる理由なんてないのだから、論理によって成り立つゲームの根底を崩してしまう。ここまでは私の理屈だ。だが、おまえは今、『それは確かにアンフェアだ』と思ってしまった」
京介さんの力強い言葉につられ、俺も、他のみんなも頷いてしまった。coloさんは表情を引っ込めて反応もしなかった。
「口を塞がれ、これからルールを追加することも出来ないおまえは、結局下剤を入れられない。こちらの勝ちだ」
見事な勝ち名乗りだった。俺たちは感心して思わず手を叩いた。すごい。これこそが発想の転換だ。coloさんの頭ががっくりと落ちた。観念したらしい。これからなにが起こるか理解できたようだ。
下剤が入っていなかったと俺たちが確信できるまで、拘束されるのだ。筆記等によるルール追加もできないように、部屋にあった布類で縛り上げる。その作業は女性陣が行ったのであるが、なんだかいけないものを見ているような気がしてドキドキする。
椅子に座ったまま身体の自由を奪われたcoloさんの目に涙が浮かんだのが見えた。やばい。可哀想になってきた。自業自得なのに。
「で、下剤ってどのくらいで効くの」
みかっちさんの言葉に部屋の中がシーンとする。
たぶん、四、五時間というファジーなところで意見が落ち着き、念のために六、七時間くらい余裕をみることにし、なんだかんだで結局朝まで宴が開かれることになった。
パーティの主役であるcoloさんの目の前で、俺たちは語り合い笑い合いふざけあい、語り合った。
coloさんにメソメソと泣かれたらどうしようと思ったが、変な格好のままあっさりと本人は寝てしまい、俺たちは心おきなく時間をつぶすことができた。

437:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:37:04 X8inYZlEO
おおお、俺今日バース・デーなんだ すげぇプレゼントだ支援!

438:デス・デイ・パーティ  ラスト ◆oJUBn2VTGE
10/09/12 00:39:52 JDXpPZZg0
後から考えると、とっとと解散するとか、「もうやめよう」と言ってcoloさんと休戦条約を締結するとか、下剤の箱やレシートがあるかどうか探すとか色々やり方があったような気もするし、どうしてcoloさんはこの展開を予知できなかったのかとか、
京介さんの未来予知に関する考え方にも多少の疑問点もあったが、その時の俺たちはそういう細かいことを抜きにして楽しい時間を過ごすことに全力を尽くし、変な角度からの青春をとにかく謳歌していたのだった。
この混沌としたデス・デイ・パーティの顛末に付け加えることが一つ。
夜中の十二時を回ろうかというころ、電話が鳴った。携帯ではなく、coloさんの自宅の電話だ。
眠っているcoloさんをちらりと見てから、京介さんが受話器を取る。
「はい」
相手と二こと三こと会話を交わしてから受話器を置く。そしてcoloさんのところへ行って、肩を叩いた。ゆっくりと彼女は目を開く。
「あの変態から電話。『おめでとう』。以上」
そして京介さんはまたみんなの輪に戻っていく。
俺はそのやりとりを見ていて、なんだか不思議な気持ちになった。はっぴですでいつーゆうと言われても、まったく嬉しそうな様子を見せなかったcoloさんが、初めてニコッと笑ったのだ。
また目を瞑り、眠りにつこうとする彼女を見ながら、俺はふと今日はcoloさんの本当の誕生日だったのかも知れない、と思った。

「ちょっと、あたし、合ってたじゃない!」
腹を痛めることもなく無事に迎えた次の朝、coloさんの拘束を解いて解散となったとき、みかっちさんが叫んだ。出題者であるcoloさんから三つめの答えの説明があったのだ。
X=1-(1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+ ……)
このとき、右項の括弧内は最初の式である、
X=1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+ …… の右項と等しくなるため、
X=1-X
2X=1
X=1/2
となるのだそうだ。ほんとかよ。
「にぶんのいちって、言おうとしたのに。あたし算数得意なんだから」
算数というあたりが信用できなかったが、そういうことにしてあげた。


439:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:43:00 nnZn6mBw0
乙です!!!

440:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:44:26 DCOkge8t0
乙!

441:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:48:18 X8inYZlEO
ウニありがとう! 乙!

442:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:48:22 YsJnyspJi
この残暑の日々が楽しくなりました。ありがとうごさいます。
乙です!

443:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:52:26 zzyz8NfWO
ウニさん乙です!
ドキドキしながら待ってた甲斐があったー。

ずっと気になってたデス・デイ・パーティーが読めてめっちゃ嬉しいです。

444:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:52:54 74Sz/umKO
ウニちゃんありがとう~。今からじっくり読みます。
最近、毎週末wktkだよ♪

445:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:53:05 9VRYMYqVO
ウニさん乙です!これから読みます~

446:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:56:05 BYg8uRTti
ウニ乙!
くそ、師匠は罪な男だよな...

447:本当にあった怖い名無し
10/09/12 00:59:41 9vtEuQi70
ウニ乙!
ありがとう


448:本当にあった怖い名無し
10/09/12 01:06:45 lThC3LX30
ウニさん、お疲れさま~♪
それから>>437 おたおめ~

449:本当にあった怖い名無し
10/09/12 01:20:03 a1OGOwWZ0
ウニさん、ありがとう!
またよろしくお願いします。

450:本当にあった怖い名無し
10/09/12 01:59:07 tPpyuE7n0
デス・デイ・パーティーだと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

451:本当にあった怖い名無し
10/09/12 11:22:53 25nFzU+R0
ウニ乙☆

452:本当にあった怖い名無し
10/09/12 11:44:46 dt1YIe4+0
うわあああああデス・デイ・パーティーってずっと気になってたけどネットのどこ探しても見つからなくて
読みたくて読みたくて仕方なかったやつだよおおおお
ウニ氏ここ最近の連投マジ乙!
ありがとう

453:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:18:37 KV+OvPk20
だからなんでこっちにばかり投下するんだよ?
せっかくファンが専用スレ立ててくれてるのになんで無視するかなあ

454:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:27:56 KV+OvPk20
「なぁ、そろそろ帰ってもいいんじゃないか」
結局今日は体調不良を理由に会社を休んだ。
まんざら嘘というわけでもないのだが。
「えー なんでそう帰そうとするのよー 
彼女居ないんでしょ?もちょっといいじゃなーい」
横綱にうりうりされる。いかん。このままでは寄り切られる。
「だいたい、メリーさんて何しに来るんだよ!」
「まぁデリヘルじゃないからこういうのは稀だけどねー」
「くっ・・・ちくしょー!もういいから帰れよ!」
半泣きになりながら叫ぶ。もう恥もクソもない。
「何よー!言われなくたって帰るわよ!バーカ!バーカ!童貞!」
「うるせー!肥満体!メタボリックシンドローム!」

バタン!

あんなメリーさんでも、いざ居なくなると寂しいな・・。


・・・! いかんいかん! 感傷に浸ってたらひょっこり戻ってきそうだ。



455:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:28:40 KV+OvPk20
はぁ・・・それにしても、とんだ災難だった。
一人の人間の一生のうち、メリーさんが来る確立ってどのくらいなんだろう。
某メリーさんスレを読みながら考える。
もしかして、俺の一生でやっと来たメリーさんがアレで、
そしてもう2度と来ないんじゃないだろうか。
そう考えると物凄く人生が暗く思えてきた。涙も出てきた。
「はぁ・・・メリーさん来ないかなあ、可愛いの」

デッデケデケデケ
「ん? 上司からか・・・明日は出ますって言っとくか・・・もしもし」
「もしもし?私メリーさん」
「え、あ、ちょう(またキタ━(゚∀゚)━!!!)」
「今、あなたの家の前に居るの」

頭の中にふと黒い記憶が蘇る。
もしかしてアイツじゃないのか。声は違うようだけど・・・
無言で玄関まで歩いてドアスコープを覗いてみる。

「あれ・・・」
そこには確かに携帯を持っているメリーさんが居た。
今度は・・・可憐な美少女だ。

「お待ちしておりました」 ガチャッ
「えっ!? ビックリした・・・えと・・・おじゃまします・・・」
神はもう一度チャンスをくれた。 今度こそ、今度こそ
あの忌まわしい記憶を振り払って俺にもバラ色のメリーさんライフが訪れる。はず。

         ~まともなメリーさんが来ない 第2話~


456:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:32:55 KV+OvPk20
彼女を丁重に部屋に迎え入れる。
ふいにベッドの上が大変な事になってるのに気が付いた。
「あ、あ、あ、あ、えーと、ちらかっててごめんね、エヘヘ・・・」
「いえ、私こそ急に来てしまってごめんなさい・・・」
望むところです。
「ま、まぁ座って・・・お茶でも出そうか・・・」
「あ、えと・・・はい・・・お願いします・・・」
彼女はちょこんと可愛らしく座って僕を見ている。
これ。これですよ。これを待ってた。

「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
お茶を出して対面に座る。
「あの・・・いきなり来て申し訳ないんだけど、ひとつ謝らなきゃいけないことがあって・・・」
「え?」
「あの・・・メリーさんルールっていうのがあってね」
その単語を聞いた瞬間目眩が起こり倒れかける
「わっ!だ、大丈夫!?」
「あ、あぁ大丈夫・・・ちょっと寝てないだけさ・・・
んでアレだろ?一晩帰っちゃいけないってルールなんでしょ」
「え、えぇそうなの。 ・・・知ってるの?」
そう。知ってる。 また目眩が起きそうになった。
・・・それにしてもそんなルールがあるなんてスレには書いてなかった。
最近出来たのだろうか。
「ちょ、ちょっといろいろあってね・・・まぁ狭いけどゆっくりしていってもらえたら・・・」
「いろいろありがとう」
好感触。 横綱もこの為の予行演習だと思えばよかったのかもしれない。


457:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:33:46 KV+OvPk20
「もし寝るんなら、ちょっと今ちらかってるけどベッド使っていいから・・・」
不意に口走ってしまったが、ヘンな意味に取られないだろうかと不安になる。
妙にガッツくことに抵抗がなくなっててやっぱりマイナスだったかも・・・
「あ、ありがと・・・でも出来たらね、朝までお話したいな」
「へ?お話?」
何をガックリしてるんだ俺は。
「うん。私ね、絵を描くのが好きなの。
だからあなたにも描いた絵を見てもらいたいし、
あなたが今まで見た美しい風景のお話なんてしてもらえたら
きっとこれからまたいい絵が描けるな、なんて
・・・あっごめんなさい・・・私のことばっかり喋っちゃって・・・」
いいんです。 大好きです。
「いや、全然いいよ! 俺も、絵は好きだよ」
「ほんとう?」
彼女の表情がぱっと明るくなる。カワイイ。


458:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:37:29 dtFG2t2vP
もう来ないっていったんだから来るなよ。>メリー
じゃなければあぼーんするからコテつけてくれ。

459:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:48:52 KV+OvPk20
それから朝まで絵の話をした。
彼女が書いたイタリアのなんたら川の風景画とか
中世の偉大な画家の話とかうんたらかんたら
まず絵が好きだってのがウソなので話を合わせるのに苦労したが
ロンドンがフランスの首都だとか言ってしまっても
彼女は笑ってくれた。 
ヨーロッパの知識なんてセリエAにベッカムが居るとかしか知らない。

「あら、もうこんな時間・・・」
「ほんとだ 早いね」
物凄く長く感じたがでも彼女の笑顔を見てるのが楽しかったので苦にはならなかった。
「もう帰らなきゃ・・・」
「え、もう帰っちゃうの?」
「えぇ・・・あ、そうだ。そういえば私今度個展を開く事になってね」
彼女は鞄の中をゴソゴソし始めた。
「はい、これ」
手渡されたのは、1枚のチケット
「初めての個展なんだけど、昔お世話になった先生がよくしてくれてね、
街中で開けることになって・・・なったんだけど、緊張しちゃって・・・
もしよかったら、見に来てくれない?

460:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:49:53 KV+OvPk20

あなたが居てくれたら、安心・・・する・・・から」
「いいいい行くよ!きっと行く!」
むしろガードマンになる勢いで一日君を守るよ。
「ほんと!? ありがとう!」
嬉しそうに笑いながら両手で僕の手を握る。
彼女の手はやわらかくてあったかい。
「へへ・・・お安い御用さ・・・」
俺マジイケメン。

「それじゃあ、会場で待ってるから。約束よ!」
「あぁ、楽しみにしてるから!」

僕らは指きりげんまんをして別れた。
待っててくれメリー。 僕が君の個展を成功させてあげるよ。


461:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:52:01 KV+OvPk20
個展当日 ・・・開場4時間前。

流石に早く来すぎた。
もし準備してたら手伝ってあげようと思ったのだが
準備はどうも昨日終わってるらしく今日は開場を待つのみだ。
そりゃそうか・・・

デッデケデケデケ
「もしもし」
「もしもし、私。」
「あぁ、おはよう」
不意に肩をぽんぽんと叩かれる
「うわっ!ビックリした!」
「ウフフフw もしかしたらあなたかな、って思ったら、やっぱり」
どうしよう。早く来すぎて恥ずかしいのだが。
「えっと、その・・・準備してたら手伝おうかなー・・・なんてね・・・w」
「ありがと。 今は中でスタッフが休憩してるから、よかったら一緒にコーヒーでもどう?」
願ったりかなったりだ。 少し眠くてコーヒーはありがたい。
「あぁ、そうするよ」
僕らは施錠されているビルの裏口地下駐車場から入って
5階の個展準備室に入った。


462:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:52:54 KV+OvPk20
「し、失礼します・・・」
「やあ、よく来てくれたね、君がメリーの話してた」
初老の男性がにこやかに歩いてくる。
俺の話?
「あ、あぁそうか、君は知らないのか。まぁコーヒーをどうぞ」
「いただきます」
パイプ椅子に座り、コーヒーを受け取る。
「この人が、私が話してた先生」
「どうも、初めまして。」
「初めまして。」
そういえば絵を描きそうな顔をしている。
「実はね、私も・・・その、「メリーさん」の一族なんだよ」
ボフッ! コーヒーを少し噴出してしまった。
「あ、あぁすまない急にこんな話をしてしまって」
「いえ、いえ、いいんです。なんとなく聞いた事ありますから。
男性のメリーさんもいらっしゃるって。」
ソースは2ch。
「うん。実はそうなんだ。 そして私は彼女に絵を教えてね、
我々が人間の世界に、都市伝説としてではなく、一人一人の人間として
受け入れてもらえるようにとこの個展を開いてみたんだ」
「へぇ、そうなんですか どうりでメリーさんの話も熱がこもってました」
彼女が照れている


463:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:53:49 KV+OvPk20
「・・・でも、何でまたメリーさんが」
「まぁそれなんだがね、恐らく普通のやり方では、芸術レベルの高い昨今では
そうウケないだろうと、残念ながら考えた。
そこでまずは都市伝説の通り電話で現れて、個展に誘ってみることにしたんだ。
まさかメリーさんが、個展に招待しに来るなんて思わないだろう?」
「え、それじゃあ結構回ったんです?」
「そうだな、彼女だけじゃないが営業ということでここ数週間いくらか」
営業だったのか・・・またまたガックリする。
だが彼女らの夢を応援するというのも悪くないんじゃないか。
気が付くと開場10分前になっていた。

「よし、そろそろ開場の準備するぞメリー」
「はい、先生」
「僕も何か手伝います」
二人が入り口の方へ歩き出したので慌てて後を追った。



464:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:55:36 KV+OvPk20
大通りから少し入った雑居ビルが会場ということもあり、
ちらほらと客が入ってくる。
メリーと先生は、客に絵の解説をする為に忙しく回っている。
僕はというとすっかりスタッフ気分だ。
お客の誘導から売れた後の棚に次の絵を持っていく手伝いをしたりしている。
「ふぅ、少し休むかな」
昼前になり、することも無くなったので休憩することにした。
会場内で座ってるのもマズいので、準備室の袖口の目立たないところに引っ込んだ。
「はぁー メリーも頑張ってるな~   ・・・ん?」
何やら後ろの方でひそひそ話が聞こえる。
悪いと解っていながら聴いてしまう。
「・・・それで、どうだ 成績は」
「まずまずといったところですね、今はだいたい8割、残りの客もまぁ大丈夫でしょう」
「そうか、後は・・・あの手伝ってる奴だけだな」
「彼は最後まで残ってるでしょうから、・・・まぁとっておきを」
「フフ、そうだな」
なんだろう。恐らく俺の事だろうけどとっておきって。


465:本当にあった怖い名無し
10/09/12 19:57:02 KV+OvPk20
「あれー、こんなところに居たんですか?」
不意にカーテンをめくられてドキっとする
「あ、目立たないところに居た方がいいかなって・・・w ははは」
「えと、申し訳ないんだけど、予想以上に絵が売れたんで、
早めに切り上げることにしたんです」
この個展は個展とは銘打っているが今後の活動の為に展示即売会も併せている
なので、絵がなくなれば当然おひらきというわけだ。
「あ、ああそうなの。 よかったね、好評で」
「えぇ。 それで、一日手伝ってもらったお礼がしたいんだけど」
「お礼?」
「うん。 スタッフルームで待ってるわ。」

キタ━━(゚∀゚)━━ !!!!!

疲れて座ってた足腰に力が急に湧き出る。
一日頑張った甲斐があったというものだ。
僕はスタッフルームに向かった。


466:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:11:02 KV+OvPk20
「失礼しまー・・・あれ?」
スタッフルームのドアを開けると、電気がついていなかった。
真っ暗ではないのだが、薄暗くてよく見えない。
「誰も居ないのかな・・・?」

カチャッ

不意に電気が付く。 眩しさを手で遮りながら部屋を見渡すと、
スタッフ全員と、先生と、メリーが居た。
そして部屋の中央には何か布を被った大きな物がある。

「お疲れ様ー」
一斉に声をかけられる。僕はまだ眩しさに慣れている途中だ。
「お、お疲れ様です。」
「今日は一日手伝ってくれてありがとう。
それでね、先生と相談したんだけど、次の個展はスイスでやることになったの。」
「そ、そっか・・・すごいね、世界を廻って・・・」
「うん・・・だけどこんなによくしてくれたあなたと別れるのが寂しくって」
嬉しい事言ってくれるじゃ(ry
「それでね、私の描いた最新作をあなたに・・・」
メリーが布をひっぱると、昨日さんざん話していた
「メリーさん」というタイトルの少女の絵が姿を現した。
どこか寂しげで、物憂げだが、美しい少女の絵だ。


467:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:12:45 KV+OvPk20
「これを・・・僕に・・・」
「ゴホン」
咄嗟に先生の咳払い。
「あー、それでね、メリーの今後の活動の為に、君に協力してもらいたんだ。」
「協力?」
「あぁ、この絵を買って貰えないだろうか。」
「・・・いくらするんですか?」
「最新作の絵でね、各方面でも注目を集めている。
今の市場価格は100万円だ」
「ちょ、ちょっと待ってください、俺そんな金ないんですけど・・・」
「あぁ、君にはよくしてもらったし、特別に半分私が持つ。これでどうだろう
それでも高く感じるかもしれないが、今後メリーが成功すれば
価格はもっと上がるだろう。 投資と思いたまえ」
・・・マズい。なんかマズい。
「あの・・・すいません俺無理です・・・」

言った瞬間、メリーは青ざめて、顔を覆い隠してしまった。
スタッフもざわつき始める。
「き、君、いくらなんでもそれは・・・」
「へ?」
「彼女の絵はまだ公には出回ってないとはいえ絵画界では期待の新星として注目されている。
この会場に展示してあった絵だってウン十万はくだらない。
その中から特別珠玉の絵を破格の値段で譲ろうというのだぞ」
「え、ちょちょ、ちょっと待ってください」

わかった。こいつらエウリアンだ。


468:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:14:26 KV+OvPk20
室内を見渡す。 ドアは2つあるがキッチリガードされており脱出は容易ではなさそうだ。
気が付くのがあんまり遅すぎたが、気が付いた以上もうここに居る必要は無い。
「さぁ、契約書はこれだ。拇印を押してくれればそれでいい。」
知るか。 もはや絵のことなんてどうでもいい。
メリーが冷ややかな視線をこちらに向けている。
少し惜しい気もするが、彼女の優しさは営業だったのだ。
何も期待することはない。

「ちょっと、ゆっくり見させてもらえますか?」
俺はそう呟くと、絵の近くにゆっくりと寄った。
そして次の瞬間―額縁を両手で掴むと思いっきり振り上げた
「な、何をする!」
先生が慌てて叫ぶ。ちらと扉を見るとガード役も少し慌てている。チャンスだ。
「うおおおおお!!!」
眼を向けていた方とは反対のドアにいきなり走り出し、ガード役に絵を投げつける
「うわっ!」
ひるんだ隙にドアを開け、しゃにむに走った。

「おい、追え!早く!」
後ろからバタバタと走ってくる音がする。
ビルの構造はよくわからないが、とにかく階段を下りて・・・速く・・・!

「待てっ!」
意外に追っ手の脚が速く、入り口までもう少しというところで追いつかれそうになる
くそっ! ここで捕まったら終わりだ!


469:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:15:30 KV+OvPk20
ドンッ!

ビルを飛び出してすぐ、でかい女にぶち当たった。
「いてて・・・すいません・・・」
「アンタ、こんなとこで何してんの?」
「え・・・? あ!」
服が違ったので解らなかったが、そこに居たのは紛れも無く横綱・・・いや
救いのメリーさんだ。
「な、俺を助けてくれ!」
「は?意味わかんねーし」
首を傾げる彼女の背後に隠れると、追っ手が3人立ちはだかった
「そいつを渡せ」
彼女の背中にしがみつきながらふと考えたが、あの時の追い出し方を思うと
今突き出されてもしょうがないな・・・ 俺はだんだん諦めムードになってきた。


470:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:20:19 KV+OvPk20
ドンッ!

