10/08/20 23:08:14 eZbUQhkl0
>>56
われわれは塹壕の中で跪ずいたままだった。心配と予想で頭がいっぱいだった。何がおこるか知識はまるでなかった。
"爆発30秒前、カウント開始。"
私自身の心臓の音とスピーカーのカウント以外には何もきこえなかった。
私は汗をかき始め、ガスマスクの中のアゴに水がたまった。私は神経質にアゴの水を右手で払った。手がジャケットの
下につけてある放射能のフィルムバッジに触れた。それは左胸のポケットにクリップで留まっていた。私は改めて
しっかりと両目を閉じた。
スピーカーがカウントダウンを始めた。
"10...5、4、3、2、1"
ゼロの一瞬、私は大きなはじける音を聞いた。そしてすぐに、強烈な熱を首すじに感じた。猛烈な光が熱と一緒にやって来た。
何と、目をしっかり閉じているのに、あたかも赤いレントゲンで見るように、私の腕の骨が見えたではないか。
数秒間か、雷鳴を思わせる音が、何千頭の牛が頭上を暴走したかのように続いた。吠える声が圧迫し、私を押しつぶす。
時速400マイルの衝撃波が巨大なエネルギーとなって圧迫する。音と圧力が我々をおびえさせ、耳をきこえなくさせる。
大地が回転し体をコントロールできない。おそれをふり切って私は目を開けてみた。泥や石をたくさんかぶり、4フィート先も
見えない。塹壕の中で私の近くにいた人も見えない。太陽よりも強い光が何回も汚れた周辺を照らし、悪魔が私の体と魂を
飲みこもうとしているのではないかと思った。地球の終わりが来たと思った。大地が激怒し、怒りにふるえ、私の真下の
地面が粉々になるだろう。もしもこれが核戦争の体験例なら、もう2度としたくない。友と敵の区別もなく、海兵隊と外国兵の
差もなく誰も生き残る方法はない。