10/11/28 09:42:42 j8fdJeYp0
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遠くから流れてくる歌声に誘われ闇の中を進んだ先。揺らめく月明かりが窓から差し込む
部屋で、微かな囁きと共に少女が手を差し伸べてくる。その手を取ろうとして―いつも
そこで目が覚める。
そう、いつも。繰り返し何度も見る夢。
それでも、夢を見る度に、彼女に少しずつ近づいている。
子供と大人の丁度中間の儚い美しさ。
緩く波打つ長い髪は淡い色合い。肌も透けるほどに白く。少し古めかしいデザインだが、
そのレースの白いワンピースドレスは彼女に良く似合っていた。
あと少し。あと少しで彼女の元へたどり着く。
いつもいつも、気が付くと彼女の事を考えている。
夢を見始めたきっかけは何だったろう。
確か、趣味のスキューバダイビングであの海に潜り始めた頃から。