ビルを飛び出してすぐ、でかい女にぶち当たった。
「いてて・・・すいません・・・」
「アンタ、こんなとこで何してんの?」
「え・・・? あ!」
服が違ったので解らなかったが、そこに居たのは紛れも無く横綱・・・いや
救いのメリーさんだ。
「な、俺を助けてくれ!」
「は?意味わかんねーし」
首を傾げる彼女の背後に隠れると、追っ手が3人立ちはだかった
「そいつを渡せ」
彼女の背中にしがみつきながらふと考えたが、あの時の追い出し方を思うと
今突き出されてもしょうがないな・・・ 俺はだんだん諦めムードになってきた。



471:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:21:30 KV+OvPk20
「ダーリンに何すんのよ!ボケ!」

一瞬、ごっつい腕が振り払われたかと思うと、追っ手は派手にふっとんで、
地面に叩きつけられた。
「すげえ! さすが横綱は違うな!」
「あ?」
「いや、なんでもないです・・・」
「ったくもう・・・あれ?あいつらいねーんだけど」
「ほんとだ」
気が付くと、倒れていた追っ手は姿を消していた。

「そいやなんであんた追っかけられてたわけ?」
「まぁ、話すと長くなるんだけどね」
無理やり腕を組まされて半ば宙吊りになりつつ俺は答えた
「エウリアンに捕まっちゃってさ・・・」
「プッ!だっせー! やっぱ童貞じゃんww」
まさかそのエウリアンもメリーさんだとは口が裂けても言えない。
「あんたの事だからメリーさんが来たと思ったらエウリアンだったりしてね」
・・・バレてる。
「あ、もうここからは一人で帰れるよ・・・今日はありがと」
「素直に感謝なんて珍しくね? まぁいいわ。楽しかったから。バイバイ!」
こんなに彼女を頼もしく思った事も無かったなと、一人部屋に戻る。
今日は散々な一日だった。 とっとと寝てしまおう・・・



472:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:24:21 KV+OvPk20
デッデケデケデケ
背筋が凍ったかと思った。
すっかり存在を忘れていた携帯がズボンの中で急に鳴り始めた。
「ん?カーチャン? はぁ・・・なんだろ・・・もしもし」
「もしもし・・・私メリーさん・・・今会場に居るの」
「・・・!」
悪夢はまだ終わってなかったようだ。
「どうして逃げたの?」  プチッ

震える手で携帯の電源を落とす。

デッデケデケデケ
「・・・!?」
電源は入っていない。なのに携帯が鳴っている。
・・・そうだ、出なければいい。出なければ・・・

ガチャッ
「もしもし・・・私メリーさん・・・今会場のビルの裏に居るの・・・」
勝手に通話モードになっている。


473:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:41:41 KV+OvPk20
気づくのが遅かったと思ったときには既にもう遅すぎたのだ。
何故メリーさんがエウリアンを、ではない。
メリーさんだから、エウリアンをしていたのだ。
「今からあなたのお家に行くから・・・私の絵を持って・・・」


どうしよう、たぶん彼女はこのまま俺の家に直行してくる。
恐らく、信じられないようなスピードで。
さらに、思い出したくない事も思い出した。
先生もメリーさんの一族と言った。
とすれば、スタッフや追っ手の連中も恐らくそうなのだろう。
敵は一人ではないのだ。
俺がメリーさんから逃げた先に現れてもおかしくない。
一体どうすれば・・・



474:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:43:15 KV+OvPk20
メリーさんから逃げる  そんな事は今まで考えた事も無かった。
ただ、メリーさんがウチに来てくれたらそれでいいと思っていた。
今は違う。

本題に戻る。 メリーさんから逃げるにはどうしたらいいんだろうか
電話がかかってくる度にある程度の距離を移動しているようだが
その距離には制限がなさそうだ。
だんだんと間隔が短くなって最後は後ろに居る、というお約束。

・・・ダメだ。少し考えてみたが逃げる方法を思いつかない。
今はとにかくここを離れよう。
やるだけのことをやるしかない。

今さっき帰ってきたばかりな気がする玄関に座り、靴紐を硬く結ぶ。
これからしばらく走り続けるんだ。そう言い聞かせると自然に力が入る。




475:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:48:50 KV+OvPk20
デッデケデケデケ
携帯が鳴る。
もう半ば諦めて着信ボタンを押す。
「・・・もしもし、私メリーさん。今あなたの部屋の前に着いたわ」
「・・・」
「また、開けてくれると嬉しいのだけど」

俺は無言で立ち上がった。
無論、開ける為ではない。
音を立てないようにドアに近づくと、ドアスコープを覗き込む。

・・・居た。 彼女は何か大きなもの・・・恐らくあの絵だろう。
布に包んだ絵を抱えて立っている。
大きな帽子を被っていて顔はよく見えない。

「居るんでしょう?そこに」
ふいに携帯から彼女の声が聞こえて震えた。
メリーさんの口元がにやりと笑う。

ピッ!
俺は乱暴に携帯の電源を落とした。

ダメだ。こちら側から逃げ出すのは得策ではない。



476:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:49:44 KV+OvPk20
静かに踵を返すと、土足のまま部屋の方へ、そしてベランダへ出る。
俺の部屋はアパートの2階で、裏手は空き地になっている。
飛び降りようと思えばいけそうだが・・・

ドン ドン ドン

ドアを激しく叩き始めた。
迷っているヒマはない。 しばらくこの部屋には戻れないかもな・・・



「っつあ!」
ほとんど無意識に部屋から飛び降りた。
着地はイメージしてたよりずっとかっこ悪くかつ痛かった。
「っでぇ・・・なんこれ・・・」



477:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:51:15 KV+OvPk20
足がズキズキ痛む。
それでも、とにかく立ってここから逃げ出さなければ。
痛む足を引きずり、立ち上がる

その瞬間、足に力が入らなくなり俺は前のめりに倒れた。

「まさか・・・」
足首をさすってみる。 ズキズキとした痛みがさらに強まる。
そして変な方向に曲がっているのを見て・・・絶望した。
脱出の第一歩でいきなりしくじってしまった。
華麗な逃走劇とはならず、ここで終わりのようだ。

「立てる?手、貸そうか?」
不意に差し出される白い手。 そちらに手を伸ばしかけたとき・・・
「うわっ!」
手首を掴まれそうになって慌ててひっこめた。
「もう、惜しいなぁ 拇印さえ押してくれたらそれでいいのに」
彼女のもう片方の手には朱肉なのかスタンプケースのような物が見えた。


478:本当にあった怖い名無し
10/09/12 20:51:53 KV+OvPk20
「誰が買うか! ふざけんな!」
地面にへたり込んだまま怒鳴る。だが無駄な抵抗だと自分が一番理解している。

「めんどくせぇ」
後ろから男の声がしたかと思うと左腕を強引に持ち上げられた
「がっ!痛ぇ! くっそ離せ!」
抵抗を試みてみるも右腕ももう一人の男に掴まれて身動きが取れない
「ホラ、諦めて楽になれや」
手首をつかまれ、スタンプケースに押し付けられる。
「ふざけんな! ここ、こんなの違法だ!」
「そうね。でも返品も訴訟も一切受け付けないわ。ふふっ」
もうダメだ。 俺のだらしなく垂れ下がった手首は契約書の方に伸ばされている
50万、いやそこには100万と書いてある。
この年でそんな金払えるはずもない。
しかし訴えたところで、恐らく彼女らは姿を消しているだろう。
どだい、勝ち目の無い戦いだったんだ。
ひっかかった俺がバカだった。
メリーさんに来てもらいたかった俺がバカだった。

「もういい加減懲りた?」
突然目の前から妖艶な声が聞こえた

          ~メリーさん派遣会社 第3話~


479:本当にあった怖い名無し
10/09/12 21:02:05 Gsjfhu+e0
>>420-438

480:本当にあった怖い名無し
10/09/12 21:24:05 TPwderyL0
イカ臭さが最高潮になりました

481:本当にあった怖い名無し
10/09/12 21:40:25 XWoo2j7K0
>>453
馬鹿かお前

その専用スレが容量過多で落ちて迷惑をかけないように
ウニが気を使ってこっちに投下してるんだろうが

482:本当にあった怖い名無し
10/09/12 23:21:31 +RFBetFrO
ていうかいくら人気が出ても専用スレを使う、なんて特別に隔離してやる必要もない。
シリーズものならシリーズものスレに投稿するのがまっとうなやり方だろう

容量を気にするならたまにしか投稿しないウニより なんとかさんが自重しればいいんじゃないかな

483:本当にあった怖い名無し
10/09/12 23:32:41 eI9wpkoF0
ウニが専用スレに投下するようになったら、もうそれって、こっちが隔離されたようなもんだよ

484:本当にあった怖い名無し
10/09/12 23:37:09 Id3XSiJ70
憎い!
このスレが!
お前らが!
赤緑が!ウニが!枯野が忍が憎い!!
俺はお前らとこのスレを絶対に許さない!

byメリーさん


んでメリーさんはなんでこのスレを憎んでいるのでせうか?

まあどうでもいいか!
ウニ乙!

485:本当にあった怖い名無し
10/09/13 00:44:09 w8Few6YL0
遅れ馳せながら、ウニ乙!!

486:本当にあった怖い名無し
10/09/13 00:44:32 fM2Qs+JN0
>>458
ぱっと見の1レスだけでも分かるような文体だし、IDでサクッと消せばいいんでない?

487:本当にあった怖い名無し
10/09/13 01:49:38 Y6Mh5ZqX0
忍の人、どうなったのかなぁ…

488:本当にあった怖い名無し
10/09/13 16:41:04 5Aq9qLR60
コテトリは無いけど「メリーさん」をNG登録しとけばスッキリするんだな
容量潰しに関しては、迅速なスレ立てとコピペで対応するんだな

489:本当にあった怖い名無し
10/09/13 17:37:13 mh4WpPGvO
メリーさん、もうコピペ止めるって言ったの信じてたのに><

490:本当にあった怖い名無し
10/09/13 20:22:17 tKkOL4nIO
ウニというやつの底は知れた
もう興味なくなったから荒らさないよ

491:本当にあった怖い名無し
10/09/13 21:37:54 /VaqEJwh0
ゴミを分別するのにどんだけ時間かかってるんだよ、カス

492:本当にあった怖い名無し
10/09/13 23:20:14 KDvnpOHY0
前スレでコテつけて書き殴ってた者だけど、続きあるけど、いる?
ウニさん戻ってきたし、もういいかな。

493:本当にあった怖い名無し
10/09/13 23:55:48 +3Jp8fQ/0
うん、もういいです。

494:本当にあった怖い名無し
10/09/14 00:03:13 KDvnpOHY0
おk
明日まで一応反応見てみるわ。
あとブログにまとめました。興味があったら検索してくり。

495:本当にあった怖い名無し
10/09/14 01:05:18 x0oQfDq50
赤緑スタイルで投下するって言ってた人だよね?
続きがあるなら読みたい

496:本当にあった怖い名無し
10/09/14 03:30:46 i5E0whp/O
おいばかやめろ
>>492のように構ってオーラ出す奴はろくなのがいないってわかってんだろ…

次の台詞はこうだ

需要あるみたいなんで投下します
自己責任で以下略


497:本当にあった怖い名無し
10/09/14 05:34:29 Lh2JxDVeO
別にいいじゃん。
メリーより100000000000000000000000000000倍マシ!

嘉門!!タツオ!

498:本当にあった怖い名無し
10/09/14 06:53:07 d3y9SmTE0
>>496
別にいいんじゃない? てかそういうスレだし。

499:本当にあった怖い名無し
10/09/14 09:32:08 mK/jCbX30
メリー以外来いや!

500:本当にあった怖い名無し
10/09/14 14:35:10 u+6TVE290
500

501:本当にあった怖い名無し
10/09/14 19:11:52 JHOBvTqp0
>>496
これからブログとか携帯サイトに活動先を移すとしても、
一応このスレで書き始めたわけだから
あいさつくらいしとくのが礼儀かな、と思ったわけです。
「師匠」の名前も借りてるわけだし。
心配しなくてもそのうち出て行きますよ。
コテも変えないのでNG登録しているならそのままでおk。

よっしゃ。

需要あるみたいなんで投下します
自己責任で以下略

502:本当にあった怖い名無し
10/09/14 19:28:06 NEmtfgR50
おお、誰かと思ったらウニじゃない師匠の方か
それ先に言ってよw
スレに沿ってるし問題ないよ

503:本当にあった怖い名無し
10/09/14 20:49:20 I8A8izYnO
ここらで師匠も交えて真剣に話し合おうじゃないか。

なぜウニはここまで嫌われるのか。

をさ。

504:本当にあった怖い名無し
10/09/14 21:11:22 kEgpweAz0
>>503
お前らのウニへの嫉妬だろ
ウニの作品面白いし
人気あるからどうしても目立つし

いつまで粘着してるんだよみっともない
好きに投稿させとけよ


505:本当にあった怖い名無し
10/09/14 21:20:38 I8A8izYnO
ネタどろウニにお題を提供しよう。
お題は
ウーパールーパー

この生き物の特徴は手(足)が短く陸上では動けない。
おまけに鰓呼吸だから声が出ないんだよ。

どうよ。

506:本当にあった怖い名無し
10/09/14 21:44:13 mlCuowUE0
>>505 おたんこナス

507:本当にあった怖い名無し
10/09/14 21:48:07 +nT+6X4x0
臭いレス多いね!

