10/08/08 03:19:52 zgItqadJ0
かなり前に読んだ雑誌「丸」の体験手記が忘れられない
ラバウル基地の主計中尉が重病で入院し回復しはじめたころ
となりのベッドに重症患者が運び込まれてきた
マラリアとパラチフスを併発していたところに爆弾の破片を浴びて
口と鼻以外は包帯で巻かれた状態の若い少尉だった
叫ぶような声でうわ言をしゃべり続けている
「大前四郎少尉、帰ってまいりました・・・」
「お母さん、兄さん、五郎、六郎・・・」
「和尚さん、鉛筆をとってください・・・」
「静岡へ行きます・・・」
「お父さん、待ってください、四郎もまいります、船が出ます・・・」
主計中尉は同情しながらも少し興味を持ち絶叫している言葉を聞いていたが
その日一睡もできなかったので翌日病室をかえてもらうことにした
そして明け方空襲警報で起こされたときも重症の少尉は病室で叫び続けている
入院してから40時間以上もその状態が続いていた
主計中尉が病室の前を担架で運ばれて通るとき一瞬静かになった
どうしたのかと思った瞬間ものすごい絶叫で
「ボーゲンビル頑張れ!ボーゲンビル頑張れ!」
生死の境をさまよっていた少尉が最後に残した言葉は
敵が上陸した戦地への想いだった