10/07/19 00:21:40 Y+LgHbQJ0
黙示録か与太話か
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ピクリとみつるは空気の変化を感じた。
瀬田の体の上で身を起こして、感覚を研ぎ澄ませる。外の気配を探る。
暫し遅れて、瀬田も空気の変化に気付き・・・・。二人は立ち上がり、無言のまま気配を探る。
死者の気配。静寂・・・それに混じる雑音・・・そして闇に解けない不純物の禍々しい殺気。
「お客が来たようだ・・・・」
距離はまだ遠い。
避難を先に進めるか、守りを固めて様子を探るか・・・。迎え撃つことも視野に入れて・・・。
みつるは思案しながら、ケイと誠一郎の居る場所へ足を向ける。
一方、ケイと誠一郎も、異様なモノが近付きつつあることに気づいていた。
「・・・・・ちっ」
ケイが舌打つと、みつるがやって来た。
「気付いてるか?」
二人はみつるの言葉に視線のみで返答する。それにみつるは頷いて、指示を出す。
「即、非難を開始する。二人は人間を守って車まで運べ。車は迂回路を通り、お客との接触を避けて
屋敷へ向かえ。ケイは残って私のサポートに回れ。お客の正体を探る必要がある」
大雑把な指示を出して、キョトンとする人々を見渡す。
「申し訳ない。状況説明をしてから避難を勧めるつもりでしたが、危険が近付いている可能性が高いので
早々に避難をしていただきます」
「避難って、外はゾンビだらけ・・・」
「小さい子供も居るのです。どうやって・・・?」
高校生の子供が心配そうに口を開いて、続いて家族で避難している父親が呟いた。