508:本当にあった怖い名無し
10/09/14 22:09:58 i5E0whp/O
>>501
下手だろうと何だろうと全く構わないんだけどお前のような構ってちゃんだけはほんとウザい。
物のを書く奴は読んで欲しいから書くんだよ。
いる?とかどんだけ大物だっつのw


509:本当にあった怖い名無し
10/09/14 23:13:58 CGHkAB0v0
>>501
いちいちお伺い立てて投稿するのはどうも馴れ合いの匂いがする
よって内容の良し悪しに関わらず印象や評価は総じて低くなる


・・・と、考える人もいるから気をつけな
投稿したいなら何も言わずビシッと投稿、くらいの方が好感は持てる

510:本当にあった怖い名無し
10/09/14 23:24:05 f+skg4ym0
ウーパールーパーは誰でも参加していいの?

511:本当にあった怖い名無し
10/09/15 00:10:14 LEQ01lLxO
まああれだ、
どんなに礼儀正しくしてもつまんない話はつまんないよ

読んで欲しいなら何も言わずに投下するんだな
ここはそういう所だってある程度居る奴なら分かるはず。

話が面白いかどうかも分からないのに
勇気が出ない奴を励ましてやったり催促したりなんて面倒な事するくらいなら「じゃあ投下しなくていいよ」って感じだ
プロの物書きじゃないんだからさ

512:本当にあった怖い名無し
10/09/15 00:25:46 NRqoFAp00
まあウニ以外は誰が来ても儲に叩かれる訳だけど

513:本当にあった怖い名無し
10/09/15 00:42:05 UOLkkvj/0
結論。誰が書いても叩く奴は出るので書きたきゃ書けばいい

514:本当にあった怖い名無し
10/09/15 09:11:20 w/AtEG0rO
そしてスレは落ちていくのであった…

515: ◆vMX7No9XKtZK
10/09/15 12:41:30 PNC1TGAs0
すいません。急な呼び出しがあって、でかけてました。
↑見苦しかったですね、説明した方がいいかなと思ったんですが…。気にしないで下さい。

自己責任で読んで下さい。警告したので始めます。

"亜利鎖と魔鎖美"

私は一流ゴーストハンターの亜利鎖(ありさ)。
今日は、山の中にある呪われた廃病院跡を探査しに来ている。
ここは市内で有名な心霊スポットで
ネット上では先月「鬼」が出たという噂もある。
実はこれは秘密なのだが
私の所属先で、ゴーストハンターギルドである
幽楽商会(ゆーらしょうかい)からの探査依頼なのだ。
依頼によると、ここは特殊な場所で
夜よりも昼のほうが霊が出易いとのことなので
あえて幽霊の出易い時間帯を選んできた。
今は、午後2時ちょうどだ。

柵のこじ開けられた所を潜り
雑草が生え放題の敷地に入ると
日が照っているのにブルッと寒気がした。
はっ、ヤバイ!
私の右手である"魔眼手"(まがす)が
今日も血に飢えて猛り狂っている。
「ぐうぅ、右手よ沈まれぇ…!!」
私の全霊力を使って無理やり押さえ込まれ
ピクピクと痙攣する右手を
左腕で押さえ込みながら、私は病院に入れそうな所を探す。

516: ◆vMX7No9XKtZK
10/09/15 12:43:25 PNC1TGAs0
まずは1階病室の窓から侵入を試みたが、どこも開いていなかったので諦めた。
気落ちして帰ろうとしていると、正面玄関が開いていることに気付く。
くっ、私としては珍しいミスだ。
だが、一流ゴーストハンターはこんなことで落ち込まないのだ。
正面玄関から堂々と入る。
鬼でも幽霊でも、来るなら来ればいい、
戦闘態勢を取りながら、私は廃病院の階段を上がっていく。
2階のA204、ここだ。
これが今回の依頼の場所だ。
私の上司である上級幽撃師(と書いて"マスター"と読むのだ)によると
ここで死んだ、子供の患者が残していった
"おもちゃの缶詰"が呪われているので、確保して欲しいとのことだった。

窓際の薄汚れたベットの横にある棚に
窓からの日差しに照らされて、キラキラ輝くブリキの箱を発見する。
あった、これだ。よし、これで任務は半分完了だ。
私は、溢れ出る達成感を
「全任務完了までは気が抜けない」ときつく戒めて
素早く病院から脱出し、
門の近くに止めておいた自転車で山道を降っていく。
あとはマスターの元に、このブリキの箱を届けるだけだ。

517: ◆vMX7No9XKtZK
10/09/15 12:44:43 PNC1TGAs0
マスターとは、ネットのオカルトサイトで知り合ったのだが
同じ市内に住んでいることを知ったのをきっかけに、
黒魔術や、日本の神霊などについて等
メールのやり取りをしている内に親しくなり
私が会いたいと言って、市内のファミレスで会ったのだ。
「いやぁ…まさかこんなに若い子とは、たまげたなあ…」
マスターもなかなか若かったが
こんなに霊力がある私が、さらに若いのをマスターは驚いたのだろう。
その時にかなり困った顔をしていたマスターに頼み込んで
私はむりやり弟子にしてもらったのだ。
しかし、それももう1ヶ月半も前の遠い昔の話だ。
ふふふ、その後数々の任務を達成した私は、
マスターから絶大な信頼を得ることに成功して
一流ゴーストハンターの称号も貰い、
さらに先日、幽楽商会の"本拠地"の場所を教えてもらったばかりだ。

そんなことを思い出しながら、自転車で町中を走り抜けていると
その本拠地にたどりつく。
…なんだか今にも潰れそうな古臭い木造の建物だ…。
一言で言ったら、"昭和"って感じだろうか。
そう言えばマスターが言っていた。
見た目は小汚い古物屋だが、それは偽装だと。
中には最新設備の秘密基地があるはずなのだ。
よしっ、久しぶりにマスターに会いに行こう。
最近はマスターも忙しいらしく、一緒に依頼をこなすことも少なくなったのだ…。
意を決して、ガラガラと軋む引き戸を開けて入った。

「マスター!例の場所探査してきました!!」

518: ◆vMX7No9XKtZK
10/09/15 12:50:11 PNC1TGAs0
「あれ、マスターは?」

頭にタオルをまいてマスクをした、背の高いお兄さんが
薄汚れた棚をはたいている所だった。
驚いた顔で
「えっ…?いや、ここ、俺の店なんすけど…」
「えっ…マスターはここが幽楽商会の本拠地だって言ったんです。
 早くマスターに連絡してください」
「…ちょっと待って、少し考えるから」
そのお兄さんは暫く腕組をしたあと、
閃いたっ!という顔をして、腕をポンッと叩き、マスターの特徴を尋ねてきた。
「…という感じの顔で、背は普通くらいです」
「…Aの野郎…コロス…」
怖い顔で、何事かボソボソ呟いたあとに
「ところでお嬢ちゃん、よく考えたら今日って平日だよね…
 見たところ中学生くらいだけど、学校には行ってるの?」
「行ってません。みんな…本当の私が分からないから人ばかりだから」
「それは、もったいないなぁ…」
お兄さん、私の"冥界への道"(ロードトゥプルートゥ)に
それ以上踏み込まないで下さい。血を見ますよ。
いきなりお兄さんが、商品の中から丸めてある長いポスターを抜き取って
私の頭を叩き出した。
「ちょ、何するんですか!止めてくださいよ!
 私の"魔眼手"が黙ってませんよ!」
私の警告にも関わらずお兄さんはポカポカとポスターで
私の頭を叩き続けた。

519: ◆vMX7No9XKtZK
10/09/15 12:52:15 PNC1TGAs0
「ちょっと止めてください!ぐうぅぅぅ右手よ。沈まれぇぇぇ」
お兄さんは指を刺してケタケタと笑った後、ポスターで叩くのを止めた。
どうやら私の霊力に恐れをなしたらしい。
半分笑ったままで、お兄さんは話し出した。
「黙っていたが、君のマスターは用事があって今日は来れない。
 しかし、少し楽しませてもらった代わりに、これを貸してあげよう」
ぽーん、と私に紫色のブレスレットを投げてよこす。
落としそうになりながらも、なんとかキャッチする。
「それを"利き腕の逆につける"と面白いことが起こるから、家に帰ったら試してごらん」
途惑っている私を、入り口から押し出しながら
お兄さんは笑顔で「飽きたら、返しにおいで~」
と言い、ピシャッと店の扉を閉められた。

私はよくわからない展開に呆然としながら、自転車を押してそのまま家に帰った。

その夜のことだ。
私は左手に付けてある、昼間に貰った紫色のブレスレットを
眺めながらため息をついていた。
さっきからずっと身につけているが、面白いことは何一つ起きない。
騙されたのかもしれない…。
「はあ、どうしたら…みんな、私の本当の力を分かってくれるんだろう」
とりあえず何もする気が起きなかったので、いつものように愚痴を言いながら
お気に入りのゴスロリ風の黒ワンピを着て、姿見に映った全身を眺めていると
"私には分かるよ…"
と、どこからか声が聞こえた。
部屋の中を見回していると視線の端で、
姿見の中に映った私の姿が変わっていくことに気付いた。
次第に輪郭や色が歪み、鏡全体が光ったかと思うと
そこには、私と同じものを着て、私そっくりな金髪、碧眼の少女が立っていた。

520: ◆vMX7No9XKtZK
10/09/15 12:55:19 PNC1TGAs0
鏡の中から声が聞こえる。
"私、いま名前が無いのよ。名前を付けてよ"
「どういうことなの…」
つい弱音が口をついてでる。一流ゴーストハンターとしてはあってはならないことだ。
"…驚いたのならごめんなさい。貴女がつけているブレスレットの精みたいなものよ
 それより…早く名前をちょうだい…"
とっさに
ま…さ…み……魔鎖美(まさみ)という名前が思い浮かんだ。
それを告げると、女の子は少し不満そうな顔をして
"もう少し、イケてるのは無いの?…ほら、アリスとかスカーレット、モモみたいの"
「いや…私は魔鎖美がいいと思うんだけど…」
女の子はため息を吐いて言った。
"しょうがないわねぇ…じゃあ魔鎖美でいいわ。貴女、名前は?"
「私は亜利鎖。親からつけて貰った名前は捨てたの」
女の子はヒューと軽く口笛を吹きながら
"反抗期ってやつね。誰にでもあるものよ。
 私こう見えても長生きだから、何なら話聞こうか?"
と、いきなり鏡から抜け出てきた。
「ああ、私は貴女以外には普通は見えないから心配しないで、
 あと飲み食いも必要ないから、食費もかからないわ」
そう言いながら、いつの間にか手元に持っていたリモコンを操作してテレビ番組をザッピングしながら
どこからか持ってきた座布団に座ってリラックスしだした。
「へぇ~、最近はこういうのが流行ってるのね。まともに出てくるの10年ぶりだからねぇ…。
 ああ、そうそう貴女そっくりなのも、お約束みたいなもんだから
 私って自分の姿が無いのよ、だから外に出る時は持ち主の形を借りるの」
かなり驚いたが、これも一流ゴーストハンターである私の霊力が招いたことなのだろう。
せっかくなので一晩かけて色々な悩みを聞いてもらった。
魔鎖美はずいぶん経験豊富なお姉さんらしく
たくさんアドバイスをしてくれて、励ましてもくれた。

521: ◆vMX7No9XKtZK
10/09/15 12:57:35 PNC1TGAs0
次の日、揺さぶられて目を開けると、目の前に魔鎖美が居た。
昨日のことは夢ではなかったらしい。
時計を見たらまだ午前7時だった。
学校にいかない私はこの時間はいつも眠っているのだ。
魔鎖美は満面の笑みで
「行こうよ、学校に行こう。私がついてるから大丈夫だよ」
言いながら用意していたらしい制服に、まだ半分寝ている私を着替えさせた。
どこからか、教科書の詰まったカバンも持ってくる。
そのまま私の背中を押しながら、廊下を出てキッチンに向かわせた。

この時間はいつも両親は帰ってきていないか
夜勤明けで寝ているので、朝食はいつも自分で作るのだが、
食卓に入った私は目を見張った。
焼きあがったパンと目玉焼き、ミルクの入った暖かいコーヒーが
すでに用意されていたのだ。
「うふふ、私にかかればこんなもんよ。さあ食べて食べて」
得意気に魔鎖美は言い、食べることを促した。
美味しい…。そう言えば、他人の作ったご飯なんて何年も食べてなかったかもしれない。
やる気になった私は2ヶ月ぶりに学校に行くことにした。
「じゃ、私は一旦消えるけど、ブレスレットさえ付けておけば、いつでも呼べるから」
登校のお膳立てを全て済まして満足顔の魔鎖美は、笑顔で手を振りながら消えた。

意気込んで玄関に綺麗に揃えられていた靴を履き、力強く登校して
校門を潜るまでは良かったのだが、そこで急に力が抜けた感じがした。
敷地内に入ると、何だか笑われている気がしたのだ。
「気のせいだ」と我慢して靴箱に靴を入れ、自分のクラスの前までは何とかたどり着いたが
それは教室の戸を開けると現実のものになった。
静かだったクラスがいきなり騒がしくなる。

522: ◆vMX7No9XKtZK
10/09/15 12:59:29 PNC1TGAs0
「ねー、アレ見てよ」
「うわっ、キモッ」
「よく生きてたね。私だったら恥ずかしくて自殺してるわ」
何人かの女子たちが、私にわざと聞こえるようにクスクスと笑いながら話している
意地悪な男子が耳元で囁いてくる。
「中二病乙wwww」
涙目で机に突っ伏しながら
何だ…いつもと同じじゃない…はあ、学校なんて来なければ良かった…。
それもこれも2ヶ月前に授業中に悪魔召還の呪文を唱えて、失敗したせいだ…。
本の通りにやったのに、何で上手くいかなかったんだろう、
欲張って蝿の王(ベルゼブブ)召還しようとしたのがいけなかったのかな…。
と後悔していた。ふと人の気配がして
突っ伏したまま、顔を上げると
魔鎖美が立っていた。
「私はどうしたらいい?」
穏やかな声で問いかけられる、少し考えてから呟いた。
「…平和な学校生活が欲しい…」
「分かった」
そのまま突っ伏していると、背後でギャッという悲鳴が上がった。
どうやら私の背中から、花瓶の水をかけようとしていた男子の顔に
魔鎖美が思いっきりグーパンチを当てたようだ。
尻餅をついた男子は魔鎖美の姿が見えないらしく、何が起こったのか理解できない表情をしている。
そのまま魔鎖美は教室中を駆け回り
私に嫌味を言っていた子たちの顔を叩いてまわり、足をかけて転ばし
その子たちのカバンや筆記用具などを次々に窓から投げ捨てていった。
教室は大混乱を起こし、他のクラスの生徒も見に来た。
そのまま数分間魔鎖美は暴れまわり
騒ぎを聞いて先生たちが駆けつけてきたところで
ピタッと止めて、何食わぬ顔でクラスメイト達を擦り抜けて私の前に帰ってきた。
「また、何かあったら言って」
そう言って目の前で消えた。

523: ◆vMX7No9XKtZK
10/09/15 13:03:30 PNC1TGAs0
その後クラスメイトたちは、私にかまうどころでは無かったらしく
ずっとみんなさっきの話をしていた。
クラスメイトには誰も魔鎖美が見えてなかったようで、
給食時間の頃には「ポルターガイスト現象」ということで意見が一致していた。
ちなみにあれだけ暴れまわったにも関わらず、傷跡が残るような怪我人は一人も居なかったようだ。
どうしてもっと激しくやらなかったのかな。と思っていると
「だって原因は貴女にもありそうだし、子供にそこまでするのはかわいそうじゃない」
という魔鎖美の声がどこからか聞こえた。
その後も時々、それでもちょっかいをかけようとする子は居たが
その度に、どこかから見えないビンタが飛んできていたので
下校時刻の頃には、私に手を出そうとする子は一人も居なくなっていた。

次の日教室に入ると、皆の目が昨日とは変わっていた。
私を何か怖いものでも見るように避けるのだ。
みんな何となく、昨日のポルターガイストの原因が私であることを理解したようだ。
最初のうちは「とうとう皆にも本当の私の力が分かったんだ!」と鼻高々だったのだが
怖がられて避けられ続けていると、そのうち何だか寂しくなってきた。
これが私の求めていたものだろうか…。
昼休みに、また涙目で机に突っ伏していると
魔鎖美が目の前に出てきた。
「どうやら、友達が必要なようね」
私は涙目で頷いた。
「ふぅ…思春期は複雑だわ。じゃ、放課後まで我慢しなさい。何とかしたげる」

授業が終わって教室を出ると、魔鎖美が待っていた。
手を引かれて、旧校舎の最上階である3階に連れて行かれる。
使用されていない教室の前を通り抜けて、突き当りまで来ると
古臭い木の看板に
汚い字で"オカルト研究会"と書かれているものが立てかけられていた。
知らなかった…うちの学校にこんな部活があったんだ。
「さあ、さあ」
と背中を押す魔鎖美に促されながら、教室の戸を開ける。

524: ◆7QPLwJZR/Ypf
10/09/15 13:10:06 PNC1TGAs0
申し訳ない、トリップ間違えてました。
つづき↓

「こんにちわ…入部したいんですけど…」
入るなり、上級生らしい女の人に握手を求められた。
「入部大歓迎ですよ!何年生?」
「2年です…」
「良かったあ…新しい人は入ってこないし、
 来年部員がけっこう減るから、困ってたのよ!」
部員を紹介された、元気のいい部長と、
おとなしそうな眼鏡の一年女子や、
顔がそっくりな双子の女の子たち
無口なイケメン、人の良さそうなぽっちゃりした男子まで
みんなそれぞれだが、雰囲気は良さそうだ。
「ああ、それから顧問の先生も紹介するね。先生!なんと新入部員です!!」
部長が声をかけた先を見てみると、日当たりの良さそうな奥の机に、
総白髪の髪を七三分けにした、温厚そうな中年の先生が座っていた。
「おや、君はもしかして今学校で話題の
 ポルターガイストっ子じゃないのかい?」
私に顔を向けると先生は、椅子から立ち上がって驚いた顔をした。
しまった…そんなに有名になっていたのか…さっそく退部させられるかもしれない。
「……」
冷や汗をかいている私に、近寄ってきた先生は
予想とは裏腹に、私の肩をポンポンと叩いて嬉しそうに笑った。
「はっはっは。将来有望な子が入ってきて、我が部も安泰だ」

それから瞬く間に1ヶ月が過ぎた。
オカルト研究会を通じて、友達ができた私は
休み時間に一人で寝たふりをしなくても良くなった。
放課後も、家で一人でネットでオカルトを調べたり、
黒魔術の呪文書やブックオフで買った自殺マニュアルシリーズを読んでいたのが嘘のように
部活で過ごすことが多くなった。

525: ◆7QPLwJZR/Ypf
10/09/15 13:15:14 PNC1TGAs0
魔鎖美は相変わらず私の側に居て
朝御飯を作ったりと、毎日の生活をサポートしてくれている。
最近、学校での私が手が掛からなくなって暇なので、
校舎内の人間模様をウォッチングするのが、趣味になったようだ。
「3年担任の○先生と1年担任の○○先生はデキてる」とか
「この間、いじめっ子見かけたので殴っといた」
とか色々と報告してくる。
家に居て暇な時は、ずっとテレビを見たりネットをして人間世界を観察している。
魔鎖美曰く「月並みだけど、人間の方がうちらより深刻だねぇ」とのことだ。

そんな平和な日々が続いた、ある日の放課後、
オカルト研では部員が全員集合して、あるものを覗き込んでいた。
顧問の先生が、古い変色した木で出来たシャモジを持ってきたのだ。
なんでも明治時代からあるものらしく
九十九神(付喪神)と呼ばれる、モノに憑く霊が宿っているとのことだ。
そういうものを収集して除霊をしているお寺の住職から
特別に借りてきたらしい。ちなみにその住職は先生の飲み仲間でもあるそうだ。

その時、たまたま魔鎖美も姿を現して(見えるのは私だけだが)
人垣の後ろからシャモジを興味深そうに見ていた。
一流ゴーストハンターである私には(また引かれても困るので、オカ研では私の力は秘密にしているが)
特別な霊力は感じられなかったが、ふと隣を見てみると
なんだか魔鎖美の様子がおかしくなっていることに気付いた。
独り言をブツブツ呟いている。

526: ◆7QPLwJZR/Ypf
10/09/15 13:18:23 PNC1TGAs0
「どうしたの?」小声で尋ねてみても
「ナカマ…カ…エセ…ナカ…マ…ワタシノ…ナカマ…タ…スケル…」
と要領を得ない。首を傾げていると
いきなり手を伸ばしてシャモジを取った。
かと思うと、教室の戸を開けて廊下に駆け出した。
私以外の部員には、いきなりシャモジが宙に浮いたように見えたらしく
みんな目を丸くしている。
「うわぁぁぁぁあ」
直後に学校中から生徒や、先生たちの叫び声が聞こえだした。
廊下に出て、新校舎の方を見ると
「きゃはははははははははははははははははははははははははは」
シャモジを持った魔鎖美が、我を忘れたように凄い速さで廊下を突っ走っていた。
その後ろで、嵐のように校庭に舞い上がるテスト用紙
踊りだす給食の食器たち
走り回る理科室の人体模型たち
3倍速の"魔王"が校舎のスピーカーからは流れている。
大混乱だが、もうかなり遅いので生徒がほとんど残っていないのが救いかもしれない。
騒ぎの合間に、頼みの顧問の先生はどこかに消えてしまい、
オカルト研のみんなも、私もどうしたらいいのか分からないでアタフタしている内に
どうやら学校を荒らすのに飽きたらしい魔鎖美は
食器や、人体模型を引き連れて校庭に出て
台座の上で動き出した二宮金次郎像とダンスをしだした。
私は決心して、校庭に飛び出して魔鎖美に近づく。
しょうがない。私の"魔眼手"(まがす)の力を解放するしかないようだ…。
せっかくできた友達に、また引かれるかもしれないが
一流ゴーストハンターである私の義務だ。

527: ◆7QPLwJZR/Ypf
10/09/15 13:20:04 PNC1TGAs0
「ぐうぅぅ」と右手に霊力を込めていると
向こうの校門の方に大小の人影が2つ見える。
「先生から連絡受けて、来てみたらこれだ」
「やっぱり、暴走したか…、今度こそ人の役に立つんだって粋がってたのにな…」
何やら話しながら2人は近づいてきた。
顔を見れる距離まで来た時に、私はあることに気付いた。

「マスター!!」

あの古物屋の長身お兄さんと一緒に、マスターが立っていたのだ。
久しぶりマスターに会えて私は何だか興奮している。
「ほら、A・ロリコン・マスター。弟子が呼んでるぞ」
お兄さんから背中を押されたマスターはバツの悪そうな顔をして
私の方に歩み寄り
「ちょっと、ごめんな」と
私の左手のブレスレットを、上からマスターの両手で握った。
その瞬間、ピタッと魔鎖美が我に返ったように止まる。
踊っていた食器や人体模型、二宮金次郎も元に戻った。
「あれっ、何してたんだろ私」
「迷惑かけてたんだよ。ほら、もう帰るぞ」
2人には魔鎖美が見えるらしく、普通に会話している。
「またやっちゃったなあ、これでも改心はしてるんだけどね…
 どうしてもさ、きっかけがあったら騒がずにいられなくて
 これって九十九神の性質なんだよね…」
魔鎖美は言い訳しながらも、かなりうな垂れていた。
「やあやあA君。君の居た頃のオカ研は楽しかったなぁ」
どこに隠れていたのか、オカルト研顧問の先生がいきなり出てきた。
「あ、先生この度はご迷惑かけて申し訳ないです」
「最近寺の飲み会であっとらんが、お母様は元気かね」
「いやぁ、お陰様で…」
「重要OBの君だが、それでもうちの生徒をからかうのは感心できんなぁ」
「本当…もうしわけないっす…」

528: ◆7QPLwJZR/Ypf
10/09/15 13:25:37 PNC1TGAs0
私は、驚いていた。
あのマスターが何度も頭を下げている…もしかしてうちの顧問の先生は超大物なのかも…。
「できれば、母には内緒にしといて欲しいんすけど…」
「今度、何か面白いものを貸してくれたら考えてもいいぞ…」
ヒソヒソと2人で何か話している。組織の大幹部にしか分からない話なのだろうか。

「ありがとう、楽しかった」
魔鎖美は少し寂しそうな顔をしながらそう告げたあと
古物屋のお兄さんに、私の腕からブレスレットが外されると、
バイバイと手を振って消えた。
今までお世話になったことや、これから一人でやっていくことを思うと、
胸が痛んで泣きそうになったが、
マスターから「またいつでも会えるから」と声をかけられて
私はそれを信じることにした。
何せ一流ゴーストハンターなのだ。そうだ。強く生きていかなければならない。
私は毅然とした態度でみんなと一緒に散らばった食器や、人体模型の片づけを手伝った。

今日の出来事は、2~3日遅れで
謎のポルターガイスト騒ぎとして地元の新聞が小さく記事にしたのを頂点に
その後、ゆっくりと誰もが忘れ去って行った。

529: ◆7QPLwJZR/Ypf
10/09/15 13:31:07 PNC1TGAs0
後日、マスターから詳しく話を聞いた。
あのブレスレットは戦前にある華族のお姫様が作り
大事にしていたものであること
それを子孫が大切に受け継ぎ、
ある時、モノにつく幽霊の類の"九十九神"が宿っていたということ。
その九十九神が魔鎖美だったこと。
その品が今回のような問題を何度か起こし
回りまわって、あのお兄さんの古物屋に引き取られたこと。
あの古物屋のお兄さんはマスターの5番弟子ぐらいで下僕のようなものであること。
あの古物屋のお兄さんは幽楽商会的には、使い捨て戦闘員的ポジションなので何も知らなかったということ。
古物屋が汚すぎて、本拠地は移転させたので秘密保持のためしばらくは場所を教えられないと言うこと。
ついでに、シャモジは返したブレスレットと一緒に、古物屋のお兄さんにマスターが命令して引き取らせたらしい。

マスターはまた困ったことがあったら
ブレスレットを古物屋のお兄さんには内緒で貸すから
取りにおいで。と言ってくれた。
だけど、私は、
魔鎖美にはすぐにでも会いたいけれど、
今のところ学校生活は上手く行っているし
また問題を起こして、魔鎖美が除霊されたりでもしたら悲しいので
しばらくは我慢することをマスターに告げた。
了。

530:本当にあった怖い名無し
10/09/15 14:04:11 y1Acmw1VO
乙!面白かったよ!

531:本当にあった怖い名無し
10/09/15 14:19:26 cXAgBmrt0
乙 こっちの師匠シリーズはコミカルで楽しく読める

532:本当にあった怖い名無し
10/09/15 18:09:22 m/lE8YePO
警告はしてあるんだけどさ、
毎回、読んで後悔するんだよなぁ。

533:本当にあった怖い名無し
10/09/15 18:41:26 Uo6FIVQf0
“ゴーストハンター”でまず目が拒否した・・・。

あとでゆっくり読もう・・・

534:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:06:47 Yh6mt5+K0
夢の中で、「これは夢だ」と気がつけるのは大抵夢の終わり、
目が覚めてきた頃だ。
ちょうど、今そんなことまで考えられるようになった。
これは、夢だ。

「んん・・・ん・・・」
これまでにないくらい意識がぼんやりする。
いつ寝たのだろう。そして今何時なんだろう。
部屋に日が差し込んでやわらかい明るさに包まれている。
たぶん、朝なんだろう。たぶん。

腰の辺りに重さを感じて手を動かす。
ぱた、ぱた、何も無い。 ぱた、ぱた、何かに当たった。
「あら、大胆なのね」
「うわっ!」
ビックリして飛び起きそうになったが何かが体の上に乗っていて
体がひきつっただけだった

「おはよう」
慌てて目をこすると白いブラウスを来た女がちょうど
俺の腰の辺りに馬乗りになって座っている。
「わっ!」
後ずさろうとするが両膝で腰を固定されていて動けない。
「初めまして。私はメリー。 ・・・「私も」と言った方がよかったかしら?」
「え・・・?」
その一言でだいぶ目が覚めた。
「そんなに怯えなくったっていいじゃない。律儀に電話からの方がよかった?」
そう言いながら胸元に手を添える
「えちょ・・・」
「顔が真っ青よ。 私が気持ちよくしてあげようか・・・な♪」
女はブラウスのボタンをゆっくり上から外し始めた


535:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:09:00 Yh6mt5+K0
「やめてくれ!」
ほとんど悲鳴のように叫ぶ。
以前の俺なら、喜んで食いついただろうが、もううんざりだ。
メリーさんには、関わりたくない。

「上等、上等。 それでいいわ」
そう言うと彼女はボタンをそそくさと付け直して
ささっとベッドから降りて、そばにある椅子に足を組んで座った。
もったいないことしたかな・・・と考え始めてしまう。

「その様子だと、もうだいぶ懲りたみたいね」
「へ?」
「ま、いいわ。 コーヒー買って来たからよかったらどうぞ」
机の上には缶コーヒーが1本置かれている。
何が何だかよくわからなくて、ぼんやりしたまま体を起こし、ベッドに座る。
「はぁ・・・いただきます」
プシュッ カコン ゴクッ
うへぇ。ブラックだ。 ブラックは嫌いなのだがおかげ頭もよく覚めそうだ。
「タバコ、いいかしら?」
「あ、あぁどうぞ・・・」
「ありがと」
返事を返す前から彼女はタバコを咥えている。
カチッ シュボッ カチン
「ふー・・・ま、ゆっくりそれ飲んで。それからでいいわ」
何がそれからなんだろう。 だんだん不安になってきた。
(何か忘れているような・・・なんだっけ。
足をケガしたんだっけ、そういや・・・)
足首をさすって見るがどこもケガはしていない。
やっぱりあれは夢だったんだろうか。


536:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:10:08 Yh6mt5+K0
「ふー・・・ふふふ、何もしないからそんなに緊張しなくてもいいのよ」
冷ややかに笑いながらこちらを見ている。
タバコの灰が落ちそうだ。

「あ、あのこれ・・・灰皿」
飲み終わったコーヒーの缶を差し出す。
「あ、いいのいいの。持ってるから。そういうマナーは守るほうなのよ、私」
ポケットから携帯灰皿を取り出すと、タバコをそのまま入れてしまった。

「どう?だいぶ目が覚めた?」
「はぁ、おかげさんでなんとか」
「そ。じゃあいいわね」
長い髪をかき上げながら彼女は話し始めた。


537:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:20:00 Yh6mt5+K0
「あなた、メンインブラックって映画見た事ある?」
「え、えぇ1も2も見ました」
はぁ?と答えそうになったが無難に答えることを心がけた。
「そう。それはよかった。私ね、あの映画が好きなの。
それで、自分の会社を持ってるんだけど、
その会社名も『MIB』なのよ」
そう言いながら彼女はズボンのポケットから革のケースを取り出した。
「ほら」
差し出された名刺には、独特のフォントで確かに「MIB」と書かれている。
その字体とデザインのせいでキャバクラの名刺みたいに見えた。
「へぇ」
「おっとっと」
受け取ろうと手を伸ばすと、引っ込められてしまった。
「ごめんごめん、別にあげるために見せたんじゃないのよ。
配る為に持ってるんじゃないからあんまり数もないの」
ちぇっ。別にいいけど。
「それで、何の会社なんですか?」
「ん?いい質問ね。それはね・・・」
彼女はまた丁寧に革のケースに名刺を戻す。
「人材派遣会社なの」
「あぁ、今よくニュースで見ますね」
「ちょっと違うわね、あれとは。うちの場合、クライアントは企業じゃなくて個人。
それから利益が目的じゃないの」
「利益が目的じゃない?」


538:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:36:05 Yh6mt5+K0
「そ」
いつのまにかまたタバコを咥えている。ヘビースモーカーのようだ。
「よくわからないな。何か特殊な派遣なんですか?」
「ふーーー・・・そうね、メリーさんを派遣してる会社なの」
「へぇー・・・」

ぼんやり答えていたが、忘れていた事を思い出した。
それを察知したかのように彼女の目元が笑う。
「ふふ、大丈夫よ。私はあなたをとって食ったり絵を売りつけたりしないわ」
「いっ・・・じゃあ・・・えでもあれは夢じゃ・・・?」
「夢かも知れないし、現実かも知れない。私は別にどっちでもいいけどね」
彼女が俺のところにメリーさんを派遣した。でも一体何のために?
「あなたのところには、あなたの最も嫌いそうなタイプのメリーさんと、
あなたを最も幸せにさせておいて突き落とせるタイプのメリーさんを派遣したわ
もっとも、一人目はあなたを気に入っていたし、あなたもまんざらじゃなさそうだったけど」
「いや、いやいやいや・・・」
冗談じゃない。確かに彼女に助けられてほっとしたが・・・いやいやいや・・・



539:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:41:13 Yh6mt5+K0
「でも、何の為にそんなことを?」
当然の疑問を彼女にぶつける
「それはね、まぁゆっくり説明してあげるけど・・・あなたがメリーさんを待っていたから」
「僕が?」
「そう。 『メリーさん』は本来都市伝説。恐怖の対象。
いつ何時も、恐れられていなければいけないのよ。
でも最近は勝手に可愛い少女のイメージを横行させて、
あなたのように期待をしはじめる人間が多くなってきた」
「・・・」
「メリーさんは恋愛や性欲の対象じゃない。
そんな風に見られてると、いろいろ不都合なのよ。
だから、そういう人間のところへ失望と恐怖を与えられるメリーさんを派遣する、
それが私の仕事と私の会社『Mary In Back』
・・・ちょっと今ダジャレっぽいと思ったでしょ」
「や!思ってません・・・」
「公に出るわけじゃないから適当でいいし、洒落で付けたんだけどね」
ずっこけそうになる。この人のペースはよくわからない。
「でも、メンインブラックとメリーインバックは仕事の内容はとても似てるわ」
「え?」


540:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:41:27 Yh6mt5+K0
「情報の操作と、隠蔽。それが仕事だもの。
タバコも切れちゃったしそろそろ切り上げるわね」
どうも話は終盤にさしかかってるらしいがよくわからない。
「ちょっと待ってください、どういうことですか」
「あなたはメリーさんに対してもう嫌悪感しか感じてないはずよ。
その変化した部分以外の記憶を全部これから消させてもらうわ。」
そう言いながら細いサングラスをかける。映画のまんまだ。
「ちょ、ちょっと待って」
「だってそうでしょ、メリーさんのイメージダウン・・・本来の存在としては
イメージアップだけど・・・と情報操作の為に、
添い寝や絵売りのメリーさんを派遣してる謎の会社がある、なんて
ギャグでしかないじゃない。だから消すの」
今度はポケットからシルバーのライトを取り出す。アレをするのか。
「ほうら、ここを良く見て、それだけでいいわ」
ふと見なかったりアレの時に目を背けたらどうなるんだろうと思ったが、
何故か視線がライトの先から離れない。
「じゃあ、さよなら」



「ま、これはUSJで買ったお土産なんで使わないんだけどね」
俺はまたずっこけた。


541:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:42:00 88+UDXIx0
>>"亜利鎖と魔鎖美"

珍走団みたいな名前で読む気が失せる

542:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:43:55 Yh6mt5+K0
今日は調子が悪い。
いつもならまだ息を切らさず走ってる地点なのだが、
何故かもう苦しい。

「はっ・・・はっ・・・はぁ・・・」
肩で息をしながら歩いてしまった。
「今日は暑いからかな・・・」
俺はいつもこの時間には決まったトレーニングコースを走る事にしている
体力の向上にもつながるし、こうして何かおかしければ異変を感じ取れるからだ。
「ちゃんと寝てるんだけどな・・・そういや暑苦しいと寝てても
しっかり休めないってテレビで言ってたっけ・・・うーん・・・なんだろ・・・」

まぁ、いいか。
折り返し地点から家までは頑張ってみよう。
それにしても今日は暑い。


              ~メリーさん 最終話~


543:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:45:53 Yh6mt5+K0
暑い。 梅雨が明けたのはいいが日差しが照りつける中
スーツ姿で走るのは本当に暑い。
「待ってくださいよぉ~ せんぱぁ~い!」
「そんなこと言ってると今日も入れないぞ!」
「そんなぁ~ もー!」
ぶつぶつ言いながら後をついて来る。
自分のペースを出せばもっと楽に、もっと早く着くのだが
可愛い後輩を置いてけぼりにするわけにもいかない。

ガララッ
「いらっしゃいませー!」
目的地は事務所の近くにある中華料理屋。
昼前には既に混雑して、昼過ぎまで列が途切れない超人気店だ。
幸いうちは他の会社と違って変則的な休憩時間が取れるので
こうして混雑する前にここで昼食をとれる。 走れば、だが。
「はぁ~・・・あっつー・・・あ、座席空いてますよ、座席」
「はいはい」
「はーやっと座れる~・・・おじさん炒飯2ね!」
「俺大盛りで」
奥の座席に向かいながらカウンターの向こうの店主に注文を伝えると、
黙って笑顔で頷いた。


544:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:45:55 yFafOQyA0
最終話というからには二度と来るなよ。
復活するなよ。

545:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:48:26 cXAgBmrt0
>>533
最初引きそうになったけど途中からそういうネタだとわかったw

546:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:50:46 Yh6mt5+K0
「それで、女がロッカールームに行くと男の子が座ってて」
運ばれてきた炒飯を頬張りながらまくし立てる。
そろそろクライマックスだ。何も知らない彼女は
興味深そうにこちらを見ながら同じように頬張っている。
「ねぇ、どうしたの? お母さんは?って聞いたんだ すると」
息を少し吸い込む
「お前だ!・・・ってね」

カッと目が見開いたままで動きが止まっている。
この瞬間がたまらない。
「・・・も~・・・」
「くっくっく」
「先輩の、バガァーー!!」
スプーンを振り回してわめき散らす。
「最後まで聞くお前が悪いんだよ」
対して俺は笑いながら水を飲む。
こうやって毎日彼女と昼食をとりながら、脅かすのが最近の最大の楽しみだ。


547:本当にあった怖い名無し
10/09/15 20:51:50 Yh6mt5+K0
「ありがとうございましたー!」
ガララッ

昼食を終えてのんびりと歩いて帰る。
昼休みはまだたっぷりあるので、急ぐ必要もない。
「もー!毎日毎日怖い話ばっかり聞かせるんだから!」
「あんまり怖がるから面白くってさ、ごめんごめん」
手を合わせて謝るが笑いが隠せない。
「夜にトイレに行きづらいのが誰のせいかわかってるんですか!?」
「子供じゃねーんだからよー」
「そーれにしても、ほんといろんな話知ってますね、先輩」
自慢じゃないが、彼女と昼食を一緒にするようになってから
一度も同じ話をしたことが無い。怖い話はオチを知ってたら意味がないのだ。
「昔そういう本を読んでただけだよ」
「へぇ、今も読んでるんですか?」
「いや、今はもうだいたいの話を知っちゃってさ、読んでない」
「ふぅ~ん、先輩そういうの好きなんですね~
数字しか信用してないカタブツなのに」
「おいおい、そんな言い方はひどいよー」
「じゃあ、私と数字、どっちを信用してますか?」
「数字」
「ちょっと!」
彼女にツッコまれる。

さて、事務所に戻ったら
彼女の分も資料を整理しておかなきゃいけないな。


548:本当にあった怖い名無し
10/09/15 21:09:56 Yh6mt5+K0
彼女、涼子(仮)は極度の怖がりである。
にも関わらず、怖い話が好きで、いつも最後まで聞いてしまって
激しく後悔をする。
聞かなきゃよかった、もう次から聞かない、とは思うのだが
面白そうな話は中途半端で済ませたくない性質である。

「(仮)って何よ!? ・・・じゃなかった
はぁー、今日も怖い話聞いちゃったなー・・・もー・・・」
一日の業務も終わり、先輩の敏男(仮)を職場に残して退社する。
西日がまぶしい。 涼子のアパートは少し道を入った場所にあり、
こういう時間帯にはやたら影が出来る。
「うー・・・いつか先輩に聞いた話を思い出しちゃうなあ・・・」
怖い事を考えないようにと思えば思うほど、
ブロック塀の角の向こうに何か居たりしないだろうかと不安になり、
いい歳してそんなことに怯えている自分が情けなくなる。

「お姉さん」


549:本当にあった怖い名無し
10/09/15 21:22:19 Yh6mt5+K0
そーっと角の向こうを覗こうとしていると後ろから声をかけられた。
「っひいいいいい!!!」
「わっ、ちょっ、大丈夫ですか?」
「あれ? あ、ごごごめんなさい・・・」
恥ずかしい。どうしてこんなことしてるんだろう。
振り向くと恐らく占いをしているであろう怪しい格好の男が座っていた。
「なんだかお悩みのようでしたので、ちょっと声をかけたんですが」
「え?」
「ふむ、男性の事のようですね」
やだ。ちょっと、こういうのってぼったくられるのよね、きっと。
「あ、結構ですから、それじゃ」
つかまってしまわないうちにとそそくさとその場を立ち去ろうとする。
「ちょっと待ってください。 500円、500円でどうですか」
帰ろうと思ったのだが、不思議に思ったのと、
何よりさっきの一言がひっかかって立ち止まってしまった。
「ほんとうに、500円?」
「そうです。 こういう仕事はね、1日に一人捕まえて1万ふんだくるか、
さもなければ20人を呼び止めて500円でやるか二通りなんです。
ま、後者はめんどくさいから誰もやりゃしませんがね。
・・・とと、そんなわけですから、どうです占いひとつ」
だんだん乗り気になってしまった涼子は、占い師の前に座った。


550:本当にあった怖い名無し
10/09/15 21:24:53 Yh6mt5+K0
「ふぅん、怖がりなのに怖い話が好きで
・・・それで・・・ふむ・・・誰かに毎日脅かされてるんじゃないですか?」
占い師は台本でも読むように喋り続ける。
監視されていたかのような正確さだ。
「そうです・・・」
「おー、当たらなかったらどうしようかと思いましたが、ハハ、失礼」
いたずらっぽく笑う。
「まま、それは冗談ですがね、そしてあなたは
・・・割とその男性がまんざらでもなかったりするんじゃないですか」
ぎくり
「ええまぁ答えなくても結構ですよ。へへ。
それで・・・えーと・・・一度反対にびっくりさせてみたい、
仕返しに・・・ってのもあるし、まさか、と驚かせてみたい・・・と」
「なんだか、心の中を読まれてるみたい」
自分が気づきもしなかった心の中まで当てられて、すっかり感心してしまった。
「へへ、そりゃどうも。 どんな具合ですかね」
「もう完璧にその通りです・・・それでどうしたらいいんですか」
「うーん・・・」
占い師が低く唸り、手を組んで困った表情になってしまった。
「私ぁね、占いはできるけど、怪談はとんと暗くて」
「えぇっ、そんなぁ」


551:本当にあった怖い名無し
10/09/15 21:27:18 Yh6mt5+K0
「そうだなー・・・ちょっと待っててくださいよ・・・」
こちらに手のひらで待ったのジェスチャーをすると、二人の間に置かれている
台の中をゴソゴソしはじめた
「こんなの、どうです」
そう言って差し出してきたのは、ぼろぼろになって端の方が破れている一冊の本
表紙にはいかにもというデザインで、「怪奇!都市伝説」と書かれている
「・・・もしかして、占いは500円だけどこの本が1万円するとかじゃ・・・」
「とんでもない!そんなことしやしませんよ!だいたいこの本100円もしませんし
お客待ってる間ね、なんか本を読もうと思って安いこんなのを集めてるんですけどね、
なんつーか・・・ちょっとガラに合わなくて、面白くなくってね。
よかったら差し上げますよ。」
「そういう事なら・・・」
バッグに古びた本を入れる。ふと時計を見る。もう7時半だ。
「あ!もうこんな時間!帰らなくっちゃ!」
財布を取り出しながら席を立つ。
「はい、500円」
「どもども。ま、帰り道気をつけて。何か出るかも知れませんよォ~~」
占い師は幽霊のポーズをしながらニタニタ笑う。
「ちょちょ、ちょっと脅かさないでよ!もう!」

帰りながら、バッグの中の本を手に取る。
そういや受け取ってしまったけど、
相手をびっくりさせようとしたらこっちは既にその話をしってなきゃいけないのだ。
当たり前だけど、ひどく難しいことに思われた。
読む前にトイレに行っておこう。


552:本当にあった怖い名無し
10/09/15 21:33:20 Yh6mt5+K0
「うぅぅ・・・読むんじゃなかった・・・」
夜中の2時なのにまだ明るい部屋の真ん中で、布団に包まりながら呟く。
「これ・・・思ってたよりすごい怖いぃぃ・・・」
表紙のチープさからは想像できないくらい怖かった。
トイレはガマンしている。
「だいたい、頑張って話覚えても、先輩が知ってたら意味ないじゃん・・・」
昼間の会話が思い出される。
「あーもう寝ようっと・・・トイレ・・・」
本をほっぽり出して寝る前にトイレに行く覚悟を・・・
「丑三つ時だぁあぁぁ・・・」
やっぱりだめそうだ・・・

「ん?」
彼女が何気なく足元を見ると、床に放った本がまだ見てないページを開けている
怖い挿絵や写真だらけの本だが、可愛らしい少女のイラストが描かれている。
「なんだろーこれ・・・? メリーさん?」
メーリさんの ひっつっじっ なんて歌があったな、などとと思いながら読んでみる

「メリーさん怖いよ~・・・読むんじゃなかった・・・」
結局彼女は朝まで、メリーさんから電話がかかったらどうしよう、と怯えながら
トイレをガマンしつつ起きていた。


553:本当にあった怖い名無し
10/09/15 21:51:10 gqwqplxG0
性格悪い奴に暇を与えたらこうなるんだな

554:本当にあった怖い名無し
10/09/15 21:59:47 c/ZPB2QEO
てか普通に中学生なんだろ

555:本当にあった怖い名無し
10/09/15 23:23:21 w/AtEG0rO
オマエには二行も書けない文章だと悟った方がいいそ。

556:本当にあった怖い名無し
10/09/16 04:33:58 EN1kg2Eh0
スレリンク(occult板:239-240番)
スレリンク(occult板:263-264番)
本人?

557:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 09:39:06 QysrjXk/0
[究明(前)]

1/14
高城「はじめまして、桐谷さん」

向かいの席に着いた高城が、にこやかに挨拶してくる。
これまでは遠目に見るだけだったが、彼女はやはり美人だ。
身体のラインがくっきり出るような真っ白いセーターを着ており、その美しい曲線に目を奪われそうになる。

…が、そんなことは問題じゃなかった。
極端な話、彼女が下着姿で現れようと、それに見惚れない自信はあった。
彼女の普段の容姿から、そういった覚悟はしていたからだ。

しかし―ここに汐崎真奈美を連れてくるとは、思わなかった。
これはまったくの計算外だ。

いつの間に、2人に繋がりができたのか…?
顔を合わせたのは汐崎が連れ去られた時だろうが、汐崎真奈美にとって、高城は父親を連れ去った憎むべき相手のはずだ。

高城が上手く言い包めた、という可能性も考えられるが、ここにこうして連れてきたことからして、それは無さそうだ。


558:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 09:44:47 QysrjXk/0
2/14
高城が完全に往来会側の人間であるなら、会の人間を連れてきたはずだ。
また、ただ単純に「汐崎を解放したい」と思っている場合も、そうなるだろう。

しかし彼女は、この子を連れてきた。
それは、つまり―

俺「…はじめまして、高城さん」
ずっと黙っている訳にもいかず、挨拶を返す。

俺「それと…」
高城の隣に座った汐崎真奈美に視線を移す…と、彼女と目が合う。
その目は―こちらをジッと見ているその目は、明らかに非難の眼差しだ。

俺「真奈美さんには、本当に申し訳ないことをしました」
俺はテーブルに両手をつき、深々と頭を下げる。
この子には、本当に悪いことをした。
まったく関係が無いのに、巻き込んでしまったのだ。
俺の…目的のために。

真奈美「…」
恨み言の1つや2つ言われるか―もしかしたら引っ叩かれるかとも思ったが、彼女は何も言わなかった。


559:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 09:50:50 QysrjXk/0
3/14
高城「桐谷さん、事情を説明してくださる?」

頭を下げたままの俺に、高城が言ってくる。
やはり、こうなったか…。

この構図。被害者と加害者。
いとも簡単に、主導権を握られてしまった。
誰が来ようとこちらのペースで話を進めるつもりが、こちらは何も聞き出せない可能性すら出てきてしまった。

俺「そうですね…」
そう言いながら頭を上げ、高城の顔を見る。
どうせ勝ち誇った顔をしているのだろう…と思ったが、彼女は恐ろしく真剣な眼差しを向けてくる。

俺はその視線を真っ直ぐ見つめ返す。

…どうやら、本気のようだ。
決意に燃える、その目。
彼女は本気でこの件を…自分の手で解決しようとしている。

それなら良い。それなら…

俺はそう思い、話を始めた。


560:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 09:52:51 QysrjXk/0
4/14
―あれは、3年前のある日のこと。

久しぶりに掛かってきた、兄貴からの電話。そこで兄貴はこう言った。

「探しているものが見つかった。往来会に入る」

長年の探し物がついに見つかったと言って、俺達は大いに喜んだ。
それは、2人の念願だったからだ。

兄貴は勤めていた会社を辞め、すぐに往来会に入会。
俺も必要なら入るつもりだったが、1人は外部に居たほうが良いだろう、ということで入会はしなかった。

俺と同じく元々霊感のあった兄貴は、広報部に配属された。
兄貴はそこで慎重に行動しながら”それ”の情報を集め、往来会の内情と共に、俺に教えてくれた。
今は力無く、隠居生活を送っている会長のこと。
実権を握っている副会長のこと。
それと、会長の懐刀とも言える本部長…高城沙織のことと、兄貴の上司である、汐崎祐一のこと。

それらの情報をまとめ、”目当てのものは副会長が持っている”と分かったのは、今から半年ほど前の事だった。
俺はそこから更に、慎重に事を進めていこうと言ったが…

「副会長が持っているなら、置き場所の検討はついている」
そう言って兄貴は出掛けていき…それ以来、連絡が来ることは無かった。


561:本当にあった怖い名無し
10/09/16 09:56:29 2dS8VtFm0
テスト

562:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 09:57:13 QysrjXk/0
5/14
高城「…探し物が何であるか、言わないの?」

話が切れたところで、高城が口を挟んでくる。
まぁ、当然の疑問だろう。

俺「一応、ね…」
汐崎真奈美をチラと見て、俺は答える。
俺「本部長ともなれば知っているだろうけど、往来会の最高機密になるのじゃないか?それを知ったら―」
高城「別に構わないわ」
俺「…」

構わない。
構わない…?
俺が心配してやったのには、それなりに理由があるのだが…

俺「言っても良い、と?」
目の前に座っている高城をジッと見つめ、聞いてみる。
高城「ええ。今更あんなもの、ね」
俺「…」

あんなもの、か。

…なるほど。


563:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 10:00:11 QysrjXk/0
6/14
俺「じゃあ、言おう。良いね?真奈美さん」
真奈美「え?…あ、はい」
何をそんなに?と戸惑った表情をしている。

俺「壷だよ。壷。大きさは…人の頭くらいかな」

そう言って俺は、両手で大体の大きさを形作る。

真奈美「壷…ですか」
俺「そう。高城さんもご存知でしょう?」
高城「えぇ。見たことはないけど」

見たことがないか。
まぁ、だから、だろうな…。

真奈美「それが何か…大事なものなんですか?」
ハテナ?という顔をして尋ねてくる。中々可愛らしい表情だ。
俺「あぁ。とてもね」
真奈美「凄く高価なものとか?」
俺「うーん、それはどうかなぁ…」

俺も実家にあった写真でしか見たことがない訳だが、見た目はそれ程良くなかった。
素人目に見て、骨董品としての価値は無いような気がする。


564:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 10:07:55 QysrjXk/0
7/14
高城「特別なものだ、って話よ」
真奈美「特別?って、どんな?」
高城「それは―」

高城が俺を見る。説明して、という顔だ。
まったく…完全に彼女のペースだ。
それなのに嫌な思いにならないのは…彼女の人柄の成せる技だろうな。

俺「その壷は、呪われていてね」

ここは話しておくか。
許された範囲で…。

真奈美「呪い…」
俺「ズバリ言うとね、ある種の人が真上から覗き込むと…霊感が身に付くのさ」
真奈美「え…」
俺「ある種ってのは、霊感が無くて、素質のある人ね」
真奈美「えー…?」
驚いた声を出す真奈美嬢。

真奈美「そんなの、あるんですかぁ?」
高城「…あるのよ。往来会がここまで大きくなれたのは、その壷のお陰でしょうね。優秀な会員を増やすことができたから…」


565:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 10:12:55 QysrjXk/0
8/14
真奈美「凄いなぁ…。そんな良い物があるなんて」
高城「…霊感があるのが良い、って言うのなら、良い物かもね」
真奈美「良い物ですよぉ」

良い物。
あれが良い物と言うのか。

…やはり思ったとおりだ。
彼女は知らない。
高城沙織は、真実を知らない。

俺「あれは、元々うちの―桐谷の家に伝わるものでね」
俺は話を戻す。

俺「ずっと昔に…30年以上も前に、うちから盗まれたものなんだ」
高城「盗まれた…」
俺「そ。だから、俺はあれを取り戻したいのさ」
真奈美「盗まれたなら盗難届けでも出して、ちゃんと返して貰えば…」
俺「物が物なんでね。あれの存在を世には出したくない」
真奈美「…」

高城「盗んだのは、副会長?」
高城が聞いてくる。
真っ先に副会長を疑うあたり、よっぽど彼が嫌いと見える。


566:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 10:15:30 QysrjXk/0
9/14
俺「いや。盗人さんは往来会とは関係の無い人間さ。どうやら金目の物と思ったみたいで…とっくの昔に死んでいる」
高城「…」
俺「それから色々な人の手を渡って、今の副会長の元にある、ってだけさ」
高城「そう…」

副会長の手に渡ったのが、どういった経緯によるものか。
…俺はそれも知っている。
なぜなら―ある人に、教えてもらったからだ。

しかし、そこまで話すつもりはない。この2人にそこまでは話せない。
それが…約束だから。

真奈美「あの、名刺については…?」
真奈美嬢が聞いてくる。
…そうだ。その話もあった。

俺「あれは、壷を出させるためでね」
真奈美「?」

俺「副会長のジイさん、兄貴のことがあってから警戒心が強くなってね…。今や、壷は金庫の中さ」


567:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 10:21:18 QysrjXk/0
10/14
当然俺には、金庫破りなんて芸当はできない。
だから壷とご対面するには、副会長本人に金庫を開けて貰うしかなくなってしまった。

では、どうすれば彼は金庫を開けるか?
どういった時、彼は金庫を開けてくれるか?

…答えは簡単。
壷を使うときだ。

だとすれば、こちらでその機会を与えてやれば良い。
霊感は無いが、素質のありそうな人間。そういったものに興味を持っていそうな人間を、往来会に紹介する。
…そう考えたとき、丁度良い人物がそこに居た。
それが、神尾美加だった。

俺は2人に、そう伝える。

…そうとだけ、伝える。
どうして彼女に思い当たったか。
どうやって彼女のことを知り得たか。
それは―それも、言うことはできない。
この2人に、説明することはできない。


568:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 10:28:22 QysrjXk/0
11/14
真奈美「神尾って確か、お父さんが会ったっていう…?」
そう言って、高城に確認する真奈美嬢。
どうやら、名前は聞いたことがあるようだった。

高城「そうね。私も一目だけ見たけど…確かに好奇心旺盛、って感じだったわね」
真奈美「ふーん」
高城「桐谷さん…随分と良い子に巡り合えたものね」
こちらに向き直り、高城が言ってくる。
何かしらの含みは感じるが…まぁ、スルーしておこう。

真奈美「あの、じゃあ、私も…?」
俺「ん?」
真奈美「霊感無いし、興味も…ちょびっとはあるし」
俺「あぁ。まぁ、それもあるけど…」

その通り。それだけの理由です。
…と言ってしまえば話は簡単かもしれないが、ここは正直に言っておこう。
高城の手前もあり、隠し事ばかりはできない。
下手に嘘がバレてしまうと、こちらの立場は更に悪化する。

俺「君の場合は、少し事情があってね」


569:赤緑 ◆kJAS6iN932
10/09/16 10:35:47 QysrjXk/0
12/14
怪しげな名刺を渡せば、神尾美加は往来会を訪ねるだろう。それは容易に想像できた。
しかし入会するというところまでは、どう考えたってあり得ない。
ただ単に、「何か変なところ」という認識だけで終わってしまうだろう。

そこで更に、もう一手打つ必要があった。

往来会を訪ねた神尾は、汐崎祐一と会うだろう。
あの名刺があれば、必ずそうなる。
ならば…次は、汐崎祐一に動いてもらう。
彼から神尾に、アクションを起こしてもらう。
そのために―

真奈美「…私に名刺を?」

俺「君に名刺を渡せば、君のお父さんは間違いなく動く。でも往来会は、お父さんに事件の真相なんて、絶対に話さない」
高城「…」
目を伏せる高城。
往来会…ではなく、彼女にとって、汐崎に事件の話をしない理由は1つではなかっただろう。
殺人が行われた事を知られたくない、ということだけでなく…彼を巻き込みたくない、という気持ちもあった筈だ。



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